人事施策 2018年3月04日 社員エンゲージメントを高めるリワードプログラムとは? 社員のエンゲージメントを高め、ひとりひとりが高い業績に貢献できるようにすることが人事の施策。 その施策のひとつでもあるリワードプログラムについて、USでは面白いサービスがでてきています。今回はそんなリワードプログラムについてご紹介します。 目次 リワードとは? エンゲージメントにつながるモチベーションの構成要素 リワードプログラム具体的な外部サービス例 まとめ リワードとは? リワード(Reward)とは日本語に直訳すると「報酬」「褒美」のことです。人事施策の場合は一定の成果に対するインセンティブのことを指します。 では、どんなリワードが効果を発揮するのか? そのためには、まずはじめにトータルリワード(金銭的な報酬だけではなく、非金銭的な報酬を含めた包括的な処遇)を考える必要があります。 トータルリワードとは何か?その構成要素を以下の表にまとめました。 【トータルリワード】 金銭的報酬 直接報酬 基本給 賞与 インセンティブ 退職金 間接報酬 法定福利厚生 法定外福利厚生 能力開発支援 非金銭的報酬 仕事 成長機会、キャリアアップ 仕事の重要性 仕事の面白み 社会的な認知 労働環境 共感できる価値観 リーダーシップ 従業員間のつながり(協働、コミュニケーション) ワークライフバランス これらを企業の人事方針や総額人件費予算などに基づいてバランス良く考えていきます。 分かりやすい例として、例えば企業の人事方針が「業績に応じて給与を払う。従業員には成果をしっかりと求める。その代わりペイフォーパフォーマンスを重視する。」という場合は、金銭的報酬の直接報酬であるインセンティブへの配分を多くする、ということが考えられます。 グローバル化が進みダイバーシティが求められる昨今、個人の価値観は様々です。そして、その個人の集合体である企業にも、それぞれ異なる価値観が存在します。企業の価値観と独自の魅力的なトータルリワードを設計・提供していくことが、求める人材を惹きつけることや働く社員のモチベーションの向上につながります。 エンゲージメントにつながるモチベーションの構成要素 エンゲージメントを高めるためにはモチベーションの向上が大きく関係してきます。モチベーションの構成要素は大きく以下の2つになります。 ・外発的動機づけ ・内発的動機づけ 外発的動機づけとは、外的報酬(賞罰や昇進など)によって触発され、動機が高まることです。 ビジネスにおいての外発的動機づけは金銭である場合が多く、短期的に動機づけるのには有効です。しかし、長期的に維持するためには、外的報酬を繰り返したり、より強い外発的動機づけを必要とするなどのコスト増加の弊害があります。コストを支払い続けることができればいいですが、他社に高い報酬を提示されることで、すぐ転職をしてしまうなど、長期目線でみると、外発的動機づけだけでは自社に対するエンゲージメントやリテンションへの効果を発揮させることは難しいかもしれません。 一方、内発的動機づけとは、外的報酬によらず、個人の意欲・成長欲求・好奇心によって 動機が高まることです。内発的動機づけによる学習は、個人の持つ探究心や情熱がベースとなるため、学習の継続性、学習効果の高さ、さらには創造的な思考が強化されます。ビジネスでは創造的な解決策が必要であり、内発的動機づけによる学習、スキルの獲得、パフォーマンスが重要とされています。 リワードプログラム具体的な外部サービス例 多様な人材が働くUSの企業では、社員エンゲージメントを高めるためにさまざまなリワードプログラムが活用されていますが、その中でも近年ユニークなサービスを提供する企業ががでてきています。 https://www.blueboard.com/ 2014年のサンフランシスコ、週60時間のハードワークの末にリワードとして与えられたAmazonギフトカードに温かみを感じることができなかった二人が、もっと人間味のあるリワードをと想い起ち上げた会社です。金銭だけでなく、冒険などを通じた「体験」こそがエンゲージメントを高めるという考えのもと「体験」につながるリワードプログラムを実施可能なプラットフォームを提供しています。 http://www.globoforce.com/ レコグニションにフォーカスしたプラットフォームを提供している会社です。社員同士で賞賛・表彰しあう仕組みの構築が可能で、これらにより内発的動機づけを刺激し、モチベーションの向上につながけていくことができます。 まとめ HRテック先進のUSでは、さまざまな手段を講じて、いかに社員のエンゲージメントを高めるかが考えられています。 業績達成のインセンティブに旅行を与える企業などもありますが、団体旅行ということもあり、実際の金銭を与えるよりも割安で効果的な「体験」を与えることができたりします。 「インセンティブには金銭を与える」と単純に考えるのではなく、より工夫して企業の価値観に沿ったリワードプログラムをつくることが、独自の企業文化を醸成し、高い社員エンゲージメントへとつながっていくのではないでしょうか。
ワインの豆知識 2018年2月26日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【赤ワイン編】 前回ご紹介したワインの種類に続き、今回はブドウの品種についてご紹介します。ピノノワール、ボルドー、メルロー・・・品種や地方の名称には横文字が並び、初心者にはハードルが一気にあがります。このブドウの品種の違いについて理解すると人に話せる知識量は大きく変わります。ぜひぜひ覚えてみてください! [目次] 赤ワインのブドウの主な品種と産地 料理との合わせ方 まとめとソムリエからのひとこと 赤ワインのブドウの主な品種と産地 赤ワインの品種には大きく以下の4つがあります。 ピノノワール(Pinot Noir) カベルネソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon) メルロー(Merlot) シラー(Syrah) 他にも沢山ありますが、初心者の方はまずこの4つを覚えておくことをおすすめします。 世界各地でその土地の気候や風土に適したブドウが栽培されるため、それぞれの品種は、ワイン銘醸の地であるフランスでも、栽培される地方が異なります。 ピノノワールはブルゴーニュ地方、カベルネソーヴィニヨンとメルローはボルドー地方、シラーは南フランス・ローヌ地方になります。 ワイン銘醸の地フランスの地図 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cartes_des_vins_de_france.png より 味や色ももちろん異なります。 ピノノワールは酸味があり若干色が薄く、赤いベリー(いちごやチェリー、ラズベリーなど)の香りがするのが特徴です。カベルネソーヴィニヨンとメルローは色が濃く、タンニングが強くて渋み(カベルネソーヴィニヨンの方がより強い)があり、黒いベリー(ブルーベリーやブラックベリー、カシスなど)の香りがするのが特徴です。この2つを実際に比べるとみると色の違いは、初心者でもはっきりと分かります。 左がピノノワール、右がカベルネソーヴィニヨン そして、シラーはスパイスのニュアンスが強く、黒胡椒っぽい雰囲気があります。 