コラム 2018年11月15日 幸前 夛加史 筋トレでAIを使いこなす! 「AI」というワードもすっかり耳に慣れ、毎日10回は聞いているのではないかというほど一般的な言葉になってきました。その一方、何でもAIに結びつけられて、かえってよくわからなくなってきているというのも実感でしょう。 私たち人事コンサルティングの現場でも、社員の採用、育成、配置、リテンション、エンゲージメントの向上などの領域で、従来の経験や勘だけではなく、多様なデータを分析して政策を決定していこうとする潮流が生まれ始めています。そのカギを握るのが「AI」を装備したツールといえます。 思い起こせば10年ほど前にはBIというワードでいくつものソフトウエア製品が発表されました。BIとはBusiness Intelligenceの略語で、Wikipediaでは「企業などの組織のデータを、収集・蓄積・分析・報告することで、経営などの意思決定に役立てる手法や技術のこと」と説明されています。 一方AIはArtificial Intelligenceの略で、人工知能とも言われ、「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術」という説明になっています。 こうして並べてみると、その内容はかなり異なりますが、明確に違いを認識している人は少なく、何となくデータを分析して状況を可視化するというイメージでとらえられているのが多数でしょう。 本コラムでは、世の中のトレンドワードを追いかけているだけでは、大事なことを見落としてしまう可能性があるということを伝えたいと思います。現在BIは話題性では下火になっているように見えますが、その考え方や役割は今でも十分に通用するものです。AIも将来は世の中を大きく変えるかもしれませんが、現段階ではそれで全てが解決するというものではありません。 つまり、もっと本質的な部分を理解し取り組んでいかなければ、新しいテクノロジーやコンセプトも本当に役立つ道具として使いこなせないまま、一時の流行として終わりかねないということなのです。 そこで浮かんだのがAIを使いこなして行う「データ分析」を「筋トレ」と見立てると非常に似ているという発想でした。 最近コンサルティングの現場においてHRテックに関連した相談を受ける実情を踏まえると、データ分析に基づいた意思決定を行う作業は、毎日筋トレをするようなものであり、一朝一夕に大きな効果を得ることは難しいが、目的を達成するにためには、次のような避けて通れない地道なプロセスやルールが存在するということです。
HRTech 2018年11月09日 リアルタイムフィードバックの導入とその実現ツール 近年、従来は年次で行っていた人事評価を見直す企業が徐々に増えてきています。背景には、従来型の評価プロセスでは、ビジネススピードとの乖離が大きくなってきていることがあるようです。年次評価を見直した多くの企業では、日常を通じた人材育成の機会を重視し、良い仕事をしたときや失敗したときにタイムリーにその場で従業員にフィードバックするリアルタイムフィードバックの仕組みを取り入れています。今回はそんなリアルタイムフィードバックについてご紹介します。 [目次] リアルタイムフィードバックとは? リアルタイムフィードバックを実施するためのツール まとめ リアルタイムフィードバックとは? これまでの人事評価のあり方と違い、月に1度もしくは2週間に1度などの頻度で上司との1on1を実施し、都度フィードバックをしていくことをリアルタイムフィードバックと呼んでいます。 フィードバックの頻度が増えることにより、振り返りや改善点の認識合わせをタイムリーに行うことができるので、ビジネス環境の変化にも臨機応変に対応可能になります。また、フィードバックは時間が経ってから伝えても、記憶があいまいになるため、変えるべきところを正確に理解することが難しくなり、効果が薄まります。リアルタイムフィードバックでは、具体的な内容が頭のなかで鮮明なうちに行うことができるため、その効果が高まることもメリットのひとつです。 米国のAdobe社の行った調査では、多くの従業員は数ヶ月かけてまとめられたフィードバックを聞くより、すぐその場でのフィードバックを望んでいるとの結果がでているそうです。 出典:Adobe社 Full Study: Performance Reviews Get a Failing Gradeより抜粋 リアルタイムフィードバックを実施するためのツール フィードバックの頻度をあげるからといって、全体工数が増えてしまっては意味がありません。システムの活用などで効率的に運用していくことも導入のポイントです。そんなフィードバックを簡単に行うためのツールを提供している企業をご紹介します。 impraise https://www.impraise.com/ 2014年設立、現在ではアメリカ、オランダ、ポルトガルの3カ国で展開しているグローバル企業です。「人の成長こそがビジネスの成長(Grow your people, grow your business)」という信念のもと、Web baseでモバイルでも簡単にリアルタイムフィードバックが可能なシステムを提供しています。 デモ動画: まとめ 即時に反応がわかるSNSの普及などもすぐにフィードバックを求める人が増えている背景にはある気がします。テクノロジーの進化により、働く従業員の求める内容も変化しています。日常的な業務コミュニケーションの延長線上に評価を位置付けるなど、時代にあわせて常に変化していくことできる企業だけが、継続して成長し生き残ることができる企業なのではないでしょうか。
