コラム
人事施策
報酬だけではない!レコグニションの仕組み化で社員エンゲージメントを高める
日本の労働人口が減少している現在、社員ひとりひとりのエンゲージメントを高め、長期的に活躍してもらうことは企業や人事部門にとって重要な検討事項です。
では、どのようにすればエンゲージメントを高めることができるのか?今回は「レコグニション」についてご紹介します。
レコグニションとは?
「レコグニション」とは、日本語に直訳すると「認識」や「承認」という意味です。人事用語としては、「社員の活躍を認め、承認・称賛することを仕組み化する」ことです。以前、リワードプログラムについて紹介しましたが、「社員の活躍に対して報いる」という意味ではリワードもレコグニションも同じです。しかし、大きな違いとしては、リワードは金銭を伴うインセンティブのことを指し、レコグニションは非金銭的報酬で承認・称賛することを指します。社員の取り組んでいる仕事に価値があることを示し、ポジティブな職場の雰囲気を作りだすなど、より企業カルチャーへの影響が強いのが特徴です。
具体的な例としては、表彰制度、社内SNSで称賛しあう文化、ありがとうカードなどがレコグニションになります。
レコグニションを構築するための5つのポイント
最近の研究では、社員に対して前向きなフィードバックをするには、次の5つのポイントが重要であることがわかってきました。
1.即時
あとでまとめてフィードバックするよりも、その時々にすぐにフィードバックをする方が効果が高いと言われています。2.誠実
何かを意図してやテクニックで承認・称賛をしても相手には響きません。承認・称賛は心から伝えることが大切です。3.具体性
「いい仕事したね」などの曖昧な表現よりも「前年比200%の売上達成はとても素晴らしいね」など具体的に表現するほうが相手によく伝わります。4.バランス
感謝する対象に対するレコグニションの釣り合いも重要なポイントです。メールで伝えるのか、電話で伝えるのか、わざわざ会って言うのかなど、伝え方だけ考えてみても重みが変わります。5.ポジティブ
「これは×だけど、これは◯だね」などのように批判的なことと一緒に行うと効果はでません。良いことだけをフィードバックすると効果が高まります。
どれも受けて側にたつと納得のポイントです。これらの5つのポイントをレコグニション構築の際には念頭におくことで、効果の高い仕組み構築が可能になるかと思います。
海外のレコグニションプログラム提供サービス
このような承認・称賛について、特に昔の日本では暗黙的という考え方が強く、あえて言わないという文化的な側面もある気がします。一方で欧米では必要なことは仕組み化していく、具体的にアクションをしていくという文化的な傾向があり、レコグニションについても、サービスが生まれてきています。
Achievers https://www.achievers.com
2002年に設立されたカナダの会社です。「Change the way the world works(世界の働き方を変える)」ミッションに掲げ、レコグニション、リワードに関するプラットフォームを提供しています。
※レコグニション単体のシステム(承認・称賛を可視化するなどのシステム)はあまりなく、リワード(外部サービスと連携した福利厚生)がセットになるシステムが多くなります。
まとめ
個人の価値観によりますが、世の中報酬だけを目的に働く人だけではありません。ましてや、モチベーションは些細なことで大きく変わります。
最適なレコグニションの構築は経営的な観点からも、お金をかけずとも業績があがるという経済的合理性を発揮します。また、会社の文化構築や変革にも大きく寄与するため、働きやすい職場という競合優位性にもつながります。
継続的かつ頻発に承認・称賛が発生する仕組みを組織に作り込むことで、社員のエンゲージメントが向上し、イキイキと働くことや高いパフォーマンスを発揮することが期待されます。
自社に合うレコグニションの構築を人事施策に取り入れてみてはいかがでしょうか。