コラム 2024年6月26日 エンゲージメントサーベイとパルスサーベイで組織力を高めるには 近年、人的資本経営を巡る取り組みが活発化する中、エンゲージメントサーベイやパルスサーベイを活用する企業が増えてきています。エンゲージメントは、従業員一人ひとりが戦力化していることを示す重要な指標であり、サーベイの結果を分析することで、組織課題を把握したり、改善に繋げたりすることが可能です。しかし調査結果に一喜一憂するばかりで、有効なアクションプランなど真の改善に繋げることができていない企業も少なくありません。そこで今回は、サーベイの目的や活用方法、改善に繋げるポイントなどを解説します。 エンゲージメント パルスサーベイ モチベーション 人材マネジメント 生産性向上 組織風土
コラム 2024年2月21日 残業減で注目される「越境学習」 学びの機運を高めるには 日本の企業の月間平均残業時間は、2012年の46時間と比較して22時間減り、24時間とされています。有給消化率も大幅に改善して41%から60%。働き方改革が叫ばれ始めた2014年から改善は進み、なかでも20代の残業・有休消化は劇的に改善したとのことです(オープンワーク株式会社「働きがい研究所」2021年12月16日調査レポートより)。2000年代前半と比較すれば隔世の感がありますが、会社に縛られる時間が減ったことで、自由に使える時間を活用して社員自らが自己研鑽をする意欲は高まっているのでしょうか。 ここでは、政府が推進するリカレント教育の一環で、終身雇用が崩壊するなかで定年延長に対処するには必須とされている「越境学習」について、企業での機運の高め方を考察します。 リカレント教育 人材開発 生産性向上
HRTech 2024年1月22日 HR Tech Conference & Expo 2023より 人事データ分析に対する日米の違いと、日本の人事データ活用のこれから 2023年10月11日~13日の3日間にわたって、ラスベガスで『HR Technology Conference and Exposition 2023』が開催されました。これは毎年1回開かれるHRテクノロジーをテーマとした世界最大級のイベントで、大手からスタートアップまで、グローバルに展開するHR Tech企業が自社のブースを出展し、ツールのデモの実演や紹介などを行います。今回は米国企業を中心に450以上の企業が出展し、世界各地から延べ10,000人以上が参加しました。 セレブレインでは今回、関将宏と高野汐音が初めてカンファレンスに参加しました。私たちは、海外(主に米国)においてAIの活用も含め、人事データの分析が積極的に活用可能となっている動向を目の当たりにし、日本との大きな違いを実感しました。そこで今回は、海外のツールに実装されているデータ分析機能の特徴や日本との違いを紹介したうえで、人事領域におけるデータ分析が【会社で働く個人】【会社全体】それぞれに対して具体的にどのように活用されるようになってきているのかをお伝えしたいと思います。 HRテクノロジー タレントマネジメント ピープルアナリティクス 生産性向上
コラム 2024年1月09日 新規事業を生み出すフレームワーク~人事と経営の視点から 新規事業のプランを考えて、事業化する。新たな成長機会を創出したいと考えない企業はありません。ただ、その意欲がどれだけ高いか? 既存事業が順調に成長していると、危機感が薄れて先送りにしてしまう場合もあるでしょう。ゆえに、本気で新規事業に取り組もうと考える企業は既存事業の閉塞感によるものが多いかもしれません。今回は、そうした新規事業の創出を人事と経営の視点から考えてみたいと思います。 リスクマネジメント 人事戦略 人材開発 生産性向上
コラム 2023年11月09日 キャリア自律が叫ばれる時代の到来をどのように捉えればいいのか? キャリア自律(Career Self-Reliance)とは、主体的に、価値観を理解し、仕事の意味を見出し、キャリア開発の目標と計画を描き、現在や将来の社会のニーズや変化を捉え、主体的に学び続け、キャリア開発することです。 近年、企業が「キャリア自律」という言葉をつかい、重要課題であるキャリア開発に取り組んでいくことを宣言するようになりました。例えば、日清食品ホールディングス社は公募ポストの年齢制限を撤廃して、50歳以上のシニア社員でも、新たに管理職へ挑戦できるようにしました。また、厚生労働省が自律的なキャリア形成支援の模範となる取り組みを行っている企業に対して表彰する『グッドキャリア企業アワード』の事例をみていくと、キャリア自律の支援が加速してきていることが分かります。 こうした動きは大きな転換の表れだと感じます。なぜなら、これまで企業は、「社内でキャリア自律を掲げることはリスクがある」と考えてきたからです。自分のキャリアについてあまり考えて来なかった人に考える機会を促せば、結果として離職する社員が増えてしまうかもしれません。いわばパンドラの箱だと考えていたのです。 実際、とある企業の人事部長も「組織に対する帰属意識が薄れ、離職者が増えるのではないか?」と考えて、キャリア自律を叫ぶことを長らく控えてきたと話してくれました。その企業は長年、新卒採用を中心に人材確保を行い、キャリアという概念を意識させず、会社や組織に忠誠心の高い人材を重宝してきました。「このシステムこそが成功体験なので壊したくない」、「リスクになることは排除したい」このように捉えてのことなのでしょう。しかし、そのような「キャリア自律=リスク」の認識はいまだ払拭されていないにも関わらず、企業主導でキャリア自律を促す動きが出てきました。それはなぜでしょうか?また、そのような時代の変化に対して、社員はどのように向き合えばいいのでしょうか? リスクマネジメント 人事戦略 人材開発 生産性向上
