ワインの豆知識 2018年8月09日 ソムリエに訊く!ワインの当たり年ってどういうこと? 「2015年は◯◯ワインの当たり年なので、オススメです。」こんな会話をレストランやショップでされたことはありませんか? 年により評価が異なることもワインの特徴です。 でも俗にいうこの「当たり年」とは一体なんなのでしょうか? ソムリエに訊いてきました。 [目次] 当たり年とは? 当たり年以外のワインはどうなの? まとめ 当たり年とは? 「当たり年」とは一般的には美味しいワインのできた年のことです。 ワイン業界では原材料となるぶどうの収穫された年のことをVintage(ヴィンテージ)と呼んでいます。「当たり年」のことをGreat Year(グレイトイヤー) 、Big Vintage(ビッグビンテージ)なんて呼ぶこともしばしば。 さて、この「当たり年」、ぶどうの生産において適した天候だった年が「当たり年」となります。当然地域により異なり、これらの年代×地域をまとめたものをVintage Chart(ヴィンテージチャート)と呼び、様々な評論家が独自の視点や採点項目により作成しています。 参考までにフランスボルドー地方では、1982年、2000年、2005年、2009年、2015年が当たり年と言われています。(その他多数ありますが、その中でもよく取り上げられる年に限定しております) 当たり年以外のワインはどうなの? 最近では天候が悪い年を「冷涼ヴィンテージ」なんて言葉を使ったりもするそうです。 では、冷涼ヴィンテージのワインは美味しくないのでしょうか? ここで改めて「美味しいワイン」に影響を与える要因について教えてくれました。 ワインには「天地人」という考え方があるそうです。 天・・・天候 地・・・土壌 人・・・人がかける手間ひま 天候がいいだけでは美味しいワインはつくることはできません。 逆に、天候が悪くても「人」の力により美味しいワインを作ることも可能となります。 昔は技術が足りず、天候の影響は非常に大きい部分を占めていました。しかし、近年ではピンポイントで天気が分かるようになり、悪天候に対する対策を練ることも可能となりました。生産者の努力により「当たり年」でなくても、十分美味しいワインが楽しめるようになってきているそうです。(とは言うものの、雹害など、分かっていても防ぐことのできない天災は今でも生産者を苦しめています) まとめ 年により味わいに変化があるのがワインですが、多数収穫され、また長期熟成に向くワインに対して「当たり年」というような単語が生まれています。しかし、その年にはその年の良さがあり、生産者たちの工夫が施されています。Vintage チャートはあくまで参考に、こうした背景を複合的に判断しながらソムリエはワインを選別しているとのことです。 「最終的には、「当たり年」は味が濃い(タンニンが強い)とみるとよいかもしれないですね。評価されていない年は美味しくないのでなく、さっぱり控えめな傾向は多いかも。」 年代を飲み比べてお好みの1本を探すのもワインの楽しみ方ですね。 ・ ・ ・ 余談ですが、「当たり年」について訊くと何やら大きな本をソムリエは持ってきてくれました。タイトルは「ボルドー」。ボルドーワインについて、シャトー毎、年代毎の著者の評価が網羅されている本とのことでした。 フランスのひとつの地方のワインについてだけで、これだけ分厚い本ができあがることに、ワインとは改めて歴史があり味わい深い世界なのだということを認識させられました。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年8月05日 米国在住マーケティングマネージャーが語るHRテクノロジーの最新事情 – セレブレイン中澤 佳奈生 × セレブレイン高橋 敦子 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第8回ゲストは、セレブレイン マーケティング マネージャーで米国在住の中澤 佳奈生さん(写真左)。HRテクノロジーの本場・カリフォルニアの最新事情についてお話いただきました。聞き手はセレブレイン代表取締役副社長・高橋 敦子が務めます。 第8回ゲスト:中澤 佳奈生さん略歴 30年以上に渡り日米間でERPシステムを中心としたソフトウェアの企画、開発、運用に携わっている。2007年より米国に拠点を移し、米国の日系企業を中心とする管理会計のコンサルティングの業務を行いながら、クラウドベースのソフトウェア開発に携わる。この5年ほどは インターネットを活用した食ビジネスに範囲を広げ、 食の生産者・販売業者と消費者を結ぶサービスを立ち上げている。セレブレインでは、これまでの経験を活かして、米国を中心としたグローバルにおけるHRテクノロジーのマーケットリサーチや、アライアンスをリードしている。米国カリフォルニア州オレンジカウンティ在住。 米国はもっともHRテクノロジーの進んだ国 高橋:中澤さん、お久しぶりです! 本日は茜坂にようこそ。いつもは米国と日本で離れて仕事をさせていただいていますが、やっぱりこうして顔を合わせてお話できるのはいいですね。ぜひ和食とワインのペアリングを楽しんでください。 中澤:ありがとうございます。和食とワインのペアリングはとても楽しみです。カリフォルニアにも和食のお店はあるけれど、やっぱり日本で食べる和食はいいですね。特にセレブールのお店、料理もワインも本当においしいから楽しみです。 高橋:それじゃあ再会を祝して乾杯しましょう! 中山/ソムリエ:中澤様、ようこそ茜坂へ。ソムリエの中山です。本日は乾杯用にシャンパーニュをご用意いたしました。200年続くシャンパーニュメゾン、「R&L ルグラ」のブラン・ド・ブランです。 