ワインの豆知識 2018年7月31日 高級ワイン、なぜあのワインはそんなに高いのか?ワインが高額になる7つの理由 ※画像はカリフォルニアの高級ワイン「オーパスワン」 ロマネ・コンティ/モンラッシェ/オーパスワン・・・世の中には沢山の高級ワインが存在しています。中には1本数百万円なんてものもありますが、なぜ、あのワインはそんなに高いのでしょうか? プロであるソムリエの視点からその理由について教えてもらいました。 [目次] ワインが高額になる7つの理由 ソムリエからのコメント ワインが高額になる7つの理由 当たり前のことかもしれませんが、商品の値段は製造にかかるコストと需要と供給のバランスで決まります。 ワインに関しては、以下の項目が要因になっています。 1.収穫方法 機械など使わずに人が手作業で行っている場合、人件費がかかり製造コストが上がります。ぶどうに限りませんが、ちょうどいい果実収穫のタイミングは一瞬しかありません。最高の状態で収穫するためには、ひとつひとつ目視が必要なため、手間も発生します。 2.ぶどうの木の密植度 密植度(単位面積当たりの植樹数)が高いと養分の吸収を競争しあうため、地中深くまで根をはり美味しいぶどうができると言われています。(植樹の話は、密度をあげれば良いというレベルではなく、根の張り方の考え方も栽培家により異なります。)収量をどうコントロールするかがコストに反映していくという認識をここではしてください。 3.一本あたりの実の数 美味しいぶどうを作るためには、木一本あたりの実の数を意図的に減らすことがあります。養分が分散せず集中するため、通常よりも濃いぶどうができます。当然、収穫量も減るため、実ひとつあたりのコストは大きくなります。 4.土地代 ワインに適した土壌では、産地ごとにそれぞれの格付けがされています。それらの土地代もワインの料金に反映されています。 5.輸送費 海外から日本にもってくる際の輸送代も料金に上乗せされています。 6.税金 海外のワインを日本にもってくる場合は関税が発生します。こちらもワインの料金に上乗せされています。 7.プレミア 製造原価とは関係なく、希少性やブランドイメージなどでも販売金額は変わります。そのため、販売者のマーケティング戦略によって金額も大きく変動します。 ソムリエからのコメント 上記1〜4の理由により、一般的に高級なワインの方が果実の濃縮度が上がり、味は「複雑味のあるもの」になっていく傾向があります。 また、高級なワインになると、瓶自体にも劣化を抑えるために分厚く作られていたり、偽造防止の工夫が施されていたりするそうです。(実際、高級ワインの偽物も世の中には広く流通しているとのこと。)当然、これらの瓶のコストも販売金額には上乗せされてきます。 劣化を極力防ぎ、熟成に耐えられるものにするために、「コルク」の品質も無視できません。 余談ですが、高級なワインはお店側としては売るためだけでなく、ステータスとして確保しているケースもあるんだとか。「あのワインを置いているお店なんだ」と思われること自体が格式につながるそうです。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年7月12日 ソムリエに訊く!ワインにおけるナチュールという言葉の真実 最近のワインの話題のなかで、ナチュールという言葉をよく耳にします。自然な感じがして、なにやら体にも良さそうな雰囲気を与えてくれるこの言葉。しかし実際のところは、どうなのでしょうか?ソムリエにナチュールについて、その言葉の意味から訊いてきました。真実はとても奥が深い領域に・・・。 [目次] ナチュールを整理する まとめ ナチュールを整理する そもそも、ナチュールとは英語のナチュラルのフランス語のことです。 そして、ソムリエによるとワインにおける「ナチュール」については実際は定義がかなり曖昧とのことでした。 関連するワードをおもむろに書き出して頂き、それらを画像にしたのがこちらになります。 基本的には農法により、リュットレゾネ、オーガニック、ビオディナミ、サスティナブルなどの分類があります。 このなかで、オーガニックに関しては、有機農法のことを指し、認定団体も世界中に存在しているため、明確な定義が存在しています。 しかし、今回の記事のテーマであるナチュールに関しては非常に曖昧とのこと。 全体の自然派ワインのことをナチュールという人がいたり、ビオディナミのことをナチュールという人がいたりと明確な定義は存在していないようです。 