ワインの豆知識 2018年5月20日 ソムリエに訊く!ワインのラベルと瓶の形状から分かること ワインのラベルには多くの情報が記載されています。しかし、ブドウの品種が書かれているものもあれば、書かれていないものなど、ワインにより多少の違いが。 ソムリエに訊くと、そこには歴史のあるワイン業界におけるある一定の法則が存在していました。その法則とは何なのか?この情報をちょっと知っているだけで、ワイン初心者に一歩差をつけられます。 [目次] ワインの産地 伝統国とニューワールド ラベル 瓶の形 まとめ ワインの産地 伝統国とニューワールド ワインは産地により「伝統国」と「ニューワールド」という2つに大きく大別されています。 「伝統国」とはフランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパの国を指します。一方でアメリカ大陸やオセアニアなどのアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、などは「ニューワールド」と言われます。日本もニューワールドの一員になります。 ラベル ここで実際のラベルをみてみましょう。 こちらが伝統国フランス産のワインです。収穫した年や地名(Chablis=シャブリ村)や生産者の名前が記載されています。 こちらがニューワールド アメリカオレゴン産のワインです。 収穫した年や地名、生産者とともにPINOT NOIR(ピノ・ノワール)とブドウの品種が書かれています。 伝統国とニューワールドの大きな違いは「ブドウの品種の記載」です。伝統国では地域により使われるブドウの品種が規制されています。そのため、地名さえ書けばどのブドウ品種なのか分かるため省略されていることが多いそうです。 瓶の形 そして瓶の形にも違いがあることをご存知でしょうか? ワインの瓶の形は大きく、「なで肩タイプ」と「いかり肩タイプ」の2つがあります。 なんと地域により形状が決められており、「なで肩タイプ」はブルゴーニュ(=赤はピノ・ノワール、白はシャルドネ)、いかり肩タイプはボルドー(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどの5種類)となっています。 まとめ このように、生産された地域によりラベルや瓶の形状が変化していくのもワインの面白いところです。 伝統国のワインにはあえて品種を書かないところに、ワインの歴史を強く感じます。 書かれていないということはうんちくを語る大チャンス。 地域名と品種を勉強すればより一層大きな差をつけることができること、間違いなしです! 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年5月18日 企業が求める人材になるため何をすべきか – 人事・戦略コンサルタント松本利明さん×セレブレイン関伸恭【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第6回ゲストは、人事・戦略コンサルタントの松本利明さん。5万人以上のリストラと6000名以上の次世代リーダーの選定・育成に携わられた「人材の目利き」のプロフェッショナルです。1月に発売された著書「ラクして速いが一番すごい」が大ヒット中の松本さんに、企業が求める人材の条件とパーソナルブランディングについて伺いました。聞き手はセレブレイン パートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。 第6回ゲスト:松本 利明さん略歴 プライスウォーターハウスクーパース、マーサー・ジャパン、アクセンチュアなど大手外資系コンサルティングファームのプリンシパル(部長級)を経て現職。24年間で外資系、日系の世界的大企業から中堅企業まで600社以上の人事改革と生産性向上の実現を支援する。現在は、企業向けコンサルティングに加え、「すべてのムダをなくし、自分らしく、しなやかに活躍できる世界」に変革していくため、「持ち味の見つけ方、活かし方」をビジネスパーソンのみならず学生にも広めている。「ラクして速いが一番すごい」をはじめ、多数のベストセラーを執筆している。 なりたい自分ではなく、求められる自分になる 店長/加藤:メインのお料理に「国産牛ランプ肉の炭火焼きステーキ」をお持ちしました。添えてあるのはオーストラリア・タスマニア島のオーガニックマスタードです。これをすりつぶすと、一般的フレンチマスタードになります。 松本:おお、これはすごい! インスタ映えしそうですね(笑)。 関:本当ですね(笑)。私はこの粒マスタードが大好きです。ここはやはり赤ワインでしょうか。 店長/加藤:はい、ナパ・バレーの「シャペレ マウンテンキュヴェ」を合わせてどうぞ。こちらのワインは標高の高いところで収穫した4種類のぶどうをブレンドしており、ナパ・バレーらしくジューシーで凝縮感があります。お肉に負けないしっかりとした味わいですよ。 松本:このお肉は美味しいですね。柔らかくも噛みごたえがあって、旨味がぎゅっとつまっています。ボリュームたっぷりなのに、どんどん食べ進めてしまいます。 関:ワインと合わせることでさらに旨味が広がりますね。 松本:話を戻しましょう。もう一つの視点として、事業のライフサイクルのどこに自分が合っているのかを見極めることも重要ですね。 関:事業規模の成長に伴うステージ、ですね。 松本:事業のネタを考えることが得意なのか、事業を大きくしていくことが得意なのか、組織化して管理することが得意なのか。自分の資質がどのステージに合うのかを考えないといけません。 関:確かにポジションが同じだとしても、事業ステージによって求められる役割は大きく変わりますからね。 松本:結局、相手にどう喜んでもらうかということなんですよね。同じ「ありがとう」という言葉でも、中身はぜんぜん違います。仕事が速くてありがとうなのか、調整役をやってくれてありがとうなのか。 関:「ありがとう」の中身と自分の資質が合っているか、ですか。 松本:そうです。むりやりキャラ設定したとしても、その人の持つ資質と違っていたら破綻します。きっとうまくいきません。「ありがとう」と資質に一貫性を持たせないといけません。 関:そうでないと、自分の本来の姿とは異なるキャラクターを演じることになってしまいますよね。 松本:その一貫性が、パーソナルブランディングにつながります。パーソナルブランディングは、なりたい自分ではなく、求められる自分であるべきです。資質というものは20歳くらいまでに形成され、それ以降はほとんど変わりません。自分が資質として得たカードを仕事の中でどのようにうまく発揮していくか、ということがポイントなのです。 関:原点回帰ですね。見失いがちですが、大事なことだと思います。 松本:気をつけないといけないのは、自分の資質に合わないことであったとしても、時間をかけて努力するとちょっとだけ伸びるんですよ。そうやって身につけたものって苦労して獲得したこともあって、なかなか捨てられなくなるのです。 関:よくわかります。 松本:優秀な人材を獲得・育成していきたい企業側にとっても、社員の資質の話は重要です。