中澤:わっ、これすごくおいしい! 高橋:キリッと冷えていて立ち上る泡も繊細ですね。すばらしくエレガントです。 中澤:ブラン・ド・ブランっていうんですね。 中山/ソムリエ:はい。白ぶどうだけで作ったシャンパーニュのことをそのように呼びます。爽やかで夏にぴったりかと思います。 高橋:本当にそうですね。 中澤:ああ、もうすごく幸せ(笑)。 高橋:そうですね(笑)。このまま飲んでしまいそうだけど、今日はお話も楽しみにしていました。HRテクノロジーの本場といえばやっぱりカリフォルニア。中澤さんは2007年に渡米されて以降、ずっとカリフォルニアでお仕事されていますよね。 中澤:はい、そうなんです。テクノロジーベースで仕事をするにあたって、エンジニアにとっては働く環境や学べる環境が米国と日本で大きく異なるので、なかなか帰国して仕事するに至りませんでした。今、セレブレインと一緒に取組みを推進している「HRテクノロジー」の分野でも米国がもっとも進んでいると思っています。昔、日本で人事システムの開発に携わったことがありましたが、そのときはまさかこんなにテクノロジーが進化した時代がやってくるとは思わなかったです。 高橋:米国以外の状況はどうなのでしょう。 中澤:昨年ラスベガスで開催された大規模なHRテクノロジーカンファレンスにはヨーロッパの企業も多く出展していました。スペイン、イギリスなどの企業に加えて、最近はインドのスタートアップ企業が多く参加しており、世界各国でも盛り上がりをみせています。 高橋:そのように伺うと、日本はまだまだ世界に出ていくようなレベルじゃないのかなって思いますよね。 中澤:そうですね、日本企業をワールドワイドなカンファレンスで見かけることはまだ少ないですね。 中山/ソムリエ:シャンパーニュに合わせて最初のお料理をお持ちしました。前菜の盛り合わせには、長芋を使った素麺、煎り酒のジュレ。香り付けのオリーブオイルは小豆島のものを使用しています。そして三つ葉ととり貝のおひたし、生雲丹と生の湯葉。笹の上に載っているのは酢だことトマト、鯛を昆布締めにしたものを笹巻にしました。それから五三竹を胡麻和えに。イサキの真子、白子、鮎の南蛮漬けです。 中澤:すごい! 盛りだくさんですね! 高橋:豪華ですね! 中澤:やっぱり日本で食べる和食はいいですね。 高橋:話はそれてしまいますが、最近のシリコンバレーにおける日本食事情はどのようでしょうか? 中澤:天ぷらなどに関してはだいぶレベルがあがってはきましたよ。どちらかといえばカジュアルなイメージですね。美味しくなってきていて、安心して食べられる店も増えてきました。高級というとお寿司になることが多いかもしれません。ただ、ここまで季節感のある日本料理はなかなか食べることができないですね。米国では、お料理をシェアする文化もあって、ラーメンなんかもシェアして食べたりするのは面白いところですね。 中澤:そういえば、最近、セレブレインでは「AIエンジンを活用した人事データ分析」をテーマにしたセミナーを開催していますが、反響はどうでしょうか? 日本における状況はどうなんだろうと気になっていました。 高橋:シリコンバレーでは、すでに当たり前のようにAIや機械学習を活用してビジネスを推進したり、改善したりといったことが行われていますが、日本ではまだ一部のプロフェッショナル組織以外ではなかなか浸透していないのが現状、ということもあって、かなり反響はいいですね。特に数字から判断して意思決定をすることから最も遠い存在に見える人事の世界で、AIやデータをどう活用していけばよいのか、と大きな興味を持って頂いています。 中澤:そうなんですね。ようやく日本の人事部門でも本格的にテクノロジーやAIの活用が始まろうとしているのですね。カリフォルニアでは、人事部門にもデータサイエンティストがかなり多く存在するようになってきています。しかもかなりの割合で女性が活躍していますよ。もちろん、人事のみならずあらゆる部門でデータサイエンティストが活躍しているので、いまやシリコンバレーでは最も採用が難しい職種のひとつとして、大変な争奪戦が起こっています。 高橋:日本でもデータサイエンティストの採用をご要望頂くことは大変増えていますが、米国ではさらに激しそうですね。データサイエンティストに女性が多いというのは少し新鮮ですね。 中澤:カリフォルニアでは、データサイエンティスト以外にも、人事部門には基本的に女性の数が圧倒的に多いですよ。人事的な問題は慎重を要する必要のあることも多いので、女性の方が角が立たないってことはあるのかもしれません。米国では身だしなみの指摘ひとつにしても、人事が絡むんですよ。たとえばスカートの丈が短いんじゃないかっていう指摘も、上司じゃなくて人事を通して本人に伝えたりします。 高橋:そうなんですね。そのあたりは日本と文化や価値観の差が出るところですね。 中澤:でも実は、シリコンバレーってやっぱり男性社会?と感じることも多々ありますよ。女性で要職についている人の数は多いですが、経営の中心にはやはり男性の方が多いのは事実です。日本でも、最近は女性の登用などが結構進んできていますよね? 高橋:ええ。日本でも女性活躍推進法が施行されまして、女性管理職の比率も高めていく取組みが進んできています。ただ、全体としてはようやく努力目標レベルという感じで、まだまだ道半ばですね。 中澤:米国ではEEO(Equal Employment Opportunities)という、日本における雇用機会均等法に該当するルールがありまして、男女だけじゃなく、人種、年齢、国籍など、雇用上のあらゆる決定において差別を禁止する規定になっていますので、採用には細心の注意が求められます。