余談ですが、カベルネソーヴィニヨンとメルローはフランスボルドーでは一般的にブレンドされ、セットで用いられることが多いです。含まれる比率により前面にでる品種が変わります。 料理との合わせ方 そんなこの4つの品種ですが、どんな料理が合うでしょうか? 覚え方としてはワインの色と料理の色を合わせるのがポイントです。 例えば、色の薄いピノノワールは肉料理であれば、軽めの肉料理やチキン・豚肉など、色の濃いカベルネソーヴィニヨンやメルローはしっかりした肉料理 黒豚・牛肉など、そして、シラーは、+スパイシーな調味料を使用した料理によく合います。 お店に行ったときのオーダーとしては、まずは自分が食べたいもの、飲みたいものを選ぶとスムーズです。 例えば、メルローのワインをボトルで飲みたい場合はそちらをオーダーし、それにあう料理としてしっかりした肉料理を、まずは食べたい料理がある場合は料理をオーダーしそれに合うワインをグラスでオーダーするなど、各自の好みや気分に合わせるのがいいかと思います。 「今日は軽めのワインが飲みたいからピノノワールをボトルでください。軽めの肉料理があうと思うので、鶏肉を使った料理で何かお勧めとかありますか?」などソムリエとの会話を楽しむのもいいですよね。 まとめとソムリエからのひとこと これらを表にまとめると以下になります。 ※簡略的にお伝えする為の一般的な表であり、例外的な事も多数ございますので、予めご了承ください。 品種 地方 味 色 合う料理 ピノノワール(Pinot Noirr) ブルゴーニュ 酸味がある 薄い 軽めの肉料理(鶏肉、豚肉) カベルネソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon) ボルドー より渋みがある 濃い しっかりした肉料理(牛肉、黒豚) メルロー(Merlot) ボルドー 渋みがある 濃い しっかりした肉料理(牛肉、黒豚) シラー(Syrah) ローヌ スパイシー 濃い(タイプにもよる) スパイシーな料理 ソムリエはこういった品種毎の違いを理解したうえで、さらに、酸味、甘み、タンニン、アルコール感、複雑姓、余韻、将来性を考慮したうえでワインを選定します。 ソムリエに訊けばきっと、「一般的なメルローよりタンニンが強いけど、その分複雑性が増え・・・価格以上にお得ですよ」など教えてくれます。 ソムリエとの会話もワインの楽しみ方のひとつ。色々教えてもらいながら、自分好みのワインを探していくことで、より一層深いワインの世界が見えてくるのではないでしょうか? 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
人事施策 2018年2月16日 ゲーミフィケーションが人事を変える ゲーム要素を取り入れることで施策に対して人を巻き込んだりモチベーションを高めることができるゲーミフィケーション。最近では人事の施策にも取り入れられていることはご存知でしょうか。今回はそんなゲーミフィケーションについてご紹介します。 [目次] ゲーミフィケーションとは? 企業の人事におけるゲーミフィケーション具体例 まとめ ゲーミフィケーションとは? ゲーミフィケーションとは、様々な活動に対してゲームの要素を取り入れることで、遊び心を刺激し、参加者を楽しませることで効果をより高める施策のことを指します。例えば、活動結果に応じて感謝バッジをあげることで数を競わせたり、技術レベルを有名なゲームをモチーフにして可視化させレベルアップを促すなどが、一般的なゲーミフィケーションとして挙げられます。 整理するとそのタイプは大きく以下の2パターンに分類されます。 1 プロセス、ルールなどの構造にゲームの要素を加える 2 活動そのものをゲームにする 先ほどのバッジをあげる例や、レベルアップの可視化などは1のパターンに入ります。一方、有名キャラクターが登場するテレビゲームを実施するだけで漢字が覚えられるなどは2のパターンに分類されます。 このゲーミフィケーションは人の行動に大きな影響を与えます。 身近な例をご紹介すると、高齢者向けのフィーチャーフォンに搭載されていた万歩計アプリを楽しんでいた方がいました。自分の歩いた距離が東海道五十三次の距離に換算され、「今日は藤沢まで着いた」「明日は小田原に着く」と毎日の散歩を楽しみにしていたそうです。自然と歩くことが楽しくなり、毎日の散歩の距離が増え、こちらのアプリは健康促進に大きく貢献していました。しかし、携帯電話が壊れてしまい、スマートフォンに機種変更したところ、同じアプリが利用できなくなってしまいました。こちらの方は途端に日々楽しみにしていた散歩を止めてしまったそうです。 企業の人事におけるゲーミフィケーション具体例 そんなゲーミフィケーションは、企業の人事施策でも活用されています。例えば、企業のミッション、価値感の浸透に使用されるケースがあります。価値観を定義し、その価値観に沿った行動をした人にはバッジなどのポイントを付与します。従業員にとってほしい行動をバッジとしてエンターテイメント化させて、ポイントを得ることに対してモチベーションが発生するように促すことができれば、結果として、明文化した価値観を強制的に浸透させるのではなく、楽しくそして自然に社内へ浸透させていくことができます。 さらにこの与えられるポイントに対しては、外部のサービスを利用しながら福利厚生へ発展させているケースもあります。 アメリカのBonusly社 https://bonus.ly では従業員同士でボーナスを与え合うことができる仕組みを提供しています。獲得したボーナスはそのままアマゾンやスターバックスなどのポイントとして利用できるようになっており、ポイントはエンターテイメントだけでなく、従業員に対して具体例なメリットとなります。従業員間のコミュニケーションの促進や企業文化の構築に効果があり、2012年の設立以来、オラクルなどの大手企業も含め利用企業が増えてきています。 その他にも活動そのものをゲームにするというパターンでは、チームビルディングための野外活動や宝探しゲーム、協力しあいながら行うアクティビティなどもゲーミフィケーションの活用例です。 まとめ ゲーミフィケーションは目的を達成するための手段です。企業としてはゲーミフィケーションの活用により従業員のエンゲージメントやリテンションを高める狙いがあります。 ルールを作り強制するだけでは運用には乗りません。活動に気持ちよく参加してもらうための仕組みとしてゲーミフィケーションは存在しています。 SNS慣れしているデジタル・ネイティブの台頭など、昔ながらの軍隊式マネジメントは通じなくなってきています。 軍隊式マネジメントが多かった頃は日本の人事の仕組みも減点主義が多かった気がします。しかし、ポイントを積み重ねレベルアップを促すようなゲーミフィケーションの広がりは、日本の人事の仕組みも加点主義へと考え方自体が変わってきていることを表しているのではないでしょうか。
