コラム
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自律して持続的に成長をしていく組織、ラーニング・オーガニゼーションとは?
ビジネスのスピードが以前とは比較できないほど早くなり、組織も常に変化や成長を求められています。組織自体も自発的に成長をしていくことができれば、会社全体の成長スピードが飛躍的に向上します。今回はそんな成長組織のコンセプトである『ラーニング・オーガニゼーション』についてご紹介します。
ラーニング・オーガニゼーションとは
「ラーニング・オーガニゼーション」とは、激しい変化に組織として対応していくために、個々人の自主的な学習の促進を持続的に行い、個人の自己改革・成長とともに進化していく組織のことをいいます。「自律的に持続的な変革を行っていく力を組織内に保有する」ということが特徴で、上意下達型の指示命令を行う管理組織とは異なる組織モデルになります。
「ラーニング・オーガニゼーション」はマサチューセッツ工科大学のピーター・M・センゲ教授(Peter M.Senge)により提唱された概念で、日本では「学習する組織」と呼ばれます。1990年に『The Fifth Discipline』を出版したことで、その考えは欧米を中心に大きな注目を集めて、世界中に広まりました。
ピーター・M・センゲ教授は、お互いに学び合って、システマティックなアプローチで共通のビジョン実現を目指す組織と定義しており、その実現手段として、組織に求められる5つ能力をディシプリンとしてを挙げています。
5つのディシプリン
5つのディシプリンは具体的には以下になります。
1.システム思考(Systems Thinking):ビジネスにおいて構造的相互作用を把握する力
→各メンバーが組織内でどのような役割を担っているかを相対的に把握・認識する
2.自己マスタリー(Personal Mastery):個々のメンバーが自己を高める意志を持つ
→各メンバーがそれぞれ自身の能力向上に積極的に取り組んでいく
3.メンタル・モデル(Mental Models):凝り固まったものの考え方を克服する
→固定観念から脱却し、従来のやり方にとらわれずに、そのときどきの環境に適応した柔軟な思考を持つ
4.ビジョンの共有(Shared Vision):個人と組織のビジョンに整合性を持たせる
→メンバーと組織が目指す共通のビジョンを設定する
5.チーム学習(Team Learning):対話を行うスキルと場を養う
→組織全体で高いレベルで学び合うことを重要視する
5つのディシプリンを習得・実現することによって、所属メンバーが課題や解決策を発見するための継続的な学習を行い、チーム全体で協力・柔軟に対応することにより問題解決型の組織を作ることができることを説いています。
ラーニング・オーガニゼーションを実現するためには、企業風土や組織文化を根本から変革していくことが求められるため、簡単ではありません。経営層の強い思いとリーダーシップが求められます。
ナレッジマネジメントの重要性とツール紹介
ラーニング・オーガニゼーションを実現するポイントの一つは、ナレッジ・マネジメントです。個人や組織で保有している暗黙知を形式知化して、組織全体でナレッジを共有することで学びは促進されます。
ナレッジ・マネジメントを実施するうえでの具体的なツールをひとつご紹介します。
2013年に設立されたアメリカ フィラデルフィアの会社です。
顧客にはSlackやSpotifyなど今をときめくテクノロジー企業が含まれています。彼らの調査によると、人々のワーキングタイムの20%は情報検索に費やされいているそうです。これらの時間を削減すべく、Guruはナレッジを適切に共有することにより、必要な情報を必要なタイミングで簡単に得られるようにすることをミッションに掲げています。
大きな特徴としては、AIを使うことで、人が自分で探すよりも適切な情報をGuruが提案できるようにしていることです。Slackとも連動が可能で、連携させることでSlack内でナレッジの共有を完結させることもできます。
まとめ
人は自ら学ぶことができる動物です。
ラーニング・オーガニゼーションの構築ができれば、変化の激しい現代のビジネス環境においても、他社に負けない強い組織へと自然と進化していきます。
時代や環境に合わせて、企業が進化して勝ち残っていくためには、ラーニング・オーガニゼーションの実現が競争力を左右していきます。