ただ、もちろん応募時には人種や男女、年齢などがわからないようにはなっているけど、結局名前のラストネームから推測して、人種や男女を見分けて、採らないようにしている会社なんかは、米国でもあったりしますね。 高橋:ダイバーシティの国でも、そんな実態もあるんですね。 中山/ソムリエ:続いてのお料理です。「フォアグラ飯蒸し」はもち米にフォアグラを合わせた当店のスペシャリテでございます。お酒はもち米に合わせて石川県・鶴野酒造さんの「茜坂」をどうぞ。無濾過の生原酒でお米の甘みがしっかり残っていますよ。 中澤:「茜坂」というとお店の名前と同じですね! 高橋:実は当店のために鶴野酒造さんにつくっていただいたお酒なんです。茜坂は和食とワインのマリアージュを楽しめるお店ですが、こうして日本酒もお出ししているんですよ。 中澤:うーん、すごい! たしかにぴったりですね。すごく贅沢な味わいです。 高橋:ワインだとフォアグラにはソーテルヌが定番だけど、甘めの日本酒もすばらしいマリアージュを見せてくれますね。 中澤:今日のお料理、どれも本当においしくて華やかで……すごいです。 高橋:この後も楽しみですね! 人事のお話に戻りますが、HRテックについて、米国ならではと感じることはありますか? 中澤:採用でいうと、ビデオ面接がかなり多くなってきています。以前からスカイプやテレカンでの面接は普通に行われてもきましたが、最近はビデオ面接のテクノロジーがかなり進化して、リアルタイムで面接しているのと全く変わらないパフォーマンスを発揮しているようです。 高橋:日本でもなくはないけれど、まだまだ。差は大きいですね。弊社でもお客様にはかなりお勧めしているのですが、普及が進むにはまだまだ壁があるのを感じています。どうしても、「直接会わないと評価できない」という思い込みが強いようです。最終面接までのプロセスを効率的にできることや、データを残して判断に活用できること、複数人で評価できる、というメリットも大きいと感じてはいるのですが。 中澤:なるほどね。日本では、遠いといっても米国ほど国内移動にも時間がかからないので、直接会いましょうということになるのかもしれないですね。ただ遠方だとやはり交通費もかかるので、ビデオ面接はもっと普及してもいいと思いますね。 高橋:その通りですね。採用ひとつとってもお国柄が出ますが、採用後についてはいかがですか? 中澤:日本と大きく違うのが、米国は小さな会社でも1on1ミーティングをしっかりと実施するところが多いことですね。不満があるとしたらそれは何か、パフォーマンスが上がっていないならその原因は何なのか、2週間に一度は上司と向き合って話をして、その声が反映されるんです。 高橋:最近は日本でも同じような制度を導入する会社も増えてきましたが、まだ一部の先進的なビジネスモデルの会社くらいですね。でも、新しい取組みに対する情報伝達スピードが圧倒的に上がってきているので、学習段階の企業は増えているのではないかと。1on1をサポートするシステムも出てきているので、GAPは埋まってくると私は思っています。 中澤:色んな意味で米国の方が日本より厳しいというのも理由の一つかもしれませんね。契約社会だし、何かあると訴訟につながったりしますから。システムと数字で明快に管理しないとダメなんです。だから、そこでまたデータサイエンティストが必要ということになりますね。 中山/ソムリエ:メインディッシュに「和牛と花山椒のしゃぶしゃぶ」をお持ちしました。ワインはアントナン・ロデのサヴィニー・レ・ボーヌ1999です。とろけるような肉の味わいと熟成したブルゴーニュワインとのしっとりとしたマリアージュをお楽しみください。 中澤:もう、お肉の見た目がすごいです(笑)。 高橋:きれいな色合いですよね。しゃぶしゃぶで贅沢にいただきましょう。 中澤:うーん! たまらないです! 旨味がすごくて、口の中でとろけた後もずっと余韻が残っています。 高橋:ブルゴーニュの熟成したピノ・ノワールが絶妙ですね! 中澤:本当に、最高の組み合わせですね。なんでこんなにワインと合うのかしら。 中山/ソムリエ:かつおだしや昆布出汁などの旨味と、熟成したブルゴーニュの出汁感が合うんですよ。花山椒も良いアクセントになっていると思います。 中澤:なるほど、たしかにワインにも出汁の要素がありますね! おもしろいです。 高橋:楽しんでいただけてよかったです! 中澤:こちらの茜坂は、和食とワインのペアリングがコンセプトなんですよね。最近は日本でもそういうお店が増えているんですか? 高橋:どうでしょう。増えてはいると思いますが、まだ発展途上のジャンルだと思います。本格的な和食とのペアリングでは、茜坂はかなり自信を持っています。 中澤:すばらしいと思います! 高橋:和食とワインなら日本も負けていないんだけど! ただ、日本でも徐々にHRテクノロジーやAI/データサイエンスの世界も間違いなく浸透してきているので、あるタイミングで一気に変わる気もしてます! 中澤:そうですね。私は離れているので、日本では何がきっかけになるかはわからないけど、楽しみですね。 高橋:……という話を私たちは90年代からずっとしているんですけどね(笑)。HRテクノロジーの普及に向けて、もっとがんばっていこうと改めて思いました。中澤さん、今日はありがとうございました。 今回のお店 ワインと和食 茜坂 赤坂駅徒歩2分。落ち着いた和空間で素材を極力シンプルに生かした純和食とワインのペアリングが楽しめます。完全個室からカウンター席まで完備。板前・ホール全員がソムリエの資格を持ち、コースに合う最適なワインをご用意しております。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。 中澤さんから米国のHR最新事情を伺うことができ、改めて日本との違いが浮き彫りになりました。今後、日本でもHRテクノロジーが普及していくと思われますが、どのような形で広まっていくのか注目したいところです。 さて、今回のお料理とワインですが、どれも見事なペアリングでした。それぞれ単体でもすばらしい品々なのですが、ワイン、そして日本酒が組み合わさることで極上の味わいとなります。 フォアグラと日本酒、そしてしゃぶしゃぶと熟成ブルゴーニュはぜひ一度、体験していただきたいマリアージュでした。
