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従業員との永続的な関係を実現する! 「エンプロイー・エクスペリエンス」とは?

従業員との永続的な関係を実現する! 「エンプロイー・エクスペリエンス」とは?

少子高齢化による労働力人口の減少により、多くの企業が「優秀な人材の採用や定着」に課題を抱えています。近年、この課題の解決策として従業員との永続的な関係構築を目指す動きがあります。
今回は、企業と従業員の関係構築にあたり重要なキーワード、「エンプロイー・エクスペリエンス(Employee Experience)」について解説します。

「エンプロイー・エクスペリエンス」が求められる理由

エンプロイー・エクスペリエンスとは「従業員満足度」や「エンゲージメント」といった
指標を超えた概念です。入社前、採用プロセス、研修や仕事、評価や異動、退職など企業と従業員が関わる全てのプロセスから個人が得る経験価値を意味します。

背景にはマーケティングの考え方があります。企業は優れたカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供することで、生産性はもちろんSNSを通じた評価の拡散によるブランド力向上などさまざまな恩恵を得ることができます。同様に従業員に価値ある体験を提供していくことが企業の成長につながるという考え方です。

エンプロイー・エクスペリエンスはデロイト トーマツ コンサルティング合同会社の「2017 デロイト グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド」において、テクノロジーの発展にともない企業が取り組むべきテーマの一つとして取り上げられ、世界的に注目されました。2019年の同レポートにおいては、『すぐれたEE(Employee Experience)を提供している上位25%の企業は下位25%と比べて2倍のイノベーション、2倍の顧客満足度、25%の高い利益率を達成している』というMITの調査結果も紹介されています。

企業業績との相関関係が実証されつつあることから、今後はますます企業の関心が高まっていくことが予測できます。日本でも働き方改革が進むなか、エンプロイー・エクスペリエンスの向上に取り組むAirbnb, Inc. や freee株式会社 などの事例がメディアで取り上げられるようになりました。

「エンプロイー・エクスペリエンス」を高める取り組みに必要な手法

エンプロイー・エクスペリエンスを高める取り組みに有効な2つの手法を紹介します。

まず1つ目は「エンプロイー・ジャーニーマップ」の作成です。

エンプロイー・ジャーニーマップとは人と企業との出会い、就労期間、退職後までを体系立ててデザインする手法です。企業は自社が求める人材がどういった経験価値を求める人物か? 世代、職歴、キャリアビジョン、個人の興味・関心などを明確にする必要があります。マーケティングの「ペルソナ設定」と同じ手法です。

人物像は複数設定し各々に提供できる経験を整理したうえでジャーニーマップに落とし込みます。企業で経験する事柄に付随する個人の思考・感情もマッピングし、エンプロイー・エクスペリエンスを高める施策まで記載します。

そして2つ目は「eNPS(Employee Net Promoter Score)」による評価です。

eNPS(Employee Net Promoter Score)とは、「この会社で働くことを友人や知人にどの程度勧めたいですか?」という質問をする調査ですが、仕事や企業への愛着や満足度など従業員エンゲージメントを数値として把握できるため、取り組みの検証・改善に役立ちます。

エンプロイー・エクスペリエンスをデザインする際の注意点

前述のレポートでは、多くの企業のエンプロイー・エクスペリエンスの取り組みが「組織主導」「トップダウン型」の発想で進められており、改善の余地が大きいと述べられています。
エクスペリエンスのデザインにあたっては、「働きがい」や「キャリアビジョン」といった個人の働く意義がどう職場経験と結びつくかという「個人目線」を持つことが重要です。

まとめ

企業が持続的に成長するためにはエンプロイー・エクスペリエンスの向上が鍵を握っています。「エンプロイー・エクスペリエンス」の向上に努めることで従業員エンゲージメントが向上すれば、顧客満足度や企業収益などにもプラスの影響が期待できます。

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