人事施策 2019年6月13日 コーチングのスキルをマネジメントに活かす!GROWモデルとは? 「部下が自発的に行動し、成長しながら成果を上げる」メンバーを持つ方なら誰しもが理想として考えることではないでしょうか。自発的に行動をしてもらうためには、上司であるあなたが自発的な行動を促す必要があります。今回は部下の成長を支援するコーチングのスキルでもあるGROWモデルについてご紹介します。 [目次] GROWモデルとは? コーチングとティーチングの違い GROWモデル質問例 まとめ GROWモデルとは? GROWモデルとは、上司が部下を自発的に考えさせ、行動させるための気づきと学びのサイクルを回すコーチングの基本スキルです。ビジネスコーチングを広めた権威でもある英国のJohn Whitmore(ジョン・ウィットモア)氏が開発に大きな貢献をしたと言われています。 G:Goal、R:Reality/Resource、O:Options、W:Will の頭文字からきており、 「G:Goal 目標の明確化」 「R:Reality/Resource 現実の把握/資源の発見」 「O:Options 選択肢の創造」 「W:Will 行動計画と目標達成の意志」 を表しています。 対象相手にGROWを質問を通じて明確に気づかせることを目的にしており、マネジメントだけでなく、日常的なシーンにも活用できる問題解決のプロセスです。 コーチングとティーチングの違い GROWモデルの詳細の説明をする前にコーチングとティーチングの違いをご説明します。 コーチングは、ティーチングのように相手に指示や助言を与えるのではなく、相手の自発的な行動を引き出すことで目標達成に導く手法になります。答えは相手が持っているという考えを前提に、教えるのではなく、学び成長することを手助けしていきます。 コーチングの基本ステップは、部下の認識を高め、責任を持つように支援することです。 向かうべき目標を明確にし、目標に到達するために現状をしっかり把握し、その上で考えうる選択肢を洗い出し、意志を持って取り組むように促す。これら一連のプロセスを整理し、体系化しているのがGROWモデルです。 GROWモデル質問例 コーチングでは質問を通じて、目標達成に向けて導いていきます。GROWモデルのそれぞれのプロセスにおける質問例をご紹介します。 (1) G:GOAL 目標の明確化:期待する効果やどうなっていたら良いのかを具体的にイメージする 目標を明確化する効果的な質問例 ・この仕事の目標は何ですか? ・長期的な目標は何ですか? ・目標が達成されたときに、心に描いているイメージはどのようなものですか? ・その目標に少し無理があるようなら、どんな中間目標を考えられますか? ・マイルストーンは何ですか? ・今の目標に対して、あなた自身どのような影響力を持っていますか? ・その目標はどのくらい達成可能ですか?それをどう測定しますか? 行動を促すうえで目標を明確に定め、認識させることはとても重要です。目標を納得し、理解をしているか、質問を通じて深いところまで浸透させていきましょう。 (2-1)R:REALITY 現実の把握:今どのような状態なのか事実を明確にする。また現状に対する原因や阻害要因を探る 現実を把握するための効果的な質問例 ・事実として、何が起きていますか? ・今、何が問題だと感じていますか? ・それで、今どのように状況を考えていますか? ・今、目標の何%のところまで達成できていると思いますか? ・もし、このままだと、他の人やあなた自身にどのような影響が出ますか? ・担当している仕事で、一番充実しているのはどの部分で、一番そう感じないのはどの部分ですか? 目標への現在の到達具合を聞き出す質問を通して、目標達成に必要な情報を部下から引き出しましょう。到達あるいは解決したい姿と現実のギャップを明確にし、「それがどうなれば望ましいのか」という理想の目標をさらに明確にします。特に、事柄の内容だけではなく、部下の感情を理解・把握することも大切です。現状と目標のギャップに関して部下が抱いている感情に共感すると、信頼感を得ることができます。 (2-2)R:RESOURCE 資源の発見:目標を達成するために使える「経営資源」にはどのようなものがあるか? 人、モノ、金、情報、時間を発見する 資源を発見するための効果的な質問 ・誰かそのテーマに詳しい人の力を借りられないですか? ・今までの企画書や提案書の中で使えるものはないですか? ・何かプレゼンに使えるツールはありませんか? ・営業部門から、どんな協力があったら助かりますか? ・過去の取組みから得られそうな良いヒントはないですか? ・新しい技術を使う方法はありませんか? ・他に予算を引き出せる方法はありませんか? 部下自身の内側にある資源(成功体験、得意分野、温めていたアイデア等)に気づき、それらを効果的に活用できるように質問しましょう。部下は自ら気づくことで、主体的に動くようになります。 (3)O:OPTIONS 選択肢の創造:選択肢を探す。自己選択する 選択肢を創造するための効果的な質問 ・これまで実行した中で最高の方法は何ですか? ・今まで試したことのない新しい方法はありますか? ・これまでの方法をひとひねりするとどうなりますか? ・他社では、どんなやり方をしていますか? ・もし君がお客さんだったらどうしてほしいですか? ・他に方法はありませんか? ・もし敏腕のAさんだったらどんなやり方をすると思いますか? 解決のための選択肢の検討にあたっては、いつものやり方を繰り返すのではなく、多くの選択肢を考え、検討し、その中からベストを選ぶようにしましょう。上司も一緒に考え、アイデアを引き出す、部下が出してきたどんな選択肢もすぐに否定しないことが重要です。 (4)W:WILL 行動計画と目標達成の意志:アクション・プランを作成する。実行に対する責任を持つ。測定基準を設定する 行動計画と目標達成の意志を引き出す効果的な質問 ・その目標を達成する具体的な行動計画を立ててみませんか? ・最初の活動の第1歩はどこから始めますか? ・その方針で進めるとして、いつまでにできますか? ・最終ゴールに向けて、今月末までにどこまでできますか? ・一週間以内にやるとしたら、何をしますか? ・これをやりとげたら、どんな気持ちになりますか? 目標達成のための「具体的な行動計画」を策定し、定めた目標を必ず達成する強い意志とやる気を確認しましょう。「いつまでに、これを実施しなさい」と上司が指示するのではなく、「私は、いつまでにこれをやります!」と部下に自分で宣言させて、意欲を引き出すことが大切です。 