ワインの豆知識 2018年11月06日 【ワインの裏技】ワインの急速な冷やし方 急な来客時など、冷やし忘れてしまったワインをできるだけ早く冷やして飲みたくなる時はありませんか? そんな時に役立つ、急速なワインの冷やし方をソムリエに教わりましたので今回ご紹介いたします。簡単なので覚えておいて損はありませんよ! やり方は以下3ステップのみです! 【やり方】 1.氷をいれたボールを用意する 2.ワインを入れる 3.ワインを回転させる わずか3分から5分程度で冷えたワインを楽しむことができます。 ちなみにこちらの方法は缶ビールでも有効です。 1番のポイントは”振らない”こと。特にスパークリングの場合は炭酸があるので、振ってしまうと、開ける時に大変なことになってしまいます。 あくまでも”振らない”で回転させることがポイントです。 実際の回している様子は以下の動画から https://youtu.be/xCIeD5SRhns 一度開けて、まだぬるいなと感じたときでも再度この方法で冷やすことができます。 その他の裏技として、水で濡らしたタオルでワインを巻いて冷凍庫に入れるというのも、効果的とのことでした。約30分ほどでキンキンになるそうです。 そして、最後にソムリエから一言いただきました。 「本当は冷蔵庫でしっかり冷やしたほうがいいですよ。」 なるほど、やっぱりそうなんですね。緊急時の対処方法として覚えておきましょう! 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く ワインの裏技
ワインで対談 2018年10月31日 エンゲージメントを高めることで企業に起きる変化とは? – スタメン 大西泰平さん × セレブレイン 山田和彦【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第10回ゲストは、株式会社スタメン取締役マーケティング部長の大西泰平さん。昨今の人事業界でトレンドワードとなっているエンゲージメント経営についてお話を伺いました。聞き手はセレブレイン コンサルタント・山田 和彦が務めます。 第10回ゲスト:大西泰平さん略歴 1984年生まれ。大阪府出身。筑波大学卒業後、広告会社 大広に入社。2012年よりファーストリテイリングのユニクロ事業に従事。その後、語学留学を経て2014年よりnanilani,inc.でフロントエンジニア、Sekai Labでベトナム拠点事業責任者を務める。2016年8月より取締役として株式会社スタメンに参画する。 “会社に満足はしていても誇れない”という人は意外に多い 山田:エンゲージメントについてご説明いただいたところで、株式会社スタメンについても伺えればと思います。御社ではエンゲージメント経営にフォーカスしたコンサルティングサービス「TUNAG」を展開されていますよね。 大西:はい。エンゲージメント診断といって、現状の課題を可視化し、その課題に対しての打ち手を実施・運用した上で、さらにその効果を検証する、という三段構えでコンサルティングさせていただいています。 山田:分析する上で重要視している要素は? 大西:重視しているのは、自分の会社を家族や友人におすすめできるのか、誇らしく語れるのか、という点です。会社には満足しているけれど、家族や友人に対しては誇れないという社員がいるケースもあるんですよ。 山田:それはまた、一見すると矛盾しているような……。 大西:待遇は良いので満足度は高い。だけど会社に自信は持てない。そういう場合、課題は企業としてのブランディングにあることが少なくありません。従業員満足度調査などでは、そういった課題はなかなか見えてきません。エンゲージメントを診断することで初めて課題が可視化され、経営陣の皆さんにも納得していただけるのです。 山田:なるほど、面白いですね。会社の規模や待遇が必ずしもエンゲージメントとは一致しないと。 大西:消費財ではあまりないことですよね。めちゃくちゃ気に入っているのにおすすめできないというのは聞いたことがないです。 山田:気に入っているから独占したいときくらいでしょうか(笑)。 大西:(笑)。ところが人間関係だと普通にありえるんですよね。家族のことは大事だけど、反発してしまう……なんてよくある話じゃないですか。そういうウェットな部分は人間が絡むからこそだし、そこを掘り起こすことにも意味があるのだと思います。 山田:社員が心で思っていることをいかに引き出して、組織改善に役立てていくか、ですね。 ストーリーを伝えることでエンゲージメントを高めていく 小牧/店長:メインのお料理をお持ちしました。カナダ産のサーロインです。コーンを食べて育った牛で、肉のうまみが強く脂もしつこくないのであっさり食べられます。 大西:うわっ、これはもう見た目からしておいしそうですね! 山田:絶対に間違いない一皿ですね(笑)。 小牧/店長:そして合わせるワインはカリフォルニアのジンファンデルです。牛肉の脂が強い場合はタンニンが豊富なカベルネ・ソーヴィニヨンという品種がベストですが、今回は脂がそこまでではないので、旨味を増幅するジンファンデル品種でペアリングしました。 大西:肉がやわらかくてジューシーですね! この赤ワインも同じくジューシーな果実味があって、すばらしいマリアージュです。 山田:パワフルな組み合わせですよね。明日からまた頑張れそうなペアリングです! 大西:どの料理もおいしくてワインが進みすぎてしまいます(笑)。 山田:ぜひどんどん召し上がってください。……そして酔っ払う前にお話の続きを(笑)。他にエンゲージメント関係ではどんな事例がありますか? 大西:短期間で急成長を遂げた1,000人規模の企業の例をお話ししましょう。その企業は数年間で急成長したため、30代という年齢で役職を持っている初期メンバーが何人かいらっしゃいました。すると、最近入社した若手にとってその人たちは“年齢的には若いけれど、最初から偉い人”です。その人たちにも泥臭い苦労をした頃はあったし、その人たちが今のポジションに至るまでには、それ相応の困難があったはずなんですが、そういうことがなかなか具体的に想像できないわけです。 山田:たしかにそうかもしれません。 大西:その状態では、経営と現場に深い信頼関係を築いていくことは難しかったんです。