野球で4番タイプばかり集めても勝てないのと同じ。リーダーと一言でいっても、その人なりの持ち味に合わせてポジションを考える必要があります。事業を太くするのが得意なリーダーもいれば、海外展開が得意なリーダーもいます。 関:日本企業の人材開発・育成は、そこがどうしても一つの同じ方向に流れがちですよね。 松本:能力には3つあって、まず根底にあるのが“資質”です。その上に“ポータブルスキル”。これは仕事を前に進めるために必要な汎用的なスキルで、どのような会社・職場でも通用するものです。その上に“専門性”があります。専門性は資質に合っていれば身につきます。となると、重要になってくるのはポータブルスキルになります。 ラクして速いが一番すごい 関:そこで自分自身の特徴をどう出せるかですね。今のようなお話が松本さんの著書「ラクして速いが一番すごい」にも詳しく書かれていますが、この書籍はどんな方に向けて執筆されたのですか? 松本:30代くらいで、社員200名くらいのオーナー会社か大手の子会社に勤めていて、会社に問題意識を持っている方ですね。 関:読者のターゲットがすごく具体的ですね! 拝読しましたが、読みやすいですし、行動レベルにまで落とし込んでくれているので、仕事を効率的に進めていくために明日からでも実践できるエッセンスがぎゅっと詰まっています。 松本:ありがとうございます。タイトルから仕事術の本と思われることも多いのですが、実はコミュニケーションの本であり、キャリアの本でもあるんです。 関:企業で働いていると実際にこういうシーンってあるなと感じるエピソードがたくさん書かれていて、弊社の若手コンサルタントにも読ませたいと思いました。最後に読者に対してメッセージをいただけますか? 今は働き方改革やグローバリゼーションやダイバーシティなど、いろいろと言われている時代ですが……。 松本:今は誰にでもチャンスがある時代ですよね。だけど、こうすればいいというロールモデルがない時代でもあります。そんな時代を生きるためには、繰り返しになりますが、なりたい自分ではなくて、資質に基づいて求められる自分になることが大事だと思います。 関:とても勇気づけられる言葉です。本日はありがとうございました! 今回のお店 あじる亭カリフォルニア 赤坂・赤坂見附からすぐのアメリカワインと炭火焼きのダイニング。カジュアルなワインから希少性の高いカルトワインまで200種類以上の品揃え。ソムリエ資格をもつシェフがカリフォルニアキュイジーヌとワインを絶妙にマリアージュし、腕を振るっています。 (都合により4月末日を持って閉店しています) 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。今回のお料理とワインもすばらしいマリアージュ! 実際にいただいてみると、料理とワインの要素やトーンがぴたりと一致していて感動すら覚えます。 ミニハンバーガーのスライダーは、見た目にもフォトジェニックですし、何と言っても甘辛い味噌煮込みが絶品。男性は特に好きな味じゃないでしょうか。 そしてランプ肉の炭火焼きステーキ! 肉、肉、肉で思わず笑顔になってしまう一皿。出てきた瞬間、対談されていたお二人の顔がほころんだのが印象的でした。「シャペレ マウンテンキュヴェ」とのマリアージュはあまりにも完璧なので、ぜひ一度味わっていただきたいところです。
コラム 2018年5月15日 関 将宏 AI最前線で!「ヒトの認識能力」の再発見と開発 最近、採用の現場で候補者のデータをAIツールで分析し、選考を行う企業が頻繁に取り上げられている。ところが先日、採用選考にAIの導入を検討したが見送った会社の例に出会った。 AIの方が人間と比べ圧倒的な処理速度で判定が出る上、特段に的外れな点はなかったにもかかわらずであった。理由は、AIが「なぜその人を選んだのかを説明しないこと」にあったという。「採用は非常に責任を伴う判断であり、判定の合理性を多面的にチェックする必要がある」ということで、改めて1人1人の判定理由を検証したところ、「結局、従来とやっている事が変わらない」という結論になり、導入を見送ったとのことであった。 この例は「データ分析ツールがいくら高度になっても、それだけでは必ずしも現状の変革や進化につながらない」 という、興味深い示唆に富んでいる。 実際、著名なデータサイエンティストである、大阪ガス(株)ビジネスアナリシスセンター所長、河本薫氏も、著書『会社を変える分析の力(講談社現代新書)』の中で、「ITや分析手法をどんなに備えても、データから問題を解明するプロセスを構想する力がなくては、意味のあるデータ分析は生まれない・・」「どんな分析問題に挑むか、どのようなデータを集めるか、どのような分析手法を用いるか、分析結果をどのように解釈するか、すべては人が考えること・・」と述べている。 要は、データ分析を適切に進めるには人によるマネジメントが不可欠ということである。 セレブレインでは最近、人事データの分析に関連するプロジェクトを幾つか手掛けている。静的な人事情報に加え個人の評価項目の内容や勤怠、日報等のデータから、ハイパフォーマーの特徴や退職・休職者の傾向を早期に見出し、政策の提言を行うものである。 私も実際にプロジェクトで分析に携わったが、当初想像していた 「データを取集してインポートし、後は機械に処理してもらうだけ」というメージとは大きギャップがあった。 AIを実践的に活用するには、ヒトのもつ認識能力の重要性を理解し、以下のようなアプローチでしっかり対応していくことが望ましいのではないかと考えている。
ワインで対談 2018年5月13日 企業が求める人材になるため何をすべきか – 人事・戦略コンサルタント松本利明さん×セレブレイン関伸恭【前編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第6回ゲストは、人事・戦略コンサルタントの松本利明さん。5万人以上のリストラと6000名以上の次世代リーダーの選定・育成に携わられた「人材の目利き」のプロフェッショナルです。1月に発売された著書「ラクして速いが一番すごい」が大ヒット中の松本さんに、企業が求める人材の条件とパーソナルブランディングについて伺いました。聞き手はセレブレイン パートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。 第6回ゲスト:松本 利明さん略歴 プライスウォーターハウスクーパース、マーサー・ジャパン、アクセンチュアなど大手外資系コンサルティングファームのプリンシパル(部長級)を経て現職。24年間で外資系、日系の世界的大企業から中堅企業まで、600社以上の人事改革と生産性向上の実現を支援する。現在は、企業向けコンサルティングに加え、「すべてのムダをなくし、自分らしく、しなやかに活躍できる世界」に変革していくために、「持ち味の見つけ方、活かし方」をビジネスパーソンのみならず学生にも広めている。「ラクして速いが一番すごい」をはじめ、多数のベストセラーを執筆している。 大企業へのアドバイスから個人のキャリア相談まで――松本さんの多彩な仕事ぶり 関:松本さん、あじる亭カリフォルニアにようこそ。