まとめ 現在、部下に対して自発的な行動を促すことができているか、確認するために以下の質問を用意しました。 ・ あなたは、部下に仕事を依頼するとき、仕事の目標(どのような状態になったらこの仕事は完了したといえるのか)について、意識して部下に考えさせていますか? ・あなたは、部下に仕事を依頼するとき、この仕事を通して部下に成長してもらおうと意識して仕事を依頼することがありますか? ・ あなたは、部下に仕事を依頼するとき、意識して部下が活用できるリソース(人、物、金、情報、時間)について考えさせていますか? これらの質問に対して、具体的な事象とともに回答ができる場合は、部下に自発的な行動を促すように接することができていることでしょう。 もし、できていない場合は、今回ご紹介したGROWモデルの活用にぜひトライしてみてください。きっと、部下が自発的に行動し、成長スピードが飛躍的に上昇します。 部下の成長は上司であるあなたの接し方が大きく影響しています。部下が自発的に行動しないとお悩みの方はぜひ自分の接し方を変えてみてはいかがでしょうか? マネジメント
人事施策 2019年4月11日 効果的なフィードバックで部下の成長を促進させる 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーションスキルから「フィードバック」についてお伝えします。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 [目次] フィードバックとは? フィードバックとジョハリの窓 フィードバックの種類 振り返りを行うときのポイント フィードバックのまとめ 最後に フィードバックとは? フィードバックとは、部下が行った行動を自ら振り返り、学びや改善、成長に繋げていくためのアドバイスです。上司は、部下へのフィードバックを通じて、部下に自身の行動の内省を促していきます。成功や失敗から学び、改善を繰り返すことで、人は大きく成長をしていきます。 フィードバックとジョハリの窓 振り返りを行うことは、自分自身のことをよりよく認識・分析し、今後の活動に役立てていくことになります。 以前、客観的視点により社員の成長を促す!360度評価の勧めでもご紹介しましたが、自己認知を考えるのに有名な心理学のモデルが「ジョハリの窓」です。 ジョハリの窓 「ジョハリの窓」とはサンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト とハリー・インガムという二人の名前にちなんでつけられた自己認識を4つの窓に分けた「対人関係における気づきのグラフモデル」です。 「自分の認識」と「他者からみた自分の認識」の違いを理解することで、改善に活かすことができます。 ジョハリの窓は次の4つの窓で構成されています。 ・開放の窓: 自他ともに知っている領域です。 自分も周囲の人も知っていることになります。 ・盲点の窓: 自分だけ知らない領域です。 自分は知らないが、周囲の人は知っていることです。 ・秘密の窓: 自分だけ知っている領域です。 自分は知っているけれど、周囲の人には隠していることです。 ・未知の窓: 自他ともに知らない領域です。 自分も周囲の人も知らないことです。 フィードバックを通じた振り返りは、部下に「盲点の窓」を気づかせ、その成長に向けて「開放の窓」を拡げていくことを支援していくことになります。 上司は、時には耳の痛いことも部下に伝えなければならないことがありますが、部下を大切に思い、その成長を支援したいと心から願ってフィードバックすることが大切です。 部下は、上司からのフィードバックを通じて、新たな視点を得たり、過去の行動を整理したり、これまで自分一人では気づくことができなかった考え方を獲得する機会を得ることができます。また、上司とともに振り返りを行うことで、日々の仕事の意義や次の一歩を踏み出すための学びを得ることができます。 フィードバックの種類 フィードバックには大きく以下の2つの種類があります。 1. ポジティブフィードバック 部下の行動の良い点に着目して、前向きな言葉でその行動がもたらす結果や今後の期待を言葉で伝えます。部下の意欲や達成感、自己効力感を高め、自発的な成長を促すことにつながります。ポジティブフィードバックを行う際には、部下の成長を願う心からの気持ちを込めて行うことが大切です。 2.ネガティブフィードバック 部下の行動の改善が必要な点に着目して、どこをどのように変えていくのがよいかを言葉で伝えます。 改善の機会は、部下にとっては成長の機会でもあります。部下を叱る、怒る、非難する、人間性に対して否定的な発言をするのではなく、対象となる行動に対してフィードバックを行いしょう。注意をしないと部下の意欲を低下させ、信頼関係を壊すことにつながることもありますので、言い方には工夫も必要です。 どちらか片方だけ使えばいいというわけではなく、フィードバックの際にはこの2つのフィードバックを適切に使い分けることが大切です。 振り返りを行う時のポイント 上司がフィードバックを通じて効果的に部下に振り返りを促すにはいくつか注意が必要です。以下に重要なポイントを記載します。 ・適切な場所を選び、ともにすごす時間をちゃんととる 日常の会話の中でなんとなく行うのではなく、本人が周囲を気にせず話せるように適切な場所と時間を確保して行いましょう。また、上司も部下と一緒に考えて振り返るという姿勢が大切です。 ・ポジティブフィードバックから行う 部下に肯定的なメッセージとして伝わるポジティブフィードバックから行いましょう。部下が素直になって心を開く準備を行うと効果的なフィードバックに繋がります。 ・部下そのものではなく、行動にフォーカスをあてる フィードバックは部下の具体的な行動に対して行います。 部下の欠点をあげつらったり、部下の人格に焦点をあてたりすることや、具体性にかける指摘をしたりすることは避けましょう。また、変えられるものに着目することも大切です。過去の結果は変えることはできないため、結果の話だけをしても改善に繋げることはできません。 フィードバックのまとめ そもそも人は自分から気づかない限り、自分を変えることはなかなかできません。部下が現状を把握し、向き合うことやその改善や成長に向けたアクションの支援をすることがフィードバックです。効果的なフィードバックは部下の目標達成やモチベーションの向上に大きく効果を発揮します。部下の成長支援がうまくできていないと感じる方は、これまでのフィードバックのやり方は適切だったのか、一度見直しをしてみてもいいかもしれません。 