そこで僕たちは、そうした幹部層の声を若手に届けることを提案しました。新人の頃は、こういうことがあったとか、こういう苦労をしたとか。本人の口から、当時を思い起こすことのできるぶっちゃけ話をリクエストしたわけです。 山田:若手にとっては新鮮な体験だったでしょうね。 大西:するとものすごく反響がありました。「○○さんにもそういう時代があったんですね」という声が集まり、古株メンバーと若手との接点が生まれたのです。 山田:幹部の方も年齢はそれほど上ではないわけですから、一度壁が取り払われれば若手の方とのコミュニケーションもうまくいきそうですね。 大西:この例で良かったのは、幹部の方や会社が紡いできたストーリーをしっかりと伝えられたことです。エンゲージメントとは関係性の質です。ストーリーが伝わると関係性の質が向上し、エンゲージメントも高まるのです。 山田:今のお話は若い会社の例でしたが、歴史が長い会社も同じですよね。創業当時の話や会社黎明期の話が若手にとって刺激になることは多いです。今は当たり前になっている製品の誕生秘話とか。そういうものを伝えていくことがエンゲージメントを高めることにつながるのですね。 大西:ええ。そして、できれば記事などで編集された情報よりも、当人が自分の言葉で語る方がいいでしょうね。 事業を多角的に展開することで若手にチャンスを与える 山田:そういえばスタメンでは既に新卒社員の採用を活発に行なっていると伺いました。 大西:2019年卒で2期目の新卒採用になりますね。 山田:会社を設立してからすぐに新卒採用をされているわけですが、何かお考えが? 大西:若いメンバーが活躍する会社を作りたいんです。ベンチャーなので中途で採用したほうが立ち上がりは早いのですが、中長期的に考えると若い社員が成長できる環境を整えることが大事です。そのためには早くから取り組む必要があると考えました。 山田:そもそもスタメンはどういったきっかけで創業されたのですか? 大西:代表の加藤と出会って会社を作ろうということになり、テーマを「地方発でも、全国区で活躍できるような人材を輩出できる会社」にしたのが最初です。加藤は事業を考えるのが大好きで、創業事業を固める上でいろいろアイデアを出してきたのですが、そのなかで自分たちがやる意味があって世の中に求められていると考えたのが、エンゲージメント領域でした。 山田:今後もエンゲージメント領域で展開していくのですか? 大西:もちろんそれもありますが、事業ポートフォリオはたくさん持ちたいとも考えています。それは、若手にチャンスを与えたいからです。ビジネスパーソンが成長するのは「ポストが人を育てる」ところが大きいのです。責任や役割を与えられてチャレンジしてこそ成長できます。僕や加藤もそういうチャンスを得て、20代から経験してきたことでここまでやってこれました。次はそのチャンスを若手メンバーにどんどん渡していきたいのです。 山田:なるほど、そのために事業を増やしていきたいと。 大西:事業が増えれば責任あるポストも増えて、若手にチャンスを与えられますからね。仮に300億円稼ぐとしたら、300億円のビジネスを一つ持つのではなく、30億円のビジネスを10個持ちたいですね。 山田:事業が広がると、「そもそもこの会社ってなんだっけ?」とビジョンが曖昧になることもありますよね。経営陣の考えも社員に伝わりにくくなっていきます。そうならないようにエンゲージメントを高めてしっかりとしたコアを作らないといけませんね。 大西:背骨となる事業は大事ですね。多角化しても崩れない組織を作ることを今のうちから考えていて、将来から逆算しながら組織を組み立てています。 無駄な会議は省き、1on1ミーティングはしっかりと行う 山田:今まさに成長し続けているなかで、スタメンさん自身がエンゲージメントで心がけていることは? 大西:時間の使い方は意識しています。たとえば定例の会議は極力設けていません。報告・共有だけの会議は生産高を下げてしまいます。ただし、1on1ミーティングはしっかりと行います。相互理解はエンゲージメントに欠かせませんから。 山田:どこにリソースを割くのか、メリハリを利かせているわけですね。御社はメディアでも取り上げられて注目が集まっていますよね。それもエンゲージメントに好影響が? 大西:メディアへの露出は確実に好影響がありましたね。社員が自分の仕事に誇りを持てるようになりました。お墨付きをいただけるのはベンチャーにとっては大きなことです。真摯に愚直に取り組んでいれば、見てくれている人はいるんだなと思いましたね。 山田:御社は名古屋に本社がありますが、名古屋のベンチャー事情はいかがですか? 大西:正直、まだまだ少ないですよ。ただ、その中でも名古屋は製造業が盛んなので、それに関するベンチャーが増えている印象です。AIを活用した物流効率化や自動運転などのベンチャーが生まれてきているのは、名古屋ならではかもしれませんね。 山田:ユニークですね! ベンチャーも本当に様々です。 大西:同じくらいの時期に創業したベンチャーで集まると、僕らはおじさんベンチャー扱いなんです(笑)。他のベンチャーは名古屋大学発の企業も多くて、経営陣も20代半ばくらいのすごくできる人たちが多い。彼らを見ていると、負けていられないなと思いますね。 山田:本日は参考になるお話をありがとうございました! 大西:こちらこそ、楽しくお話ができました。ワインもお料理も最高でした! 今回のお店 あじる亭 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 ライター・カメラマンの山田井です。 昨今、注目度が高まっているエンゲージメントという言葉について、あらためてしっかりと学ぶことができた対談。 多くの企業の現状を見てこられた大西さんならではの視点はとても参考になるもので、わかりやすい解説に目から鱗が落ちるばかりでした。 また、ワインと料理のペアリングも絶妙で、これぞワイン居酒屋あじる亭ならではといったマリアージュ! 肉には赤ワイン、魚には白ワインと思い込みがちですが、それだけではないということを体験することができました。皆さんもぜひあじる亭にお越しの際はワインと料理の組み合わせの妙をお楽しみください。
