コラム 2024年3月28日 メンター制度の重要性 ~社員定着と企業の成長を支える鍵~ 昨今、若手社員の早期定着や成長促進、離職防止、企業理念・風土の伝承といった観点から、『メンター制度』が注目され、導入の効果が期待されています。メンター制度とは、所属部署の管理職や上司とは別に、先輩社員(メンター)が後輩社員(メンティー)をサポートする仕組みのことで、効果的に運用すれば、若手社員の育成だけでなく、風土の改善を通じて企業の成長につなげることも可能になります。そこで本記事では、メンター制度の重要性や導入のポイントなどを解説します。 1on1 コーチング コミュニケーション メンター モチベーション 人材マネジメント 組織風土 離職率
コラム 2024年3月18日 企業の採用活動にゴールデンタイムはやってこない ~続く売り手市場で勝者となる道~ 現在は転職が売り手市場になっていると言われます。採用企業より転職希望者の方が少なく、転職希望者が優位に立っている状況です。有効求人倍率が1.0を超えているのが目安とされています。今回は、日本企業の採用活動のトレンドについて過去の経緯を踏まえながら考えたいと思います。 採用 採用マーケティング
コラム 2024年2月21日 残業減で注目される「越境学習」 学びの機運を高めるには 日本の企業の月間平均残業時間は、2012年の46時間と比較して22時間減り、24時間とされています。有給消化率も大幅に改善して41%から60%。働き方改革が叫ばれ始めた2014年から改善は進み、なかでも20代の残業・有休消化は劇的に改善したとのことです(オープンワーク株式会社「働きがい研究所」2021年12月16日調査レポートより)。2000年代前半と比較すれば隔世の感がありますが、会社に縛られる時間が減ったことで、自由に使える時間を活用して社員自らが自己研鑽をする意欲は高まっているのでしょうか。 ここでは、政府が推進するリカレント教育の一環で、終身雇用が崩壊するなかで定年延長に対処するには必須とされている「越境学習」について、企業での機運の高め方を考察します。 リカレント教育 人材開発 生産性向上
HRTech 2024年1月22日 HR Tech Conference & Expo 2023より 人事データ分析に対する日米の違いと、日本の人事データ活用のこれから 2023年10月11日~13日の3日間にわたって、ラスベガスで『HR Technology Conference and Exposition 2023』が開催されました。これは毎年1回開かれるHRテクノロジーをテーマとした世界最大級のイベントで、大手からスタートアップまで、グローバルに展開するHR Tech企業が自社のブースを出展し、ツールのデモの実演や紹介などを行います。今回は米国企業を中心に450以上の企業が出展し、世界各地から延べ10,000人以上が参加しました。 セレブレインでは今回、関将宏と高野汐音が初めてカンファレンスに参加しました。私たちは、海外(主に米国)においてAIの活用も含め、人事データの分析が積極的に活用可能となっている動向を目の当たりにし、日本との大きな違いを実感しました。そこで今回は、海外のツールに実装されているデータ分析機能の特徴や日本との違いを紹介したうえで、人事領域におけるデータ分析が【会社で働く個人】【会社全体】それぞれに対して具体的にどのように活用されるようになってきているのかをお伝えしたいと思います。 HRテクノロジー タレントマネジメント ピープルアナリティクス 生産性向上
コラム 2024年1月09日 新規事業を生み出すフレームワーク~人事と経営の視点から 新規事業のプランを考えて、事業化する。新たな成長機会を創出したいと考えない企業はありません。ただ、その意欲がどれだけ高いか? 既存事業が順調に成長していると、危機感が薄れて先送りにしてしまう場合もあるでしょう。ゆえに、本気で新規事業に取り組もうと考える企業は既存事業の閉塞感によるものが多いかもしれません。今回は、そうした新規事業の創出を人事と経営の視点から考えてみたいと思います。 リスクマネジメント 人事戦略 人材開発 生産性向上