コラム 2018年2月13日 服部 篤 人事・労務デューデリジェンス(DD)における「不都合な結果」と「見えない結果」 人事のコンサルティングをしていると、時々気になる場面に出会うことがあります。 最近は企業の株式公開や買収・統合も珍しくなくなってきましたが、その際、重大な人事労務リスクはないか、存在するリスクにどう対応していくかという点もチェックされるようになってきています。このような流れの中、当社も人事労務に関するデューデリジェンス(DD)の依頼を受けることが多くなっています。 私たちがよく遭遇するのは、規則・規定はしっかりと整備されているのに、実際の現場では、かなりルールとは異なる運用が行われており、大きなリスクとなるケースが多いということです。一般的なDDでは、なぜこの様なケースが見過ごされてしまうのでしょうか。 そのヒントはミーティングでのお客様同士の会話にありました。担当役員と人事担当者の方に法令や規程に照らし合わせて、具体的な運用と処理の取り扱いを伺っていた時のことです。 ー役員「この制度の運用はいつも言っていたところなので大丈夫だよな?」 ー人事担当「・・・はい・・・・大丈夫です・・・」 発言が気になったコンサルタントが改めて人事担当者に話を伺ったところ、実は現場からの要請もあり、特に大きな問題はないだろうと例外的な運用を黙認していたとのことでした。DDというこれまで想定していなかった局面で、役員から問題がないことを前提に念押しをされたため、「実は・・」と言いづらかったそうです。 その後、役員にも現場の状況を説明し、対応策を打ったため大きな問題には発展しませんでしたが、現場の状況や担当者の解釈の違いにより、イレギュラーな運用が発生することは、珍しくはないことです。DDという特別な場で役員からの「信頼」がプレッシャーになり、部下が「不都合な結果」を報告しづらい状況を作り出してしまったということでしょうか。 逆に人事担当者の立場からすると、役員に自らの担当領域におけるミスと思われる報告をする事は気が重いかもしれませんが、人事・労務の領域では後からでは取り返しがつかないことも多く、仮に「不都合な結果」であっても、早い段階でリスクが起きそうな具体的状況、原因、対応策を共有できるよう日頃から関係部門や担当役員とのコミュニケーションをはかり、信頼関係をつくっておくことで適切な対応が可能になると思います。 セレブレイン社が行う人事・労務DDでは、規程や制度の整備と運用、時間外労働や36協定などデータで見える項目の確認だけでなく、目に見えにくい結果(インビジブル・ファクター)についても精査を行う場合が増えています。例えば、「制度や規程の現場における運用状況、経営方針の組織末端への浸透度合い、企業特有の社風や価値観、退職者の多い部門や職種とその理由、会社に対するコミットメントの度合、社内研修の具体的内容と効果、中間マネジメント層の力量など」です。 その理由は、株式公開や買収、統合は、それ自体が目的ではなく、その後の事業の発展と成長を見据えて行うものだからです。ところが、M&A後の組織人事統合がうまく進まず、事業のシナジー効果がなかなか生まれてこない企業が多いことも事実だからです。 組織と人がもつポテンシャルや活性度をうまく生かすことが、その後の企業の先行きを左右するだけに、今後ますます見えない結果を明確にする人事・労務DDのニーズが高まってくるといえます。
ワインの豆知識 2018年2月08日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、赤・白・ロゼの違い ※上の画像の料理に合うワインはどんなワインだと思いますか? ソムリエからの回答はこの記事の一番最後に。最後までぜひご一読ください。 (画像はあじる亭 人気メニュー:シャルキュトリー盛り合わせです。) ワインには白ワイン、赤ワイン、ロゼワインがあるのは誰もが知っていること。しかし、その違いについて、ちゃんと理解している人は意外と少ないのでは? 今回はワイン初心者の方々向けに、各ワインの違いについてご紹介します。これを知っていれば飲み会などで知ったかぶりできること間違いなし?! [目次] 白ワイン、赤ワインの原材料と製法の違い ロゼワインとは? どんな料理に合うのか? まとめ 白ワイン、赤ワインの原材料と製法の違い 白ワインと赤ワインは原材料が異なります。白ワインは白ブドウから、赤ワインは黒ブドウ(赤ではなく黒です。皮の色で名称がついています)から作られます。 白ブドウの種類にシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなどがあります。(参考までにブラン=Blanc=白という意味です) 黒ブドウの種類にカベルネソーヴィニヨン、ピノノワールなどがあります。(参考までにノワール=Noir=黒という意味です) ここで紹介した4つのブドウの品種が世界各地で栽培されている有名なブドウです。ブドウの種類によっても味は変わりますが、これらのブドウの違いについては改めてご紹介します。 そして、原材料だけでなく製法も白ワインと赤ワインでは異なります。 白ワインはブドウから皮や種を除きジュースを絞りだし、その後発酵させていきます。一方で赤ワインはブドウの皮や種はそのままにしてジュースを絞りだし、発酵させていきます。種に含まれるタンニンが苦味をだし、皮から色素がでて赤い色になります。 このように原材料と製法の違いがワインの色と味の違いになっていきます。 ロゼワインとは? ではロゼワインとはどのようなワインでしょうか? 一言でいうと白ワインと赤ワインの原材料、製法を組み合わせたものになります。 その組み合わせからできるロゼワインは大きく4つのパターンになります。 1.原材料は赤ワインと同じ黒ブドウで、製法を白ワインと同じにする。※ロゼワインの一般的なパターンになります。 2.濃い赤ワインを作るために製造工程にて液体を抽出する。※血抜き、瀉血(しゃっけつ)、などとも言われます。その抽出されたものを発酵させワインにします(セニエ法と呼ばれる手法です)。 3.原材料を「白ブドウ+黒ブドウ」からワインをつくる。※混醸法と呼ばれドイツなどで生産されています。 4.出来上がった白ワインと赤ワイン足していく。※ブレンド法と呼ばれます(禁止地域もあり)。 どんな料理に合うのか? 一般的に魚=白ワイン、肉=赤ワインと覚えている人が多いかもしれません。もちろん、それでもOKです! ですが、ここではワンランク上のペアリングをご紹介します。 それは、単純に肉・魚と分けるのではなく、料理の色合いによってワインを合わせることです。 例えば、魚でも白身の魚と赤身の魚がありますが、白身の魚は白ワインと、赤身の魚は赤ワインと合わせることでワインの選択肢がぐっと増えます。 具体的には、 白ワイン=白身の魚、塩、鶏肉、白豚、クリームシチュー 赤ワイン=赤身の魚、醤油漬け、黒豚、ビーフシチュー などがお勧めです。 ロゼワインには、サーモンや光り物の魚など、ロゼの色調に合わせます。 まとめ これらを表にまとめると以下になります。 ※簡略的にお伝えする為の一般的な製法であり、例外的な事も多数ございますので、予めご了承ください。 ワイン 原材料 製造方法 合う料理 白ワイン 白ブドウ 種、皮を除き発酵 白い料理 赤ワイン 黒ブドウ 種、皮を含めて発酵 赤い料理 ロゼワイン 黒ブドウ 白ブドウ+黒ブドウ 軽く着色後、種、皮を除き発酵 セニエ法 混醸法 ブレンド法 サーモンや光り物など 最後に冒頭のクイズの回答です。 