ワインで対談 2018年10月30日 エンゲージメントを高めることで企業に起きる変化とは? – スタメン 大西泰平さん × セレブレイン 山田和彦【前編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第10回ゲストは、株式会社スタメン取締役マーケティング部長の大西泰平さん。昨今の人事業界でトレンドワードとなっているエンゲージメント経営についてお話を伺いました。聞き手はセレブレイン コンサルタント・山田 和彦が務めます。 第10回ゲスト:大西泰平さん略歴 1984年生まれ。大阪府出身。筑波大学卒業後、広告会社 大広に入社。2012年よりファーストリテイリングのユニクロ事業に従事。その後、語学留学を経て2014年よりnanilani,inc.でフロントエンジニア、Sekai Labでベトナム拠点事業責任者を務める。2016年8月より取締役として株式会社スタメンに参画する。 シャルキュトリーに合わせるのはドイツの白ワイン! 山田:大西さん、本日はあじる亭にようこそ! 大西:お招きありがとうございます。素敵なレストランですね。こちらはセレブレインさんが運営されているのですよね? 山田:ええ。セレブレインの関連会社であるセレブールが展開するお店の一つです。サラリーマンの方々が自分の財布で気軽においしくワインと食事を楽しめるというコンセプトのカジュアルなビストロです。開店したのはもう13年前になりますね。 大西:長く愛されているお店なのですね。実は以前、私も赤坂で働いていたことがありました。 山田:そうでしたか。大西さんはお酒を飲まれますか? 大西:飲みますよ。ワインも好きです。あまり詳しくはないんですけど。 山田:ワインがお好きな方にはオススメのお店です!ぜひ今日はワインとお料理を楽しんでください。 小牧/店長:それでは最初のお料理です。自家製シャルキュトリーの前菜盛り合わせをご用意しました。パテ・ド・カンパーニュや生ハム、サラミなどを盛り合わせた当店の人気メニューです。 大西:おいしそうですね! ワインにもすばらしく合いそうです。 山田:早くワインと合わせてみたいですね! 最初のワインはどんなものでしょう。 小牧/店長:ドイツワインをご用意しました。リースリングという品種です。辛口も甘口もありますが、今回のワインは少し甘めです。味にふくらみがあり、お肉の柔らかさを包み込んでくれると思います。 山田:……うん、本当ですね! 確かに甘さもありますが、酸味もしっかりしていてバランスが良いですね。お肉を噛み締めたときの甘さにぴったりマッチします。 大西:たしかにこれは合いますね。お肉というと赤ワインのイメージでしたが、こういう感じで白ワインを合わせるのも良いですね。 “エンゲージメント”の定義とは? 山田:さて、ではワインとお料理を楽しんでいただきながらお話の方も聞かせてください。大西さんが取締役を務めていらっしゃる株式会社スタメンでは、エンゲージメント経営コンサルティングを事業として行っておられます。エンゲージメントという言葉はここ2、3年で人事の方がよく口にする言葉になりましたが、意外に定義が定まっていないと感じています。まずは御社が考えるエンゲージメントの定義から教えていただけないでしょうか? 大西:エンゲージメントは徐々に広がりつつありますが、まだ各社がそれぞれ違うことを言っていると感じています。私達はエンゲージメントという言葉を単体で使うこともありますが、エンゲージメント経営とか組織エンゲージメントとか、エンゲージメントという言葉に何かを付け足す形で、具体的な事象にフォーカスして捉えることが多いですね。 山田:世の中ではこれから定義が定まっていく状態ということですか? 大西:そうですね。ただ、私達としては、“会社と従業員の信頼関係が強固で、なおかつ従業員同士の信頼関係も強固な状態”を表していると考えています。 山田:会社と従業員、従業員と従業員の両方ですか。 大西:ええ。この2つが成り立っていて初めてエンゲージメントが高い状態だと考えています。たとえば実力主義の外資系企業の社員は、その会社で働くことにステータスを感じていたり、誇りを持っていたりします。しかし、個人主義で他の部署と足の引っ張り合いをしているのであれば、それは必ずしも組織としてエンゲージメントが高いとはいえません。 山田:会社と従業員の信頼関係はあっても、従業員同士の信頼関係がないパターンですね。 大西:一方、従業員同士は仲が良くて、信頼できる上司や同僚に囲まれていても、経営陣が信用できないと思っている場合も、先ほどと同じくエンゲージメントは高いとはいえません。 山田:先ほどの逆ですね。従業員同士の信頼関係はあるけれど、会社と従業員の信頼関係がない。 大西:エンゲージメントの把握については、こうして具体例を出すとわかりやすいと思います。 ロイヤリティとエンゲージメントはどう違うのか 小牧/店長:続いてのお料理をお持ちしました。新秋刀魚のコンフィです。低温の油でじっくり火を入れ、骨や内臓まで食べられる一皿です。付け合わせにはザワークラウトというキャベツの酢漬けとじゃがいもを添えてあります。じゃがいもにはお好みでマスタードをつけてお召し上がりください。 大西:肉に続いて魚ですか! これはワインも楽しみになりますね。 小牧/店長:ワインはオレゴンのピノ・ノワールをご用意しました。 山田:今度は赤なんですね。 大西:魚なのでてっきり白かと思いました! 小牧/店長:淡白な白身魚の場合は白ワインが合うのですが、肝まで食べられるコンフィとなると、実は赤ワインも相性が良いんですよ。特にオレゴンのピノ・ノワールは果実味が強く、酸もあるのでぴったりなんです。 大西:へえ~! そうだったんですね。