最後に これまで、数回に分けてサーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキルとして、傾聴、質問、 承認、フィードバックをご紹介してきました。 部下の話に心から耳を傾け、否定したり、自分の話をせずに真剣に聴く。 部下の頭の中を整理するために、効果的な質問を行う。 部下の日々の行動をよく観察し、適切に承認を行い、部下の仕事への意欲を上げる。 フィードバックを通じて振り返り、気づきや学びにつなげる。 これらの一連のことを部下を信じ、きちんと向き合って行っていくことで、部下との信頼関係が醸成され、部下の内なるパフォーマンスを引き出し、自発的な活動につながります。様々なテクニックもご紹介しましたが、一貫して一番大切なことは、表面的ではなく、心から部下と向き合うことです。上司は部下の自主性を尊重し、支援・奉仕を通じて信頼関係を育み、一人ひとりが前向きに能動的に活動していく環境を作ることが最も重要な仕事といっても過言ではありません。部下をもつ方々はチームとしての成果を最大化させるため、今回ご紹介した「サーバント・リーダーシップ」を発揮してみてはいかがでしょうか。 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
人事施策 2019年4月02日 部下の成長を支援!人間関係の基本となる承認力とは? 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーション・スキルから「承認」についてお伝えいたします。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 [目次] 承認とは? 有名なマズローの欲求5段階説 承認ができているとき/できていないとき まとめ:承認を行うときの3つのポイント 承認とは? コミュニケーションスキルにおける「承認」とは、相対する人のことを心から認めることです。英語ではacknowledgement、acknowledge(認める)の名詞形が使われます。 承認は、部下の意欲や前に進むためのエネルギーを引き出し、積極的に自らの変化を促していく重要なスキルとして位置づけられます。成果だけではなく、部下の内なる変化や成長に気づき、それを言葉で伝えることができると、部下は表面的な部分だけでなく心から認められたと感じ、より意欲的に仕事に取り組むようになります。 有名なマズローの欲求5段階説 人が自己実現するためには、自分の存在を他者から認めてもらうことが必要不可欠と言われています。アメリカの心理学者アブラハム・ハロルド・マズローが提唱した「欲求の5段階説(自己実現理論)」で、マズローは、人間の自己実現を研究し、人が自己実現するためには5つの欲求の段階があると説きました。 1. 生理的欲求 2. 安全の欲求 3. 所属と愛の欲求 4. 承認の欲求 5. 自己実現の欲求 この中の4段階目に「承認の欲求」があります。尊厳欲求とも言われ、自分が所属している集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求です。人と人との関わり合いの中で、自分の存在を受け入れてもらえたとき、自分の存在を認めてもらえたときに、これらの欲求を満たすことができます。 人が健全な社会生活を送り、自己実現するためには、他者から承認されることが必要不可欠であるということをマズローは主張しています。 承認ができているとき/できていないとき 承認はよく褒めることと混同されることが多くありますが、褒めることは承認の一部にすぎません。最も大切なことは部下のありのままを認めてあげることです。部下の考えや価値観、努力、経験、スキルなどにスポットを当て、認めます。そのためには日頃から部下に関心を持ち、その行動をよく観察しておく必要があります。この観察がとても重要で、評価することや他者との比較をせず、ありのままを観察することが必要になります。 日頃から気にかけられていない上司から、表面的に褒められたり、感謝されても、部下はすぐに気づきます。「何もわかってないくせに、いつもこういうときだけ調子がいい」と思われ、逆の効果を生むことも多くあります。 このサーバント・リーダーシップのシリーズで常に紹介していることではありますが、部下と心から向き合うことが一番大事になります。 承認ができていると、自分を見ていてくれて、認めてくれている人がいることを通じて、部下は安心感を感じるとともに、明るく元気になります。やる気が湧き出て自発的に行動しようとするエネルギーが高まります。部下は承認を通して、自分の成長を実感して、さらなるチャレンジに向けた活動意欲が湧いてくるでしょう。 一方で、承認されていない場合、頑張ったとしても仕方ないと思うことや、上司から認められないことによる疎外感や焦燥感を感じるようになります。人によっては、自分の存在を無視されているようにも感じ、自分には価値がないと思い込んでしまうこともあります。攻撃的な態度をとったり、逆に鬱々としてしまうこともでてきます。 まとめ:承認を行うときの3つのポイント 最後に、承認を行うときの3つのポイントをご紹介します。 1. 事実を客観的に捉えて伝える 部下が変化した点や努力してきたこと、どんな行動をしたのかなど具体的なその人なりのことをとらえて事実を伝えることを心がけましょう。 2. タイムリーに実施する 日頃からよく部下を観察し、その成果や変化、良い行動を行ったときなどタイミングを見計らって、行いましょう。 3. 心を込めて自分の感情を伝える 大げさな言葉を使う必要はありません。飾らずに自分の言葉で気持ちを込めて伝えましょう。 日本人は、総じて承認は苦手と言われています。「阿吽の呼吸」や「暗黙の了解」という言葉に代表されるような「言わなくても分かっているだろう」文化が根づいていることが背景にはある気がします。 しかし、上司の承認は部下が前に進むための大きなエネルギーです。 部下を輝く人財に変えることができるのは、上司のリーダーシップにかかっています。小手先のテクニックは必要ありません。承認を通じて、部下の内なるやる気を大きく引き出すことで、部下は想像以上に大きく成長をしていきます。 続き:効果的なフィードバックで部下の成長を促進させる 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