ナチュールという響きに、何も手をかけなければ美味しいワインができると思い込まれる人たちが多いのですが、必ずしもそうではありません。 例えば、酸化を防止するために使用されるSO2(二酸化硫黄)は基本的にほぼすべてのワインに含まれています。ナチュールと呼ばれるワインの中にはなるべく手を加えないようにするため、最少のSO2で生産するケースがありますが、味が安定しなくなるため、美味しいワインを作るのは通常よりも難易度が高くなります。 また、「自然=手を加えていない」と考えられることが多く、しっかり丹精込めて生産しているワインを「手を加えていない」と捉えられることに違和感を感じるため、ナチュールと言われることを嫌がる生産者もいるそうです。 まとめ 様々な状況でナチュールという言葉が使われていますが、ワインのプロであるソムリエはビオディナミ(バイオダイナミクス)の製法でSO2が少ない(なるべく手をかけていない)ワインを「ナチュール」と呼んでるそうです。 ちなみに、今回ご紹介したリュット・レゾネ、オーガニック、ビオディナミ、サスティナブルなどの詳細については、それひとつで本1冊分くらいの情報量があるとのこと。例えば、ビオディナミ(バイオダイナミクス)はルドルフ・シュタイナーによって提唱された農法で、重力や月の満ち欠けなど天体の動きも農作物の生育に生かすことを目指しているのが特徴なのだとか。Wikipediaで調べてみても、かなりの文量でした。興味のある人はぜひ、ゆっくり勉強してみても面白いかもしれないですね。 ※冒頭画像のワインはビオディナミの先駆者ニコラ・ジョリー作の「CLOS DELA BERGERIE」です。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年6月28日 ソムリエに訊く!実際ワインのデキャンタってどうなの? 比較的高級なお店に行くと、ソムリエがデキャンタを使いながらワインを提供してくれることがあります。様々な形状が存在するデキャンタ。実際その効果はいかほどのものなのでしょうか?ソムリエに訊いてきました。 [目次] デキャンタとその効果 実際のところどうなの? デキャンタとその効果 デキャンタとはワインを移し替えるための容器です。ソムリエに訊くと、お店にあるデキャンタを紹介してくれました。※トップ画像参照 ところが、このデキャンタ、普段居酒屋などでみていたデキャンタと形状が大きくことなる気がしました。 ソムリエに訊くと、「居酒屋などで提供されているのはカラフェですね。デキャンタとは違います」とのことでした。(デキャンタというところもあるので、かなり曖昧である) カラフェとはいわゆるピッチャー、水差しのこと。特別な効果を期待するというよりも容器として使用している程度です。ボトルに対して2/3程度の分量のことが多く、グラスワインよりも多くボトルよりも少なめに提供したいときなどに使用されているそうです。 一方でデキャンタには様々な形状があり、ワインを美味しく飲むための工夫が施されているのが特徴です。空気と触れることで、酸化が起き、香り成分を揮発させたり、澱(おり)を除去するために利用されます。 ※澱(おり)とは・・・ワインの底にできる沈殿物。渋み成分であるタンニンなどが年月をかけ結晶化したもの。古いワインに発生しやすい。 冒頭画像の右から使用されるワインの種類としては 1若いワイン(香りを広めるために使用する) 2主に白ワイン系 3若いワイン古いワイン両方 4古いワインを使うことが多い とのことでした。 デキャンタを使用することをデキャンタージュといいます。 デキャンタージュした直後は味にバラつきがでるため、30分から1時間程度置いてからが飲み頃になります。 ちなみに、赤ワインだけでなく、白ワイン、シャンパーニュでもデキャンタを使用することはあり、生産者からのリクエストで指定されるケースもあるそうです。 実際のところどうなの? では、実際使用するデキャンタにより味はどのくらい変わるのでしょうか。 ソムリエに訊くと驚きの回答が。 「実はちゃんとした研究結果というものはないんですよね」 まだまだ研究しているところが正直なところで、使い分けることには意見も分かれるそうです。なんでもかんでもデキャンタしていた時代もあるそうなのですが、実際のお客様からリクエストがない限りあまりしていないとのことでした。 しかし、大きなデキャンタにワインを入れて、グラスに注ぐその光景はそれなりのパフォーマンスであるのも事実。スムーズに注ぐには練習としっかりとしたスキルも要求され、家では体験できない特別で楽しい気持ちになります。 