……うん、たしかに合います! 山田:肉には赤、魚には白という思い込みをひっくり返される面白いペアリングですね。 大西:本当ですね。こういう提案をしていただけるのは楽しいですね。おいしいだけでなく驚きもあります。 山田:ワインと料理の世界は本当に奥深いですよね。さて、またエンゲージメントのお話に戻りますが、モチベーションやロイヤリティとは違うということでしょうか。 大西:モチベーションはもっと個人にフォーカスした概念になりますね。個人として仕事に熱中できているかを表すのがモチベーションなので、エンゲージメントとは直接関係ありません。ロイヤリティは比較的エンゲージメントに近い概念だと思いますが、先ほどの2つのうち会社と従業員の関係だけに限定した概念です。日本語でいうと“帰属意識”ですから。 山田:なるほど、ロイヤリティには従業員同士の関係は含まないわけですね。 大西:エンゲージメントはそういう意味では広義のワードですね。会社と従業員だけでなく、チームや部署をまたいだ関係性も考えないと組織としてのエンゲージメントは測れないのです。 山田:エンゲージメントが高まると組織はどうなっていくのでしょうか。 大西:業績の向上や社員の定着率が高まったり、教育コストが下がったりと、経営的なインパクトが出ることが証明されています。 山田:そうなると従業員満足度も上がりそうですね。 大西:そうですね。ただ、従業員満足度とエンゲージメントは明確に異なります。従業員満足度というのは、福利厚生や給与、仕事の内容など会社から与えられているものに対して満足している度合いなので、会社が赤字に転落するなどして待遇が悪くなると下がってしまいます。逆にいうと上げやすいということでもあります。 山田:待遇を改善すればいいわけですからね。 大西:一方でエンゲージメントは繰り返しになりますが、会社と従業員、従業員同士が信頼関係で結ばれている度合いですから、会社の業績が悪くなったときこそ力を発揮します。苦しい状況を皆で乗り越えようという空気が生まれるのは、エンゲージメントが高い組織ならではなのです。 山田:なるほど。そうなると短期的な視点よりも中長期的な視点で考えていくべきですね。 大西:もちろん企業には短期的な目標も必要です。でもそれだけでなく、中長期的にどうエンゲージメントを高めていくのかを考えることも大切ですね。 前編では“エンゲージメント”という言葉の定義と、モチベーションやロイヤリティといった概念との違いについて詳しくご説明いただきました。後編では大西さんが取締役を務めておられる株式会社スタメンについてさらに掘り下げて伺っていきます。 今回のお店 あじる亭 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。
人事施策 2018年10月29日 【スタート、ストップ、コンティニュー】1on1やフィードバック時に使える効果的なフレームワーク 年初に目標を立て、年度の終わりに目標の結果に対して評価をし、フィードバックをする。そんなこれまでの人事評価の仕組みがビジネスのスピードが早くなり通じなくなってきています。先進的な企業では1on1を取り入れたり、ノーレイティングの仕組みを取り入れ始めています。 そんなときに重要なのが、面談時のコミュニケーション。上手にコミュニケーションをすることで部下の成長を促すことも可能になります。今回はそんな面談時のコミュニケーションに活用できるフレームワーク「スタート、ストップ、コンティニュー」についてご紹介します。 [目次] 「スタート、ストップ、コンティニュー」とは? 有用性について まとめ 「スタート、ストップ、コンティニュー」とは? 「スタート、ストップ、コンティニュー」とは、フィードバックを効果的に行うフレームワークです。面談時などに話しあう内容をリスト形式で集約し、全体結果を分析しながら次の3つに分類します。 スタート(Start)・・・これから何を始めるか ストップ(Stop)・・・今までしてきたことで何をやめるか コンティニュー(Continue)・・・何をこれからも継続していくか 組織の中では、優秀な人に仕事が集まり、一部の人だけが業務過多になるケースが多々発生します。気がつけば、本来しなくてもいいことをしていたり、またやめるタイミングを逃したまま形式的に実施している業務も少なくありません。定期的に「スタート、ストップ、コンティニュー」を実施することで、優先順位が常に明確に整理され、次の行動を迷いなく促すことができるため、業務過多を緩和させることもできます。 有用性について 「スタート、ストップ、コンティニュー」はシンプルなフレームワークなので、マネージャ―から部下、部下からマネージャー、チームメンバー同士、クライアントからプロジェクト全体のフィードバックなど、様々なシーンで活用することができます。個人だけでなく、チーム成果、業務プロセス、プロジェクトなどにも活用できる汎用性の高いフレームワークです。 複雑な評語や評点を付ける必要がなく、フィードバックプロセスもシンプルなので年に複数回行うことができるのもポイントです。 ビジネスのスピードが早くなり、あっという間に立てた戦略が通用しなくなる昨今。工数をかけずに高い頻度で現状分析と見直しを行うことが求められている現代において、シンプルなフレームワークである「スタート、ストップ、コンティニュー」は大きな効果を発揮します。 まとめ シンプルなフレームワークである「スタート、ストップ、コンティニュー」ですが、出てくる内容に対して、どれに分類をするかを決めることはとても重要な判断です。本来は「コンティニュー」にすべき内容を「ストップ」にしてしまったり、逆に「ストップ」にすべきものを「コンティニュー」にしてしまい、何も整理されない、では本末転倒になってしまいます。 判断には、自社の戦略理解、目指す方向(ビジョン)の理解など、俯瞰的に物事を捉えられる総合力が必要とされます。これらをしっかりと判断して仕事を進めることができる人材が社内にいるかどうか、人材採用、人材育成は今後もより重要な経営課題になってくることが考えられます。