こちらのの料理に合うワインとは? ソムリエからの回答は、 「コクや旨みのある、ある程度色調のはっきりした白ワインがおすすめです。(ロゼもあり)」とのことでした。 ※もちろん嗜好品なので、重要なことは、美味しく楽しく食事していただく事は言うまでもありませんね♪ 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年2月04日 人事評価にレーティングが不要である理由とマネージャーに求められる資質とは – エム・アイ・アソシエイツ松丘啓司さん × セレブレイン高橋敦子 × セレブレイン関伸恭【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第4回ゲストは、エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役社長・松丘 啓司さん。日本における人事の歴史から人事評価をめぐる問題に至るまで幅広くお話を伺いました。聞き手は、セレブレイン代表取締役副社長・高橋 敦子とパートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。(上記画像 エム・アイ・アソシエイツ松丘啓司さん(右)とセレブレイン関伸恭) 第4回ゲスト:松丘啓司さん略歴 1986年、東京大学法学部卒業後、アクセンチュアに入社。1992年にチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画後、一貫して人事・組織変革のコンサルティングに従事。ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任。2005年、人材・組織変革サービスを提供するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し代表取締役に就任。著書に『人事評価はもういらない 成果主義人事の限界』『ストーリーで学ぶ 営業の極意: 1時間でわかる成功のポイント』など多数。 マネージャーに必要なのは人の可能性を伸ばすピープルマネジメント 高橋:松丘さん、次のお料理をどうぞ。 ソムリエ:甘エビと白イカ、きゅうりと水なすのタルタル仕立てです。ココナッツを効かせたピリ辛のカレー風味に味付けしています。合わせるワインはオーストリアのリースリングです。ちょっと熟成した2010年の旨味がマリアージュすると思いますよ。 松丘:オーストリアもワインの歴史が古いですよね。リースリングというと、ワインエキスパートを取ったときにキューピー人形の香りが特徴だって覚えましたね。 高橋:私はニシンあぶらの香りだと教わりました。 関:へ~! おもしろいですね。 松丘:うん、このリースリングもすばらしいですね。フルーティーで酸味もしっかりしているけど、熟成しているからかまろやかで旨味もすごくあります。 高橋:喜んでいただけてよかった!さすがのコメントですね〜。 松丘:セレブールさんのお店は他にもありますよね。 高橋:はい。全部で5店舗です。コンセプトは違いますが、どの店舗とも、キッチンやサービスの人間も“全員ソムリエ”ですので、マリアージュにこだわっています。全店赤坂にあるので、スタッフ間の横の連携もバッチリです。 松丘:それはいいですね。組織は縦割りになりがちですから。 高橋:そうですね。弊社でもそういう組織課題のご相談はよく受けていますね。どうすれば縦割り組織を変えられるのか、と。 松丘:コミュニケーションですよね。最近、LINE退職やSNS退職といった言葉も聞くようになりました。 関:LINEで退職を告げるということですか? 松丘:ええ。 関:そういう事態に対して人事的にはどのようにアプローチしていけば良いのでしょうか。 松丘:逆に企業でも皆がSNSをどんどん使っていけばいいと思いますよ。SNSで密にコミュニケーションを取り合いながら、お互いに褒め合い、認め合うカルチャーを作っていくのです。 高橋:日々の積み重ねですよね。なかなか褒め合うコミュニケーションを根付かせるのは大変ですが。 関:先ほどレーティングしないというお話を聞かせていただきましたけど、そうなると上司と部下で会話する内容も変わってきそうですね。 松丘:そもそも今まではきちんと時間をとって部下と対話をしていないという企業も多いのではないでしょうか。業務上の会話はあっても、1on1での対話は半期に一度の面談だけ。それも形骸化している……なんてことも多いはずです。 関:マネージャーが部下ときちんと対話できていないわけですね。 松丘:そう。対話って単純に話をすればいいってわけではないですよね。相手を理解すること、仕事に対する考え方や大切にしていること、将来の夢などを理解した上で、部下と向き合い、適切にフィードバックするのが本当の対話なんです。 関:なるほど……。 高橋:松丘さんに相談に来られる企業は、どんな課題を抱えているケースが多いのですか? 松丘:評価制度や現場における上司と部下のコミュニケーションがうまくいっていなくて、でもどうすればいいかよくわからないというようなご相談が多いですね。 関:やはり、マネージャーに対する教育や発想の転換が必要なのでしょうか。 松丘:そうですね。マネージャーに必要なのは、人の可能性を伸ばしていくマネジメント、それをピープルマネジメントと呼びます。ただ、人のマネジメントは難しいですから、一度研修を受けたくらいでは上達しませんね。失敗を繰り返して、そこから学んでいかないと。 関:失敗したら怖くなってしまいますよね。 松丘:研修を受けて実践しての繰り返しですね。よく、うちのマネージャーにはそんなスキルがないから無理だと言われるのですが、そうではないのです。マネージャーの力量を高めるための研修ですから、はじめからスキルは高くなくても大丈夫です。研修を受けて実践しながら高まっていくものなのです。 働き方改革の実現には社員が自律的に働ける仕組みづくりが必要 高橋:いよいよメインディッシュですね。 ソムリエ:香鶏という烏骨鶏に代表される地鶏のもも肉を使い、皮をパリッと焼き上げました。そこにポルチーニ茸、そしてトリュフをたっぷりと削っています。合わせるワインはブルゴーニュのサントネー村の赤ワインを。1999年と熟成したものをご用意しました。 松丘:これはおいしい! 鶏はやはり皮が一番おいしいですね。熟成したブルゴーニュのキノコっぽい香りがまた、トリュフやポルチーニ茸ととても合っています。 高橋:ふふ。素敵な対談ですよね(笑)。 関:松丘さんは普段、どのようなお食事を? 松丘:実はもう20年以上、週に複数回は寿司を食べているんですよ。 関:20年ですか! 高橋:お寿司と決めている理由があるんですか? 松丘:単純に好きだからですね。といっても予約が取れないような有名店ではないですよ。仕事が終わって今から行きたいなと思いつくことが多いので、かなり前から予約しないと入れないような店はNGです。 高橋:お寿司だと合わせるお酒は……。 松丘:だいたい日本酒ですね。ただ、寿司屋でも握りは食べないんですよ。バーに行く感覚というか、飲みに行っているので。それに、注文もしないんです。自動的に出てくるお店がいいですね。余計なことを考えたくないんです。 関:そうなんですね。