「デキャンタは結構、流行り廃りがありますね。味の科学的な変化はともかく、パフォーマンスとして楽しんで頂くことでも十分な効果なのかなと思います。」 デキャンタで飲むワイン。その場の雰囲気も含めての本人の感覚で楽しむのがいいかもしれないですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年6月14日 ソムリエに訊く! ワイングラスの形状の秘密・持ち方、マナーなど ワインを楽しむにあたり切り離すことのできないワイングラス。 好きな人は、ワインと共にワイングラスにもこだわりますね。 色々な形がありますが、ソムリエに訊くとそこにはワインを美味しく飲むための理由が隠されていました。 [目次] ワイングラスの種類 持ち方やマナー まとめ ワイングラスの種類 有名なオーストリアのグラスメーカー リーデルのカタログにはワインに相性がいいようにデザインされているグラスが100種類ほど登録されています。 【リーデルのカタログ】 当然、飲むワインによりグラスも変わってきます。 参考までに、トップ画像のグラスは以下のワインを楽しむためのグラスです。 1 シャンパン 2 ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング (軽やかな白/カジュアルな赤ワイン) 3 ボルドー、カベルネソーヴィニヨン、メルロー(ボディがしっかりしている) 4 ブルゴーニュグラス、ピノ・ノワール、シャルドネ (香りがとりやすい) デザインが異なるため4のほうが少し大きく見えますが、3と4の口径は同じサイズになります。 そしてデザインが異なることで、ワインを傾けられる角度が変わります。 3の場合 4の場合 傾けられる角度により「舌」の出方が変わるとのこと。それにより味わいも変わるため、ワインにあわせてグラスを変えているそうです。 持ち方やマナー ワインのことを全く知らない本当の初心者だと、その形状からついこのように持ってしまうのではないでしょうか。 しかし、これはブランデーの持ち方です。ワインの場合は温度が変わりやすくなってしまうため、このような持ち方はお勧めしません。 ワインは次のように足をもつのが基本です。 理由を訊くと、美しく見えるからとのこと。(このあたりにワインの歴史を感じます。) そして、小指を少し立てて添えておくのも一つのポイント。置くときに衝撃からワイングラスを守ることができるとのことでした。 その他のワイングラスにおけるマナーも教えてくれました。 ・飲み口(口のあと)をさりげなく拭う(べたべたしないように) ・注ぐときには置いておく(注ぎやすいように) ・乾杯のときに鳴らすのはクラシックにはやめたほうがいい(グラスに傷がつく恐れがある) 小さなことですが、気にする人には目についてしまうのがマナーです。このあたりはぜひ覚えておきましょう。 まとめ 今回、ワイングラスの持ち方についてご紹介しましたが、ソムリエの意見としては、最終的には自分の持ちやすいように持ち、楽しむことが一番いいのでは?とのことでした。 ちなみに、サービスを提供するお店側の人がグラスを渡す際には、お客様がワイングラスの足を持ちやすいように、底のほうをもって手渡しするとのことです。 普段何気なく受けている所作のなかにもサービスを提供する側の配慮が隠されていますね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年6月08日 ワインを楽しむためのソムリエとのスマートな接し方 ソムリエとのコミュニケーションもワインを楽しむうえでは欠かせないポイント。では、どのように接するといい関係性が構築できるのでしょうか?会話をしているなかで訊かれると困ってしまうことなどをソムリエに聞いてきましたので、ぜひご参考にしていただけると嬉しいです。 [目次] 改めてソムリエとは スマートな接し方(NGワード) まとめ 改めてソムリエとは ここでまずソムリエとはどういう方々なのかを改めてご紹介します。 ソムリエとは認定協会が定めた資格であり、ワインに関する筆記やテイスティングなどの実技の試験に合格した人をいいます。詳しくはこちら:日本ソムリエ協会 合格すると認定バッジが与えられます。 日本ソムリエ協会HPより お店でこのバッジをしている人がいたら、ソムリエ試験に合格している方です。 ソムリエがいるお店かどうかは、こんなところからも判別できます。 