ワインの豆知識 2018年10月24日 【2018年 ボジョレー・ヌーヴォー】解禁前に改めてボジョレー・ヌーヴォーとは? 毎年楽しみにしている方も多いボジョレー・ヌーヴォー。1980年代から90年代にはメディアも多く取り上げ、かなりの盛り上がりを見せていた気がします。 2018年のボジョレー・ヌーヴォーの解禁も迫ってまいりました。そんなボジョレー・ヌーヴォーについて改めてソムリエに教えてもらいました。 [目次] ボジョレー・ヌーヴォーとは? ボジョレー・ヌーヴォー キャッチコピー ソムリエからの一言 ボジョレー・ヌーヴォーとは? 「ボジョレー」はフランスのブルゴーニュ地方の南にある地名を表しています。そして、「ヌーヴォー」とはフランス語で「新しい」という意味。つまり、ボジョレーでその年に製造された新しいワインのことをボジョレー・ヌーヴォーといいます。 毎年11月の第三木曜日の0時から販売開始され、それまでは販売してはいけないというルールがあるそうです。この「11月の第三木曜日の0時」ですが、現地時間での計算になるため、時差により本場フランスよりも日本のほうが早く解禁されます。先行発売好きの日本人の気質もあり、ボジョレー・ヌーヴォーの日本での人気は世界的にみても非常に高く、輸出先として1位とのことでした。一度に空輸ができるワインの瓶の総量は決まっているため、この時期はボジョレー・ヌーヴォーが優先されてしまい、通常のワインの空輸に弊害もでているという話もあるそうです。 もともとはその年のワインの出来をチェックすることを目的に始まったとも言われるボジョレー・ヌーヴォー。しかし、ボジョレーの帝王とも言われるジョルジュ・デュブッフ氏の努力により、新種のワインをどのようにして楽しむかという考えのもと現代のボジョレー・ヌーヴォーに進化をしていったとも言われています。 ボジョレー・ヌーヴォー キャッチコピー 毎年輸入元や販売業者がキャッチコピーを作ることもボジョレー・ヌーヴォーの楽しみの一つです。 以下にwkipediaからの一部を抜粋して掲載します。 引用元wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/ボジョレーワイン 2001年「ここ10年で最もいい出来栄え」 2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」 2003年「110年ぶりの当たり年」 2004年「香りが強く中々の出来栄え」 2005年「タフな03年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ『ザ・ヌーボー』」 2006年「今も語り継がれる76年や05年に近い出来」 2007年「柔らかく果実味豊かで上質な味わい」 2008年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」 2009年「過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度の出来」 2010年「2009年と同等の出来」 2011年「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」 2012年「偉大な繊細さと複雑な香りを持ち合わせ、心地よく、よく熟すことができて健全」 2013年「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」 2014年「太陽に恵まれ、グラスに注ぐとラズベリーのような香りがあふれる、果実味豊かな味わい」 2015年「過去にグレートヴィンテージと言われた2009年を思い起こさせます」 他にも探すと毎年のキャッチコピーは色々なサイトで紹介されていますが、◯◯年に1度、◯◯年ぶりなどの言葉がよく目につくのが印象的です。輸入元や販売業者がどのようにして売ろうとしているのかもボジョレー・ヌーヴォーの楽しみ方のひとつですね。 Wkipediaでは上記の内容でしたが、他のところでは、2012年は「ボジョレー史上最悪の不作」なんていうキャッチコピーもでていたそうです。ソムリエの記憶だとこのキャッチコピー時のほうがむしろ売れていた気がするとのこと。お祭り感のあるボジョレー・ヌーヴォーならではの感じがしますね。 ソムリエからの一言 最後にソムリエにボジョレー・ヌーヴォーの美味しい飲み方について教えてもらいました。 「ご自宅の場合、冷蔵庫で軽く冷やして飲むとより美味しいですよ。ボジョレー・ヌーヴォーはライトボディの軽いワインです。感覚としてはフレッシュなフルーツを想像してもらうといいですね。もちろん好みがありますが、冷やしたフルーツのほうが一般的には美味しく感じる人が多いのと同じ感覚です。」 大変分かりやすい表現で納得しました。 ボジョレー・ヌーヴォーは大衆的な印象が強く、様々な生産者が作ることもあり、味についてはそれほど評価は高くないものが多かったそうですが、最近ではとても美味しいものもでてきているそうです。 「2018年11月の第三木曜日である11月15日(木)、あじる亭とあじる亭 Annessoではボジョレー・ヌーヴォーをご用意してお待ちしております。ぜひ皆様楽しみに来てください!」 今年のボジョレー・ヌーヴォーもぜひ楽しみましょう! 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