自動的に出てくるとなると松丘さんの好みを把握していないと難しいですね!お仕事が終わった後の寿司屋というお話が出てきたところで、働き方改革についてもぜひ伺いたいです。働き方改革は今トレンドで、残業時間の削減から在宅勤務、テレワークなどありますが、そのあたりの取り組みについてはどうお考えですか? 松丘:在宅勤務やテレワークのメインとなる考え方って、働く時間と場所を縛らないということですよね。だけど、一人ひとりがそれをコントロールするためには、自律的に働けないとそもそも成り立たないわけです。 関:全職種に適用するのは簡単ではないですし、難しい側面はありますよね。 松丘:先ほどの目標管理の話と同じなんです。全社目標が部門目標になり、チーム目標になって個人の目標になる。個人からすると、仕事というのは上から評価基準と一緒に下りてくるものになってしまうんですね。だから受け身になってしまう。自分はこれがやりたいんだとか、こういうことに貢献するんだとか、そういう自発的な部分がないと自律はありえません。 関:たしかに与えられた仕事ではなく、自分で目指す方向を決めて主体的に取り組む方が仕事のパフォーマンスは上がりますね。 松丘:結局、上から下りていくと縦割りになってしまうんです。そうすると、他の人がどのような目標を持って、どこに向かって仕事をしているのかわからなくなってしまう。この人は今、こんな目標の達成に向けてがんばっているんだなということがわかれば、縦割りの問題も解決します。このあたりはHRテクノロジーを活用することで解決できそうな気がしています。 高橋:たしかにテクノロジーでも解決に期待が持てそうですね。 松丘:弊社でリリースを予定しているパフォーマンスマネジメント支援アプリもそういった機能を持っています。一人ひとりの目標を公開して、上司のこともわかるし、コメントもできます。 関:モバイルですか? 松丘:モバイルですね。でないとノリが重くなるんですよ。拝啓ますます……みたいに(笑)。もっと軽いタッチじゃないと。 関:PC版も? 松丘:もちろんです。PCでしかできないこともありますからね。これがあれば、どのチームがコミュニケーション活発だとか、どことどこがコミュニケーションできているかといったことまでわかるんですよ。 高橋:楽しみなアプリですね!リリースを楽しみにしています。本日はありがとうございました。 エム・アイ・アソシエイツ株式会社より2018年2月1日にリリースされた日本初のパフォーマンスマネジメント支援アプリ『1on1navi』についてはこちらのURLをご覧ください。 https://1on1navi.com/ 今回のお店 セレブール 2001年オープン。赤坂の隠れ家的ワインレストラン&バー。シェフを始め、スタッフは全員がソムリエの資格を持っており、フランスを中心とした銘醸ワインが約400種類そろっています。フレンチをベースにした創作料理とのマリアージュをお楽しみください。 <本日のワインと料理> 本日お楽しみいただいたワインと料理、そのマリアージュについてご紹介します。 甘エビと白イカ、夏野菜のタルタル グリーンカレー風味 甘エビ、白いか、きゅうり、水なすといったバラエティに富んだ食材をタルタル仕立てに。ねっとりとした食感と少しピリ辛な味付けのコントラストが楽しめる一皿。添えられたパクチーの香りが良いアクセントになっています。 プラーガー・リースリング・ヴァッフストゥム・ボーデンシュタイン・スマラクト2010 オーストリア、ドナウ川沿いのヴァッハウの白ワイン。リースリングらしい酸味を持ちながらも、7年熟成を経たことでかなりまろやかになっています。桃や杏のようなフルーティーな香りと、からみつくような旨味が特徴です。 蔵王香鶏 もも肉のロースト 茸のヴァンジョーヌソース 蔵王の地鶏のもも肉をローストし、ポルチーニ茸のヴァンジョーヌソースをたっぷりと。ヴァンジョーヌとはフランス・ジュラ地方の黄ワインのこと。ジュラの郷土料理に、さらにサマートリュフを添えたスペシャルな一皿です。 サントネー 1999 18年の熟成を経たブルゴーニュ・サントネー村の赤ワイン。まだまだ果実味も残しつつ、キノコや土といった熟成による香りが立ち上り、すばらしい複雑味を備えています。まさに今が飲み頃のピーク。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。今回のゲストはエム・アイ・アソシエイツの松丘社長。著書『人事評価はもういらない 成果主義人事の限界』で語られているレーティングの問題点をわかりやすく解説していただくことができました。 また、ワインエキスパートの資格もお持ちということで、ワインについても会話に花が咲いていたようです。 セレブールのお料理とワインはさすがという他なく、まさに完璧としかいいようのないマリアージュでした。シャンパーニュから始まり、オーストリアの白、熟成したブルゴーニュの赤という流れは、ワインの奥深さ、世界の広さを感じられる流れだったと思います。 やはり特に感動したのはサントネーの1999年。熟成を経た状態の良いワインだけが放つうっとりとするような芳香は、まさにフィネスという言葉がふさわしい高貴さが感じられました。こうしたワインを完璧な状態とサーブで味わえるわけですから、なるほど、セレブールが長年ワインラヴァーから愛される理由もよくわかるというものです。
コラム 2018年1月11日 HR Techサービスが組織・人事そして経営にもたらす変革 HR Techのサービスは多岐にわたり、採用やタレントマネジメントをはじめ、人事評価、給与計算、勤怠管理、ラーニングマネジメント等さまざまな領域のサービスが提供されています。前回のコラムで紹介した”HR Technology Conference & Exposition”のような大規模イベントが世界各地で開催されており、その規模も年々大きくなっています。国内でもテクノロジーを活用した新しいサービスが増えており今後の組織・人事のあり方について避けては通れないテーマとなってきました。 そこで今回は、HR Techサービスが組織・人事にもたらす変革についてご紹介します。 1.人事データの一元化・分析 2.オペレーション業務効率化 3.組織活性化
