人事施策 2022年11月21日 コロナ禍3年目、働き方の「ニューノーマル」の今 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大による非常事態宣言の発令を機に、多くの企業が「ニューノーマル」を旗印に、一斉にリモートワークを導入しました。その後3年目も終盤となり、リモートワークは一つの選択肢として定着し、まさに新しい「ノーマル」となりました。 今回は、多くの企業が推進してきた新たな働き方について、いくつかの取組み事例を紹介します。 [目次] 働き方のニューノーマル、その後 ニューノーマルな働き方への取組み事例 まとめ 働き方のニューノーマル、その後 働き方の「ニューノーマル」とは、主にコロナ禍を契機に、新しいビジネススタイル、職場の在り方などを指して生まれた言葉です。リモートワークのような社員の働く環境の整備だけでなく、顧客との商談、ビジネス上の手続きの在り方、採用の手法、オフィスのレイアウト、各種イベントのデジタル化なども含まれます。 背景には、当面はまだコロナウイルス対策を継続しなければならないという理由がまずあります。さらに、多くの企業がリモートワークを経験したことで、「リモートワークでも問題ない」「リモートワークのほうがむしろ合理的」など、場所や時間にとらわれない働き方が生産性向上につながると認識してきたことも影響しているでしょう。 もちろん、リモートワークでは対応できない業務もあれば、リモートワークで生産性が落ちたという意見もあります。リモートワークに限らず、働き方の多様性に目を向けることで、従来の形にとらわれない、働き方の「ニューノーマル」を実現することが求められてきたのです。単に社員にリモートワークを許可するだけではなく、企業が自社の価値を改めて考え、「働く環境の整備」「IT環境の整備」「業務体制と人事評価」「コミュニケーションの活性化」「健康サポート」などを包括的に行うことが必要になります。 ニューノーマルな働き方への取組み事例 ニューノーマルな働き方では日立製作所や富士通の取組みが注目されましたが、他にも次々と新しい動きが登場しました。 (1)パソナグループ 2020年9月、人材サービス業界大手パソナグループは、本社を東京から兵庫県の淡路島に移転すると発表しました。2024年5月までに経営企画、人事、財務経理などを担う1200人を島内に配置予定としており、2021年末時点で既に希望者350人が淡路勤務に。淡路を拠点とした地方創生事業を打ち立て、「地方創生テレワーク」を推進するほか、内閣府からの受託事業として「地方創生テレワークアワード」の運営も行うなど、テレワークを単なる出勤の代替としてではなく、新たな価値の提案としてうまく事業につなげています。地方への移転はほかにも、災害に対するリスクヘッジ、オフィス費用の低減、従業員が通勤ラッシュから解放されて自然豊かな環境で働けることなどを目的としている、と同社は述べています。 (2)サイボウズ株式会社 IT企業のサイボウズ株式会社はもともと2010年からリモートワークを推進している企業でしたが、コロナ禍によって全社的なリモートワークを経験した結果、従来の体制では情報格差が大きかったことや孤独感にどう対処するかなどの課題を隠すことなくオープンな場で発信してきました。現在では、「テレワークからハイブリッドワークへ」を掲げ、在宅勤務をはじめとしたテレワークと、出社してオフィスで働くオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を提唱しています。 (3)株式会社minitts コロナ禍によって多大な打撃を被った飲食業界。国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」を運営する株式会社minittsも例外ではなかったものの、早期に2店舗を閉店するという見切りの早さや給付金等の支援策をフル活用することで経営を維持しました。事業を大きくすることよりも、従業員と顧客の満足度に重きをおくため、メニューを1日100食限定と、あえて上限を設ける形態で運営。基本的に昼のみの営業で売り切れ、従業員は残業ゼロ。有給休暇完全取得を実現しています。「家族で晩御飯を一緒に食べられる働き方」を目指すという同社では、多様な人材が正社員として活躍しており業績も順調です。 (4)田辺三菱製薬株式会社 6年連続「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されている田辺三菱製薬株式会社は、2020年の在宅勤務時に行った従業員意識調査の結果をもとに、特に要望の多かった以下7項目を「働き方カエル宣言」と名づけ、新しい生活様式における働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。 1.感染予防策の徹底(オフィス環境、通勤、勤務形態) 2.会議の見直し 3.脱ハンコ 4.ペーパーワークの大削減 5.拠点のサテライトオフィス化 6.テレワーク環境の整備 7.毎週金曜日のFriday Survey継続(新しい働き方に対する従業員意識調査) その他、LGBTや女性活躍に対する積極的な取り組みや、事実婚・同性パートナーを配偶者と同様の扱いに変更するなど、従業員がより良く働ける環境の構築を積極的に推進しています。 以上、4社それぞれ独自性はあるものの、合理的思考に基づいた判断が企業にも従業員にもメリットをもたらしている点は共通していると言えるでしょう。 まとめ 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中でビジネスのあらゆる面で変化が急速に進みました。さらに、今後は新しい環境にそったニューノーマルな働き方を設計していく必要に迫られています。現在はいわば大きな過渡期に直面しており社内外が混乱しやすい状況です。従業員の健康と働きやすさ、企業の生産性向上を実現できるニューノーマルを社内で検討することはとても重要です。 withコロナ テレワーク ニューノーマル 働き方改革 多様性