コラム 2023年11月09日 キャリア自律が叫ばれる時代の到来をどのように捉えればいいのか? キャリア自律(Career Self-Reliance)とは、主体的に、価値観を理解し、仕事の意味を見出し、キャリア開発の目標と計画を描き、現在や将来の社会のニーズや変化を捉え、主体的に学び続け、キャリア開発することです。 近年、企業が「キャリア自律」という言葉をつかい、重要課題であるキャリア開発に取り組んでいくことを宣言するようになりました。例えば、日清食品ホールディングス社は公募ポストの年齢制限を撤廃して、50歳以上のシニア社員でも、新たに管理職へ挑戦できるようにしました。また、厚生労働省が自律的なキャリア形成支援の模範となる取り組みを行っている企業に対して表彰する『グッドキャリア企業アワード』の事例をみていくと、キャリア自律の支援が加速してきていることが分かります。 こうした動きは大きな転換の表れだと感じます。なぜなら、これまで企業は、「社内でキャリア自律を掲げることはリスクがある」と考えてきたからです。自分のキャリアについてあまり考えて来なかった人に考える機会を促せば、結果として離職する社員が増えてしまうかもしれません。いわばパンドラの箱だと考えていたのです。 実際、とある企業の人事部長も「組織に対する帰属意識が薄れ、離職者が増えるのではないか?」と考えて、キャリア自律を叫ぶことを長らく控えてきたと話してくれました。その企業は長年、新卒採用を中心に人材確保を行い、キャリアという概念を意識させず、会社や組織に忠誠心の高い人材を重宝してきました。「このシステムこそが成功体験なので壊したくない」、「リスクになることは排除したい」このように捉えてのことなのでしょう。しかし、そのような「キャリア自律=リスク」の認識はいまだ払拭されていないにも関わらず、企業主導でキャリア自律を促す動きが出てきました。それはなぜでしょうか?また、そのような時代の変化に対して、社員はどのように向き合えばいいのでしょうか? リスクマネジメント 人事戦略 人材開発 生産性向上
人事施策 2023年1月17日 採用マーケティングを「はじめる」3つのポイント-ターゲットの選定・訴求内容・手法選定- 採用マーケティングとは採用活動にマーケティングの手法を取り入れることを指します。 労働人口の減少により人材獲得競争が激化の一途をたどっているなか、人材のニーズを把握し効果的なアプローチを仕掛ける手法として注目されています。 本記事では、採用マーケティングを本格的に導入する際の3つのポイントを紹介します。 [目次] 採用マーケティングが必要とされる背景 採用マーケティング導入の3つのポイント 採用マーケティングがもたらす効果 まとめ 採用マーケティングが必要とされる背景 近年は、VUCA(変動が激しく、予測しづらく、複雑で、あいまいの意)の時代と言われています。異業種間の競争も珍しくない熾烈な市場で勝ち抜いていくためには、優秀な人材を採用していくことが必要です。一方で、国内は少子化で若手人材の採用やリテンションはますます難しくなっています。 今後の採用活動では就職、転職を意識している人材だけではなく「潜在層」もターゲットにした戦略=採用マーケティングが重要になります。くしくも2021年から日本経済団体連合会(経団連)の採用ルールが廃止され、長期間かけて採用活動を行えるようになりました。 中長期的な戦略をもとにインターンシップ、リファラル採用、デジタルマーケティングなどの施策を組み合わせて、マスだけではなく個々の興味・活動にあわせた情報提供をすることで採用力を向上させることができます。 採用マーケティングで自社の魅力を打ち出すと、求職者だけでなく既存社員にも訴求しますので、エンゲージメントの向上や離職防止効果も期待できます。 採用マーケティング導入の3つのポイント 採用マーケティングを導入する際のポイントを解説します。 ・ターゲット・ペルソナの選定 「潜在層」を重視したアプローチに変えていくことが採用マーケティングの肝となります。「潜在層」「顕在層」「候補者」ごとのペルソナ(人材像の詳細なイメージ)設計を、できる限り明確にすることがまず第一歩です。 ・訴求ポイントの明確化 (自社分析) 採用マーケティングの軸はあくまで企業の魅力です。SWOT分析や3C分析などのフレームワークを活用し、想いではなくデータをもとに強みを洗い出します。また、人材コンサルタントなど外部の人にも協力してもらい客観的な自社の魅力(訴求ポイント)を明確にすることが重要です。 ・マーケティング手法の選定 予算とターゲット・ペルソナに合わせて最適な手法を選びます。 