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エンゲージメントサーベイとパルスサーベイで組織力を高めるには

エンゲージメントサーベイとパルスサーベイで組織力を高めるには

近年、人的資本経営を巡る取り組みが活発化する中、エンゲージメントサーベイやパルスサーベイを活用する企業が増えてきています。エンゲージメントは、従業員一人ひとりが戦力化していることを示す重要な指標であり、サーベイの結果を分析することで、組織課題を把握したり、改善に繋げたりすることが可能です。しかし調査結果に一喜一憂するばかりで、有効なアクションプランなど真の改善に繋げることができていない企業も少なくありません。そこで今回は、サーベイの目的や活用方法、改善に繋げるポイントなどを解説します。

なぜ今、サーベイが重要視されているのか?

そもそも、なぜエンゲージメントサーベイは重要なのでしょうか。エンゲージメントサーベイの目的は、従業員一人ひとりがいきいきと仕事に取り組める環境にあるかどうかを測ることです。松下幸之助が言うように「企業は人なり」と考えるならば、「人材一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出し、高いパフォーマンスを発揮できるかどうか」が企業経営の要といえます。エンゲージメントサーベイは、そうした人材の活力や前向きな姿勢を定量的に評価する指標として機能します。サーベイの結果次第では、従業員のモチベーションを高め、業務効率の向上につなげることができるのです。

また昨今では、仕事観や価値観の多様化が進み、従業員一人ひとりに対応した打ち手も求められています。例えば組織に対するエンゲージメントや満足感が低い従業員には、その人固有の理由をしっかりと把握し、対策に繋げなければなりません。そういった兆候を、ミクロおよびマクロ視点で可視化できるのがエンゲージメントサーベイやパルスサーベイなのです。

エンゲージメントサーベイとパルスサーベイの目的、違いとは?

エンゲージメントサーベイとパルスサーベイはいずれも、現場で何が起こっているのか、どのような課題があるのか、従業員は何を思って働いているのかを把握するためのツールなのですが、それぞれ異なる目的を持っています。最も分かりやすいのは、対象が「組織」か「個」かという違いです。エンゲージメントサーベイは、調査結果に基づいて組織の課題を見出し、効果的なアクションプランに繋げるためのもので、個人ではなく部署単位や属性単位での分析が主です。一方のパルスサーベイは従業員のコンディションチェックとして位置づけられており、一定の閾値を設定してケア対象の社員を見つけ出し、個々に対してきめ細かなフォローアップを行うためのツールとなっています。

また両者の大きな違いとしては、実施する頻度と1回当たりの設問数が挙げられます。エンゲージメントサーベイの場合、半年から1年に1回、数十問程度の設問数で実施するのに対し、パルスサーベイの場合は、週次や月次といった高頻度で実施。設問数も数問から10問程度と、負担が少ないのが特徴です。

これらの特徴を踏まえて、しっかりと設計し運用すれば、「現場の状況が可視化できていない」「組織の課題が把握できていない」「なぜ従業員のやる気が高まらないのか原因が分からない」「業績向上や風土変革に繋がる効果的な打ち手を知りたい」などといった課題を持つ企業にとっては、高い効果が期待できます。

調査自体が目的になっていないか?

エンゲージメントサーベイやパルスサーベイは、調査の結果に一喜一憂することなく、真の改善に繋げることが重要です。サーベイを積極的に実施している企業は増えていますが、一方で実施すること自体が目的となってしまい、その先のアクションプランニングやフォローアップに手が回らずおろそかになっているケースも多く見られます。

例えばパルスサーベイを導入している企業の場合、頻繁に社員の声を聞くことができるようになったものの、社員から「何のためにやっているのだろう?」といった声が上がることも少なくありません。これは調査結果を社員にフィードバックし、組織の課題解決に向けた具体的なアクションに繋げられていないことが原因でしょう。またエンゲージメントサーベイについても、経年変化を追うことで組織の課題は見えてきても、それに対する効果的な施策立案に繋がっていないケースは珍しくありません。

調査結果の分析までは行えても、調査自体や課題を把握することに時間とリソースを割いてしまい、実際の解決策を検討する段階に至らないといったケースも散見されます。これもサーベイを実施すること自体に目的が集中してしまっているがゆえに生じるデメリットです。

組織全体で改善サイクルの実行に取り組もう

エンゲージメントサーベイやパルスサーベイを有効活用するためには、その目的や活用方法を十分に理解しておく必要があります。また社員の声を拾い上げ、それに応じた改善策を立案し、効果を検証するというサイクルを回すことも重要です。特にパルスサーベイについては、実施頻度も高いだけに従業員が意味を感じづらく、マンネリ化しがちなため、アクションプランを作成し、それを実行することで、改善のサイクルを回し、社員がそれを実感できるようにしましょう。

  1.  目的と活用方法の理解: サーベイの目的を明確にし、社員全体で共有する。
  2.  社員の声の拾い上げ: サーベイを通じて従業員の声を収集する。
  3.  改善策の立案: 収集したデータをもとに、具体的なアクションプランを策定する。
  4.  改善サイクルの実行: アクションプランを実行し、効果を検証・評価する。
  5.  フィードバック: 結果を社員にフィードバックし、次のサーベイに活かす。

サーベイの結果をもとにした改善サイクルの立案・実行は、部長をはじめとする管理職のアクションとして位置づけ、部門ミーティングで議論するなど組織全体で定常的に行うことで、継続的な改善が期待できます。ただしその際にも注意が必要です。調査結果を「成績通知表」のように他社と単に比較するだけでは、効果は限定的です。自社の置かれた状況に合わせて、どのように改善していくべきかを考えることこそが大切なのです。

企業が将来に向けて持続的に成長していくためには、従業員の声に耳を傾けて、それに基づいた改善を繰り返していくことが欠かせません。そしてエンゲージメントサーベイやパルスサーベイはその手段のひとつに過ぎません。本来の目的や活用方法を見失うことなく、組織の課題解決に繋げていただきたいと思います。

当社は、サーベイの実施だけでなく、サーベイの結果分析、その先のアクションプランニング、そしてアクションの定着までを並走してご支援することができます。実施検討から活用方法にお悩みの企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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