コラム
ワインで対談
新卒採用でどうすれば“学生に選ばれる企業”になれるのか – 採用コンサルタント・谷出正直さん × セレブレイン関 伸恭 × セレブレイン倉本 健【前編】
セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第7回ゲストは、採用コンサルタント/採用アナリストの谷出 正直さん。売り手市場が続く新卒採用の現状と今後の展望について、企業と学生それぞれの目線から語っていただきました。聞き手はセレブレイン パートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭と、人材開発コンサルティング シニアコンサルタントの倉本 健が務めます。
第7回ゲスト:谷出 正直さん略歴
採用アナリスト/コンサルタント。エン・ジャパンにて新卒採用支援事業に約11年携わる。2016年に独立し、現在は企業の新卒採用のコンサルティングや、採用アナリストとしてメディアへの情報提供や記事・コラムの連載、企業や大学でのセミナー講師など、幅広く新卒採用に関する情報を発信している。
企業の採用活動は年々早くなっている
関:谷出さん、赤坂あじる亭にようこそ! 本日はぜひ新卒採用についていろいろと教えてください。
倉本:私も谷出さんからお話を伺うことを楽しみにしていました。よろしくお願いします。
谷出:こちらこそよろしくお願いします。実はあじる亭で食事をするのは2回目なんですよ。以前に、懇意にしている会社の方に連れてきていただいたことがあります。
関:そうでしたか! では、セレブレインがあじる亭を経営していることもご存知で?
谷出:ええ。人事コンサルティングサービスを提供している会社が、飲食店も経営していると伺って、とてもユニークだなと思いました。
倉本:弊社のお客様からもよく言われることがあります。
関:谷出さんは、ワインはお好きですか?
谷出:大好きなのですが、今日はちょっとお酒が飲めないのです。実は先週、花粉症が悪化してしまい、しばらく寝込んでいまして、薬を服用しているもので……。
関:なんと、そうでしたか。
倉本:それでしたら、ソフトドリンクで乾杯しましょう。
谷出:ありがとうございます。お二人はお気になさらずぜひワインを。
建部/店長:それでは、谷出様のために、本日はスペシャルなソフトドリンクを用意いたしました。ノンアルコールのサングリアをベースにスパイスを利かせてトニックで割ってみました。
谷出:ありがとうございます!
関:建部さんはあじる亭の店長で、以前はフランスの2つ星レストランで10年間、シェフソムリエをされていた方なんですよ。
谷出:それはすごいですね!
建部/店長:関さんと倉本さんにはスパークリングワイン「BKワイン ペティアン・ナチュレル」をご用意しました。
関:ありがとうございます。それでは、乾杯!
谷出:このドリンク、とてもおいしいですね! さすがです。
関:次はぜひワインをご一緒しましょう。
谷出:そうですね、ぜひ。
関:花粉症の季節といえば、ちょうど企業の新卒採用が動き出す頃かと思います。
谷出:ええ。ちょうど今、2019年度の新卒採用が動き始めた時期ですね。
倉本:今はどのあたりのフェーズですか?
谷出:3月に新卒採用活動が解禁されたので、ちょうど1ヶ月くらいたちましたね。学生が春休みを利用して企業説明会に行ったり、OB訪問したりしている時期ですね。
関:ここ最近はずっと新卒は売り手市場と言われてますよね。
谷出:そうですね、売り手市場と言われて5年目ですね。
関:そうなのです。この5年間で何か変化もあったのでしょうか。
谷出:ありますね。売り手市場が続いていることもあり、どの企業も他社よりも早く学生と接点を持つために、動きがどんどん早くなってきています。
関:なぜ企業は動きを早めるのですか?
谷出:新卒の採用活動は前年の動きに強い影響を受けるものなのです。売り手市場だと前年と同じ動きをしていては、ライバル企業に出し抜かれてしまう。だから企業は前年よりも採用活動を早く始めて、学生との接点を作ろうとします。
倉本:やはり早く動いた方が有利ですか。
谷出:ええ。一人の学生が受ける企業数は限られていますし、最初に接触を図ると受けてくれやすいのです。接触が遅くなると、すでに他の企業の選考が進んでしまっていることもあるし、学生も既に第一志望の企業から内定をもらっているかもしれません。そうなると後発の企業は苦しくなります。
関:たしかに、後発の企業は既に選考が進んで着る企業より行きたいと思ってもらわないといけませんからね。
谷出:これが、売り手市場で企業の動きが早くなる理由です。それが4回、繰り返して起きていると考えてください。
倉本:どんどん前倒しで動くようになっているわけですね。
関:ちょうど最初のお料理がきました。
建部/店長:今回は春らしく、モッツァレラチーズを使用したカプレーゼです。季節の果物と野菜、今回は苺とトマトを合わせました。女子力高めの前菜です(笑)。
谷出:これは可愛らしいですね(笑)。
倉本:苺とは意外な組み合わせですね。
谷出:おっ、でもこれ、いけますね!