【例】 (1)Web広告(リスティング広告、SNS広告、純広告、動画広告、DSP広告) (2)自社のWebサイト、SNS、動画 (3)コンテンツマーケティング (4)マーケティングオートメーション(ITツール) なお、SNSやコンテンツマーケティング(オウンドメディア運営)は効果が出るまで一定期間かかります。それぞれの施策の時間軸も把握して計画を立てましょう。 採用マーケティングがもたらす効果 採用マーケティング導入のメリットを紹介します。 ・費用対効果 コンテンツマーケティング、SNS活用は社内に適任者がいればコストがあまりかかりません。仮にコンテンツ作成を外注しても、広告費用はかからず半永久的にWeb上に掲載可能です。軌道にのれば既存求人メディア、サービスよりコストパフォーマンスに優れています。 ・マッチング率向上・社員のエンゲージメント向上 Web上ではコンテンツが優れているかどうかで評価されます。自社の世界観、カルチャー、社員たちの魅力を優れたコンテンツとして発信できれば、企業規模に関係なく自社とマッチする人材に訴求できるでしょう。社員が自社の魅力を再発見し、エンゲージメント向上につながることも期待できます。 まとめ 近年のマーケティング領域では、ITツールの活用やデジタル社会の消費者行動にそった施策をとることで成果をあげる企業が増えています。採用市場も2020年を機に大きくデジタルシフトしました。リアルだけでなくオンラインの採用マーケティングに力を入れることは、直近はもちろん2~3年後の採用活動の成功にもつながるでしょう。 3C分析 SWOT分析 採用マーケティング
人事施策 2022年11月21日 コロナ禍3年目、働き方の「ニューノーマル」の今 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大による非常事態宣言の発令を機に、多くの企業が「ニューノーマル」を旗印に、一斉にリモートワークを導入しました。その後3年目も終盤となり、リモートワークは一つの選択肢として定着し、まさに新しい「ノーマル」となりました。 今回は、多くの企業が推進してきた新たな働き方について、いくつかの取組み事例を紹介します。 [目次] 働き方のニューノーマル、その後 ニューノーマルな働き方への取組み事例 まとめ 働き方のニューノーマル、その後 働き方の「ニューノーマル」とは、主にコロナ禍を契機に、新しいビジネススタイル、職場の在り方などを指して生まれた言葉です。リモートワークのような社員の働く環境の整備だけでなく、顧客との商談、ビジネス上の手続きの在り方、採用の手法、オフィスのレイアウト、各種イベントのデジタル化なども含まれます。 背景には、当面はまだコロナウイルス対策を継続しなければならないという理由がまずあります。さらに、多くの企業がリモートワークを経験したことで、「リモートワークでも問題ない」「リモートワークのほうがむしろ合理的」など、場所や時間にとらわれない働き方が生産性向上につながると認識してきたことも影響しているでしょう。 もちろん、リモートワークでは対応できない業務もあれば、リモートワークで生産性が落ちたという意見もあります。リモートワークに限らず、働き方の多様性に目を向けることで、従来の形にとらわれない、働き方の「ニューノーマル」を実現することが求められてきたのです。単に社員にリモートワークを許可するだけではなく、企業が自社の価値を改めて考え、「働く環境の整備」「IT環境の整備」「業務体制と人事評価」「コミュニケーションの活性化」「健康サポート」などを包括的に行うことが必要になります。 ニューノーマルな働き方への取組み事例 ニューノーマルな働き方では日立製作所や富士通の取組みが注目されましたが、他にも次々と新しい動きが登場しました。 (1)パソナグループ 2020年9月、人材サービス業界大手パソナグループは、本社を東京から兵庫県の淡路島に移転すると発表しました。2024年5月までに経営企画、人事、財務経理などを担う1200人を島内に配置予定としており、2021年末時点で既に希望者350人が淡路勤務に。淡路を拠点とした地方創生事業を打ち立て、「地方創生テレワーク」を推進するほか、内閣府からの受託事業として「地方創生テレワークアワード」の運営も行うなど、テレワークを単なる出勤の代替としてではなく、新たな価値の提案としてうまく事業につなげています。地方への移転はほかにも、災害に対するリスクヘッジ、オフィス費用の低減、従業員が通勤ラッシュから解放されて自然豊かな環境で働けることなどを目的としている、と同社は述べています。 (2)サイボウズ株式会社 IT企業のサイボウズ株式会社はもともと2010年からリモートワークを推進している企業でしたが、コロナ禍によって全社的なリモートワークを経験した結果、従来の体制では情報格差が大きかったことや孤独感にどう対処するかなどの課題を隠すことなくオープンな場で発信してきました。現在では、「テレワークからハイブリッドワークへ」を掲げ、在宅勤務をはじめとしたテレワークと、出社してオフィスで働くオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を提唱しています。 (3)株式会社minitts コロナ禍によって多大な打撃を被った飲食業界。国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」を運営する株式会社minittsも例外ではなかったものの、早期に2店舗を閉店するという見切りの早さや給付金等の支援策をフル活用することで経営を維持しました。事業を大きくすることよりも、従業員と顧客の満足度に重きをおくため、メニューを1日100食限定と、あえて上限を設ける形態で運営。基本的に昼のみの営業で売り切れ、従業員は残業ゼロ。有給休暇完全取得を実現しています。「家族で晩御飯を一緒に食べられる働き方」を目指すという同社では、多様な人材が正社員として活躍しており業績も順調です。 (4)田辺三菱製薬株式会社 6年連続「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されている田辺三菱製薬株式会社は、2020年の在宅勤務時に行った従業員意識調査の結果をもとに、特に要望の多かった以下7項目を「働き方カエル宣言」と名づけ、新しい生活様式における働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。 1.感染予防策の徹底(オフィス環境、通勤、勤務形態) 2.会議の見直し 3.脱ハンコ 4.ペーパーワークの大削減 5.拠点のサテライトオフィス化 6.テレワーク環境の整備 7.毎週金曜日のFriday Survey継続(新しい働き方に対する従業員意識調査) その他、LGBTや女性活躍に対する積極的な取り組みや、事実婚・同性パートナーを配偶者と同様の扱いに変更するなど、従業員がより良く働ける環境の構築を積極的に推進しています。 以上、4社それぞれ独自性はあるものの、合理的思考に基づいた判断が企業にも従業員にもメリットをもたらしている点は共通していると言えるでしょう。 まとめ 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中でビジネスのあらゆる面で変化が急速に進みました。さらに、今後は新しい環境にそったニューノーマルな働き方を設計していく必要に迫られています。現在はいわば大きな過渡期に直面しており社内外が混乱しやすい状況です。従業員の健康と働きやすさ、企業の生産性向上を実現できるニューノーマルを社内で検討することはとても重要です。 withコロナ テレワーク ニューノーマル 働き方改革 多様性
人事施策 2022年10月17日 自律型組織を考える(2)「ホラクラシー組織」 ホラクラシー(holacracy)とは役員、部長、課長などの階級や役職がなく、上司・部下といった上下関係もない組織体制のことを指します。従来のヒエラルキー型組織と相反する新しい経営手法として注目されており、生産性の向上やストレスの軽減ほかさまざまなメリットが指摘されています。本記事では、ホラクラシー組織が登場してきた背景、具体的なメリット・デメリットを解説します。 [目次] ホラクラシー組織の特徴とは? ホラクラシー組織が導入された背景 ホラクラシー組織のメリット ホラクラシー組織のデメリット・注意点 まとめ ホラクラシー組織の特徴とは? ホラクラシー組織とは、日本に従来から根づいている「中央集権型・階層型」のヒエラルキー組織に対して、「分散型・非階層型の組織」とも呼ばれます。組織の決定権は一部の上級管理職ではなく、社員が所属するグループに委ねられます。 社員全員に「役割」が与えられグループ内で個々が意思決定を行います。経営に対しても社員全員が発言権をもち、評価や査定も社員全員で実施するケースが多く見られます。 ホラクラシー組織が導入された背景 ホラクラシーは、2007年に米国のIT企業創業者、ブライアン・ロバートソン氏によって提唱されました。