あじる亭カリフォルニアは、カリフォルニアワインとこだわりの炭火焼料理を楽しむお店です。松本さんは、ワインはお好きでしょうか? 松本:好きですよ。お酒は大好きで、“シングルモルト普及委員会”というウイスキー入門者向けの試飲会を開催しているくらいです。ワインも好きですが詳しいわけではありません。というよりもあえて詳しくならないようにしているといいますか……ワインは奥が深いので、詳しくなろうとするとどんどん凝ってしまいそうなので(笑)。 関:(笑)。今日はぜひ楽しんでください。まずはスパークリングワインで乾杯しましょう。 松本:スパークリングワイン、おいしいですね。 関:食欲がわきますよね。今日は人事の話題を中心にいろいろとお話を伺わせてください。 松本:こちらこそよろしくおねがいします。関さんはセレブレインの前はどちらにいらっしゃったのですか? 関:前職はタレントマネジメントシステムを提供している会社で、セールスとマーケティングに携わっていました。その後、ご縁があってセレブレインに。松本さんが独立されたのはいつ頃ですか? 松本:約5年前ですね。20年以上は外資系大手のコンサルティング会社で人事分野のコンサルティングをした上で、40歳を過ぎたら独立してコンサルタントをすると決めていたんです。 関:そうでしたか。おっと、最初の料理がやってきましたよ。店長の加藤さん、ご説明をお願いします。 店長/加藤:最初のお料理は、「フランス・ロワール産ホワイトアスパラのサラダ 生姜とレモンの香り」と「昆布と真鯛のカルパッチョ」です。 松本:これはおいしいですね。ホワイトアスパラは香りが爽やかで、スパークリングワインにも合います。カルパッチョも身がしっかりしていてすばらしい。 関:ホワイトアスパラの食感も良いですし、緑が映えます。昆布締めも旨味が広がりますね。さらに食欲がわいてきました(笑)。 店長/加藤:合わせるワインはカリフォルニアの産地、ナパ・バレーのシャルドネ「マヤカマス・ヴィンヤーズ シャルドネ」です。特に90年台のカリフォルニアワインはインパクト重視で、しっかり樽を利かせるものが多かったのですが、こちらは樽を利かせつつも派手ではなく、クラシカルに造られたシャルドネです。旨味たっぷりの真鯛と相性抜群ですよ。 関:まろやかな品のある味わいですね。 松本:香りもよく、ぴったりですね。次のお料理とワインも楽しみになってきました。 関:松本さんは人事を中心とした企業へのコンサルティングサービスから書籍の執筆までとても幅広くご活躍されていますが、最近はどのような仕事に関わられることが多いのでしょうか? 松本:好きな仕事しかしていないのですが(笑)。基本的には企業を対象にした経営・人事領域のコンサルティングが多いですね。コンサルティングに加えて、本の執筆やメディアへの寄稿、個人のキャリア相談に乗ることもあります。 関:そういえば、東京ワーキングママ大学で女性のキャリア開発支援をされているとお聞きしました。 松本:はい。東京ワーキングママ大学は、子育てをしながら自分らしいリーダーとして活躍するためのビジネススクールになります。働く女性を支援するという主旨に賛同しまして、講師や受講者のキャリア開発支援を行っています。 関:そうなのですね。数多くの会社で人材開発に携わられた松本さんのアドバイスがあれば百人力ですね。 松本:私は、企業への人材紹介や私塾などは行っていないので、そういう意味では無理に転職を勧めたり、私塾に勧誘したりすることがないので、客観的に本音でアドバイスができるというのはありますね。 関:なるほど。 松本:少し前に行政関係の仕事で、50歳前後で大企業から成長産業へ転職する方々のキャリア指導の講座を受け持ったのですが、通常そういう方の転職成功率って2%くらいなんです。ところが私が担当したら、3年連続で25%以上の方がご自身が満足されるキャリアへ転身をすることができました。 関:それはすごいですね! 50歳を過ぎてキャリアチェンジをはかるというのは、簡単なことではないと感じます。 松本:私は毒舌なので、いきなりこう伝えるんです。「50歳をすぎて会社を移るということは、アルバイトか幹部として向かい入れられるかの二択しかない。それ以外の発想はなくしてください」と。 関:厳しいコメントですね。 松本:相談者の方々のそれまで生きてきた人生は決して間違ってはいません。それでも転職がうまくいかないのは、これまで培ってきた経験から何を引き出せば勝てるのか教わっていないからです。要は“大人の自己紹介”がきちんと出来ていないのです。私は企業側がどのような人材を求めているか理解していますので、その重要性を伝えることができます。 関:それはぜひ伺いたいですね。その前に次のお料理がきました。 欠点やコンプレックスこそ自分の“持ち味”にするべき 店長/加藤:続いては「スキレット スライダー」です。スライダーというのはミニハンバーガーのことで、こちらは牛肉の味噌煮込みを中に入れてあります。ワインはサンタバーバラの涼しい味わいの「ピエドラサッシ PS(ピーエス) シラー 」をご用意しました。 松本:これは見た目が可愛らしいですね。 関:ミニハンバーガーのことをスライダーというのですね。はじめて知りました。 松本:うん、おいしいです。味噌煮込みということで、少し和のテイストを感じます。 関:赤ワインのエレガントな果実味がマッチしますね。想像以上にぴったりの味わいです。 松本:ワインとお料理がお互いに引き立て合う組み合わせですね。すばらしい。 関:お話を戻して、先ほどの“大人の自己紹介”についてもう少し詳しく聞かせていただけますか。 松本:普通は自分の実績や強みをPRしがちですが、それでは他者と差別化ができません。「ソニーで30年」「パナソニックで29年」など、本人達はPRしているつもりでも、採用側からみるとどんぐりの背比べなのです。大人の自己紹介は「私がその会社にリソースとして加わることで、こんな課題をこう良くできます。それを証明する根拠となる実績はこれです。」と自己PRの1行目に書くことです。コツは強みではなく、持ち味から提供価値を考えることです 関:持ち味と強みの違いを教えていただけますか。 松本:強みは他の応募者と被りやすいものですし、もっと強い人がでてくれば負けます。持ち味は心理学でいう資質です。20歳くらいまでに形成される価値観・性格・根本的な動機で、一度形成されると変わりにくいものです。50歳前後となると資質を活かしたエピソードや実績はあるものです。その中から相手の企業で喜んでくれそうなものを取り出すのです。 関:なるほど。確かに強みは他の応募者と被りやすいですね。ただ、新卒採用の時に習った強みを自己PRするという以外のやり方をアラフィフの方々は受け入れてくれるのですか? 松本:大企業でずっと働いてきた方々にはプライドが高い方も多いので、私のやり方ではまずは10社くらい受けていただいて落ちるところからスタートします。 関:いきなり心が折れそうですね(笑)。 松本:そこからがスタートです。適性試験や実習を通して資質を浮き彫りにして、大人の自己紹介を作り込みます。そのプロセスで忘れていた本当の自分の良さを抽出し、伝え方を学ぶのです。 関:その人が輝ける道がきっとあるはずですよね。