スマートな接し方(NGワード) では、ソムリエがいるお店ではどのようにオーダーするとスマートな人だなと思ってもらえるでしょうか? ワインに詳しい人だと思ってもらうためにはある程度、品種や国を知っている必要があります。 過去の記事: 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【赤ワイン編】 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【白ワイン編】 そして、「○○のワインが好きなんだけど」、と具体的な例をだしてもらえると、勧めやすいとのこと。 また、お店のワインリストをみて、中間のところがお店が一番力をいれている価格帯になります。それらを踏まえながら、予算感なども伝えるとそれにあったワインを紹介してくれます。 しかし、会話をしていくなかで回答に困ってしまうオーダーもなかにはあるようです。 「一番美味しくて安いワインをください」 コストパーフォーマンスが優れているワインを飲みたいと思うのですが、美味しさは主観であり回答が難しいとのことです。 また、価格に関してはメニューに記載されています。回答にはソムリエとしてのワインに関する知識も不要なため、会話もしづらくなるとのことでした。 「ドライな赤ワインをください」 某ビール会社の影響か「ドライ=辛口」という認識が世の中に広まっていますが、ドライは「すっきり」しているという意味になるとのこと。赤ワインの時点で「すっきり」していないため、どのようなワインが飲みたいのか、判断が難しくなるそうです。 基本的に赤ワインの場合、大別すると「軽め/酸味のあるタイプ」、もしくは、「重め(しっかり)/飲みごたえがあるタイプ」の2パターンになります。どのようなワインが飲みたいか伝えたい場合は、こちらの表現を使うと伝わりやすくなります。 ※参考までに、白ワインの場合は、「すっきりしたタイプ」、もしくは、「コクのあるタイプ」になるそうです。 まとめ ソムリエがいるお店では、ワイン初心者の方は「料理に合わせてお勧めいただけますか?」と素直にソムリエにお任せするのが一番かもしれません。そこで会話を楽しみながら、ワインの知識を増やしていき、徐々に具体例を出せるようになると、その時飲みたいワインがスマートに表現できるようになっていくかと思います。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年5月20日 ソムリエに訊く!ワインのラベルと瓶の形状から分かること ワインのラベルには多くの情報が記載されています。しかし、ブドウの品種が書かれているものもあれば、書かれていないものなど、ワインにより多少の違いが。 ソムリエに訊くと、そこには歴史のあるワイン業界におけるある一定の法則が存在していました。その法則とは何なのか?この情報をちょっと知っているだけで、ワイン初心者に一歩差をつけられます。 [目次] ワインの産地 伝統国とニューワールド ラベル 瓶の形 まとめ ワインの産地 伝統国とニューワールド ワインは産地により「伝統国」と「ニューワールド」という2つに大きく大別されています。 「伝統国」とはフランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパの国を指します。一方でアメリカ大陸やオセアニアなどのアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、などは「ニューワールド」と言われます。日本もニューワールドの一員になります。 ラベル ここで実際のラベルをみてみましょう。 こちらが伝統国フランス産のワインです。収穫した年や地名(Chablis=シャブリ村)や生産者の名前が記載されています。 こちらがニューワールド アメリカオレゴン産のワインです。 収穫した年や地名、生産者とともにPINOT NOIR(ピノ・ノワール)とブドウの品種が書かれています。 伝統国とニューワールドの大きな違いは「ブドウの品種の記載」です。伝統国では地域により使われるブドウの品種が規制されています。そのため、地名さえ書けばどのブドウ品種なのか分かるため省略されていることが多いそうです。 瓶の形 そして瓶の形にも違いがあることをご存知でしょうか? ワインの瓶の形は大きく、「なで肩タイプ」と「いかり肩タイプ」の2つがあります。 