人事施策 2019年3月19日 質問力を鍛えて上司・部下のコミュニケーションを円滑にする!6つの質問の種類と5つのポイント 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーションスキルから「質問」についてお伝えします。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 [目次] 質問とは? 6つの質問の種類 5つの質問のポイント 質問とは? 質問とは、部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に解決のための行動を引き出すことができる力です。サーバント・リーダーシップを発揮するためには、傾聴と並び重要なスキルのひとつです。 部下に自発的に行動をしてもらうためには、上司自身が部下の状況を把握するための質問に加えて、部下に考えてもらい、気づいてもらい、行動してもらうための質問を投げかけていく必要があります。 質問を通じて得られること ・対話のテーマとなっていることの正確な情報を引き出す ・状況や問題・課題などについての部下の理解状況を確認する ・話しやすい雰囲気を作り、部下の本音を引き出す ・部下に考えさせ、気づきを与え、自発性な行動を引き出す 上司の質問の仕方によって、部下との関係の質や、部下の行動や思考のあり方が大きく変わるため、部下に対して「気づき」や「発見」、「変化」をもたらす質問ができるかどうかがとても大事になります。 上司の投げかける質問を通じて、部下は考え、気づき、行動するようになります。質問によって、部下との関係を良くすることや、部下の主体性を高めること、部下の行動や思考の幅を広げることができるのです。 6つの質問の種類 質問は整理するといくつかの種類に大別されます。今回は6つの種類についてご紹介します。 1. クローズド・クエスチョン(特定質問) 「はい」または「いいえ」で答えられる質問で、深く考えなくても答えることができる質問です。端的に事実関係や考えを確認したい時に活用でます。 【具体例】 クローズド・クエスチョン(特定質問) ・訪問資料は準備できましたか? ・明日中に、見積書を作ってくれますか? ・明日は10時にお客様訪問でしたよね? 2. オープン・クエスチョン(拡大質問) さまざまな答えがあり、自由に答えることができる質問です。部下の意識の中にある発想や気づきを生み出すことにつなげられます。 【具体例】オープン・クエスチョン(拡大質問) ・さっきの会議で出た課題だけど、どこから取り組むのが良いと思う? ・この業務は、どうすればもっと効率化できると思う? ・今度の案件を獲得するために大事な点はどんなところだと思う? クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンはうまく組み合わせることで、部下との会話を広げることや深めること、はっきりさせることができます。 3. 未来質問 4. 過去質問 未来質問とは、未来に考えを向ける質問です。 部下の可能性を引き出すためにも、「これまでどうだったのか?」と過去のことを質問するより「これからどうしたいのか?」と未来に対する質問を行ったほうが、前向きな対話に近づきます。また未来のことを考えることで、自然と過去の行動を振り返ることにも繋がります。 一方で、過去質問とは、過去起こったことに考えを向ける質問です。 過去のことは変えられません。過去に焦点をあてた質問は原因の追求や部下を問いただすことになりがちです。 【具体例】 未来質問と過去質問 未来質問 過去質問 これから、どうしたら良いと思う? どうしてこうなったんだ? 問題に対してどこまで理解できている? どの問題が把握できていなかったんだ? 成功するために必要なことは何? 失敗してしまったのは何故だ? 5. 肯定質問 6. 否定質問 肯定質問とは、ものごとの肯定的な側面に焦点を当てた、否定の言葉が入らない質問です。同じことを質問しても、「なぜうまく行かないんだ?」とできない理由を質問するより「どうしたらうまくいくと思う?」とできる方法を質問するほうが今後の行動の変化を促すことにつながります。 一方で、否定質問とは、ものごとの否定的な側面に焦点を当てた、否定の言葉を含む質問です。自然と相手を疑うようなネガティブなニュアンスが含まれてしまい、詰問している雰囲気が発生しがちです。 【具体例】肯定質問と否定質問 肯定質問 否定質問 どうしたら上手くいくと思う? なぜ上手くいかないんだ? 次回はどうすれば受注できると思う? どうして受注できないんだ? この提案の魅力的なところはどこだと思う? この提案のダメなところはどこだと思う? 5つの質問のポイント 強力な威力を発揮する質問力ですが、使い方を間違えると期待している効果とは逆の結果にもなりえます。質問を活用するにあたり、部下との関係を良好にするための5つのポイントをご紹介します。 1. 答えやすい質問から始める 最初の質問は、場の雰囲気作りに大きな影響を与えます。答えやすい質問から始めることで、良好な雰囲気の中で会話を始めることができます。相手が持っている知識や経験では答えることが難しい質問を投げかけても、前には進みません。相手のレベルに合わせた質問をすることも大切です。 2. 質問は短く簡潔にする 質問は短く簡潔に行いましょう。一度に複数の質問をしたり、漠然としすぎる質問をすると部下も混乱します。短く的確にポイントを抑えた質問をすることによって、部下の考えを引き出します。しかし、一問一答的になってはいけません。「課題は?」「予算は?」「要望は?」などは詰問調になりがちです。丁寧な言葉を選びながら話しましょう。 3. 詰問や追求をしない 変えるのが難しいことや、今検討すべきではないことにフォーカスしたり、部下の失敗を責める質問をしてしまうと、部下は攻撃されていると感じ、自分の身を守るために防衛モードに入り、一生懸命言い訳を考えてしまいます。詰問や追求にならないように、未来質問や肯定質問を意識していきましょう。 4. 誘導をしない 「発注は、今月にして頂ける予定ですよね?」など自分の答えや結論を前もって用意してそれにむけて誘導したり、押しつけたり、部下の答えをむげに否定したりしてはいけません。部下の成長を念頭に、部下に自分なりの答えを見つけていくことを期待されている、と感じてもらえるようにすることが重要です。一緒に考える気持ちを持って質問しましょう。 5. 沈黙を恐れない 質問した後、部下は自分の考えを頭の中で整理して考えをまとめています。 その部下が考えている時間の間に、追加で質問したり、自分から答えを言ったりせずに、部下を信じてじっと待ちます。傾聴を思い出してください。質問のスキルは、聴くこととセットで使って大きな効果を生みます。 上司であるあなたの質問の仕方、質問に使う言葉づかいの違いで、部下の意識や行動は大きく変わります。 質問力を鍛えて、部下の前向きな行動を支援しましょう。 続き:部下の成長を支援!人間関係の基本となる承認力とは? 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
