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メンター制度の重要性 ~社員定着と企業の成長を支える鍵~

メンター制度の重要性 ~社員定着と企業の成長を支える鍵~

昨今、若手社員の早期定着や成長促進、離職防止、企業理念・風土の伝承といった観点から、『メンター制度』が注目され、導入の効果が期待されています。メンター制度とは、所属部署の管理職や上司とは別に、先輩社員(メンター)が後輩社員(メンティー)をサポートする仕組みのことで、効果的に運用すれば、若手社員の育成だけでなく、風土の改善を通じて企業の成長につなげることも可能になります。そこで本記事では、メンター制度の重要性や導入のポイントなどを解説します。

メンター制度が注目される背景とは?

価値観や働き方が多様化する中で、企業が社員の定着と成長を促進するために注力すべきポイントが変化しています。特に、「タイパ」という流行語にも表れるとおり、若い世代は、早期の成果を求め、限られた時間内にどれだけの効果や満足度を得られるかに重きを置く傾向が強いことが指摘されています。このような状況下で、企業が重要視すべき取り組みの一つがメンター制度です。従来のような一方向の指導や管理ではなく、相互の信頼関係や知識共有を基盤に関係性の構築を図るもので、特に若手社員の成長と定着に焦点を当てる企業では、メンター制度を有効なツールとして活用されています。

しかし、現実にはメンター制度を有効に活用できている企業はまだまだ少なく、その重要性が十分に認識されていないように思います。では、メンター制度の重要性や効果的な運用に向けたポイントとはどのようなものでしょうか。

メンターに期待される役割とは?

まずはメンター制度の重要性についてです。メンター制度は、若手社員の早期定着や成長を支援する重要な手段として位置づけられます。メンターは上司や同僚という関係性とは異なり、個々の社員の成長をサポートするのに特化した存在です。例えば、若手社員が将来のキャリアパスを模索する際に、メンターが自身の経験や知識を共有するなど、通常のキャリア研修とは異なるアプローチでサポートすることができます。また、距離が近い関係性であるため、社内で安心できる居場所を作り、話しづらい悩みをフォローしやすくするのもメンター制度のメリットです。

メンターの役割には、異変や問題を察知した際にすぐに上司と情報共有を行い、迅速な対応を図ることも含まれます。つまりメンターは単なるサポーターではなく、会社と社員の橋渡し役としての役割も担っているのです。

近年、特に真面目で責任感の強い若手社員が、すべての課題を自ら抱え込み、ストレスや負担を抱えることで心身ともに問題に直面するケースが後を絶ちません。特にコロナ禍におけるリモート勤務など、周りに相談しづらい環境が生まれていることもメンタル不調の要因になっていると言われています。メンターはこうした状況を未然に防ぐための支援者として、若手社員が安心して伸び伸びと成長できる環境を作り、職場の心理的安全性を確保・向上させること、またそれらの問題に伴う離職防止の効果が期待できる重要な役割を果たします。

また、企業全体の育成文化を醸成するという面でも、メンター制度は重要と言えるでしょう。メンターを単なるサポーターではなく企業文化の一部として位置づけていくことで、会社全体で育成を行うという雰囲気・土壌を作っていくのです。また、ロールモデルとなる人材をメンターとしてアサインする場合、良い意味で「目標にしたい存在」として機能することもあります。企業の成長と競争力を維持し社員の定着を図るには、「育成文化」を作り上げることが重要で、メンター制度はそのための手段として非常に有用と考えられます。

メンター制度がもたらすメリット

若手社員が早期に退職する主要な理由に、「成長実感が得られない」「入社前のイメージと実際の仕事の内容のギャップをうまく埋められない」などが挙げられますが、気軽に話ができる先輩社員をメンターにすることで、若手社員は一人で抱え込んでいた悩みや不安を言語化することができ、「実感」や「イメージ」といった漠然とした概念を具体的に考えることができるようになります。結果的に、課題と対策がよりクリアになり、早期離職の防止策をより具体的に立てることができるようになります。メンティーにとっても、悩みや不安が解消されれば、仕事に対するモチベーションが維持しやすくなります。

また他部署の先輩社員をメンターとして配置した場合、部署を超えた人間関係の構築やコミュニケーションの活性化にもつながるなど、風通しの良い社内環境も実現できます。そして、メンティーだった新入社員がやがてメンターとなり、新入社員を指導し、またその社員がメンターとなり、新入社員を指導するというサイクルが生まれ、社員一人ひとりの指導能力の向上にもつながるでしょう。

メンター制度を導入する際のポイントと注意点

メンター制度を導入する際に最初に行うのが、メンターの選定です。メンターは業務経験が豊富で信頼性の高い人材が適任ですが、同時にコミュニケーション能力や共感力も重要な要素となります。メンターは単なるアドバイザーではなく、対話を通じて信頼関係を構築し、メンティーの成長を支援する存在です。そのため、メンターとメンティーの相性や信頼関係が重要となります。前述したように、近いキャリアの先輩をロールモデルとしてアサインするのも有効でしょう。

しかし、こういった人材を見極め、充分に確保することは簡単ではありません。また、メンターは通常の業務に加えてメンティーのサポートも行うため、業務の負荷が高くなります。ですから、メンター制度を導入する際には、メンター自身をサポートすることも忘れてはなりません。メンターが適切なサポートや業務上のフォローを受けることで初めて、彼らの活動が持続可能になり、メンティーへの支援もより効果的になるのです。

メンターに対する代表的な支援としては、メンター研修が挙げられます。メンターとして想定される状況や課題に対処するための知識やスキルをあらかじめ提供することによって、メンター自身の負担を軽減するだけでなく、メンティーに対して誤った対応をしてしまうことも回避できます。メンター研修はメンターが自らの役割を理解し、適切に活動できるように支援する重要な手段ですが、コミュニケーションスキルが主体となるだけに、社内では研修を構築し、実行しづらいケースも少なくありません。その場合は、ノウハウを持った外部の専門家に依頼し、研修支援を受けるのが良いでしょう。外部支援によるメンター研修には、メンターへの知識やスキルのサポートだけでなく、研修担当者から「受講生となるメンター自身の適性に関する報告を受けられる」というメリットもあります。その点で、メンター研修の報告を通じて得られる第三者からの客観的なフィードバックは、貴重な情報といえるでしょう。

さて、メンターとなる人材を事前に教育することに加え、もう一つ重要な注意点があります。それは、メンターに対して適切な評価軸を設定することです。評価項目にメンターとしての貢献度を入れることで、メンター自身の意欲向上にもつながりますし、メンターの活動が組織にどのような影響をもたらしているかを定量的に測ることができるなど、制度の改善にも役立ちます。

まとめ

以上のことを集約すると、「人選」「教育」「評価」の3点を意識して制度を構築することがポイントだといえます。

メンター制度を効果的に運用するためには、メンターの選定や教育、評価体制の構築など、包括的な取り組みが必要で、効果測定に時間を要することから、導入を見送りにしがちです。しかし、これは企業にとって社員の定着や採用、成長を促進するための重要な仕組みであるとセレブレインでは考えています。

コロナ禍により、研修を控えていた企業からは、コミュニケーションや社員研修の重要性について改めて考えたという声が多く聞かれます。このような時勢の中で、社員同士の結びつきを再び高め、強固にしていくために、これを機にメンター制度について改めて考えてみてはいかがでしょうか。セレブレインでは、メンター制度に関するご相談を承っています。小規模でも始めてみませんか? ぜひお気軽にお問い合わせください。

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