なんと地域により形状が決められており、「なで肩タイプ」はブルゴーニュ(=赤はピノ・ノワール、白はシャルドネ)、いかり肩タイプはボルドー(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどの5種類)となっています。 まとめ このように、生産された地域によりラベルや瓶の形状が変化していくのもワインの面白いところです。 伝統国のワインにはあえて品種を書かないところに、ワインの歴史を強く感じます。 書かれていないということはうんちくを語る大チャンス。 地域名と品種を勉強すればより一層大きな差をつけることができること、間違いなしです! 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年4月25日 どこまでこだわるべき?ソムリエに訊く家庭でのワインの保存方法 コルクを抜いた飲みかけのワイン、家庭ではどのように保存していますか?初心者には難しそうな気がするワインの保存方法。どうすれば美味しさを保てるのか、ソムリエに訊いてきました。 [目次] ワインの保存、気を付けること 道具の紹介 まとめ ワインの保存、気を付けること 「ワインをうまく保存をして美味しさを保つ」とはどういうことのなのか? ソムリエの回答は①抜栓前「熟成という過程を経てより美味しくする」②抜栓後「酸化をできるだけ防ぎ、飲み頃期間を延ばす」とのことでした。 ワインに限らず醸造しているお酒は一般的に熱に弱く、急激な温度変化があると劣化が進み、本来望まない酸味や不快な香り、味わいになる可能性があります。既に発酵しているため腐ることはしませんが、極端なことをいうと、お酢のようになってしまいます。 うまく保存することができると、味が熟成されていき、旨味やコクが増え、ワインもオレンジがかってきます。(イメージ的にはキノコや紅茶のような味わいがでてきます。) 保存するときのポイントは次のようになります。 【保存するときのポイント】 ・12度から14度程度(16度を超えての長期保存は劣化や再発酵の可能性がある) ・湿度70%程度(乾燥しているとコルクが乾いてしまったり、蒸発の可能性がある) ・暗いところ(紫外線があたると酸化を早まる) いわゆるワインセラーはこれらの条件をキープするための道具とのこと。 ワインセラーがなく家庭で保存するときには、豆知識として以下のアドバイスをもらいました。 【家庭でワインを保存するときの豆知識】 ・急激な温度変化のない場所、暗所が良い(30度を超える場所は危険) ・湿度が欲しいので冷蔵庫にいれる場合は野菜室(チルド室)がオススメ ・新聞紙で巻く(紫外線を防いだり、保湿の意味) ・ラベルを汚したくない場合にはサランラップを巻く 道具の紹介 栓をあけた後に「酸化をできるだけ防ぐ」ための道具もいくつか販売されています。 そのなかで今回は3つほどご紹介いたします。 1. バキュバン 空気を抜くことで酸化を防ぐ道具です。(なんとなく、香りも一緒に出ていってしまうのではないか?そんな意見もたまに聞きます。) 2.アンチ・オックス カーボンがついている栓です。栓をするだけで、このカーボンにより酸化を防ぐことができます。日付けがついているため、いつ栓をしたかを管理することもできます。 3.コラヴァン 窒素ボンベが入っており、ワインを注ぐと空気のかわりに窒素が入る仕組みになっています。酸素が入らないため酸化を防ぐことができます。 この窒素部分は交換可能ですが、1杯換算約100円のコストが発生します。そのため、高いワインでないと効果に見合いません。家庭でつかうというよりも、お店でグラスワインを提供するときに使用されているケースが多いと思います。 余談ですが、海外では窒素ではなく、アルゴンガスを使用しているものもあります。日本では、アルゴンガスが食品添加物として認められていないため、使用されていません。 まとめ よく「製造されてからいつ頃のワインが飲み頃ですか?」と訊かれることがあるそうですが、結局は好みになるためなんともいえないとのこと。生産者は「出荷したときから飲み頃」という事が多いです。ソムリエとしては、熟成してどれくらい耐えられるかを見極めますが、プロでも意見が分かれるところであり、評論家の一つの見解にすぎないそうです。ソムリエからの意見についても、ひとつの参考として考えていただくのが良いと思います。 コルクを一度抜いたあとの保存方法については、その人がどこまでこだわるかによります。コルクを差し直して、冷蔵庫に入れておくだけで気にならないひともいれば、あらゆる道具を駆使して少しでも酸化を抑えたいひともいます。(ちなみにソムリエが家で飲む場合は1週間以上経っても平気で飲みます。