HRTech 2018年10月14日 退職防止にも効果的!オンボーディングでスムーズな「Yes to Desk」を実現する 以前、オンボーディングについてご紹介しましたが(新しい社員の早期戦力化!『オンボーディング』の勧め)、おかげさまで日々沢山の方々にアクセス頂いています。人材不足が騒がれている昨今、新しく入社する社員の早期戦力化はどこの企業でも重要度が上がってきています。今回はそんなオンボーディングについて、改めてアメリカの状況なども含めご紹介します。 [目次] アメリカでのオンボーディングの状況 「Yes to Desk」とは オンボーディング実施のためのツール紹介 まとめ アメリカでのオンボーディングの状況 アメリカでは2018年現在、失業率は過去最低水準に達しています。そのため、新しい人材の確保にはどこの会社も苦労しており、多くのコストをかけて採用した新たな社員に1日も早く会社にフィットしてそのパフォーマンスを発揮してもらうために、「オンボーディング」は企業における戦略的な取り組みとして上位に上がってきています。 誰にとっても最初の印象はとても重要です。しっかりとしたオンボーディングプログラムを提供することによって、受け入れた社員が長い間活躍してくれることが期待されます。実際に体系化された優れたオンボーディングプログラムを提供している企業では、新たに採用した社員が、3年というスパンで考えると継続して働き続ける率が69%も高いと言われています。また一方では、退職者の20%は45日以内に発生するというデータもあり、こういった数値を改善する手段こそがオンボーディングとなります。 また、オンボーディングの従業員に与える影響も大きくなってきており、退職する人たちの15%の人たちが、不適切なオンボーディングプログラムを退職理由にあげています。 つまり、アメリカではオンボーディングは早期戦力化の施策であるとともに、退職防止の施策としても重要な位置づけになってきています。 「Yes to Desk」とは そんななか、アメリカでは「Yes to Desk」という概念が新たにでてきています。 採用のオファーに対して「はい」と言ってから、実際に入社日に「デスク」に到着するまでの間をいかに生産的で従業員に歓迎されるようにするべきか、という考え方です。 オファーを受けいれた瞬間からオンボーディングプログラムは始まっているのです。 もともとはTwitter社の取組みなどから生まれた概念で、オファーを受け入れた瞬間から複数の関係する事業部が75ステップの「Yes to Desk」プロセスを実施していることからきているようです。ゴールは至ってシンプルで、座席の手配やメールアドレス、会社のミッションやビジョンの効果的な伝達、バーチャルオフィスツアー、幹部社員との交流機会、期待する業務内容などの迎え入れ方に関するアクションを漏れなく明確化させ、入社時の最初の印象をよくすることにあります。 オンボーディング実施のためのツール紹介 そんなオンボーディングを実現するための新たなツールをご紹介します。 https://enboarder.com/ 2015年に設立されたオーストラリアの企業 Enboarderは、単なるタスク、フォーム、書類作成などの効率化を支援するだけではなく、入社時における従業員経験とエンゲージメントに焦点を当てたオンボードとエンゲージメントのプラットフォームです。 まとめ これまでオンボーディング構築の効果は、早期戦力化に重きを置かれていました。しかし、今回ご紹介したようにアメリカでは退職やその後の在籍率にも影響していることがわかってきています。もし、自社の退職率が高い場合は「Yes to Desk」を含めたオンボーディングを一度見直してみてはいかがでしょうか。 セレブレイン社では、新入社員早期戦力化のためのロードマップ作り、メンタリング(バディ、メンター制度)、1on1の仕組みづくりなどを支援しています。お悩み事などありましたらば、お気軽にご相談ください。 お問い合わせはこちら:https://www.celebrain.com/inquiry
レポート 2018年10月09日 現地レポート! 2018年のHR Technology Conference & Exposition in Las Vegas (第2回) セレブレイン社のカリフォルニア駐在マーケティング担当の中澤佳奈生です。 私が参加した今年の「HR Technology Conference & Exposition」の現地レポート(第1回)では、AI・HRアナリティクスとビックデータ&データサイエンスの分野が盛大であったことをご紹介しました。 今回の第2回レポートでは、私が現地で調査したAIソリューションのトレンドとして、AIエンジンを組み込むことでHRプロセスを対話型に進化させた製品とサービスが印象的でしたのでご紹介したいと思います。 中でも代表的なのは、チャットボット、Nudge(ナッジ)、Augmented Analytics(拡張分析)の三つのカテゴリーです。 チャットボットで先行しているMya、textrecruit、Zugataなどは、企業への応募者が仕事を探す際に、AIベースによるチャットで自動応答の仕組みを作ることによって、一人当たりの採用コストが400ドルから600ドル節約できたと報告しています。まだチャットボットとの対話には多少不自然さが残りますが、その進化は目を見張るものがあります。新しい求人ポジションのアナウンスや応募者からの質問に対する回答、応募要件のチェック、面接のスケジュール調整などの多くの時間とコストを必要としていた採用プロセスが、チャットボットやその他の新しいソリューションツールによって自動化されるようになってきました。 米国では失業率が過去最低の水準に近づいている事情もあり、リクルーティング市場は激しさを増しています。 その中でAIを活用したリクルーティング分野のHR Techが大きなビジネスチャンスとなっていることから、多くのスタートアップ企業がこの分野の製品でしのぎを削っています。 一方、従業員のパフォーマンスを改善するための行動を支援するNudge(ナッジ)ベースのシステムを構築するソフトウェアベンダーも数多く見受けられました。 Nudgeとは「ヒジで軽くつつく」という意味で、私たちをそっと正しい行動に向かわせてくれる手法のことを言います。