関:本当だ、苺とトマトの甘酸っぱさがうまく調和していますね。チーズにもぴったりです。
建部/店長:季節によってはリンゴや金柑を使うこともあるんですよ。
倉本:ワインも気になりますね。
建部/店長:前菜に合わせるのは、フランスのコート・デュ・ローヌの生産者、ドメーヌ・グラムノンのヴィオニエという品種を使ったワインです。トロピカルな香りで、春の芽吹きを感じさせてくれます。
関:うん、いい香りです。爽やかで飲みやすい。
倉本:前菜にぴったりです。瑞々しいアロマにしっかりした骨格を持つ白ワインですね。
谷出:いいですね、うらやましい。
関:さて、新卒採用に話を戻しますが、企業の採用人数も年々増えているのですか?
谷出:そうです。採用人数を増やすとなると何が起きるかというと、どの企業も積極的に自社のプロモーションをするようになります。まずは学生に自社の名前を知ってもらわないと始まりませんからね。そして、説明会の開催数も増やすようになります。
関:採用説明会に参加すると、学生もその企業が気になったりしますからね。
谷出:ええ。大手企業の情報が入ってくると、学生も入りたいですから受けますよね。採用の枠が増えているから、内定の数も増えています。企業からすると辞退される可能性も考えないといけないので、よりたくさんの内定を出す。そうすると、去年よりも今年の方が比較的に受かりやすいということになってきます。
関:私は氷河期世代だったので、信じられない状況です(笑)。
谷出:先輩が入社したとなれば、その後輩も感化されてその企業を意識するようにもなります。
倉本:わかりやすい図式ですね。
関:学生側はどういうところをみて、企業を判断しているのでしょう。
谷出:学生さんは世の中の動きに非常に左右されやすいですね。たとえば今ですと、2年前くらいから言われている「働き方改革」がトレンドワードです。また、ニュースを積極的に見るようになるので、「副業」・「在宅ワーク」といったキーワードも目にします。自分が受ける会社がそれらをどうとらえているのかは当然気になるところでしょう。
関:少し前ならダイバーシティや女性活躍、ブラック企業なんてワードも話題になりましたね。
谷出:そう、キャッチーな言葉が出てきたときに、それと目の前の会社を結びつけるのです。となると、企業はそれらの質問を想定して、答えられるようにしておかないといけません。
倉本:新卒採用で企業が意識すべき点ですね。
谷出:平均残業時間について質問されて、答えに詰まるようでは学生に不信感を抱かれます。もし残業時間が長くても、それを今後は改善していくといったポジティブな言葉が必要です。そうでないと学生は引いてしまいます。
倉本:もしくは、ネガティブな要素があっても、それを上回るポジティブな要素で魅了するかですね。
谷出:就職活動をはじめたばかりの頃は、学生は企業を選ぶ軸を持っていません。だからトレンドワードとか、単純に会社名を知っているとか、そういったところを重視します。
学歴や偏差値よりも立ち居振る舞いに人としての魅力が出る
関:次のお料理がきました。
建部/店長:当店でとても人気のあるオムレツのトリュフ風味をご用意しました。合わせるワインはカリフォルニアのナパ・バレーの典型的なシャルドネ、カモミ(Ca’Momi)です。樽が利いていて、バター系やクリーム系、卵料理と合わせるとおいしいですよ。
谷出:うーん、良い香りです! とろとろでたまらないオムレツですね。
関:このオムレツは私も大好きでよく頼んでいます。
倉本:ワインもバランスがいいですね。爽やかな甘いアロマがあって、華やか。酸味もちゃんとあり、全体を引き締めてくれています。
谷出:次は必ず飲みます(笑)。
前編では、売り手市場が続くなかでの企業の採用動向や学生が企業を選ぶ際に気にしているポイントをわかりやすく解説頂きました。
後編では、子どもの教育についての考え方から就職活動における学生の立ち振舞い、選ばれる企業になるために求められることについて議論を深めていきます。
赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。