ただし、味の変化はありますから、それを楽しむという前提が必要です) 結局のところ、コルクを抜いたあとは「できるだけ早く飲む」に越したことはありません。酸化を遅らせることはできても止めることはできないからです。 道具によってどれくらい遅らせることができるのか? 興味のある人は今回ご紹介した道具を一度試してみてはいかがでしょうか? 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年4月05日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、スパークリングワインとシャンパーニュとシャンパンの違い (画像はシャンパーニュ(シャンパン)界のロールスロイス クリュッグ) 今回は祝いの席には欠かせないスパークリングワイン、シャンパンについて、ソムリエに訊いてきました。 スパークリングワインを単なる白ワインの炭酸バージョンだと思い込んでいる初心者の方、必見の内容です。 [目次] スパークリングワインとシャンパン スパークリングワインの製造方法 ソムリエからのひとこと スパークリングワインとシャンパン スパークリングワインは世界中で生産されている炭酸の含まれているワインです。その中で、シャンパンだけは「シャンパーニュ」地方で作られないとシャンパンとは言えません。正式名称はChampagne シャンパーニュ、和名ではシャンパン、アメリカ人の発音ではシャンペンと聞こえてくることが多いです。 ※シャンパンではないフランスで作られているスパークリングワインは「クレマン」と言われています。 シャンパーニュのもととなるブドウの代表的品種に以下の3つがあります。 1.シャルドネ (白ブドウ) 2.ピノ・ノワール (黒ブドウ) 3.ピノ・ムニエ (黒ブドウ) 意外な気もしますが、黒ブドウからもシャンパーニュはつくられます。黒ブドウでも皮をとれば色素はでず、白いシャンパーニュが出来上がります。 そして、シャンパーニュのラベルをよくみると、これらの品種からどのように作られているのかも分かります。 こちらの画像のワインのラベルには「BLANC DE BLANCS」と書かれています。 「白の白」という意味で、白ブドウ=シャルドネから作られていることを表しています。 その他にはBLANC DE NOIRと書かれていたり、何も書かれていない場合があります。 まとめると以下のようになります。 ・BLANC DE BLANCS(ブランドブラン) シャルドネ種・すっきりが多い ・BLANC DE NOIR(ブランドノワール) ピノノワール・ピノムニエ しっかりした味わいが多い ・何も書かれていない場合 ブレンドされて作られている ワインの工房は毎年同じ味のワインを作ろうとします。ブレンドすることで、味の調整ができるようになる反面、1種類で同じ味を作るのは毎年の気候の違いなどにより非常に困難です。そのためブレンドされずに1種類のブドウで作られる場合は、ワンランク上の扱いになることが多くなります。 シャンパーニュの製造方法 シャンパーニュは全てトラディッショナル方式=瓶内2次発酵方式で作られます。 瓶内2次発酵方式とは、ワインを瓶につめ、糖分と酵母を加え、密閉して、瓶内で第2次発酵を起こさせる方式です。この工程を経ることで複雑な旨味のある味わいがでてきます。 時間もコストもかかるので一般的に価格も高めになります。 参考までにシャンパーニュと同じ製造方法の世界のスパークリングワインに以下のようなものあります。 ・CAVA(カヴァ)スペイン ・SUPUMANTE(スプマンテ) イタリア ・SEKT (ゼクト) ドイツ どれも旨味のある味わい深いワインです。ぜひ違いを楽しんでみてください。 スパークリングワインの製造方法にはトラディッショナル方式以外に、シャルマ方式、トランスファー方式、リューラル方式などがあります。機会がありましたら、これらもこちらのサイトで紹介していきます。 ソムリエからのひとこと スパークリングワインは食前酒として飲まれることが多くありますが、実は料理に合わせやすく、食事全体、食中酒としても十分楽しめるワインです。 例えば、料理のコースに合わせて「今日はシャンパンづくしで!」などソムリエに頼んでみてはいかがでしょうか?シャンパーニュの飲み比べもきっと楽しめます。 お祝いの時などにいいワインを頼みたい時にはこんなオーダーもオススメです。 「今日はお祝いなので、ブラン・ド・ブランにしようかな?」 