ワインで対談 2018年1月11日 人事評価にレーティングが不要である理由とマネージャーに求められる資質とは – エム・アイ・アソシエイツ松丘啓司さん × セレブレイン高橋敦子 × セレブレイン関伸恭【前編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第4回ゲストは、エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役社長・松丘 啓司さん。日本における人事の歴史から人事評価をめぐる問題に至るまで幅広くお話を伺いました。聞き手は、セレブレイン代表取締役副社長・高橋 敦子とパートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。(上記画像 右からエム・アイ・アソシエイツ松丘啓司さん、セレブレイン関伸恭、高橋敦子) 第4回ゲスト:松丘啓司さん略歴 1986年、東京大学法学部卒業後、アクセンチュアに入社。1992年にチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画後、一貫して人事・組織変革のコンサルティングに従事。ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任。2005年、人材・組織変革サービスを提供するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し代表取締役に就任。著書に『人事評価はもういらない 成果主義人事の限界』『ストーリーで学ぶ 営業の極意: 1時間でわかる成功のポイント』など多数。 なぜ日本は人事評価で“レーティング”し始めたのか 高橋:こんばんは、松丘さん。本日はいろいろとお話を聞かせてください。 松丘:こんばんは。こちらのお店には以前、伺ったことがあります。 高橋:そうでしたね。今回のお店であるセレブールはオープンしてもう17年も経ちます。松丘さんはワインエキスパートの資格を持っていらっしゃるとお聞きしているので、ぜひ今夜はセレブールのワインとお料理を楽しんでいってください。 松丘:とても楽しみです。 関:ではお話の前にまずは乾杯しましょう! 松丘:シャンパーニュですか。……うん、おいしいですね。 ソムリエ:LALLIER(ラリエ)というシャンパーニュで、ピノ・ノワールが多く使われています。ピノ・ノワールが多いと濃い味になりがちですが、ファーストタッチがすごく繊細です。 松丘:本当ですね。それにしっかりとしたコクがある。 ソムリエ:まだ日本に入り始めてそれほどたっていないのですが、これから伸びてくるシャンパーニュだと思いますよ。 関:ではさっそくお話を聞かせてください。松丘さんは以前、『人事評価はもういらない 成果主義人事の限界』という著書を出版され、人事業界でも話題になりました。とても刺激的なタイトルですが、どんな思いで執筆されたのですか? 松丘:日本の企業に問題提起したかったのです。 関:といいますと……。 松丘:タイトルにもある「人事評価」ですが、アメリカでは「パフォーマンス・マネジメント」と呼ばれています。個人のパフォーマンスを高めることが、組織全体のパフォーマンスを高めることにつながる、そのために人事評価を組み込んでいこうという考え方ですね。ところが、実際のところはアメリカも日本も”評価”がパフォーマンスの向上につながっていないと感じている会社が多いのです。完全に評価をなくそうというわけではありませんが、目標管理や評価といった当たり前に思っているものが本当に必要なんでしょうかと問題提起をしたかったのです。 高橋:たしかに人事評価は給与を決めるためだけにやっている会社も多いですよね。人事評価を育成やパフォーマンス向上のために活用できている会社は残念ながらあまり多くはありません。 関:そもそも現在多くの企業に採用されている人事評価制度が日本で出てきたのは、成果主義が叫ばれ始めた90年代後半ごろだったと思います。それ以前の日本はどうだったのでしょう。 松丘:以前の日本はいわゆる年功序列・終身雇用制度だったので、皆が同じように出世していったのです。だから評価をして差をつける必要もありませんでした。もちろん、そうはいっても出世には差がついてくるのですが、レーティングをしなくてもだいたい誰が出世するかはある程度わかっていたわけです。 関:なぜ、そこからレーティングするという流れに変わってきたのですか? 松丘:戦後の日本は高度成長期が続いていました。それが、70年代後半くらいから低成長になり、これではまずいということでカンフル剤的な施策があり、バブル経済が生まれたんですね。その後、バブルが崩壊し、同時に90年代前半からグローバル・エコノミーが急拡大してきました。 高橋:国境を超えてお金や情報が動くようになってきたわけですね。日本企業もグローバルでビジネスを展開するようになった頃ですね。 松丘:ええ。ところが日本はそれまで年功序列・終身雇用制度だったので、人件費構造が高かったわけです。終身雇用制度における人件費とは、つまり固定費です。欧米企業はご存知の通り、景気が悪くなると平気で解雇されますよね。そうしたグローバルベースのビジネスでは、これまでのやり方では勝てないと言われ始めたのです。 関:つまり、日本経済が低迷して企業がコストダウンを迫られるなか、人件費を変動費化して限られた原資を成果に応じて配分しようという試みだったと。 松丘:それが直接的な要因だと思います。当時の日本企業にとって、国際競争で同じ土俵に立つという意味でそれなりの効果はあったでしょう。ただ、人件費を削減すると言ってしまうのは体裁が悪いので、成果に応じて報いるのが公平だというレトリックを用いたわけですね。 人事評価においてレーティングが不要である理由 高橋:では最初のお料理をどうぞ。 ソムリエ:先ほどのシャンパーニュに合わせて、アミューズの盛り合わせをご用意しました。右手から干し鱈をじゃがいもと一緒にペーストしたブランダード、ブリア・サヴァランというヨーグルトを加えたフレッシュチーズと季節の桃、そして黒いちじくと生ハムを合わせたものです。 松丘:おしゃれですね。……うん、シャンパーニュにもよく合います。 関:松丘さんが一番お好きなワインは? 松丘:難しい質問ですね。やはりフランスは好きです。ブルゴーニュとか。でも家で飲むにはちょっと高いので、オーガニックワインをもっぱら飲んでいます(笑)。 高橋:私も同じです。オーガニックワインの最近の進化はすごいですよね。 関:ワインやお酒は毎日飲まれるのですか? 松丘:ええ。ほぼ毎日飲みますね。昔は休日の昼間に飲んだりしたこともありましたが、今はもう疲れちゃうから飲まないですね(笑)。 関:さて、お話の続きですが、企業では目標を立てて半期に一度、または年に一度評価をするという仕組みを取り入れているところが多いと思います。松丘さんのお考えでは、そういった企業は今後どういう仕組みでやっていくことが求められるのでしょう。 松丘:そうはいっても評価がなくなるわけではないんですよ。昇進や昇格、ボーナスなどは決めないといけないわけですから。私が言いたいのは、評価がなくなるわけではなく、レーティングしないということなんです。 関:レーティングというと、S・A・B・C・Dや1・2・3・4などで評価をつけることですよね。それをしない評価といいますと……。 松丘:今はまだ短期の業績をもとにレーティングを行って、それを昇格と密にリンクさせている会社が多いのですが。たとえば年次評価で3年連続A評価以上なら昇格とかね。 松丘:このやり方は明確なルールがあるので、一見すると公平なように見えます。しかし、そうではないんです。昇格というのはどうやって決めるべきかというと、本来的には今よりも一つ上の役割を果たせる能力やリーダーシップがあるかどうかで判断されるべきなんです。短期評価でAを3回とったからというレーティングで決めるべきものではありません。 高橋:役割を果たせるかどうか、ですか。 松丘:もちろん、能力があるかどうかを判定する際に実績での検証は必要です。しかし、それはレーティングである必要はありません。そこは切り離す必要があるのです 関:給与についてはどうなりますか? 松丘:給与の仕組みは会社によって違いますが、基本給はだいたい等級と連動しています。対してボーナスは毎期の業績によって決まります。