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“雰囲気”を見える化

“雰囲気”を見える化

職場の生産性の向上には良好なコミュニケーションが必須です。組織の「雰囲気」も生産性を左右する大切な要素。しかし、理想的なコミュニケーションの状態とは可視化が難しいものです。阿吽の呼吸から生まれるコミュニケーション・雰囲気は属人的、主観的、あいまいであり、客観的・定量的に測ることが困難だからです。

近年は職場の「雰囲気」をAIなどの先端技術で「見える化」するツールの開発が進んでいます。本記事では国内外の開発事例を紹介します。

職場の雰囲気を可視化・改善するメリット

職場の雰囲気は、その空間に存在する社員(ヒト)と、オフィスの物理的な環境(モノ)の影響を受けています。職場の雰囲気を可視化し、良い雰囲気に改善していくと社員が仕事に集中できるようになるため、さまざまなメリットが期待できます。

  • 社員の労働意欲が向上する
  • 離職率が低下する・職場への定着率が向上する
  • 社員満足度が向上する
  • エンゲージメント(会社への愛着心・思い入れ)が向上する
  • 企業の業績、生産性の向上が期待できる
  • 健康的な経営環境が実現する

職場の「いい雰囲気」の例

では、具体的に「職場のいい雰囲気」とはどんな雰囲気なのでしょうか?

基本は「仕事で関わる人同士がお互いを尊重している」「関わるメンバー全員が理念や事業のゴールを共有し、実現のために一体になって仕事をしている」。良い雰囲気でかつ生産性が上がっている両立の状態が大切です。

  • 社員がお互いの(仕事の先にある)ゴール・目標を大切にしあっている
  • 職場の理念や価値観を尊重することでポジティブな一体感がある
  • 適切なコミュニケーションが交わされている
  • 成功実績の共有やお互いの良い部分を認めあっている
  • メンバーに多様性がありお互いを尊重しあっている
  • 社内だけでなく顧客、取引先などの人たちを大切にし、良好な関係を築けている

【海外事例】Moodbit社の「Moodbit」

ここでは海外事例を紹介します。米国のMoodbit社が開発した『Moodbit』は従業員に定期的に3つの質問を投げかけ、回答してもらうことでリアルタイムな感情を確認します。

会話のテキスト、コンテンツ、トーン分析をベースにした感情感知技術を使用しており、リアルタイムな感情(ストレス、不満、悲しみなど)のレベルの判断が可能です。SlackやTeamsなどのプラットフォーム上で利用できます。結果を踏まえたアクションプランを実施することで社内の雰囲気が改善され、離職率軽減やエンゲージメント向上につながることが期待できます。MoodbitはHR TechXpo 2019でファイナリストに残りました。

【国内事例】村田製作所の仮想センサープラットフォーム「NAONA(ナオナ)」

国内でも社内コミュニケーションを可視化する取り組みがあります。その1つが村田製作所の
仮想センサープラットフォーム『NAONA(ナオナ)』です。
1対1のミーティングでの「発言回数・割合」「会話テンポ」「コミュニケーションスタイル」などを可視化することが可能なため、「上司の傾聴スキルアップ」や「部下の自己開示度アップ」「コミュニケーションスタイルの質のアップ」につながり、心理的安全性の向上・部下の育成促進・生産性の向上といった効果が見込まれています。

今後、技術が向上すれば飲食店などを探す際に「自分が求める雰囲気の店」の検索に活用したり、反対に企業側が自社のサービスの品質を改善するために活用できる可能性もあるでしょう。

まとめ

職場の雰囲気やコミュニケーションの状態は社員のモチベーション、仕事の成果、生産性を高める重要な要素ですが、これまでは直感、感覚、主観で判断する以外あまり方法がなく、施策の効果の再現性にも難があったと言えます。しかし、近年はAIなどの先端技術を活用すれば、データで状況を把握でき、アクションプランまでわかるようになりつつあります。あいまいな「雰囲気」というものを主観+データで判断できるようになるため、人事施策の精度の向上が期待できます。

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