この人はワインに詳しいと思ってもらえること間違いなしです。ただ、最後のお会計にびっくりしないでくださいね (笑) 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年3月25日 赤坂のソムリエに『春にお勧めのワイン』を訊いてみた! 桜舞い散る春。寒い冬が終わり、植物からは新しい生命の息吹を感じます。卒業式、入学式、入社式などのイベントもあり、日本では出会いや別れの季節です。気温も過ごしやすく、春が一番好きだと言う人も多いのではないでしょうか? そんな『春』にお勧めのワインとは?赤坂のソムリエに訊いてきました。 いきなり結論ですが、結局のところ、 ・ ・ ・ ・ 「人の好みによる」 とのことでした。 [目次] 春のワインの定義 お勧めするとしたら ワイン通のフリをするために 春のワインの定義 そもそも春のワインの定義が難しいとのことでした。「春らしさ」というキーワードから連想することも人それぞれ違います。例えば、白を連想する人がいたり、ピンクを連想する人がいたり、もしかしたら緑という人もいるかもしれません。明確な定義がないため、人の主観によるところが多くなります。ワインは結局のところ、嗜好品であり、個人の好みで楽しむものです。その時に飲みたいものが一番適したワインとなります。赤ワインしか飲まないと決めている人には「春のワイン」もきっと赤ワインです。 余談ですが、季節の商品は売り手側の販売戦略が大きく影響していることもあります。例えば有名なボジョレーヌーヴォ―は地方のワインを売るために「今年の新酒」というコンセプトをうまくブランディングに結びつけ、季節商品として楽しまれています。(近年は日本ブームも沈静化したので、今後どのように戦略するのか楽しみなところです) お勧めするとしたら とはいえ、お勧めするときには、自然界の色調、香り(桜や梅など)、季節の食べ物、に合わせて提案することが多いそうです。 春の季節の食べ物というと、ホタルイカ、山菜、たけのこ、ホワイトアスパラガス、桜マス、桜鯛、カツオ、梅、貝、春キャベツ、新玉ねぎなどなど。 「ホタルいかと黄金柑、オリーブオイルアマロとの出会い」赤坂 あじる亭 レピス https://celebourg.com/agiletei-lepice/ より 『春にお勧めのワイン』として、今回は具体的に次のワインをお勧めしてくれました。 ・ドイツのスパークリングワイン (ピノ・ブラン) 左 酸味がしっかりして、ほんのり苦味を感じることができます。さらっと飲みやすく、山菜や梅肉和えに合うワインです。 ・ロゼワイン (ピノノワール、メルロー等のブレンド)中央 桜色のワインで春らしさを連想させてくれます。味のインパクトは弱いですが、辛口でいろんな料理に合わせやすいのが特徴です。 ・白ワイン(ソーヴィニヨン・ブラン) 右 さっぱりした酸味が特徴でフレッシュさを感じることができます。 総じて、春の時期はさっぱり感のあるワインをお勧めするとのこと。 アパレル業界でも春になると、白や淡いピンク系の服が増えてくることが多いと思いますが、それらの色調がイメージされるワインが一般的に春らしさを感じるのではないでしょうか。 ワイン通のフリをするために そんな春の季節、お客様から次の質問をされると「この人はワイン通だな」と感じるとのことでした。 「シュパーゲル(アスパラガスのこと)にはミュスカやリースリング(白ワイン用のブドウ品種)が合うよね?お店にありますか?」 ※海外生活が長く、ワインを楽しんでいる人だと感じるそうです。(あくまで主観とのことです) 「この季節にあうアルザス系品種をください」 「アルザス系ワインありますか?」 ※アルザス地方のワインは品質の割に安いそうです。万人受けするものではなく、ブランド力も他と比較するとそこまで高くはないのですが、ホワイトアスパラガスに良く合うワインとのこと。アルザスを好むということは、ワインを良く知っている人だなという印象をもつそうです。(あくまで主観とのことです) ワイン初心者で知ったかぶりをしたい人は、ぜひこの質問をソムリエにぶつけてみてください。その後の会話がどのようになるかも楽しんでみるといいですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年3月11日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【白ワイン編】 先日の赤ワインのブドウの品種に続き、今回は白ワインの品種についてご紹介します。