ワインの豆知識 2018年7月31日 高級ワイン、なぜあのワインはそんなに高いのか?ワインが高額になる7つの理由 ※画像はカリフォルニアの高級ワイン「オーパスワン」 ロマネ・コンティ/モンラッシェ/オーパスワン・・・世の中には沢山の高級ワインが存在しています。中には1本数百万円なんてものもありますが、なぜ、あのワインはそんなに高いのでしょうか? プロであるソムリエの視点からその理由について教えてもらいました。 [目次] ワインが高額になる7つの理由 ソムリエからのコメント ワインが高額になる7つの理由 当たり前のことかもしれませんが、商品の値段は製造にかかるコストと需要と供給のバランスで決まります。 ワインに関しては、以下の項目が要因になっています。 1.収穫方法 機械など使わずに人が手作業で行っている場合、人件費がかかり製造コストが上がります。ぶどうに限りませんが、ちょうどいい果実収穫のタイミングは一瞬しかありません。最高の状態で収穫するためには、ひとつひとつ目視が必要なため、手間も発生します。 2.ぶどうの木の密植度 密植度(単位面積当たりの植樹数)が高いと養分の吸収を競争しあうため、地中深くまで根をはり美味しいぶどうができると言われています。(植樹の話は、密度をあげれば良いというレベルではなく、根の張り方の考え方も栽培家により異なります。)収量をどうコントロールするかがコストに反映していくという認識をここではしてください。 3.一本あたりの実の数 美味しいぶどうを作るためには、木一本あたりの実の数を意図的に減らすことがあります。養分が分散せず集中するため、通常よりも濃いぶどうができます。当然、収穫量も減るため、実ひとつあたりのコストは大きくなります。 4.土地代 ワインに適した土壌では、産地ごとにそれぞれの格付けがされています。それらの土地代もワインの料金に反映されています。 5.輸送費 海外から日本にもってくる際の輸送代も料金に上乗せされています。 6.税金 海外のワインを日本にもってくる場合は関税が発生します。こちらもワインの料金に上乗せされています。 7.プレミア 製造原価とは関係なく、希少性やブランドイメージなどでも販売金額は変わります。そのため、販売者のマーケティング戦略によって金額も大きく変動します。 ソムリエからのコメント 上記1〜4の理由により、一般的に高級なワインの方が果実の濃縮度が上がり、味は「複雑味のあるもの」になっていく傾向があります。 また、高級なワインになると、瓶自体にも劣化を抑えるために分厚く作られていたり、偽造防止の工夫が施されていたりするそうです。(実際、高級ワインの偽物も世の中には広く流通しているとのこと。)当然、これらの瓶のコストも販売金額には上乗せされてきます。 劣化を極力防ぎ、熟成に耐えられるものにするために、「コルク」の品質も無視できません。 余談ですが、高級なワインはお店側としては売るためだけでなく、ステータスとして確保しているケースもあるんだとか。「あのワインを置いているお店なんだ」と思われること自体が格式につながるそうです。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
人事施策 2018年7月26日 客観的視点により社員の成長を促す!360度評価の勧め 人材マネジメント用語としてはすでに当たり前となっている360度評価。しかし実際に導入しているケースは日本ではまだまだ少ないように感じます。そんな360度評価について、今回は改めてご紹介します。 [目次] 360度評価とは 活用方法や効果(ジョハリの窓) まとめ 360度評価とは 360度評価とは、上司だけでなく同僚や部下、更に可能であれば取引先などの外部の関係者にも協力してもらい、対象者の仕事ぶりや職務上の行動について多面的に評価をしてもらうことで、本人の気づきを促し、人材育成に役立てようとするものです。360度フィードバック、360度サーベイなどといった言葉でも使われることがあり、セレブレインでは「3Dフィードバック制度」としてこちらの評価システムの導入を支援しています。 セレブレイン「3Dフィードバック制度」の図 活用方法や効果(ジョハリの窓) 360度評価の効果を説明する際、よく使用される概念に「ジョハリの窓」があります。 ジョハリの窓 心理学でよく使われる自己分析のための概念で、(1)の開放の窓の範囲を広げていくことが自己成長につながると言われています。 360度評価では、他人の視点を確認し、従来では見えなかった気づきが得られることからジョハリの窓の「(1)開放の窓」を広げることに効果を発揮します。 企業の人事部門では、360度評価を主に以下の4つの観点で活用しています。 1.人材育成 2.昇格アセスメント 3.バリューの浸透 4.コンプライアンスの徹底 人材育成や昇格アセスメントのように、個人へのフィードバックとして活用するだけでなく、企業としてのバリューの浸透やコンプライアンスの徹底などへも効果を発揮することが360度評価の大きな利点と言われています。 まとめ 様々なメリットのある360度評価ですが、実施にあたっては、部下に評価されないといけないという管理職の心理的なハードルや、感情での評価(好き嫌いで判断してしまう)、評価者のスキル、フィードバックに対する向き合い方など組織の取組みに関する受容度が大きく影響してきます。 受容度が低い場合には、回答の結果に合わせて動物のキャラクタータイプなどを用意し(例. 自信たっぷり黒豹タイプ、のんびりでも着実に結果をだす亀タイプなど)親しみやすさを打ち出すなど、360度評価を受け入れやすくする工夫が必要になるかもしれません。 主観の集まりを客観として捉えることができる360度評価は、うまく活用することで行動変革を生み出し、組織として企業の成長につなげることができます。 これまで実施したことのない企業は、成長に対する処方箋として、一度検討してみてはいかがでしょうか。