人事施策 2019年3月05日 傾聴 〜サーバント・リーダーシップを発揮するための重要なコミュニケーションスキル〜 サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーション・スキルから傾聴についてお伝えいたします。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 [目次] 傾聴とは 傾聴のメリット 傾聴を磨くための3つのテクニック まとめ 傾聴とは 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力です。「聞く」のではなく「聴く」であり、相手に意識を向けて、目で聴き、耳で聴き、心で聴き、何をどのように話しているのかを捉えることが重要になります。真剣に聴くことは、部下と向き合う基本姿勢であるとともに、部下に信頼感を起こさせることにつながります。 部下をお持ちの方、特に忙しい時などに以下のような行動をしてしまってはいないでしょうか? <傾聴ができていない=部下は話を聴いてもらえていないと感じるケース> ・忙しそうにして、顔をパソコンやスマホの画面、資料に向けたまま聞く ・そっけないあいづちや生返事をする ・部下が説明している途中で自分の意見を挟む ・話の途中で遮り、「こうすべきだ」とアドバイスや指示を出してしまう ・部下の話を早く終わらせようと、自分から断定的に結論を押しつける 部下は上司に話を聴いてもらえないと感じると、上司にとって自分は重要ではないと感じ、不信感や疎外感、不安を覚え、仕事に対するやる気を失っていきます。 それに対し、しっかり話を聴いてもらえていると感じるのは以下のような対応をしているケースです。 <傾聴ができている=部下は話を聴いてくれていると感じるケース> ・作業の手は安め、話を聞くことに集中する ・部下に顔を向け、体を少し前に傾けた姿勢をとる ・アイコンタクトをしっかりとる ・表情を部下に合わせ、話しやすい雰囲気を作る ・「そうなんですね」、「なるほどですね」など部下の気持ちを汲み取るあいづちを返す ・話の内容を勝手に判断せずに、部下の言っていることを一旦そのまま受けとめる 部下は、自分の上司が気持ちをしっかりと受け止めてくれている、と安心感を得ることにより上司を信頼し、本音で会話をするようになります。 傾聴のメリット 傾聴を実践することで、以下のメリットを得ることができます。 課題の発見:部下を深く理解することで、抱えている課題や重要な点が見えてくる 良好な関係:部下の上司に対する信頼感を醸成し、良い関係を築ける 部下の自己成長:部下に内面をみつめる機会や気づきを与えるきっかけをつくる 傾聴によって得られる「課題の発見」「良好な関係」「部下の自己成長」は組織運営において大きな効果を発揮します。部下の抱えている本当の課題をみつけることで、組織としての課題を正確に把握することができます。良好な関係を構築することで、部下のエンゲージメントも自然に高まり、意欲高く組織に貢献をしてくれます。そして、コミュニケーションが自己成長のきっかけにもなるため、部下が自発的に行動する組織になります。 傾聴力を磨くための3つのテクニック 傾聴を実践していくうえで、傾聴力を向上させることができる3つのテクニックをご紹介します。 1.ミラーリング 2.バックトラッキング 3.パラフレージング 1.ミラーリング 自分の身振りや動作、表情を部下に合わせてあげることで共感を示します。 部下と感情を共有することで、部下との一体感を得ることができます。 2.バックトラッキング 一般的にオウム返しと言われる方法です。部下の言葉をそのまま使い応答することで、相手の伝えようとすることを理解し、共感していることを示します。 部下は自分が伝えようとしていることを理解してくれるかどうか不安に思っています。不安を解消することで本音を語ってくれます。 3.パラフレージング 部下の言葉やフレーズを別の言葉や表現で言い直すことで、部下が伝えようとすることをより深く理解し、共感していることを示します。 異なる表現を用いることによって、部下が自分の話を整理して、気づきを深めていくことができます。 これらのテクニックをうまく組み合わせながら活用していくことで、傾聴が深まっていきます。しかし傾聴で一番大切なことは、心から相手のことだけを考えて向き合うことです。自分の保身や組織の業績をあげたいという考えだけで部下と向きあい、テクニックだけを多用すると相手にもそのことが伝わり、見透かされてしまいます。意図しない逆の結果にもなり得ますので、テクニックの乱用には注意しましょう。 まとめ これまで傾聴を意識したことがない人が改めて意識しようとすると、つい口を挟みたくなったり、時間の無駄だと感じてしまったりと我慢が必要になるかもしれません。しかし、自分の考えを押し付けていては、部下からの信頼を得ることはできません。ビジネスのスピードが早くなり、昔と比べると市場環境も大きく変わってきています。以前は正しかった自分の考えが必ずしも現在も正しいとも限りません。 傾聴を実践するには、先入観を持たずに相手の立場に立って考えることが大切です。サーバント・リーダーシップを発揮して強固な組織の構築へ、まずは傾聴を意識してみてはいかがでしょうか。 続き:質問力を鍛えて上司・部下のコミュニケーションを円滑にする!6つの質問の種類と5つのポイント 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