解説 2021年1月26日 テクノロジーを活用した新たなコーチングとは? 多くの企業が人材開発の一手法として取り入れている「コーチング」。コロナ禍でのリモートワークの浸透、コミュニケーションのデジタル化によって、ますますその有用性が注目されています。コーチングは対面でのコミュニケーションが基本ですが、昨今はAIなどのテクノロジーを活用することで従来のスタイルよりも科学的、効果的に進化しつつあります。今回は、デジタルツールを活用した新しいコーチングのスタイルを紹介します。 [目次] コロナ禍で高まるコーチングのニーズ コーチングとテクノロジー デジタルツールで革新的なコーチングへ まとめ コロナ禍で高まるコーチングのニーズ これまで企業が人材育成にコーチングを取り入れてきた主な理由は以下の2つです。 (1)価値観の多様化による、社員の抱える個別課題に対応 時代や社会環境の変化に伴い、社員の価値観は昔よりかなり多様化しました。また、変化の速いビジネス環境下で社員が直面する課題の個別性、複雑性も高くなってきましたが、コーチングはコーチが対象者の業務に詳しくなくとも傾聴と適切な質問で相手に気づき・行動変容を促せる手法なので、一人ひとりをオリジナルな解決策に導く効果がありました。 また、課題解決にまでは至らずとも心理状態や悩みを聞いてあげることでメンタルの安定につながるなど、ソフトランディング的効果もあったと言えるでしょう。 (2)経験学習の効果 不確実で複雑性が高く、変化のスピードが速いビジネス環境に対応するには、業務のなかで「経験→省察→概念化→実践」といった経験学習のサイクルを効果的に回すことが大切です。コーチングならコーチが第三者の立場から個人の省察や行動実践などを促すことができます。例えば、経営幹部向のエグゼクティブコーチングなら、自己認識力が高くなることによるマネジメント力向上や、より高い視座を持つことによる戦略構築力の強化が期待できました。 一般社員のコーチングなら、まったく自分で考える習慣のないいわゆる指示待ち社員も、コーチングを重ねることで自分の行動に自覚的になり、自主性と行動力を増していく効果があります。 直近ではリモートワークの普及によるコミュニケーション上の課題の解決手段としても期待されています。SNSやチャットでは「テキストでは怒っているように見えたが大丈夫だった」といった余計な誤解、違和感が生まれています。このようなコミュニケーションのギャップを解消するのにも有効だと言えるでしょう。 コーチングとテクノロジー コーチングは手法として有効であることは間違いないですが、現実には上司は忙しいためコーチングの頻度は少なく次のコーチングまでの時間も長くなりがちです。人事がそういった状況で費用対効果を見た際に価値観の多様化により一人ひとりに適切な解決策を提示すること自体が難しい面もあります。そこで、注目されているのが先端テクノロジーを活用したコーチングです。コーチングには以下のメリットがあります。 ◆対象者側 ・面談と面談の合間もコーチの協力が得られる ・アセスメントとAIの分析で自分のレベル・課題に適したコーチを受けることができる ・目標に紐づくエビデンスに基づいたコーチを受けることが可能 ◆コーチ側 ・面談と面談の間でも対象者に「一口サイズ」のアクションができる ・対象者のレベル・課題にあった実践的な提案ができる ・システムで一元管理できるため成長の遅い対象者を把握しやすい デジタルツールで革新的なコーチングへ 米国の「HR Technology Conference & Expo 2019」の『Pitchfest(スタートアップ企業コンテスト)』において、コーチングをサポートするデジタルツール『PILOT』が優勝しました。個々の社員のキャリアをデザインし、社員が自発的に成長できる環境を整えられる点が評価のポイントです。 PILOTを活用すれば、スマホやPCを利用して週に10~15分のコーチングが可能です。AIがコーチング結果を分析し次回以降のコーチングに反映するため、コーチング精度も向上します。コーチ側も業務負荷が減り人に向き合うことに集中できるなど、コーチをする側、受ける側ともメリットがあるシステムです。 まとめ テクノロジーの進化、リモートワークの普及などを背景にコーチングの形も変化しつつあります。AI搭載のデジタルツールを活用したコーチングなら、社員に対し精度の高いコーチングを時間は短く頻度を増やして提供することが可能です。学習効果、成長意欲を高めるだけでなく、リモートワークで発生するコミュニケーションのギャップを解消し、社員のパフォーマンスが高まる効果も期待できるでしょう。また、コスト削減にもつながります。 コーチング コミュニケーション テレワーク