ワインの豆知識 2018年7月12日 ソムリエに訊く!ワインにおけるナチュールという言葉の真実 最近のワインの話題のなかで、ナチュールという言葉をよく耳にします。自然な感じがして、なにやら体にも良さそうな雰囲気を与えてくれるこの言葉。しかし実際のところは、どうなのでしょうか?ソムリエにナチュールについて、その言葉の意味から訊いてきました。真実はとても奥が深い領域に・・・。 [目次] ナチュールを整理する まとめ ナチュールを整理する そもそも、ナチュールとは英語のナチュラルのフランス語のことです。 そして、ソムリエによるとワインにおける「ナチュール」については実際は定義がかなり曖昧とのことでした。 関連するワードをおもむろに書き出して頂き、それらを画像にしたのがこちらになります。 基本的には農法により、リュットレゾネ、オーガニック、ビオディナミ、サスティナブルなどの分類があります。 このなかで、オーガニックに関しては、有機農法のことを指し、認定団体も世界中に存在しているため、明確な定義が存在しています。 しかし、今回の記事のテーマであるナチュールに関しては非常に曖昧とのこと。 全体の自然派ワインのことをナチュールという人がいたり、ビオディナミのことをナチュールという人がいたりと明確な定義は存在していないようです。 ナチュールという響きに、何も手をかけなければ美味しいワインができると思い込まれる人たちが多いのですが、必ずしもそうではありません。 例えば、酸化を防止するために使用されるSO2(二酸化硫黄)は基本的にほぼすべてのワインに含まれています。ナチュールと呼ばれるワインの中にはなるべく手を加えないようにするため、最少のSO2で生産するケースがありますが、味が安定しなくなるため、美味しいワインを作るのは通常よりも難易度が高くなります。 また、「自然=手を加えていない」と考えられることが多く、しっかり丹精込めて生産しているワインを「手を加えていない」と捉えられることに違和感を感じるため、ナチュールと言われることを嫌がる生産者もいるそうです。 まとめ 様々な状況でナチュールという言葉が使われていますが、ワインのプロであるソムリエはビオディナミ(バイオダイナミクス)の製法でSO2が少ない(なるべく手をかけていない)ワインを「ナチュール」と呼んでるそうです。 ちなみに、今回ご紹介したリュット・レゾネ、オーガニック、ビオディナミ、サスティナブルなどの詳細については、それひとつで本1冊分くらいの情報量があるとのこと。例えば、ビオディナミ(バイオダイナミクス)はルドルフ・シュタイナーによって提唱された農法で、重力や月の満ち欠けなど天体の動きも農作物の生育に生かすことを目指しているのが特徴なのだとか。Wikipediaで調べてみても、かなりの文量でした。興味のある人はぜひ、ゆっくり勉強してみても面白いかもしれないですね。 ※冒頭画像のワインはビオディナミの先駆者ニコラ・ジョリー作の「CLOS DELA BERGERIE」です。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
コラム 2018年7月10日 関 将宏 HRTech時代にExcelは終焉を迎えるのか? 新卒からコンサルタントとして働いている自分にとって、Excelはもっとも情愛を注いだツールと言っていい。クライアントのデータの整理・可視化だけでなく、プロジェクトのスケジュール表や作業工数の見積もりにも活用していた。新しい関数を覚えては「これで作業時間が2分縮まる!」と喜んでいたし、何かメモを取るときにもWordやメモ帳ではなくExcelを開いていた。 そんな中、昨今は人事の世界でもデータ分析の風が吹いている。HRTechと呼ばれる人事業務とテクノロジーの融合により、評価・勤怠・モチベーション・コミュニケーションとあらゆる社員の情報がデータ化されつつある今、それを分析することで、社員と部門のマッチングや休職予測などに役立てようというものだ。 私自身、過去にExcelをかなり複雑な分析に使用したこともある。計算用のシートを作りながら細かく設定を変えてグラフを作り、変数を変えながら何度も統計解析を行うなかでは、それなりの手間を感じていた。 しかし、最近はBI(Business Intelligence)ツールにより、簡単にヒートマップのような高度なグラフを作成し、ダッシュボードとして定点観測できるようになった。また、機械学習エンジンを搭載したツールも登場し、R言語と呼ばれる統計解析向けのプログラミング言語を習得することなく、クリックだけでランダムフォレストなどの分析が可能になった。 私も現在携わっているデータ分析プロジェクトで機械学習のツールを活用しているが、昔の苦労が嘘のように簡単に分析でき、更に分析結果がビジュアライズされるので上司やクライアントへの報告もスムーズで、非常に重宝している。 