人事施策 2019年2月18日 サーバント・リーダーシップの実践 〜管理職の持つ2つのパワー〜 「サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜」では、どうすれば、部下が成長し、活躍して成果を出してもらうことができるのか、今求められるリーダーシップのスタイルとして、支援型リーダーシップであるサーバント・リーダーシップを紹介しました。 今回は、その支援型リーダーシップである「サーバント・リーダーシップ」を実践し、どのように部下と向き合っていくのかをお伝えします。 [目次] 管理職の持つ2つのパワー 自主性の尊重とビジョンの共有 具体例と4つのコミュニケーションスキル 管理職の持つ2つのパワー リーダーとなる管理職の方々は、1. ポジション・パワー、2. パーソナル・パワー の2つのパワーを保有しています。 1. ポジション・パワー〜指示命令で部下を動かす〜 組織における地位や職位が持つ力です。誰でもそのポジションにいる限り、継続されます。立場や威厳などの統率能力で部下に指示に従わせ、言うことを聞かせるパワーです。ポジションがなくなると人は動いてくれなくなるため、肩書きが変われば失われるパワーになります。立場によって人を動かしているにも関わらず、自分が動かしていると錯覚してしまう人も少なくありません。 2.パーソナル・パワー〜部下の自発性を引き出す〜 共感力、対話力、想像力などの人としての魅力と信頼感を通じて、ポジションにかかわらず発揮される力です。上司としての部下との向き合い方やコミュニケーション力が重要な役割を果たします。部下が、「この上司は、私のことを考えてくれている、大切に思ってくれている、期待してくれている」「この上司は、自分の強みや能力を引き出して、成長させてくれる」という思いから、働きがいや仕事への意欲を上げ、自ら考えて行動するようになることが特徴です。 サーバント・リーダーシップを発揮する人は、ポジション・パワーだけではなく、パーソナル・パワーをうまく活用して部下を動かします。 ポジション・パワーで強制的に人を動かす場合、部下の会社に対するエンゲージメントはなかなか上がりません。部下が主体的に行動することを好む人の場合は、自己実現できる環境を求め、転職なども考えるのではないでしょうか。一方、信頼関係や働きがいで力を発揮してもらうように促すことができれば、給与などの条件以外にも魅力を感じ、会社に対するエンゲージメントも高くなります。結果、チームとしての業績向上に向けた強固な組織を構築できます。 自主性の尊重とビジョンの共有 パーソナル・パワーを発揮するためには、前提として、部下の自主性を尊重することと、ビジョンを共有することを意識する必要があります。 上司は部下の自主性を尊重し、成功や成長を支援する行動を実践することによって、信頼関係が育まれていきます。また、組織全体が同じビジョンや目指す目標をしっかりと共有できていれば、上司が組織を導くのではなく、組織に所属する一人ひとりが能動的に活動をしていくことにつながります。 具体例と4つのコミュニケーションスキル 2011年にドイツで行われたFIFA女子ワールドカップで、なでしこジャパンを率いたサッカー指導者の佐々木則夫監督はサーバント・リーダーシップを発揮した典型例として有名です。上から目線での指示命令ではなく、選手に応じて得意分野を引き出すコーチングとティーチングを駆使し、自主性を尊重したチームを作りました。結果として、男女を通じて日本初のワールドカップ優勝という快挙を達成しました。 部下の自主性を引き出すには、4つのコミュニケーション・スキルが重要と言われています。 サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル: 1. 傾聴 部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考え正しく理解し、信頼関係を築く力 2. 質問 部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力 3. 承認 部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力 4. フィードバック 行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力 指示命令型の上司の場合、部下は自分で考えず、言われた以上の事をしないようになります。一方、サーバント・リーダーシップを発揮する質問傾聴型の上司の場合、部下は自分で考え自分の能力を最大限に発揮して自らの責任で主体的に行動するようになります。 次回は、このコミュニケーションスキルについてより深掘りしてご紹介します。 続き:傾聴 〜サーバント・リーダーシップを発揮するための重要なコミュニケーションスキル〜 「今求められるリーダーシップ -サーバント・リーダーシップ- 」について体系的にまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード マネジメント リーダーシップ
人事施策 2019年1月18日 従業員数10人、30人、50人、100人 企業が考えておくべき対策・義務とは?【100人編】 どんな企業も起業時は0からのスタートです。 顧客が増え事業が広がり、徐々に組織として成長をしていきます。事業の拡大に伴って従業員が増えていくにつれ、会社としての課題も変わり、対応しなくてはならないことも増えていきます。 10人以上、30人以上、50人以上とシリーズで紹介してきましたが、最終回となる今回は従業員100人以上のケースについてご紹介します。 [目次] 100人の壁 従業員が100人(目安)になったら まとめ 100人の壁 よく従業員100人の壁という言葉が成長企業の間で言われることがあります。従業員が100人程度になると、組織や人材が多様化し、以下のような問題が発生する確率が高まるからです。 ・事業のニーズに人材の採用が追い付かない ・退職者が増え、事業の成長にマイナスのインパクトを及ぼす ・人に仕事が付いてしまい、組織としてのリスクヘッジができなくなる ・マネジメント層のハラスメントやコンプライアンス違反などの問題が生じる 100人前後の会社に在籍したことがある人は、上記のような問題は想像しやすいのではないでしょうか。この規模になると会社としての組織マネジメント力が重要になってきます。それまでは個人の力で対応できていたものが、逆に成長を妨げる要因になってしまったりするため、さらなる成長を目指すためには考え方を大きく変え、新たな仕組みを構築していく必要がでてきます。しかし、組織マネジメントを強化することは従業員の働く環境の変化にもつながります。これまで居心地の良さを感じていた社員が変化に耐えられず退職したりと、大きく人員に入れ替えが発生する企業も少なくありません。 従業員が100人(目安)になったら では、100人の壁を突破するためにはどうすればいいのか?以下の施策実施を検討されることをおススメします(義務ではありません)。 1.人事マネジャー・専任担当を配置 2.役割分担・組織化への対応 3.従業員のキャリアを見据えた人材育成 4.コンプライアンスの再教育やハラスメントへの対応 5.結婚・出産・介護など社員のライフステージの変化への対応 6.