人事施策 2020年8月05日 日本で「エンゲージメント」が重視される3つの理由と、得られる効果とは 日本人の仕事に対する価値観は、少子化による若手人材の不足、雇用形態の多様化、終身雇用からジョブ型雇用へ転換を図る企業の増加なども影響し、昔より多様化してきました。企業と個人の関係はフラットになりつつあり、ミレニアル世代以降の若者は、特にその傾向が強いと言えるでしょう。 このような流れのなか人事領域で注目されてきたのが「エンゲージメント」という概念です。今回はエンゲージメントの意味、重要性が高まってきた背景、エンゲージメント向上の効果を紹介します。 [目次] 組織と個人の関係を表す「エンゲージメント」とは? 日本で「エンゲージメント」が重視される3つの理由 エンゲージメント向上による効果 まとめ 組織と個人の関係を表す「エンゲージメント」とは? エンゲージメントとはお互いの愛着や貢献意欲を意味する言葉であり、人事の視点においては企業におけるミッション・ビジョンを明確に打ち出し、従業員に対して仕事に意欲を持てる環境を提供することで、従業員が企業の方向性や目標に対して共感し、貢献したいと思う相互の関係性の強さを意味します。 エンゲージメントは1990年代、米国の企業で生産性向上に対する意識が高まるなか従業員満足度にかわる概念として注目され始めました。従業員満足度よりも企業の生産性との関係性が強いと解釈されたことが大きな理由です。 日本で「エンゲージメント」が重視される3つの理由 日本で注目され始めている理由は3つあります。 ・個人の価値観の多様化 近年の若い世代は、仕事に対して収入や昇格よりも働く意味、やりがいを重視する傾向があります。一方、50代を中心とするミドル層は1社に長く勤め上げ、安定した収入と出世を目指すことに価値をおく層が多数派です。世代によって価値観が異なるだけでなく、女性や外国人社員の増加、雇用形態の多様化も進み、今は一つの組織内に様々な価値観を持つ従業員が存在します。多様化した従業員の価値観、ニーズに応えるためにエンゲージメントが注目されています。 ・組織と個人の関係性の変化 少子化により若年層の優秀な人材を確保する競争が熾烈になっています。若い世代は終身雇用に幻想をあまり持っておらず、自分の成長を重視し、現状に不満がなくても転職する傾向があります。個人と組織が対等な関係に変化するなか、企業には個人の意志を尊重したキャリア設計を実現することが求められるようになり、エンゲージメントが着目され始めました。 ・科学的根拠に基づいた人事アプローチ HRテクノロジーの進歩により、従業員データを収集しデータやエビデンスをもとに意思決定する人事アプローチが重視されています。エンゲージメントは生産性との相関関係などを測定できる指標でもあるため活用する企業が増えています。 エンゲージメント向上による効果 エンゲージメントを高めることで期待できる効果を紹介します。 ・離職率の低下、優秀な人材の流出を防ぐ 2018年、モチベーションエンジニアリング研究所が慶應義塾大学院の岩本研究室と共同でグループの4法人を対象に行った調査では、エンゲージメントスコア(ES)と退職率の相関に-0.73~-0.97という「強い負の相関(逆相関)」が見られ、ESが高いほど退職率が低い傾向にあることがわかりました。メンバー層、管理職層双方の退職率に影響を与えていることから、エンゲージメント向上が優秀な人材の流出防止につながることが推測できます。 ・業績、生産性の向上 また、同研究所が上場企業66社に対し行った調査において、従業員エンゲージメント向上が営業利益率や労働生産性にプラスの影響があるという結果も出ています。国内外の複数の機関からも同様の調査結果が発表されていることから、従業員エンゲージメント向上に取り組むことで生産性が向上することも期待できます。 ・リファラル採用 社員に友人、知人を紹介してもらうリファラル採用に協力する社員は、「会社が好き」「会社に貢献したい」と思う、まさにエンゲージメントの高い社員です。エンゲージメントが高い社員が増えるほどリファラル採用が成功することが期待できます。 まとめ 価値観の多様化、HRテクノロジーの進歩とともにエンゲージメントという概念が注目されています。エンゲージメントと生産性の直接的な相関については様々な研究機関から調査結果が発表されているため、今後もエンゲージメント向上に取り組む企業は増加していくでしょう。 エンゲージメント ミレニアル世代 リファラル採用 生産性向上 離職率