特に成長途上のベンチャー企業は、経験のある人材を求めています。 松本:そうですね。大事なことは「自分が入るとその会社がどうなるのか」という仮説を立てること。それは意外なところにあるかもしれません。たとえば、とある方は専門能力としては一見パッとしないようにみえましたが、部下が一人も辞めていないという実績がありました。ということは、どんどん人が辞めていってしまう企業の管理部門ならニーズがあるのではないかという仮説が立てられます。それを実際に書いていただいたら、すぐに決まりました。 関:直属の上司との人間関係、というものは職場でいきいきと働くにあたっての重要なファクターですよね、退職理由のランキングで取り上げられることも多いですし。 松本:ポイントは、自分自身の欠点やコンプレックスというものは、実は個性につながっているということです。たとえば太っているという特徴は一般的に欠点と思われるかもしれませんが、見方によっては癒し系といえるかもしれません。人間は自分をかっこよく見せたくなりますが、本当の魅力というのはむしろ、欠点をうまく見せることで伝えられるのです。 関:そういうものを見つけることができれば、転職においても強い武器になるということですね。 松本:一つ、例としてお話しましょう。昔の編集者はお酒が飲めることが大事でした。なぜなら、作家の先生と付き合うためには一緒にお酒を飲めないといけなかったからです。ところが、とある編集者の方はお酒が全く飲めませんでした。 関:それは困りますね。欠点を克服するなら、少しでもお酒を飲めるように頑張る方へ向かいそうですが……。 松本:酒が飲める編集者はたくさんいます。そのため、その方はそこで勝負してもしょうがないと考えました。ただ話をすることや聞くことは上手でした。そこで、作家先生が考えていることを先回りして調整していったそうです。その結果、お酒の場でのコミュニケーションがなくても、信頼をされるようになり、うまく仕事を進めることができるようになったのです。酒が強い編集者はたくさんいるが、こまごましたことを調整してくれて執筆に集中させてくれる編集者は他にいないと。持っている資質を活かすことでオリジナルな存在になれば強いのです。 関:これまで必ず必要と思われていたことができなくても、自分の得意な領域に注力することで、相手との信頼関係を築くことに成功したのですね。今のお話は参考になるという方も多いのではないでしょうか。 ここまで前編では、松本さんの多彩な仕事ぶりやキャリア開発に取り組んでいく上での重要な視点について話し合ってきました。 次回の後編では、企業に求められる人材になるために大事な視点とは?にフォーカスをあてて詳しく語っていただきます。 今回のお店 あじる亭カリフォルニア 赤坂・赤坂見附からすぐのアメリカワインと炭火焼きのダイニング。カジュアルなワインから希少性の高いカルトワインまで200種類以上の品揃え。ソムリエ資格をもつシェフがカリフォルニアキュイジーヌとワインを絶妙にマリアージュし、腕を振るっています。 (都合により4月末日を持って閉店しています)
人事施策 2018年5月06日 報酬だけではない!レコグニションの仕組み化で社員エンゲージメントを高める 日本の労働人口が減少している現在、社員ひとりひとりのエンゲージメントを高め、長期的に活躍してもらうことは企業や人事部門にとって重要な検討事項です。 では、どのようにすればエンゲージメントを高めることができるのか?今回は「レコグニション」についてご紹介します。 [目次] レコグニションとは? レコグニションを構築するための5つのポイント 海外のレコグニションプログラム提供サービス まとめ レコグニションとは? 「レコグニション」とは、日本語に直訳すると「認識」や「承認」という意味です。人事用語としては、「社員の活躍を認め、承認・称賛することを仕組み化する」ことです。以前、リワードプログラムについて紹介しましたが、「社員の活躍に対して報いる」という意味ではリワードもレコグニションも同じです。しかし、大きな違いとしては、リワードは金銭を伴うインセンティブのことを指し、レコグニションは非金銭的報酬で承認・称賛することを指します。社員の取り組んでいる仕事に価値があることを示し、ポジティブな職場の雰囲気を作りだすなど、より企業カルチャーへの影響が強いのが特徴です。 具体的な例としては、表彰制度、社内SNSで称賛しあう文化、ありがとうカードなどがレコグニションになります。 レコグニションを構築するための5つのポイント 最近の研究では、社員に対して前向きなフィードバックをするには、次の5つのポイントが重要であることがわかってきました。 1.即時 あとでまとめてフィードバックするよりも、その時々にすぐにフィードバックをする方が効果が高いと言われています。 2.誠実 何かを意図してやテクニックで承認・称賛をしても相手には響きません。承認・称賛は心から伝えることが大切です。 3.具体性 「いい仕事したね」などの曖昧な表現よりも「前年比200%の売上達成はとても素晴らしいね」など具体的に表現するほうが相手によく伝わります。 4.バランス 感謝する対象に対するレコグニションの釣り合いも重要なポイントです。メールで伝えるのか、電話で伝えるのか、わざわざ会って言うのかなど、伝え方だけ考えてみても重みが変わります。 5.ポジティブ 「これは×だけど、これは◯だね」などのように批判的なことと一緒に行うと効果はでません。良いことだけをフィードバックすると効果が高まります。 どれも受けて側にたつと納得のポイントです。これらの5つのポイントをレコグニション構築の際には念頭におくことで、効果の高い仕組み構築が可能になるかと思います。 海外のレコグニションプログラム提供サービス このような承認・称賛について、特に昔の日本では暗黙的という考え方が強く、あえて言わないという文化的な側面もある気がします。一方で欧米では必要なことは仕組み化していく、具体的にアクションをしていくという文化的な傾向があり、レコグニションについても、サービスが生まれてきています。 Achievers https://www.achievers.com 2002年に設立されたカナダの会社です。「Change the way the world works(世界の働き方を変える)」ミッションに掲げ、レコグニション、リワードに関するプラットフォームを提供しています。 ※レコグニション単体のシステム(承認・称賛を可視化するなどのシステム)はあまりなく、リワード(外部サービスと連携した福利厚生)がセットになるシステムが多くなります。 まとめ 個人の価値観によりますが、世の中報酬だけを目的に働く人だけではありません。ましてや、モチベーションは些細なことで大きく変わります。 最適なレコグニションの構築は経営的な観点からも、お金をかけずとも業績があがるという経済的合理性を発揮します。また、会社の文化構築や変革にも大きく寄与するため、働きやすい職場という競合優位性にもつながります。 継続的かつ頻発に承認・称賛が発生する仕組みを組織に作り込むことで、社員のエンゲージメントが向上し、イキイキと働くことや高いパフォーマンスを発揮することが期待されます。 