障がい者雇用(未達成の場合、納付金発生) これまでは強い営業力やプロダクトなどによって事業を伸ばしていくことができたかもしれませんが、組織マネジメント力が必要となるこの規模では、将来のさらなる成長に向けた人事戦略を企画・立案することができる人事マネジャーの専任担当を配置することをお勧めします。 権限をもたせた人事マネジャーを中心に自社に適した人事戦略を立て、組織の軸となる企業文化や会社が大事にしている考え方の継続的な発信、組織化への対応、将来のキャリアを見据えた人材育成などを実施することで退職リスクを下げることができます。また、従業員数増加によるコンプライアンス違反などのリスクに対しても再教育する仕組みを構築・運用することでコンプライアンス遵守の体制ができてきます。 その他にも、結婚・出産・介護などのライフステージを迎える従業員が増えてくるのもこの規模です。企業としてどのように受け止めて対応すべきか、方向性をしっかり定めることで、不本意な退職者を増やすことなく事業を成長させることができるようになります。 まとめ 組織化という側面から従業員数100人というのはひとつの大きな節目になります。このタイミングで属人的な対応から脱却し強固な組織をつくることができれば、その後の従業員数増加もスムーズに対応できるようになります。 100人の壁を超えられず、停滞する企業も決して少なくありません。組織として継続的に成長をするためには、発生する様々な課題を解決していく人事戦略が不可欠になります。 従業員数10人、30人、50人、100人、それぞれのシーンにおいて注意すべきポイントを全てまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード 成長する組織
人事施策 2019年1月09日 従業員数10人、30人、50人、100人 企業が考えておくべき対策・義務とは?【50人編】 どんな企業も起業時は0からのスタートです。 顧客が増え事業が広がり、徐々に組織として成長をしていきます。事業の拡大に伴って従業員が増えていくにつれ、会社としての課題も変わり、対応しなくてはならないことも増えていきます。 初回の10人以上、前回の30人以上とシリーズで紹介している今回は、従業員が50人以上のケースについてご紹介します。 従業員が50人以上になったら発生する義務 経営者としては100人の壁を意識する人が多いかもしれません。しかし、この50人という区切りで以下の対応が義務として定められています。 1.衛生管理者・委員会の設置 2.産業医の選定 3.健康診断報告書の提出 4.ストレスチェックの実施 5.障がい者雇用 6.休養室の設置 ・役員の人数は含みません。 ・常用雇用の契約社員やアルバイトなども含まれます。 ・事業所が複数ある場合は、事業所ごとに従業員数を判断します。 このなかで、ストレスチェック制度については比較的新しく、「労働安全衛生法」という法律が改正され2015年12月から義務化されました。1年に一度実施し、労働基準監督署に報告書を提出することが求められています。精神障害の労災補償の請求件数増加などからメンタルヘルスに関する問題が社会的に表面化してきたことが背景にあります。 ストレスチェック制度については、厚生労働省からガイドがでていますので、これから開始を検討する企業は早めに一度確認することをお勧めします。 厚生労働省:ストレスチェック制度導入マニュアル 従業員が50人以上になった際に発生する義務は労務法令関連がほとんどです。30人編のときにご紹介しましたが、労務担当者の設定・任命が必要になるのはこれらの義務に対応するためです。50人の規模に達する前に予め担当者を決めておくことで、スムーズに対策や準備を実施することができます。 今回の50人以上になったら発生する義務について、一見すると短期的には事業への影響が少ないように見受けられますが、長期的な視点でみれば重要なことばかり。法人としての義務として捉えるのではなく、社員を守る視点で対応をしていくことが大切です。 法令遵守はもちろんのこと、変化に速やかに対応できる管理体制の強化をしていきましょう。 従業員数10人、30人、50人、100人、それぞれのシーンにおいて注意すべきポイントを全てまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード 成長する組織
人事施策 2018年12月25日 従業員数10人、30人、50人、100人 企業が考えておくべき対策・義務とは?【30人編】 どんな企業も起業時は0からのスタートです。 顧客が増え事業が広がり、徐々に組織として成長をしていきます。事業の拡大に伴って従業員が増えていくにつれ、会社としての課題も変わり、対応しなくてはならないことも増えていきます。 前回は従業員10人以上のケースについてご紹介しました。今回は従業員が30人以上のケースについて、ご紹介します。 [目次] 従業員「30人」の壁 従業員が30人以上になったら行っておいたほうがいいこと まとめ 従業員「30人」の壁 従業員が30人程度になると、経営者の目が行き届かないことが増え、以下のような問題が発生する確率が高まります。 ・経営者と従業員間のコミュニケーションが希薄化する ・価値観が多様化し(知り合い以外への採用が増加)、曖昧な基準や不公平な判断・評価に不満を持つ社員が出てくる ・役割分担が進み、メンバー同士の相互理解度が下がる(⇒個別最適やコミュニケーション不和が生じる) ・休職者やメンタルヘルス不調者が出てくる ・中途採用者の前職給与基準採用により、役割と給与の逆転現象が発生する 個々の社員と接する時間がなかなか取れなくなってくるのがこの時期です。従業員数が少ないときは事業の想いやビジョンなどを経営者が個別に伝えることができますが、同じやり方では全員に伝えることは難しくなってきます。 また、特に事業が急成長している時など、事業スピードを落とさないためにも採用を急いでしまい、本来なら採用すべきではなかった人材を採用してしまうこともしばしば。知り合い以外からの採用が増えてくるこれくらいの時期から発生してくる課題ではないでしょうか。採用のミスマッチは雇用者側、会社側の両方にとって大きなマイナスです。結果として不満の持つ社員やメンタルヘルス不調者の発生、組織としての一体感の欠如などにもつながります。 従業員が30人以上になったら行っておいたほうがいいこと このような課題を解決するために、以下のことを検討することをお勧めします。 1.人事制度(等級・役職、評価、報酬)の整備 知り合いだけで運営していた頃であれば簡易的な人事制度でも問題ありませんでしたが、30人くらいの規模になってくると価値観の相違なども発生しやすくなり、目指す方向性や自社の文化に適した人事制度が必要になってきます。