赤ワイン同様、白ワインもブドウの品種により味や香りは大きく異なります。今回ご紹介する違いについてだけでも覚えておけば、初心者と大きく差がつくこと間違いなしです! [目次] 白ワインのブドウの主な品種と産地 料理との合わせ方 まとめとソムリエからのひとこと 白ワインのブドウの主な品種と産地 今回ご紹介する品種は以下の2つです。 ソーヴィニヨンブラン Sauvignon Blanc シャルドネ Chardonnay 他にもリースリング、シュナン・ブラン、ヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネールなどもありますが、まず最初に抑えておきたい品種になります。 ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ共に世界中で栽培されています。ワイン銘醸の地であるフランスではソーヴィニヨンブランはロワール川付近 ボルドー地方、シャルドネはブルゴーニュ地方で栽培されています。 ワイン銘醸の地フランスの地図https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cartes_des_vins_de_france.png より 味や香りもこの2つでは大きく異なります。 ソーヴィニヨンブランはグレープフルーツのようなフレッシュな柑橘系や青りんごのような香りがします。フレッシュさが売りで、味もさっぱりした酸味が特徴。のど越しを楽しみたい人に人気があります。 一方のシャルドネは、ふくよかな味わいが特徴で、コクがありクリーミーなタイプが多く、バニラやナッツのフレーバーなどに例えられることが多くあります。しかし、シャルドネ一番の特徴はそのニュートラルさ。一概にシャルドネと言っても栽培される地域などで味や香りも大きく異なります。ワイン愛好家の間からは、「あのシャルドネは好きだけど、このシャルドネはちょっと合わない。」などの会話がよく聞こえてきます。 色も違いがあり、ソーヴィニヨンブランは薄いレモンの色、シャルドネは濃いレモンの色と表現されることがあります。 左:ソーヴィニヨンブラン 右:シャルドネ しかし、赤ワインほど違いは鮮明ではありません。「言われてみれば違う」と感じるかもしれませんが、初心者には違いを見分けるのは少し難しいかもしれませんね。 料理との合わせ方 味についてはまとめると、ソーヴィニヨンブランはさっぱり、シャルドネはこってりと覚えておくと覚えやすいです。 では、どんな料理がこのワインには合うでしょうか? さっぱり系の料理にはソーヴィニヨンブラン、少しこってりした料理にはシャルドネが合います。 例えば、ハーブを使ったカルパッチョや柑橘系のサラダ、スモークサーモン+レモンの組み合わせにはソーヴィニヨンプランのさっぱりした酸味はとても合います。 一方で、クリーム系の料理やサラダ+揚げ物などの軽い肉料理など油脂分が比較的多い料理にはシャルドネのふくよかさが生きてきます。 まとめとソムリエからのひとこと これらを表にまとめると以下になります。 ※簡略的にお伝えする為の一般的な表であり、例外的な事も多数ございますので、予めご了承ください。 品種 地方 味 色 合う料理 ソーヴィニヨンブラン(Sauvignon Blanc) ロレーヌ川付近 ボルドー地方 さっぱり 薄いレモン色 ハーブを使ったカルパッチョや柑橘系のサラダなど シャルドネ(Chardonnay) ブルゴーニュ地方 こってり 濃いレモン色 クリーム系の料理やサラダ+揚げ物などの軽い肉料理など 白ワインは常温よりも冷やして飲むことが多いワインです。それは、白ワインは酸味が強く、冷やすことで切れのある酸味をより一層楽しめるからです。逆に冷えていないと酸味がだれてきてしまうことがあるため、美味しく飲むためには注意が必要です。 本日紹介したソーヴィニヨンブランとシャルドネを比較すると、シャルドネの方が高く取引されるケースが多い品種です。しかし、のど越しを楽しみたい、さっぱりしたいなど、ビール感覚でワインを楽しみたい場合はソーヴィニヨンブランがオススメです。 料理もそうですが、複数のワインを順序立てて飲むときには軽いものから重いものへと変えていくのが一般的です。 どのワインが軽め、どのワインが重め、などを覚えておくとコースの仕立てがしやすくなるかもしれないですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く