自社に合うレコグニションの構築を人事施策に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ワインの豆知識 2018年4月25日 どこまでこだわるべき?ソムリエに訊く家庭でのワインの保存方法 コルクを抜いた飲みかけのワイン、家庭ではどのように保存していますか?初心者には難しそうな気がするワインの保存方法。どうすれば美味しさを保てるのか、ソムリエに訊いてきました。 [目次] ワインの保存、気を付けること 道具の紹介 まとめ ワインの保存、気を付けること 「ワインをうまく保存をして美味しさを保つ」とはどういうことのなのか? ソムリエの回答は①抜栓前「熟成という過程を経てより美味しくする」②抜栓後「酸化をできるだけ防ぎ、飲み頃期間を延ばす」とのことでした。 ワインに限らず醸造しているお酒は一般的に熱に弱く、急激な温度変化があると劣化が進み、本来望まない酸味や不快な香り、味わいになる可能性があります。既に発酵しているため腐ることはしませんが、極端なことをいうと、お酢のようになってしまいます。 うまく保存することができると、味が熟成されていき、旨味やコクが増え、ワインもオレンジがかってきます。(イメージ的にはキノコや紅茶のような味わいがでてきます。) 保存するときのポイントは次のようになります。 【保存するときのポイント】 ・12度から14度程度(16度を超えての長期保存は劣化や再発酵の可能性がある) ・湿度70%程度(乾燥しているとコルクが乾いてしまったり、蒸発の可能性がある) ・暗いところ(紫外線があたると酸化を早まる) いわゆるワインセラーはこれらの条件をキープするための道具とのこと。 ワインセラーがなく家庭で保存するときには、豆知識として以下のアドバイスをもらいました。 【家庭でワインを保存するときの豆知識】 ・急激な温度変化のない場所、暗所が良い(30度を超える場所は危険) ・湿度が欲しいので冷蔵庫にいれる場合は野菜室(チルド室)がオススメ ・新聞紙で巻く(紫外線を防いだり、保湿の意味) ・ラベルを汚したくない場合にはサランラップを巻く 道具の紹介 栓をあけた後に「酸化をできるだけ防ぐ」ための道具もいくつか販売されています。 そのなかで今回は3つほどご紹介いたします。 1. バキュバン 空気を抜くことで酸化を防ぐ道具です。(なんとなく、香りも一緒に出ていってしまうのではないか?そんな意見もたまに聞きます。) 2.アンチ・オックス カーボンがついている栓です。栓をするだけで、このカーボンにより酸化を防ぐことができます。日付けがついているため、いつ栓をしたかを管理することもできます。 3.コラヴァン 窒素ボンベが入っており、ワインを注ぐと空気のかわりに窒素が入る仕組みになっています。酸素が入らないため酸化を防ぐことができます。 この窒素部分は交換可能ですが、1杯換算約100円のコストが発生します。そのため、高いワインでないと効果に見合いません。家庭でつかうというよりも、お店でグラスワインを提供するときに使用されているケースが多いと思います。 余談ですが、海外では窒素ではなく、アルゴンガスを使用しているものもあります。日本では、アルゴンガスが食品添加物として認められていないため、使用されていません。 まとめ よく「製造されてからいつ頃のワインが飲み頃ですか?」と訊かれることがあるそうですが、結局は好みになるためなんともいえないとのこと。生産者は「出荷したときから飲み頃」という事が多いです。ソムリエとしては、熟成してどれくらい耐えられるかを見極めますが、プロでも意見が分かれるところであり、評論家の一つの見解にすぎないそうです。ソムリエからの意見についても、ひとつの参考として考えていただくのが良いと思います。 コルクを一度抜いたあとの保存方法については、その人がどこまでこだわるかによります。コルクを差し直して、冷蔵庫に入れておくだけで気にならないひともいれば、あらゆる道具を駆使して少しでも酸化を抑えたいひともいます。(ちなみにソムリエが家で飲む場合は1週間以上経っても平気で飲みます。ただし、味の変化はありますから、それを楽しむという前提が必要です) 結局のところ、コルクを抜いたあとは「できるだけ早く飲む」に越したことはありません。酸化を遅らせることはできても止めることはできないからです。 道具によってどれくらい遅らせることができるのか? 興味のある人は今回ご紹介した道具を一度試してみてはいかがでしょうか? 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年4月23日 形だけだった日本のタレントマネジメントがやっと変わり始めた – プラスアルファ・コンサルティング鈴村 賢治さん×セレブレイン幸前 夛加史【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第5回ゲストは、株式会社プラスアルファ・コンサルティング取締役副社長の鈴村 賢治さん。マーケティング領域から参入された鈴村さんならではの視点で日本の人事の課題に切り込んでいただきました。聞き手はセレブレイン取締役パートナー 人事戦略コンサルティング担当・幸前 夛加史が務めます。 第5回ゲスト:鈴村 賢治さん略歴 株式会社野村総合研究所を経て、2007年にプラスアルファ・コンサルティング創業。取締役副社長に就任。データ分析やテキストマイニングを使ったCS(顧客満足)向上やビッグデータ活用プロジェクトを数多く推進。CS向上にES(従業員満足)向上が欠かせないこと、自らが経営者として感じた人材マネジメントの解決手法として「タレントパレット」を開発。幅広い業界での人材活用・育成・離職防止の推進・啓蒙を支援している。 タレントパレットが生まれたのは「自分たちが必要だったから」 鈴村:実はタレントパレットを製品化したのは、自分たちが必要としていたからなんですよ。 幸前:えっ、そうなんですか。 鈴村:ええ、社員が少ないときはコミュニケーションをしっかりとれていたのですが、100人を超えると全員と密なコミュニケーションを取り続けることは簡単ではありません。社員のことはわかっているつもりだったのに、ある日突然「仕事が合わないので辞めます」とか想定外の理由を聞かされてショックを受けたりするケースも増えてきたんです。社員のことをちゃんと理解できていなかった、と。 タレントパレットの原点は自分たちの会社経営での課題に対して、弊社が得意とするデータ活用の観点から解決できないかというところなんです。だから、タレントパレットは弊社が一番のヘビーユーザーです(笑)。 幸前:社員のモチベーションの状態がわからないと、タレントマネジメントはできませんよね。モチベーションは人間関係によっても違ってきます。スポーツのチームも監督が変わるだけで大きく変わりますし。 鈴村:実は新バージョンで「上長変化」という機能が実装されたんですよ。これまでも「異動変化」という機能があって、これは部署を異動したことでモチベーションが上がったか下がったかを抽出する機能です。ただ、モチベーションの上下にはもう一つ大きなトリガーがあることがわかりました。