優れた人事制度は社員のエンゲージメントを高め、組織の活性化に繋げることができます。評価に不満を持つ社員の声が聞こえて来る前に、一度見直してみてはいかがでしょうか。 2.中間マネジメント層の育成 組織の成長には中間マネジメント層の充実が欠かせません。現場に近い中間マネジメント層のレベルアップは組織力向上に直結します。30人くらいの従業員規模の段階で中間マネジメント層を育成できる仕組みができていると、今後の成長において従業員数を増やしても組織運営を行いやすくなります。 30人くらいの規模というのは、人材育成や人事評価(一次評価)などを中間マネジメント層に権限移譲するいいタイミングでもあります。育成という観点からも、人材育成や人事評価を経験することは、中間マネジメント層にとって大きな成長機会となります。また、評価される側としても、日々見られている人から評価されることは納得感につながり評価への不満防止となります。 また、30人くらいの規模は会社全体のコミュニケーションの希薄化が発生してくる時期でもあります。中間マネジメント層の1on1など会社全体のコミュニケーションの促進も仕組み化することでコミュニケーション不和を防ぐことができます。 3.人事労務担当者の採用(経理・総務等との兼務でも可) 従業員が増えてくれば、労務トラブルやメンタルヘルス不調への対応(予防と対処)などは避けては通れません。この規模の時期は人事労務担当者を採用・任命し、担当者を置くいいタイミングです。この段階で明確にしておくことで、今後発生しうることに対する事前の対策や事後の対応などもスムーズにすることできます。 まとめ 従業員30人というのは経営者が権限を社員に委譲して「任せる経営」にシフトしていくタイミングです。個人でできることは限られています。今後もより一層の成長を目指す場合、属人的経営からは早めに脱却し、組織マネジメントの態勢づくりをしていきましょう。「目が行き届かない」ということを前提に、会社内でのルールや仕組みを構築していくことで従業員数が増えても対応可能な組織へと変化させていくことができるかと思います。 従業員数10人、30人、50人、100人、それぞれのシーンにおいて注意すべきポイントを全てまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード 成長する組織
人事施策 2018年12月21日 従業員数10人、30人、50人、100人 企業が考えておくべき対策・義務とは?【10人編】 どんな企業も起業時は0からのスタートです。 顧客が増え事業が広がり、徐々に組織として成長をしていきます。事業の拡大に伴って従業員が増えていくにつれ、会社としての課題も変わり、対応しなくてはならないことも増えていきます。 今回は従業員が10人以上になったら行わなければならない人事労務上の施策や考えておくべきことについて、ご紹介します。 [目次] 従業員が10人以上になったら発生する義務 従業員が10人以上になったら行っておいたほうがいいこと まとめ 従業員が10人以上になったら発生する義務 従業員が1人、2人のころは全てを自分で行うことは少なくありませんが、10人を超えると、機能別の部門があったりと、組織として業務上の役割分担なども発生してくる段階です。 10人以上になると労務・税務に関して、次の対応が「義務」として定められています。 【労務】 ・就業規則の作成・労働基準監督署への届出(「就業規則(変更)届」と「就業規則意見書」) ・労働者の安全・健康確保等に係る業務担当者の選任 ※役員の人数は含みません。 ※常用雇用の契約社員やアルバイトは含まれます。 ※事業所が複数ある場合は、事業所ごとに従業員数を判断します 就業規則は届出をしただけでは効力はなく、従業員に周知することが必要です。周知方法として、必ずしも1人1人に配布するまでは必要なく、イントラネットで公開したり、誰でも閲覧可能な場所にファイルを置いておくなども有効となります。 また、常時雇用する従業員が10人以上50人未満の会社(事業所)の場合、「安全衛生推進者」または「衛生推進者」を選任し、労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当させなければなりません。「安全衛生推進者」、「衛生推進者」のどちらを選任するかは、業種によって異なります。 引用:厚生労働省 職場のあんぜんサイト 【税務】 ・源泉所得税に関する書類の提出(税務署) ・住民税に関する書類の提出(市区町村) ※役員の人数を含みます ※常用雇用の契約社員やアルバイトは含まれます ※詳しくは、税務の専門家にお尋ねください 「源泉所得税」や「住民税」の納期の特例が従業員数10人以上で変わってくるため書類を提出する必要があります。また、人数については「労務」のときと違い、役員も含む必要があります。 詳細については専門家の税理士に相談することをお勧めします。 従業員が10人以上になったら行っておいたほうがいいこと 組織の規模としては、次のことを検討するいいタイミングです。そのままでも問題はありませんが、コスト削減ができるいいチャンスかもしれないので、ぜひ検討されることをお勧めします(義務ではありません)。 1.健康保険の見直し 保険料率の低い業界団体の健康保険組合に加入できる可能性がでてきます。今、所属しているところだけでなく、改めて健康保険の業界団体を見直してみましょう。 2.勤怠管理の見直し 従業員10人あたりから勤怠管理についてExcelなどの手作業の限界がでてきます。間違いが出やすくなったり、想定以上の時間がかかったりと余計なコストが発生しやすくなります。そのため、Excelでの手作業から脱却することを検討するタイミングといえます。便利なITツールを導入すれば、導入コストは発生しますが、管理や集計、チェックなどの時間を考慮した全体コストは下がります。ぜひ自社に合うツールを一度検討してみましょう。 まとめ 従業員数が少ない期間はファミリー経営感覚でも問題ないかもしれませんが、10人を超えると組織としてしっかりとした運営が求められる規模になってきます。身内感覚からは早めに脱却し、外部リソースやITを活用した効率化なども検討していきましょう。後になって困らない環境を想定して早い段階から検討・整備していくことが、将来の無駄な工数削減につながります。 従業員数10人、30人、50人、100人、それぞれのシーンにおいて注意すべきポイントを全てまとめた資料をダウンロードすることができます。以下よりご確認ください。 資料ダウンロード 成長する組織