企業にとっては、単に生産性を向上させるためではなく、従業員がWell-being(身体的、精神的に良好で幸せに感じる満たされた状態を意味する)を維持することで、より創造的で高い生産性を生み、離職率の低減にもつながることが期待できます。 私たちがWell-beingに向けたヘルスケア、睡眠、食事の改善などの行動を起こすことを支援するNudge(ナッジ)関連のソリューションでは、AMP-IT、Virgin Pulseなどのツールも多く出展されており、市場も成長しています。 職場での過剰なストレスや燃え尽き症候群を無くし、一人ひとりが健康を重視する意識と行動によりパフォーマンスを向上させるという考え方が浸透していくことは、企業で働く私たちにとっても幸福度のアップにつながっていくと思われます。 また今年は、ピープルアナリティクスが成熟期を迎えていると、強く感じました。この分野では「Augmented Analytics(拡張分析。データから機械学習の手法を活用して、人間の判断力や作業の支援をすることにより、人間の能力を拡張する)」という概念が取り入れられていることが一般的ですが、今回、個人的に関心があったのは、「Relationship Analytics(関係分析)」です。 Trendata、SplashBI、Chasmaなど、予測エンジンを搭載したセルフサービス型分析サービスを提供する企業が数多く出展しており、人事システムやタレントマネジメントなどからデータを収集・分析し、従業員に関する状況をダッシュボードで管理できるようになっていました。これらは、Rなどの統計解析用のプログラミング言語を使用して手動で分析するのではなく、あらかじめ分析機能が組み込まれているため、業務部門のユーザーが直接導入して活用しやすくなっています。IT部門がBIツールをユーザーに提供していたのは、つい数年前なのに、隔世の感がありますね。今後は、業務部門主導でデータを準備し、認識し、統計解析するといったAI・機械学習プロセスにおけるセルフサービス型ツールはあらゆる場面で活用され飛躍していく分野となるでしょう。 HR Techの領域では、日々新しいテクノロジーが生み出され、企業も人も新しい価値観と行動が求められていることを実感した「HR Technology Conference & Exposition」ラスベガスでの4日間でした。 今、セレブレイン社では、AI・機械学習時代のビジネスリーダーに欠かせない思考法である、日本初の「アナリテイカルシンキング」の実践型トレーニング1日コースを提供しています。ご関心をお持ちいただいた方はお問い合わせ下さい。
ワインの豆知識 2018年10月04日 【世界のワイン】アメリカ・カリフォルニアのワインの特徴とは? 根強いファンの多いアメリカ・カリフォルニアのワイン。ニューワールドのワインとしては知名度・人気ともにトップクラスではないでしょうか。今回はそんなアメリカ・カリフォルニアのワインについてソムリエに訊いてきました。 [目次] カリフォルニアワインの特徴 ソムリエからのコメント カリフォルニアワインの特徴 カリフォルニアワインについて、質問をしようとするとソムリエが早速ワインを2本持ってきてくれました。 左がOpus One、右がSCREAMING EAGLEです。 「カリフォルニアワインは高級なものも沢山ありますね。右のワインは1本数十万円します。」 スタートからかなり驚いてしまいました。 アメリカのワインの歴史自体は1500年代ころから始まり、1800年代のゴールドラッシュ時代にカリフォルニアワインが大きく普及し始めたと言われています。1920年の禁酒法により一時壊滅の危機にさらされますが、カリフォルニア大学の研究などの効果もあり少しずつ復興されてきました。 そして、カリフォルニアワインの拡大に最も貢献した人のひとりがロバート・モンダヴィです。画像にもある有名なカルフォルニアワイン、Opus One(オーパスワン)を作った人です。ヨーロッパの葡萄からワインを作り出した革新的な人で、ワイン製造における技術革新を持ち込むとともに、マーケティング戦略やブランディング戦略にも長けていたとのこと。 以前の記事(高級ワイン、なぜあのワインはそんなに高いのか?ワインが高額になる7つの理由)で紹介したように、ワインの価格は希少性やブランドイメージでも変わります。Opus One(オーパスワン)が高級なのもロバート・モンダヴィ氏のマーケティング戦略の影響も大きいのかもしれないですね。 味についての特徴は、カリフォルニアの日照量が多く雨が降りづらいという気候から、酸味が少なく、まろやかな傾向があるとのこと。愛されやすい果実味があるので、万人受けしやすいそうです。特に酸っぱいワインが苦手な人にはおすすめで、同じ品種でもアルコール度数が比較的高めなのも特徴とのことでした。 ソムリエからのコメント 最後に、上の画像にある高級ワインOpus One、SCREAMING EAGLEに合う食事について、教えてもらいました。 「赤みのお肉、ローストよりもグリル(焦げ目をつける)系の料理が合いますね。和牛よりも脂の少なめの赤みのお肉、リブロースなんかが美味しいと思いますよ。レアのマグロのステーキなんかもいいですね。フランスのワインに比べると、味わいにボリューム感がある為、料理の味わいも、輪郭のはっきりした濃いめの味付けが良いと思います。グリル料理は鉄板です! 」 さすが、ソムリエ!勉強になりました。 「カリフォルニアのワインはやっぱりシリコンバレーなどで働いていた人が注文することが多いですね。」 やはりカリフォルニアにいた人たちは皆、カリフォルニアのワインが懐かしくなるのでしょうか。過去にシリコンバレーに赴任されていた人への贈り物にはカリフォルニアワインなんかは喜ばれたりするかもしれないですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く