それが「上司が変わること」だったのです。 幸前:たしかに、人間ですので、相性の良し悪しはありますからね。 鈴村:そうなんです。こういうことがわかれば、社員のことを考えて異動を行ったのに、その意図がきちんと伝わらずにモチベーションが下がり、結果的に離職してしまうような不幸な出来事はなくなっていくと思うんです。 幸前:なるほど!相性を見える化することで、そういったことにも生かせるんですね。 鈴村:そうなんです。人の相性というのは内面の情報ですよね。同じ大学だったとか、同じ釜の飯を食ったからとか、そういうことも実は相性を知る重要な要素だと思います。そのような相性を見える化したい。どういう情報をどのように掛け合わせると、人の相性が見える化できるか、そのようなことにもチャレンジしたいと思っています! 店長/加藤:続いてのお料理は当店の看板メニューでもある「四川唐辛子のペンネアラビアータ」です。ベーコンやアンチョビがたっぷりで、旨味と辛味のバランスの良いお料理です。 鈴村:イタリアンと四川の融合とはユニークですね。 幸前:鈴村さんは辛いのがお好きということですので、ぜひこちらも。 店長/加藤:合わせて赤ワインをどうぞ。南フランスのドメーヌ・ド・ガブラという作り手のテール・ルージュです。温かい味わいでスパイシーかつジューシー。スパイスと相性の良い赤ワインですよ。 鈴村:これは合いますね。料理だけでもいいけれど、これはワインがあるとまた違いますね。 幸前:絶妙な組み合わせですね。 人事情報には多くの定性情報が眠っている 幸前:そういえば、タレントパレットには、テキストマイニングの機能が最近ついたんですよね? 鈴村:そうなんですよ! 幸前:そもそもテキストマイニングとはどういうものですか? 鈴村:テキストマイニングは、自然言語解析技術を使ってテキスト情報を分析して、定量的に発言内容や発言傾向を分析するための手法なんですが、実は、弊社はこの分野で国内トップシェアの技術と実績を持っているんです。 これまでは、主にマーケティング業務において、顧客アンケートの自由回答の分析や、最近ではソーシャルメディア、特にTwitterなどの膨大な量の投稿内容の分析で活用されてきました。 幸前:それを、今回人事業務領域に持ち込んだと? 鈴村:はい。人事情報にも定性情報が多く存在しています。例えば、社員アンケートのコメントや自己申告書にある“将来のキャリア希望”などの自由回答、面談時のメモ、それこそ、採用におけるエントリーシートも貴重な定性情報です。そのほとんどが管理はされているものの、十分にデータ活用されていないのではないかと考えています。 幸前:たしかに、そもそも定性情報というのは、通常は1件1件読まないと内容を読み取れないので、現場で活用していきたいと思っていても、分析するのは簡単ではないですね。 鈴村:離職防止分析の1つに「離職ワード分析」という機能があるのですが、実際に、過去の業務日報や満足度調査の自由回答から、在籍者と離職者の発言傾向の違いを分析してみると、離職者には、特に「業務量」とか「相談しにくい」というキーワードの出現が多いことが分かりました。こういうのが分かれば、似たような発言をしている社員がいたら早めにフォローした方がよいわけで、こういうのが離職防止につながると考えています。人事領域に眠っている定性情報は、これからの科学的人事に欠かせない宝の山だと思っています。 店長/加藤:続いてのお料理は当店の新しい名物の一つでもある「刺激的なスパイスたっぷりの痺れ豚」です。八角を利かせて甘辛く似た豚バラ肉に、当店で「痺れスパイス」と呼んでいるスパイスをふりかけています。 鈴村:痺れスパイス、すごそうですね。 店長/加藤:実山椒をメインに、ニンニクやフライドオニオンなどをシェフが独自にブレンドしたスパイスになります。 幸前:おおっ、これはピリッときますね。 鈴村:心地いいスパイス加減です。なるほど、痺れ豚、ですか。 店長/加藤:お料理に合わせるワインは、先ほどよりも、もう少ししっかりした味わいの南アフリカのクライン・ザルゼ・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨンを。 鈴村:ヨーロッパ風なのにどこかアジアな感じもあって、すごくおいしいです。 たしかにこれは赤ワインがあるといいですね。 幸前:僕も大好きで、毎回頼みます。 鈴村:これはワインが進んでしまいます(笑)。 日本の人事はいよいよ立ち行かなくなる段階にきた 幸前:それにしても、日本も今までの人材マネジメントスタイルでは人事部門が立ち行かなくなったというところにやっときたような気がしますね。どこかの時点で人事が経営や事業運営から切り離されてしまったように感じています。 鈴村:そうですね。たとえば人事評価は半期に一度という会社が多いですが、なぜ半期ごとなんですかと聞いても誰も回答できない。半期に一度面談だと、社員も評価の前になると急にやり始めたり、仕事のつじつまを合わせようとする。本来は日々の業務の中でリアルタイムに目標に対する達成感や満足感を図り、フィードバックしていくような動きに変えていかないと本質には変わらないと思います。 幸前:なかなか難しいところはありますね。人事評価を人事制度という全体のルールの中でどううまく運用するか、という儀式的なものになってしまっている会社も確かにあります。 鈴村:人事部門にはある程度文化を守る力学が働いていると思います。だけど、本当の人材活用を行うためには、自分たちのミッションについて、情報を管理するという観点から、積極的に経営や現場マネジメントの意思決定支援に活用していくというように、自らの役割を変えていかないといけないと思います。 幸前:それでいうと、ようやく節目に来たかなという感覚がありますね。たいていの人事トレンドがそうですが、アメリカから3年から5年遅れくらいで日本に入ってきています。ただ、タレントマネジメントという考え方が日本に入ってきたとき、日本にはまだいわゆる年功序列、終身雇用における職能等級制度というのがあって、一人ひとりというよりもマスで人材管理を行っていく文化でした。 鈴村:日本の文化とタレントマネジメントが組み合わさった混沌期があったわけですね。 幸前:モチベーションやタレントマネジメントの重要性って、実は15年くらい前から日本でもずっと言われ続けているんです。だけど、なかなか進まずに形だけになってしまっている側面もありました。ところが、いよいよ“社員が辞めていき、人が採れない”ということが課題になってきて、お尻に火がついたんですね。 鈴村:いよいよ日本の人材マネジメントも変革の時を迎えているわけですね。今日はとても楽しく会話ができました。ありがとうございました。 幸前:こちらこそ、熱い議論をありがとうございました! 今回のお店 あじる亭レピス 店名の「レピス」は仏語でスパイスの意味。世界のスパイスを使った料理とソムリエ厳選ワインを南仏のバルのようなおしゃれな空間で楽しめます。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。あじる亭レピスのスパイスのきいた情熱的な料理はどれも絶品。食べれば食べるほど食欲がわいてきます。 鈴村さんのお話もまさにあじる亭レピスの料理のごとく、刺激的な言葉が次々に飛び出す熱い対談となりました。 個人的に、料理で特に印象に残ったのは「トリュフ風味のスクランブルエッグ」と「刺激的なスパイスたっぷりの痺れ豚」。 ワインとの相性も完璧で、こんなマリアージュが楽しめるのは一流のシェフと“全員ソムリエ”のあじる亭レピスだからこそ。 鈴村さん、幸前さんのお二人も感動されていましたが、たしかにこれは何度訪れても毎回頼んでしまうと思います。ぜひお店を訪れたら真っ先に注文していただきたいですね。
