人事施策 2021年11月01日 AIの活用でダイバーシティ採用を推進 昨今、日本でもダイバーシティ採用の必要性が唱えられています。経済産業省もダイバーシティ採用の推進は多様化する市場ニーズやリスクへの対応力を高めるため、企業の競争力向上や持続的成長に不可欠となっています。 しかし、日本の企業が急に意識を変えることはそう簡単ではありません。採用活動においても無意識にこれまでのバイアスや慣例に影響される可能性はあるでしょう。本記事ではAIを活用してダイバーシティ採用を推進する例を紹介します。 [目次] ダイバーシティ採用推進の必要性 日本でダイバーシティ採用の推進が必要とされる背景 ダイバーシティ採用の推進にはAI活用が有効 ダイバーシティ採用にAIを活かした海外事例 まとめ ダイバーシティ採用推進の必要性 ダイバーシティは「多様性」という意味です。大きく 2つの意味があり、一つは表面的なダイバーシティ(国籍、民族、性別、年齢、障がい等)、もう一つが内面的なダイバーシティ(思想、価値観、所属するコミュニティ等)です。人事用語では「多様な人材を採用・活用する」といった文脈で使われます。 ダイバーシティはもともと米国で生まれた概念です。多様な人材を採用し、さまざまな価値観・発想をビジネスに活かしてもらうことが、社会にも企業にもプラスという思想です。 企業のメリット 国籍、民族を問わず能力の高い人材に活躍してもらえる 新しいアイデア・イノベーションが生まれやすい オープンな社風になり従業員が定着しやすくなる 日本でダイバーシティ採用の推進が必要とされる背景 日本でも以前からダイバーシティ採用推進は必要とされていました。 主な理由は以下の通りです。 (1)多様な人材を採用する企業の社会的責任 (2)労働人口の減少 (3)女性管理職が少ないなど女性人材の活用が進んでいない (4)労働観の多様化 (5)グローバル化による海外人材の来日 (6)多様化する市場ニーズへの対応が必要 特に(2)の労働人口減少の問題が影響しています。少子高齢化は年々進み若者が減っていくのは変えることができない現実です。そのため女性や高齢者、障がい者、外国人などの人材を採用し活かしていくことが求められています。 ダイバーシティ採用の推進にはAI活用が有効 海外では、ダイバーシティ採用の推進にAIを活用する企業が増えています。日本でもAIはチャットボット、スケジュール調整ほか採用プロセスの自動化など業務効率化に活用されてきましたが、海外ではそれにとどまらず、採用そのもの(面接・選考)にもAIを活用し始めています。 人事担当者といえども人間は何かしらのバイアスを持っていることが多いため、多様な人材を公正に採用するためには、バイアスのないAIを作り、採用活動に活用することが公正な採用に役立つという考え方に基づいています。 もちろん、AIがバイアスを持つこともありますが、AIのバイアスは発見されたら修正が可能なので人間のバイアスを減らすことよりは容易です。 ダイバーシティ採用にAIを活かした海外事例 ダイバーシティ 採用にAIを活かす事例に、ThisWay Global社の『Ai4JOBS』、TalVista社の『TalVista』があります。 Ai4JOBSは「バイアスを持たないトレーニングをされたAI」が、スキルはありながらも担当者のバイアスでチャンスを逸した人材を発見します。Ai4JOBSはHR Technology Conference & Expo 2019においてギグエコノミー賞を受賞しています。 「TalVista」は求人情報の最適化、ブラインド・レジュメ/CVレビュー、ストラクチャードインタビューの3機能で多様な人材を集め、バイアスに影響されず適性や入社後の活躍を指標に選考する支援をします。 まとめ グローバル化による厳しい競争に企業が勝ちぬくためには多様な人材が必要であり、そのためには多様な人材の能力を、的確に判断して採用する力が必要です。 とはいえ、それまでとは異なるさまざまな価値観・バックグラウンドを持つ人材の能力や活躍可能性を見抜くのは指標が難しく、バイアスに影響される可能性も少なからず出てくるでしょう。バイアスを持たないAIを選考に活かすことは、ダイバーシティ採用の推進に有効です。 AI活用 ダイバーシティ 多様性