Excelの時代は終わったのだろうか。データの整理すらBIツールなどでできるようになった今、あの表計算ソフトは時代とともに1つの役目を終えたのだろうか。 私もはじめはそう考えていた。しかし、少なくとも人事コンサルティングの世界では、まだまだ活躍の場が幾らでもあることに気付いたのである。 例えば評価シートである。新たに人事制度を入れるような会社では、いきなり予算を投じて評価システムを入れることは少なく、「まずはExcelで」と言われることが多い。最終点数の算出欄に計算式を埋め込んでおき、等級に合わせて表示される行動目標が変わるように設定する。更に、それを部門ごとに集計するシート、人事委員会で評語(S・A・B・C・Dなど)を調整するためのシートも用意しておき、Excelで通期評価を実現するのが現実の場では最善である。 また、簡単なシミュレーションツールなどもExcelの活躍の場である。等級毎・評語毎のパラメータを入れれば、賞与の金額を自動で決定するツール。昇格候補の社員だけをピックアップして、残予算と比較しながら昇給金額を調整できるツール。このような使い方も、特にExcelに慣れているクライアントの人事担当者にとっては大変喜ばれる。難しいツールやマクロを使った成果物では、メンテナンスができない。実際に現場で使うツールは使いやすいものでないとダメなのだ。 こうしたExcelの新たな活躍領域には、一つの共通点がある。それは「データを集計・分析するのではなく、シートそのものをデザインすることに価値がある」という点である。 何千行もあるデータからグラフを作成したり、平均値を算出したりするような作業がメインではない。評価シートであれば、シート全体をA3に収めながら、時にはセルを結合し、時には入力対象者別にセルの色を変える。シミュレーションツールであれば、パラメータと結果のシートを分けておき、どのセルが何のパラメータの影響を受けているかメモ書きしておく。 複雑な関数を使うことはなくとも、その分、創造の幅は広がる。「相手にとって使いやすいもの、分かりやすいもの」というポイントをもとに、各シートの設計からセルの幅・高さまで、自由に組めるからである。 データを整理し、集計し、分析するためのExcelは、日進月歩の強力なツールにより、いずれ取って代わられる日が来るかもしれない。しかし、簡易で使いやすい人事業務のツールとしてのExcelは、間違いなくこれからも活躍し続けるだろう。私にとって、Excelの一つ一つのセルはこれまで共に戦ってきた無数の相棒である。私は、これからも“彼ら”に情愛を注ぎ続けていく。現場の最前線を変えていくのは“彼ら”であるのだから。
人事施策 2018年7月05日 独自のコンピテンシー設計でより高度な人事戦略の構築を! 今や企業経営において当たり前のように使用される「コンピテンシー」。しかし、企業ステージによっては未構築であったり、見直しのタイミングなどもでてくることと思います。 今回はコンピテンシーについて、作成ステップなどを含めてご紹介します。 [目次] 改めてコンピテンシーとは コンピテンシー活用方法 作成ステップ まとめ 改めてコンピテンシーとは コンピテンシーとは、1970年代にハーバード大学の心理学者デイビッド・C・マクレランド氏により提唱された理論で、特定の役割・職務遂行において高い業績を継続的に上げる人材のもつ思考特性のことです。日本では発揮能力、役割遂行能力とも言われ、成果主義の考え方とともに1990年代の後半あたりから広がり始めました。コンピテンシーを定めることで、職務と役割への期待値が明確化され、従業員がどのようなことを期待されているのか認識できるようになります。 コンピテンシーの活用方法 そんなコンピテンシーは、人材開発・育成、評価、後継者計画、採用それぞれの基準として活用されます。 基準が明確化されると、評価などにおいて正確な判断が可能になります。例えば、採用活動における面接において、確認するポイントが明確になり、曖昧に優秀な人材を採用するのではなく、「自社で活躍する可能性の高い」人材採用が可能になります。 作成ステップ ではどのような手順で作成すればいいでしょうか。作成ステップは以下になります。 1.組織の将来ビジョン、経営計画、求める人材像の確認 2.作成対象職務と成果の定義 3.高業績者の選定 4.高業績者インタビューの実施/職務行動の観察 5.コンピテンシーモデルの作成 まずは将来ビジョンなどを改めて確認するところから始めます。そして、成果の定義、つまりどのようなことが職務上の成果責任として求められているのか、しっかりと定義を定めます。そして、その成果を発揮している高業績者を選定し、インタビューを実施した上で、その行動を分析していきます。分析結果を基に成果につながる特徴的な行動をモデル化し、コンピテンシーを作成していきます。 4.のインタビュー実施時には、一人あたり90分程度を目安に、直近の1〜2年間で仕事上で特に印象に残っている出来事、成功体験(失敗体験)を聞き出します。その出来事が起こったときの状況を思い出してもらい、どのようなことを考えて、実際に行った行動事実をできるだけ詳しく話していただきます。 ポリシーであったり、本人の行動と特定できないような事柄については、コンピテンシー作成の目的から焦点がずれていきます。対象者の自身の行動にフォーカスして話をしていただくように工夫をすることが大切です。 まとめ 優れたコンピテンシーは会社のビジョンとの一貫性が求められます。一貫性が感じられない場合、経営側の発言と人事評価の場面などで乖離が発生するため従業員のエンゲージメントに影響がでてきます。 時代の変化とともに求める人物像も変わってきます。定期的にコンピテンシーについても見直しをしていくことがビジネススピードの早い現代において、求められていることかもしれません。