コラム 2018年4月17日 AI時代の「新たな働き方改革」と人事データの活用 テレビなどのメディアでAIがプロ将棋名人に勝利したニュースが大きく取り上げられていましたが、今やAIや機械学習に関する記事を見ない日はないほどに注目を浴びています。さまざまな職種で、人が行っていた仕事をAIが取って代わる状況が生まれつつあり、これからの働き方改革は「AIを実装したシステムや機械といかに共存していくのか」が主要なテーマになるのではと予想されます。 企業の人事部門でもAIを活用した採用選考や人材配置に取り組む例が出てきています。また人事データの分析にAIを活用し、新しい気づきや発見を得て、経営課題の解決に取り組む動きもあります。 今回は、これらの人事データ分析におけるAI活用のメリットと成功のために欠かせないデータ準備の在り方についてお話ししたいと思います。
HRTech 2018年4月16日 採用活動にもテクノロジーを!採用チャットボットを活用した初期スクリーニングの実現 タレントプールや次世代型適性検査など、HRTechの利用はリクルーティングにも広がりをみせています。リクルーティング活動におけるHRTechとして、今回は採用チャットボットをご紹介します。 [目次] 採用チャットボットとは? メリット 活用事例 まとめ 採用チャットボットとは? AIを活用したシステムを介して、メールやSNS、メッセージングアプリなどで応募者とのやりとりができるシステムのことを採用チャットボットといいます。 チャットボットは顧客サポートの領域では徐々に利用が進んできています。それをリクルーティングのプロセスにおいて活用しているのが採用チャットボットです。 リクルーティングの流れは、大きく以下の4つに分類されます。 1. 採用の告知 2. 応募者の募集 3. スクリーニング(一次選考) 4. インタビュー設定 2、3、4のプロセスでは、通常は応募者とのやりとりを採用担当者がマンパワーをかけておこなっています。人に近いユーザーインターフェースを用意することで、これらの業務を可能なかぎり自動化するのが採用チャットボットです。 メリット 採用チャットボットを活用することで、応募者からの質疑応答対応の自動化とともに、やりとりを通じて応募者の経験やスキルレベルを取得することができるため、スクリーニングまで実施することができます。 これまでは、人材を大量採用するときは、セミナーを開催し、N:1のやり取りを経てインタビューまでの絞り込みをしていました。しかし、これらの業務を工数をかけることなく1:1のコミュニケーションを行い、やり取りのログなども残しデータを収集することで、採用プロセスを効率化・スピードアップさせることができます。さらに応募者の満足度向上やデータ分析など新たな価値の創造も期待されています。 活用事例 アメリカでは、陸軍の採用活動にこの採用チャットボットは活用されています。 ASK SGT STAR https://www.goarmy.com/ask-sgt-star.html こちらのバーチャルガイドに様々な質問をすることができます。 「Launch SGT STAR」をクリックするとチャットボットが出現します。 こちらに質問を入力すると即座に返信がきます。 「How do I apply? (どうやって申し込みすればいいですか?)」のような適切な質問に対してはWEBサイト自体も反応し、適したサイトへ切り替わります。 このようにして、サイト訪問者を適切なページに誘導し情報提供を自動化しています。 まとめ これまで、リクルーティング用のシステムとしては、ATS(Applicant Tracking System 応募者管理システム)が多くの企業に導入されてきました。 しかし、ATSはプロセス管理のツールであり、応募者とのやりとり自体は人手を介して行う必要があります。 AIやビッグデータの台頭で人とのコミュニケーションの部分までがテクノロジーで代替する時代がきています。今回ご紹介した採用チャットボットは、これからの採用活動のイノベーションとして大きな転換期になっていく可能性もあるのではないかと考えられます。
ワインで対談 2018年4月11日 形だけだった日本のタレントマネジメントがやっと変わり始めた – プラスアルファ・コンサルティング鈴村 賢治さん×セレブレイン幸前 夛加史【前編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第5回ゲストは、株式会社プラスアルファ・コンサルティング取締役副社長の鈴村 賢治さん。マーケティング領域から参入された鈴村さんならではの視点で日本の人事の課題に切り込んでいただきました。聞き手はセレブレイン取締役パートナー 人事戦略コンサルティング担当・幸前 夛加史が務めます。 第5回ゲスト:鈴村 賢治さん略歴 株式会社野村総合研究所を経て、2007年にプラスアルファ・コンサルティング創業。取締役副社長に就任。データ分析やテキストマイニングを使ったCS(顧客満足)向上やビッグデータ活用プロジェクトを数多く推進。CS向上にES(従業員満足)向上が欠かせないこと、自らが経営者として感じた人材マネジメントの解決手法として「タレントパレット」を開発。幅広い業界での人材活用・育成・離職防止の推進・啓蒙を支援している。 対談の舞台は“スタッフ全員ソムリエ”のあじる亭レピス――まずはスペインの「カヴァ」で乾杯! 幸前:鈴村さん、本日はお越しいただきありがとうございます。 鈴村:よろしくお願いします。こちらのお店はセレブレインさんのグループ会社なんですか? 幸前:そうなんですよ。株式会社セレブールとして運営しています。 鈴村:すばらしいですね。 グループ会社にワインが飲めるビストロがあるのはすごくうらやましい。 仕事の後にミーティングもできそうですね。 幸前:できますよ(笑)。「ちょっと場所を変えましょうか」なんて言って。 鈴村:いいですね~ 幸前:では、まずはスパーリングワインで乾杯しましょう。加藤さん、こちらのワインは? 店長/加藤:スペインのスパーリングワイン「カヴァ」のラ・ロスカをご用意しました。 鈴村:こういう時の一杯目はスパーリングワインに限りますね! 幸前:こちらの加藤さんがあじる亭レピスの店長さんなんですよ。 実は加藤さんも含め、セレブールではお店の全スタッフがソムリエの資格を持っているんですよ。 鈴村:それはすごい。 男にとってソムリエって憧れの仕事の一つですよね。取るためにはどんな試験を受けるんですか? 店長/加藤:筆記試験とテイスティング、それから三次試験で実技ですね。 