つまり、基本給を決めるのにレーティングは必要ないのです。 関:たしかにその通りですね。 松丘:そうするとレーティングはボーナスの配分を決めるためだけに使うことになります。多くの会社は相対評価で決めますよね。 関:1.2とか0.8とかに調整して決める方法ですよね。 松丘:ええ。多くの会社では目標の達成度で判断することが多いですよね。しかし、それは最初から達成しやすい目標しか立てなくなるという問題をはらんでいるのです。これは成果主義の問題として以前から言われていたことです。 関:なるほど……。 松丘:そもそも何が評価されるべき成果なのか、その基準自体も変化しています。売上目標を達成したから評価されるべきなのか、それとも売上目標は達成できなかったけれど、すばらしいチャレンジをしてイノベーションにつながったなら、それは評価するべきではないのか。これを単純に2:6:2とかで配分すると、柔軟性を欠いてしまうのです。また、社員としては他の人と同じ程度の成果を出していればとりあえず真ん中の6には入れるので、他の人を見ながらほどほどにやっていればいいという意識になってしまいます。 高橋:日本人らしい思考ですよね。 関:海外ではそういった問題はないのですか? 松丘:欧米だと人材流動性が高いですから、たとえば「あなたはCです」のようにレーティングすると辞めてしまうんです。それで競合他社に移ってしまったりする。かといって「なぜCなのか」ということを説明して納得してもらうのも大変です。 関:そこに労力を使いたくないですよね。 松丘:実は脳科学の研究で、レーティングをするとマインドセットが「自分はダメだ」という方に向いてしまうという結果が出ているんです。人が成長するためには前向きなマインドセットになる必要があるので、やはりレーティングは問題があるのです。 前編では、日本の人事評価の歴史を経済的な視点から振り返り、さらに人事評価におけるレーティングの問題について詳しく語っていただきました。 次回、後編では現場の課題をどう解決していけばいいのかというお話に加えて、トレンドでもある働き方改革についても見解をお聞きします。 もちろん、お料理とワインもすばらしいものが登場! メインディッシュと、それに合わせる最高のワインは何が選ばれるのか……。こちらもお見逃しなく! 今回のお店 セレブール 2001年オープン。赤坂の隠れ家的ワインレストラン&バー。シェフを始め、スタッフは全員がソムリエの資格を持っており、フランスを中心とした銘醸ワインが約400種類そろっています。フレンチをベースにした創作料理とのマリアージュをお楽しみください。 <本日のワインと料理> 本日お楽しみいただいたワインと料理、そのマリアージュについてご紹介します。 白桃とフレッシュチーズのサラダ 干し鱈をじゃがいもと一緒にペーストしたブランダードは、フランス・ラングドック地方の郷土料理。ブリア・サヴァランというヨーグルトを加えたフレッシュチーズと季節の桃、そして黒いちじくと生ハムを合わせたアミューズの盛り合わせ。見た目、香り、食感のすべてで楽しめる一皿です。 シャンパーニュ・ラリエ、R.012 ブリュット 秀逸なピノ・ノワールを生み出すアイ村のシャンパーニュ。ピノ・ノワールの比率が高めでしっかりとした骨格を持ちながらも、口当たりはなめらかで繊細。柑橘系の香りと白い花のアロマが感じられるバランスの良いワインです。
コラム 2017年11月09日 コンサルタントが見たラスベガスで開催のHRテクノロジーカンファレンス最新事情 ~HR Tech Conference & Expo 2017 in Las Vegas~ こんにちは。セレブレインのHRテクノロジーコンサルタントの加藤雄平です。 2017年10月10日~13日の4日間、アメリカのラスベガスで世界最大級の人事テクノロジ―展示会”HR Technology Conference & Exposition” (以下HR Tech Conference)がありました。今年で20年目を迎える大イベントに私も参加してきました。 年々日本国内でも盛り上がりを見せるHR Tech領域ですがアメリカにおけるスケールはその何倍も大きく終始発見の連続でした。本イベントの開催日程は4日間、HR Techに関わるスタートアップ企業から世界を代表する企業まで約350社がブースを出展し多数のセミナーやセッションが開催されました。 一口にHR Techと言ってもカバー領域は多種多様で、パフォーマンス、ラーニング、エンゲージメントサーベイ、タレントマネジメント、ピープルアナリティクス、社員間コミュニケーション、採用支援、勤怠・就業、報酬管理等合計20以上の領域のサービスが集結していました。 そのような最先端のHR Techサービスがずらりと並ぶ貴重なイベントで経験したことを3つご紹介いたします。
ワインで対談 2017年10月29日 米国のHRテックと日本企業の意外なつながりとは – タレンタ石橋慎一郎さん × セレブレイン高城幸司【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第3回ゲストは、株式会社タレンタCEO・石橋愼一郎さん。ベンチャー支援を始めた経緯や、同社が提供するデジタル面接プラットフォーム「HireVue」について、セレブレイン代表取締役社長・高城幸司と対談しました。 第3回ゲスト:石橋慎一郎さん略歴 IBM、オラクルをはじめとする著名なIT企業において上級管理職を歴任した後、創設時からのパートナーであるサンブリッジ株式会社においていくつもの新規事業を立ち上げてきた。日本におけるテクノロジービジネスの発展を30年以上に亘ってリードし、現在はタレンタ株式会社のCEOとしてHRテックの普及に注力している。 アメリカのHRテックは、かつての日本企業のマネジメントスタイルをベースに開発されている 高城:ここまで、サンブリッジを創業してベンチャー支援をされてきた経緯や、タレンタで展開するサービスについてお話を伺ってきました。ところで、Facebookを拝見したのですが、石橋さんはプライベートでもアクティブですよね。ゴルフとか登山とかヨットとか……。 石橋:今は山に凝ってますね。もともとはゴルフをやっていて、体幹を鍛えるために山に登り始めたらすっかりそっちに夢中になってしまって。体力をつけるために有酸素運動をしようとジョギングを始めましたし、足腰に負担がかからないようにロードバイクを買って自転車もやっています。 高城:いやー、すごいですね。山にはどなたと? 石橋:最近はモンベルとかクラブツーリズムとかのツアーに一人で参加してますよ。レベルがいろいろあって、まだまだ先は遠いです。 高城:ぜひゴルフもまたやりましょうよ。タレンタとセレブレインでゴルフカップを。 石橋:いいですね! 高城:お話を戻しますが、やはり人事の業界ではアメリカが進んでいますよね。日本でもようやくHRの世界にテクノロジーを活用する重要性が認識され始めていますが、石橋さんから見てどんな状況だと思われますか? 石橋:やはりアメリカは進んでいると思います。HRテクノロジーベンダー含め人事政策を支援するさまざまなベンチャー企業が出てきていますので、良いサービスは我々も日本で展開したいと考えています。 