HRTech 2018年7月01日 今更聞けない人事の重要ワード、会社と従業員の関係を定義する「エンゲージメント」とは? 近年、人事の業界ではエンゲージメントという言葉をよく耳にします。しかし、その言葉の意味については意外と整理されていないのが実情です。今回は改めて『エンゲージメント』についてご紹介します。 [目次] エンゲージメントとは? なぜ重要視されているのか? 具体的なサービス まとめ エンゲージメントとは? 従業員の仕事や会社に対する考え・状態を表す言葉として、様々な言葉があります。例えば、モチベーション、従業員満足度、コミットメント、など。普段、混同して使われがちですが、実はそれぞれ意味が異なります。 「モチベーション」は従業員のやる気を意味しています。会社に対してというよりも、仕事に対して個人の中に内在する動機付け要因と捉えてもいいかもしれません。目標に向かって進む際の内的なエネルギーとなりますが、会社と従業員の方向性があっていることが大事なことです。 「従業員満足」は会社に対する従業員の満足度を意味しています。顧客満足度を高めるためには、まず従業員満足度を高めることが重要である、との考えのもとで取組みの推進が行われました。ただし、従業員が満足するためには会社がどのような環境を提供すればよいのか?といった、会社から社員に対する一方向の関係に向かいやすい傾向があります。 「コミットメント」は約束や責任のことを意味しています。矢印は社員から会社に向いており、所属している会社に対して全うすべき責務として捉えられます。 そして、「エンゲージメント」は会社と従業員の間におけるつながりの強さを表しており、従業員が自発的に持つ思い入れや貢献意欲のことを意味しています。矢印も従業員と会社における双方向の概念で表現されます。 なぜ重要視されているのか? これまでは、モチベーションや従業員満足度を向上させることが会社の業績向上に結びつくという考えのもと、社員向けにサーベイや人事施策が行われることが多くありました。 しかし、最近ではそれらの内容に関して見直しを始める企業がでてきました。例えば、従業員満足は言い換えると「居心地の良さ」にも繫がる部分もあり、必ずしも業績向上へと結びつくものではないと考えられ始めています。 そんななか、いくつかの研究により「従業員エンゲージメント」の向上と業績向上には強い関係が示され、近年注目されるようになってきました。 この従業員エンゲージメントという概念は、日本ではまだまだ馴染みの薄い概念です。 アメリカの調査会社ギャラップ社が2017年に発表した従業員エンゲージメントに関する調査では、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかいないという結果でした。参考までにアメリカは31%。その他の国と比較しても大きく乖離がでています。 ※調査結果はこちらから確認できます。 この調査結果からは、階層的なリーダーシップが強い半面、マネージャーがコーチングのような従業員の強みや・自主性を引き出すことが難しい状態であることや、日本独特の雇用制度や就業文化に基づいた組織中心の考え方が、逆に従業員の意欲を下げていることが伺えます。まだ日本企業では、従業員エンゲージメントを重視した経営が浸透していないことも要因と考えられますが、企業と従業員の間で強い信頼関係を築き、高い貢献意欲を醸成するためには、もっと個々の従業員のニーズや欲求に応える従業員中心の経営に移行する必要があるのかもしれません。 具体的なサービス そんなエンゲージメントを定点観測をするためのツールをご紹介します。 Glint https://www.glintinc.com/ 2013年創業のアメリカ・カルフォルニアの会社です。 ミッションは、「Our mission is to help people be happier and more successful at work.(人々が職場でより成功、より幸せになる手助けをする)」。 組織の健康状態と表してエンゲージメントの状態を可視化し、どんなアクションをするべきかなどのインサイトを提供します。 数百名から数万名規模の会社まで、大小様々な企業が利用しています。 市場の期待も大きく、2016年には$27Mの追加調達をしています。 まとめ ギャラップ社の調査結果でも分かるように、まだまだ日本では浸透しているとはいえない「エンゲージメント」という概念。しかし、自発的に貢献する意欲の高い社員が増えることで一人ひとりのパフォーマンスが向上し、それが最終的に組織力の強化につながっていくということは想像できます。 労働人口が減っていく現在、優秀な人材の確保は企業の重要課題にますますなっていきます。退職者を減らし、熱意を持って働く人を増やすためにも、まずは社員の現状を把握するためのエンゲージメント・サーベイを定点的に行い、そしてPDCAを回すことからスタートしてみてはいかがでしょうか。