鈴村:三次試験まであるんですか!? すごいですね……。 幸前:鈴村さん、最初のお料理がきましたよ。 店長/加藤:「鰤のカルパッチョ 柚子の香り」をお持ちしました。柚子の香りがするドレッシングを使ったカルパッチョです。 鈴村:これはおいしい! 身が厚くて柚子の香りがまた爽やか。 食欲が出てきますね! 幸前:よかった! どんどん召し上がってください。 鈴村:ところで、幸前さんはセレブレインに入る前は、どちらにいらっしゃったんですか? 幸前:最初は銀行だったのですが、出向でシンクタンクに行って、そのままこの仕事がメインになりましたね。 鈴村:前職も人事系? 幸前:ええ。人事をテーマにしたコンサルが多くて。鈴村さんは野村総合研究所のご出身ですよね。 鈴村:CRMなどのシステム開発のほか、顧客データの分析などのマーケティング領域をやっていました。それからプラスアルファ・コンサルティングを設立して12年になりますね。テキストマイニング技術を駆使した見える化エンジンが主力製品です。 幸前:そこからタレントパレットで人事領域にも進出されて。 鈴村:タレントパレットをリリースして1年半くらい経ちますね。おかげさまで採用企業数ももうすぐ100社くらいになりそうです。 日本の人事はデータの管理は行っていても活用ができていない 店長/加藤:続いてはレピス名物、「パクチーとハラペーニョのサラダ」です。 幸前:おー、パクチがどっさり! 鈴村さん、パクチーは? 鈴村:大好きですよ! これだけあると食べ甲斐がありますね~ 幸前:この独特の香りがたまらないですね。 鈴村:うん、これもおいしいですね! 弊社はシンガポールに支社があって、アジア系の料理も好きなんです。唐辛子とオリーブオイルを使った辛い料理とか最高ですね。 幸前:あじる亭レピスの「レピス」はフランス語でスパイスという意味なので、辛い料理もいろいろとありますよ。 鈴村:今度、会社の仲間とも来てみたいです♪ 幸前:ところで、プラスアルファ・コンサルティングさんは昨年、HR EXPOに出展されていましたね。HRテックの活用で人事が変わりつつある中で、我々も最新トレンドは常にキャッチアップしているので、イベントや展示会には顔を出すようにしています。そのときにプラスアルファ・コンサルティングさんのブースにも立ち寄らせていただいて、タレントパレットの説明を受けまして。 鈴村:おお、そうだったんですね。幸前さんからみて、タレントパレット、いかがですか? 幸前:人事情報の見せ方が面白いなと思いました。人事データベースやグローバル人事のスキルデータベースなんかは前からありますが、結局“箱”の中に入れたものを管理するだけで、それをどう活かしていくのかという状況がずっとあったんですよね。 鈴村:そうなんですよ。 マーケティング領域では情報活用がすでに研ぎ澄まされていて、販売データをExcelで眺めるだけじゃなく、ビジュアルで見える化して分析します。そこから試行錯誤してPDCAを回していくことが業務として浸透しているんです。ところが、人事領域はまだほとんどの会社がExcel文化ですよね。 幸前:まさにその通りですね。 鈴村:データの管理はできても活用ができていないわけです。そう考えたときに、マーケティングのアプローチが人事でも求められているんじゃないかと思いました。 幸前:そこが人事でずっと変わってこなかったところですよね。タレントパレットはそのブレイクスルーになる着眼点だと思います。 鈴村:ずっと人事領域のコンサルティングをされている幸前さんにそう言っていただけるのは嬉しいですね。 大事なのは表面的な情報ではない 店長/加藤:次のお料理は「トリュフ風味のスクランブルエッグ」です。トリュフの香りをつけたクリームソースが女性にとても人気のメニューです。トリュフの香りに合わせて、少し樽の風味を効かせたカリフォルニアのシャルドネ「グレンブルック シャルドネ」をご用意しました。 鈴村:これ、すごいいい香りしますね! 店長/加藤:幸前さんも毎回注文されるお料理なんですよ。 幸前:たとえコースメニューに入っていなくても注文するくらい好物です(笑)。 鈴村:たしかに、その気持ちわかります。濃厚な香りがふわっと立ち上ってきます。これは、赤ワインとぴったり合いますね~。 幸前:何度食べても飽きません。本当においしい! ワインも香りが甘くてバランスがいいですね。 鈴村:私もワイン大好きなので、飲みながらこんなふうにお話できて最高です(笑)。 幸前:人事のお話に戻りますが、こんなエピソードがあります。とある会社がグローバル人材のデータを一元化するプロジェクトをやろうとしてデータを集めて入れてみたものの、次に聞かれたのが「で、このデータどう使うの?」と(笑)。 鈴村:それ、データ活用のあるあるですね(笑) 幸前:そもそも人事にはこれまでデータを活用するという観点が少なかったんですよね。 鈴村:おっしゃる通りですね。コンサルティングをしていると、先に仮説があって、それを検証するためにデータを集めるという発想になるんです。データを集めてから、さあどうしましょうとは順番が全く逆なんですよね。その企業のタレントマネジメントの目的を考えたら、そこに必要なデータは、もしかすると今持っているデータではないかもしれない。違う情報を新たに集めるべきかもしれない。そんなことだってあるわけです。 幸前:そういう意味では今までの人事って、データとして可視化されていない暗黙知的な感覚はすごく持っているかもしれません。 鈴村:そうなんです。暗黙知をどうデータに落とすのかは次のテーマだと思います。たとえばどの部署にどんな人がいるのか、データとしてはあるけど、結局その人は何がしたいのか、何が得意なのか。そういう“状態”を表すようなエモーショナルなデータを活用しないといけません。 幸前:適性検査や性格特性などをアンケートで取ったりはしているんでしょうけどね。 鈴村:だいたい取りっぱなしで終わりますよね。本当はそれをもっと人事情報と組み合わせて使うべきだと思っています。 幸前:本当にその通りだと思います。勤怠データや給与データも大事だけど、社員の顔色やコンディション、社員同士がきちんと会話できているのか、そういうところが重要なんですよね。 鈴村:生きたデータというのはそういう情報ですよね。先日、科学的な離職防止セミナーを行ったのですが、すぐ満席になったんです。昔は辞めたら補充すればいいって考えだったでしょう。でも今は採用難で次の人が採れない。特に外食産業や介護業界などは離職率の高さが経営課題になっています。そうなると、今いる人たちをいかに辞めさせないか、持っているパフォーマンスを引き出すかという発想に変えていかないといけません。 前編では、マーケティング領域から参入された鈴村さんだからこそ見えた、日本の人事における課題を浮き彫りにしてきました。 後編では、タレントパレットのユニークな機能が生まれた背景を伺いつつ、日本の人事が抱える問題とその解決策についてさらに深く話し合っていきます。 今回のお店 あじる亭レピス 店名の「レピス」は仏語でスパイスの意味。世界のスパイスを使った料理とソムリエ厳選ワインを南仏のバルのようなおしゃれな空間で楽しめます。