解説 2021年6月29日 社員の多様性等についての情報収集・分析 近年は企業経営において人材の多様性(ダイバーシティ)を推進していく取り組みが進み、さまざまな企業が多様な従業員にとって働きやすい環境・企業風土の組織を目指しています。女性管理職の数が増えた企業や、日産自動車の「note」、キリンビールの「カラダFree」のように多様性をブランド開発に活かすなど、強みに転換できた企業も増えつつあります。 本記事では多様性とはどのような概念か?企業が多様性を重要視する理由は何か? 「HR Technology Conference & Exposition2020」のTop HR Productsに選出された従業員の多様性データ収集・分析プラットフォーム「Pluto」について解説します。 HRテクノロジー イノベーション ダイバーシティ
人事施策 2020年7月22日 多様な人材をまとめるリーダーの要素と組織を成功に導くチーム運営のステップ 働き方の多様化が進んでいくなか、正社員だけではなく非正規社員、フリーランス、インターンなどさまざまな雇用形態のメンバーを、目標達成に向けてマネジメントする機会が増えています。バックグラウンドはもちろん、個性や利害関係が異なるメンバーのチームで成果を上げるためには何が重要でしょうか? 今回はチーム運営を成功に導くために必要不可欠なステップとリーダー人材に求められるスキルを解説します。 [目次] マネジメントの観点で捉える、チーム運営に必要な人材とは 組織を成功に導くチーム運営、そのステップとポイント まとめ マネジメントの観点で捉える、チーム運営に必要な人材とは チーム運営を担うリーダーには、メンバー一人ひとりの能力を最大限に発揮させる力が必要です。チームワークを発揮できる環境を整え、メンバーの力量や個性を把握し、個々のモチベーションを高め、維持していくマネジメント力が問われます。 また、チームの目的である組織目標達成に向けて、メンバーを牽引する強いリーダーシップも必要です。チーム運営には「マネジメント力」と「リーダーシップ」を兼ね備え、チーム運営についての知識を持つ人材が求められます。 組織を成功に導くチーム運営、そのステップとポイント 組織を成功に導くチーム運営は、どのようなステップで実現できるのでしょうか? ここではチーム運営のフレームワークの一つである「タックマンモデル」を紹介します。 アメリカの心理学者Bruce Tuckman氏は、チームの成熟段階を「形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期」の5ステップに整理したうえで、混乱期や統一期をへて機能期に到達しなければ、チーム力は十分に発揮されないと述べています。 ・形成期(Forming) チームを形成していくステップ。メンバーの目標に対する理解が浅く、メンバー同士もお互いを詳しく知らないため、チーム内に緊張感がある時期です。このステップのマネジメントではビジョンの明示や目標の共有、アイスブレイクによるチーム内の緊張緩和、チーム活動の阻害要因の見極めが必要です。 ・混乱期(Storming) 目標や課題へのアプローチ方法を模索するステップです。個々の経験や価値観の違いからメンバー間で意見が分かれ、チーム内に混乱が起きる時期でもあります。 このステップでは意見の衝突を避けてはいけません。メンバーが率直に意見をぶつけ合い、相互理解を深められるようなマネジメントを行うことで、チームの抱える課題が浮き彫りになり、その解決に取り組むことができるからです。 ・統一期(Norming) メンバー同士が相互理解を深め、チームが機能し始めるステップです。チームの行動規範や役割分担が明確になりメンバーのベクトルが揃います。このステップではメンバー間のコミュニケーションを促進させ、チーム活動によりドライブをかけるためにメンバー個々に主体的な行動を推進してもらうことが大切です。 ・機能期(Performing) メンバーが自律的に活動しながらお互いを自発的にサポートしあうステップです。チームが成果を生み出す時期を迎えます。チーム全体を俯瞰しながら、メンバーの活動を適時バックアップするマネジメントに注力します。 ・散会期(Adjourning) 当初の予定期間の終了、半期や年度の終わりなどを機に、チームとしての活動を終えるステップです。最終的なチーム運営の成否が明らかになります。目標の達成状況だけでなく、メンバー間で感謝の声やチームの解散を惜しむ声が自発的に上がるかどうかも、チーム運営の成否を測る要素になります。 まとめ 組織が目標を達成するためには、多様な人材の能力を発揮できるチーム運営を行うことが必要です。成果を出すチーム運営には、ときに摩擦を恐れず相互理解を促進させるステップが不可欠です。また、各ステップで適切なマネジメントを実施できるリーダー人材が必要です。 ダイバーシティ マネジメント リーダー 人事戦略 多様性