ワインの豆知識 2018年6月28日 ソムリエに訊く!実際ワインのデキャンタってどうなの? 比較的高級なお店に行くと、ソムリエがデキャンタを使いながらワインを提供してくれることがあります。様々な形状が存在するデキャンタ。実際その効果はいかほどのものなのでしょうか?ソムリエに訊いてきました。 [目次] デキャンタとその効果 実際のところどうなの? デキャンタとその効果 デキャンタとはワインを移し替えるための容器です。ソムリエに訊くと、お店にあるデキャンタを紹介してくれました。※トップ画像参照 ところが、このデキャンタ、普段居酒屋などでみていたデキャンタと形状が大きくことなる気がしました。 ソムリエに訊くと、「居酒屋などで提供されているのはカラフェですね。デキャンタとは違います」とのことでした。(デキャンタというところもあるので、かなり曖昧である) カラフェとはいわゆるピッチャー、水差しのこと。特別な効果を期待するというよりも容器として使用している程度です。ボトルに対して2/3程度の分量のことが多く、グラスワインよりも多くボトルよりも少なめに提供したいときなどに使用されているそうです。 一方でデキャンタには様々な形状があり、ワインを美味しく飲むための工夫が施されているのが特徴です。空気と触れることで、酸化が起き、香り成分を揮発させたり、澱(おり)を除去するために利用されます。 ※澱(おり)とは・・・ワインの底にできる沈殿物。渋み成分であるタンニンなどが年月をかけ結晶化したもの。古いワインに発生しやすい。 冒頭画像の右から使用されるワインの種類としては 1若いワイン(香りを広めるために使用する) 2主に白ワイン系 3若いワイン古いワイン両方 4古いワインを使うことが多い とのことでした。 デキャンタを使用することをデキャンタージュといいます。 デキャンタージュした直後は味にバラつきがでるため、30分から1時間程度置いてからが飲み頃になります。 ちなみに、赤ワインだけでなく、白ワイン、シャンパーニュでもデキャンタを使用することはあり、生産者からのリクエストで指定されるケースもあるそうです。 実際のところどうなの? では、実際使用するデキャンタにより味はどのくらい変わるのでしょうか。 ソムリエに訊くと驚きの回答が。 「実はちゃんとした研究結果というものはないんですよね」 まだまだ研究しているところが正直なところで、使い分けることには意見も分かれるそうです。なんでもかんでもデキャンタしていた時代もあるそうなのですが、実際のお客様からリクエストがない限りあまりしていないとのことでした。 しかし、大きなデキャンタにワインを入れて、グラスに注ぐその光景はそれなりのパフォーマンスであるのも事実。スムーズに注ぐには練習としっかりとしたスキルも要求され、家では体験できない特別で楽しい気持ちになります。 「デキャンタは結構、流行り廃りがありますね。味の科学的な変化はともかく、パフォーマンスとして楽しんで頂くことでも十分な効果なのかなと思います。」 デキャンタで飲むワイン。その場の雰囲気も含めての本人の感覚で楽しむのがいいかもしれないですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年6月14日 ソムリエに訊く! ワイングラスの形状の秘密・持ち方、マナーなど ワインを楽しむにあたり切り離すことのできないワイングラス。 好きな人は、ワインと共にワイングラスにもこだわりますね。 色々な形がありますが、ソムリエに訊くとそこにはワインを美味しく飲むための理由が隠されていました。 [目次] ワイングラスの種類 持ち方やマナー まとめ ワイングラスの種類 有名なオーストリアのグラスメーカー リーデルのカタログにはワインに相性がいいようにデザインされているグラスが100種類ほど登録されています。 【リーデルのカタログ】 当然、飲むワインによりグラスも変わってきます。 参考までに、トップ画像のグラスは以下のワインを楽しむためのグラスです。 1 シャンパン 2 ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング (軽やかな白/カジュアルな赤ワイン) 3 ボルドー、カベルネソーヴィニヨン、メルロー(ボディがしっかりしている) 4 ブルゴーニュグラス、ピノ・ノワール、シャルドネ (香りがとりやすい) デザインが異なるため4のほうが少し大きく見えますが、3と4の口径は同じサイズになります。 そしてデザインが異なることで、ワインを傾けられる角度が変わります。 3の場合 4の場合 傾けられる角度により「舌」の出方が変わるとのこと。それにより味わいも変わるため、ワインにあわせてグラスを変えているそうです。 持ち方やマナー ワインのことを全く知らない本当の初心者だと、その形状からついこのように持ってしまうのではないでしょうか。 しかし、これはブランデーの持ち方です。ワインの場合は温度が変わりやすくなってしまうため、このような持ち方はお勧めしません。 ワインは次のように足をもつのが基本です。 理由を訊くと、美しく見えるからとのこと。(このあたりにワインの歴史を感じます。) そして、小指を少し立てて添えておくのも一つのポイント。置くときに衝撃からワイングラスを守ることができるとのことでした。 その他のワイングラスにおけるマナーも教えてくれました。 ・飲み口(口のあと)をさりげなく拭う(べたべたしないように) ・注ぐときには置いておく(注ぎやすいように) ・乾杯のときに鳴らすのはクラシックにはやめたほうがいい(グラスに傷がつく恐れがある) 小さなことですが、気にする人には目についてしまうのがマナーです。このあたりはぜひ覚えておきましょう。 まとめ 今回、ワイングラスの持ち方についてご紹介しましたが、ソムリエの意見としては、最終的には自分の持ちやすいように持ち、楽しむことが一番いいのでは?とのことでした。 ちなみに、サービスを提供するお店側の人がグラスを渡す際には、お客様がワイングラスの足を持ちやすいように、底のほうをもって手渡しするとのことです。 普段何気なく受けている所作のなかにもサービスを提供する側の配慮が隠されていますね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く