高城:まだまだ日本に入ってきていない新しいサービスがたくさんあるということですね。 石橋:一つ、面白い話をしましょう。20数年前、ジャパン・アズ・ナンバーワンといって日本の経済状況が良かった時代がありました。その経済を支えている企業が社員に対して行っていたトリートメントがかなりすばらしいものだったのです。有能な人材をそれなりのポジションにつけて、終身雇用のエンゲージメントを与えることでモチベーションを高めていました。じゃあそのとき、アメリカはどうしていたか。 高城:ふむ。 石橋:アメリカは日本を見て、一生懸命に研究していたのです。そして、日本企業がやっていたことを彼らはシステム化しました。実は今、我々がアメリカから学んで日本に持ってきている製品の多くが、昔の日本の大企業がやっていたことをシステム化したものなんですね。 高城:うーん、なるほど。アメリカ企業のHRテック関連製品が実現しているものは、実は日本人がかつて実践していたことなのですね。 石橋:そうなんです。では日本とアメリカの違いは何なのかというと、アメリカはそういうものをシステム化してインフラを作るのが非常にうまいんですね。 高城:それならHRテックの考え方なんかは日本人にも親和性が高そうですね。 石橋:使いこなすことについて日本人は長けていますからね。ただ、システムという切り口でいうと、やはり3~5年はアメリカに遅れを取っていますね。 ブレイクスルーはコーチングにあり! HRテックで「Work Happy!」の実現を ソムリエ:さあ、メインディッシュです。ポークスペアリブに、ドンキー・アンド・ゴートのグルナッシュを合わせましょう。ここはもともとIT業界で働いていた夫婦が立ち上げたワイナリーで、クオリティは非常に高いです。 石橋:天国ですね、今日は(笑)。このワインは甘めのポークスペアリブにぴったり合いますね。日本だと甘めのスペアリブってあまり食べないですよね。 高城:ナチュールワインということもあって、普通のグルナッシュのイメージよりはさっぱりしていますが、やはり肉との相性は抜群ですね。普段はどんなワインを飲まれるのですか? 石橋:個人的には赤ワインが好きですが、周りに白好きが多いので、シャンパンからスタートして白、赤みたいな流れで飲むことが多いですね。 高城:いいですね! さて、メインディッシュをいただきながらお話の続きを。現在、アメリカではHRテックはどんな時期に入っているのでしょう。 石橋:まだまだ成長期ですよ。びっくりするようなものが次々に生まれています。たとえばスーパーの出入り口にボタンがあって、「良かった」とか「まあまあ良かった」みたいな感想を押すシステムなんかがあるんです。 高城:へえー! 面白いですね。 石橋:こういうのって日本人だとあまり考えないですよね。超多民族国家のアメリカだからこそ、システム化して合理的にお客さんの気持ちを汲み取ろうとするのかもしれません。 高城:しかし、日本からそういったサービスが生まれないというのはなぜなんでしょうね。日本発というのは難しいのでしょうか。 石橋:昔から日本のベンチャーはアメリカで成功しているモデルを日本に持ち込むというのが主流でしたからね。 高城:タイムマシン戦略ですね。日本はガラパゴスなんて言われますが、今後ブレイクスルーするとしたらどういうところが切り口になるでしょう。 石橋:難しい質問ですね。ブレイクスルーといっていいかはわかりませんが、コーチングをどうインフラで活用するのかが切り口になるかもしれません。 高城:というと? 石橋:たとえば新卒で採用した社員が3年で3割辞めるという話があります。それは本人の資質、組織の問題、ビジネスモデルの問題などいろいろな理由があるわけですが、かなりの部分を占めているのが上司との関係性なんですね。コミュニケーションをとって、社員のモチベーションを高く保てるかが重要なんです。 高城:これまではそういうものは仕組みとは別の部分で担保されていたと思いますが、今はなかなかそうもいかないですよね。 石橋:そうなんですよね。課長や部長や社長はタレントマネージャーそのものなんだけど、意外とタレントのマネージができていない。だからこそHRテックで仕組みを作っていくのが重要なんです。よくなでしこジャパンW杯優勝した佐々木則夫監督のことをサーヴァントリーダーといいますが、そういうマネジメントスタイルを実行するためにもHRテックは必要だと思いますね。 高城:石橋さんの今後の目標はどんなことですか? 石橋:タレンタ社は「Work Happy!」というビジョンを掲げています。ハッピーというと幸せ感ととらえられがちですが、僕が思うハッピーはウェルビーイングの世界なんです。つまり、感情としての幸福だけでなく、自分が健康であること、家族が健康であることです。そういうところまでいかないとハッピーとはいえない。アメリカのHRテックを見ていても、やはりウェルネスの領域まで広がってきていると思います。そういう視点で見ると、タレンタ社はすごく裾野が広い面白い会社にしていけるんじゃないかという感覚がありますね。 高城:気持ちの面だけでなく、自分や周囲の健康まで含めて「幸せに働く」ことだというのはすごく納得がいく世界観ですね。ぜひ一緒にHRテックを盛り上げて、「Work Happy!」を実現できたらと思います。本日はありがとうございました。 石橋:こちらこそ、ありがとうございました。 今回のお店 あじる亭カリフォルニア 地下鉄赤坂・赤坂見附からすぐのアメリカワイン専門ダイニング。カジュアルなワインから希少性の高いカルトワインまで200種類以上の品揃え。カリフォルニアキュイジーヌを意識した創作料理がワインと絶妙にマリアージュします。 <本日のワインと料理> 本日お楽しみいただいたワインと料理、そのマリアージュについてご紹介します。 ポークスペアリブ あじる亭カリフォルニア屈指の人気商品。ジューシーで柔らかく、ボリューム満点のスペアリブを甘口のソースでガツッと食べるアメリカンな一皿です。 ドンキー・アンド・ゴート グルナッシュ サンフランシスコのIT企業で働いていた夫婦が新たな挑戦として立ち上げたワイナリーのワイン。フランス・ローヌで技術を学び、2001年からワインを作り続けています。グルナッシュといえばどこか田舎っぽいイメージがあるかもしれませんが、自然派ワインということもあってか、ドライかつさっぱり。脂の多くない肉料理にマッチします。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。タレンタの石橋社長は日本のIT業界黎明期からベンチャー支援を続けてこられた方。投資家としてもプレーヤーとしても活躍されているからこその視点で、人事やテクノロジーの現状をお話ただきました。 食事についてもかなりのグルメということで、あじる亭カリフォルニアのお料理とワインをとても楽しまれていた様子。ご用意いただいた品々はどれも完璧なマリアージュで感動しました! どれも良かったのですが、やはり大人気のポークスペアリブは絶品でしたね。ローヌのグルナッシュも合うと思いますが、アメリカのグルナッシュ、しかも自然派ワインということで、また違った雰囲気の面白い組み合わせでした。 今回のマリアージュはどれも鉄板ですので、あじる亭カリフォルニアを訪れたらぜひ一緒に注文してみてほしいですね。