背景には世界のグローバル化、デジタル化があります。一部の管理職のみが重要情報を持ち意志決定するヒエラルキー型組織では、市場環境の変化の速さに対応しきれない課題があり、その解決のために創出されたと言われています。 ロバートソン氏の執筆した『HOLACRACY(ホラクラシー)』には、ホラクラシー組織は「55分で33議題の処理をも可能にするプロセスである」とあり、非常に効率的であることがうかがえます。 米国のネット通販企業ザッポスをはじめ世界で数百社が導入しているほか、日本でも不動産テックベンダーのダイヤモンドメディア、民泊情報サイトAirbnbなどが導入し注目を浴びています。 ・ホラクラシー組織とティール組織の違い ホラクラシー組織は「ティール組織」とよく混同されます。ティール組織とは「組織に関わるすべての人のために組織がある」という考えに基づき個々のメンバーが自律的に組織の目的に応じて行動する組織形態です。 ティール組織が広義の、ある意味では抽象的な「概念」であるのに対して、ホラクラシー組織は一つの明確な「ビジネスモデル」を提示しているところが違っており、わかりやすく言うとティール組織を構築する形態の一種として、ホラクラシー組織があると言えます。 ・ホラクラシーの解釈の注意点 ホラクラシー組織はしばしば誤解されますが、社員とグループは会社組織というグループに属するため、必ずしも「フラットな組織」ではなく、グループごとにファシリテーターをたてて進行するなど状況に応じて管理体制もつくるため「管理者がいない」ことにもあてはまりません。 上下関係がないかわりに「ホラクラシー憲法」というルールがあり、グループ運営の仕組みや意思決定のプロセスは規定されています。 ホラクラシー組織のメリット ホラクラシー組織のメリットには以下の点があります。 ・生産性・自律性の向上 意思決定スピードが早くなることで生産性向上につながります。また、社員の役割が明確かつ裁量権があるため自律性につながり、また業務に集中しやすいためモチベーションが上がることも期待できます。 ・多様なアイデアの創出 個々の意見が尊重されるため多様な意見が集まり、コミュニケーションも活発になるため新しいアイデアが生まれやすくなります 。 ・ストレス軽減 上下関係がなくなり、また個々やチームの目的や情報がオープンになるため、理不尽な要求・パワハラ・社内政治などが生じづらくなり、社員がリラックスして役割に集中できます。 ホラクラシー組織のデメリット・注意点 デメリットと注意点としては以下が挙げられます。 ・導入・実施コスト ヒエラルキー型組織は長く社会的に浸透しているため、企業にホラクラシーの考え方や意義を浸透させるには相応の時間を要するでしょう。 ・組織管理がしにくい ホラクラシー組織にはグループのリーダーは存在しないため、組織全体を統括してコントロールすることが難しい面があります。 ・リスク管理に注意を要する 個々の社員が意思決定の権限をもつため、何人もの承認を得るプロセスがない代わりに、リスク判断についても個々の裁量に委ねられる部分が大きくなります。また、情報をオープンにする必要があり、社内の誰もが情報にアクセスできるようになるため、機密情報の管理にも、より注意が必要となります。 まとめ ホラクラシー組織は、市場の変化の速さに対応しやすい非常に効率的、機能的な組織形態だと言えるでしょう。ヒエラルキー型組織から急激にホラクラシー組織に転換することは、評価・処遇の問題や心理的契約等の観点からもハードルは高いのですが、自律型組織を目指すうえでは参考にすべき組織モデルだと言えます。 JOB型雇用 ブライアン・ロバートソン ホラクラシー
人事施策 2022年10月03日 自律型組織を考える(1)「ティール組織」 2014年にフレデリック・ラルー氏によって著され、日本では2018年に英治出版から発行された『ティール組織』。当時、各所のビジネス書大賞で入賞し、瞬くまに日本中に知れ渡りました。あれから4年が経過しましたが、今でもティール組織のセミナーが開かれ、多数の人が集っています。 働く人々の価値観やライフスタイルが多様になり、リモートワークなど働き方の選択肢も増える中、自律型組織をどう構築するかは大きなテーマです。本記事では、そのヒントとして「ティール組織」に再注目してみたいと思います。 本記事ではティール組織とは何か? ティール組織を理解するにあたり必要な組織形態5フェーズの知識、ティール組織にまつわる誤解を解説していきます。 [目次] ティール組織とは? ティール組織に至る5つの組織フェーズ 最も優れている組織とは言い切れないティール組織の3つの誤解 まとめ ティール組織とは? ティール組織とは、社長や上司などのリーダーがマイクロマネジメントを行うのではなく、組織のメンバー一人ひとりが組織の社会的使命を理解したうえで、各現場において自律的に動いていく組織を指します。 ティール組織の特徴はパーパス(組織の存在意義)が明確で、セルフマネジメント(自主経営)とホールネス(全体性)を実現しているところにあり、『ティール組織』の著者フレデリック・ラルー氏は、ティール組織をこれまでの組織とは一線を画す組織形態だとしています。 ティール組織に至る5つの組織フェーズ 組織には発達過程があります。ティール組織は原始的な組織からのフェーズを内包しながら進化してきた組織です。 1.Red(レッド)組織 特定の個人の圧倒的な力でマネジメントする原始的な組織形態です。恐怖支配に近く、マフィアなどが相当します。 2.Amber(琥珀)組織 ピラミッド型の階級があり個々のメンバーの役割が決まっている組織です。命令系統はトップダウンであり個人は階級と役割に応じた仕事に徹します。軍隊などがあてはまります。 3.Orange(オレンジ)組織 組織内にヒエラルキーがありながらも個人の実力によって昇進したり、上意下達だけでなくボトムアップな意思伝達も多少は可能な組織です。一般企業の多くがあてはまります。 4.Green(グリーン)組織 ゆるやかな階級はあるものの、メンバーの意見、自主性がかなり尊重される民主的な組織です。一方で何かを決定する際に全員から合意を得るために時間がかかる傾向があります。NPOなどがあてはまります。 5.Teal(青緑)組織 組織に属するメンバーが、まるで一つの生命体の細胞のように自律的かつ調和的に動く組織です。メンバーたちの裁量権は大きく、一人ひとりが組織の意義を理解しているため、現場で迅速な意思決定ができます。 企業事例としては、「ザッポス伝説」という言葉を生んだ米国のアパレル通販サイト運営企業ザッポス社(Zappos.com)、日本ではクラウドサービスを展開するIT企業サイボウズ社などが知られます。また、書籍『ティール組織』にはさまざまな企業規模の事例が紹介されています。 ティール組織の3つの誤解 ティール組織を目指す際に留意すべき点を紹介します。 ティール組織が最も理想とは言えない ティール組織は進化した組織形態ですが、ほかの組織より優れているとは言い切れません。例えば、災害時などの緊急事態は、大人数を迅速に動かせる指示命令系統の明確な組織が適している場合もあります。また、高い自律性を備えた人材と自律的な風土があってはじめて成り立つため、そうでない従業員が多い場合は、混乱を招く恐れもあります。 ティール組織に至る決まった手法はない ティール組織とは形式ではなくパラダイム(概念的な枠組み)、つまり捉え方なので、ティール組織を実現していくプロセスも多様です。決まった手法は存在しません。そのため、まずは概念を理解した後で、具体的な手法を模索する必要があります。 組織の制度改革が先ではない ティール組織はメンバーが高い「自主性」を持たないと成立しません。会社の存在意義が明確であることも必要です。軸になるのは制度ではなくメンバーと会社との「信頼関係」「意識の変容」です。 ティール組織を実現するにはどうすればよいか ティール組織は、すぐに取り入れるべき組織管理手法といったものではなく、あくまで自律型組織のゴールの1つの形です。企業の存在意義やメンバーの自律性に依るマネジメントが機能すれば、組織のレジリエンスやイノベーションにも寄与するでしょう。しかし、会社のマネジメントのあり方をいきなり大きく変えることは現実的ではありません。 まずは、自律性の高いメンバーを集めて、チーム単位でティール組織を構築することから始めると良いでしょう。会社全体としてはオレンジ組織やグリーン組織であっても、プロジェクトチーム等でティール組織を機能させることができれば、自律的な人材にとってはモチベーションにつながりますし、会社としても、周囲への良い影響を期待できるでしょう。自分の会社では難しい、あるいは関係ないとあきらめるのではなく、従業員が「自律的な働き方」を実際に目にし、考えられるようにしていくことが、自律型組織への第一歩になると言えるでしょう。 セルフマネジメント ティール組織 フレデリック・ラルー ホールネス マネジメント