HRTech 2020年7月15日 テレワーク(リモートワーク)でのコミュニケーションの注意点、対策のポイント 2020年に発生した新型コロナウイルスの影響により、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)の導入が急速に進んでいます。一方で、様々な課題も浮き彫りになりつつあります。今回はテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)でのコミュニケーション上の課題、注意点、対応策を紹介します。 [目次] 急ごしらえなテレワークで浮き彫りになる課題 リモート環境下でのコミュニケーションの注意点 リモート業務でのコミュニケーションのポイント まとめ 急ごしらえなテレワークで浮き彫りになる課題 新型コロナウイルスの感染拡大以前の2019年に総務省が行った調査によると、テレワークは順調に普及していると言い難い状況でした。導入率は従業員100人以上299人以下の企業で14.5%、2000人以上の企業で46.6%であり、チャットやWeb会議システム導入企業は2割未満でした。 ところが、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年4月、パーソル総合研究所が行った調査では正社員のテレワーク実施率は全国平均で27.9%、東京都の調査では都内企業のテレワーク導入率が62.7%に跳ね上がります。 多くの企業が迅速に対応したことがうかがえますが、一方で検討する時間があまりないまま導入したテレワーク環境下で様々な課題が表面化しました。特に懸念されているのがコミュニケーションエラーです。 リモート環境下でのコミュニケーションの注意点 民間企業が実施した複数の調査において、テレワークの課題のNo.1に「コミュニケーションの難しさ」が挙げられています。 ・コミュニケーションの量の低下 テレワークでは自席での上司や同僚との会話、休憩室や廊下などでの他部署の社員とのやりとりなどがなくなります。オフィスにいるだけで受動的に入ってきた情報が減少するため、意識的にコミュニケーションを図らないとコミュニケーションの量が低下します。 ・コミュニケーションの質の低下 リモート業務では文章でのやりとりが中心になります。これまでのように笑顔、目線、仕草で補完できていた情報がなくなるため、言葉が冷たく受け止められたり、曖昧な表現が誤解を生んだりなどコミュニケーションエラーが起きがちです。 リモート業務でのコミュニケーションのポイント リモート業務でのコミュニケーションを円滑にするポイントを紹介します。 ・ちょっとした会話をチャットで行う 対面で何気なくできていた気軽な質問、ちょっとした細かいやりとりをチャット上で行うことができます。チャットに「雑談ルーム」を設ける企業も増えています。ふと思いついたアイデア、素朴な疑問を共有することで業務が進み生産性が向上するのはリアルもリモートも同じです。 ・丁寧な表現をする メールやチャットでは曖昧な表現をできるだけ控えることが基本です。主語を明確にし、「あれ、これ」ではなくできるだけ固有名詞を使います。文章はひらがなを多めにして2~3行で改行するなど丁寧で読みやすい表現を意識しましょう。 「ありがとう!」「お疲れ様!」「了解しました!」といった一文や絵文字などで速やかにレスポンスすることも大切です。リモートワークではレスポンスがないと発信者が不安になったり無視された感覚になったりしやすいため注意しましょう。 ・Web会議では画面越しの印象に気を配る Web会議のときに相手の顔を見て話すと画面越しでは下を向いているように映ります。発言は伝えたい相手の名前を挙げながら、カメラ目線で行うことがポイントです。声の高さもワントーン上げて、できるだけ表情を豊かにするように心がけると印象がよくなります。 まとめ テレワークでのコミュニケーションは細やかな気配りが必要です。オンライン朝礼、チャットでの雑談、就業時の「蛍の光」などいろいろな手法が試みられていますが、各社まだ経験値が浅い状況です。社内カルチャーやITリテラシー水準も踏まえて、自社でルールやマナーを決めていきましょう。 コミュニケーション テレワーク リモートワーク 新型コロナウイルス
HRTech 2020年6月24日 ウェビナーを成功に導く! そのポイントと注意点とは? 新型コロナウィルス感染症防止のため、企業や学校、官公庁等でセミナーや展示会の場をオンラインで開催できる「ウェビナー」に切り替える動きが広がっています。 本記事ではウェビナーとは何か? ウェビナー開催には何が必要なのか?ウェビナーを成功に導くうえでのポイントや注意点を解説していきます。 [目次] そもそもウェビナーとは? ウェビナー開催前に知っておきたい注意点 ウェビナーツールを有効活用するポイント まとめ そもそもウェビナーとは? ウェビナーとはWeb上で行われるセミナーのことです。「オンラインセミナー」や「Webセミナー」とも呼ばれます。近年は展示会、採用説明会、社員研修等、幅広い目的で開催されています。 様々なウェビナーツールが多くのベンダーから提供されており、少人数向け無料プラン、最大10,000台のデバイスに配信できる有料プラン、動画撮影~配信までを請け負うプランなどがあります。 ウェビナーは準備にかかる手間やコストの軽減メリットが非常に大きく、リアルなセミナーと比べて日程調整や会場手配も容易です。運営者、参加者とも会場までの移動コストもかかりません。 国内・海外問わず配信できることもウェビナーの魅力であり、地方企業であっても都心や海外の新たな取引先や優秀な人材を獲得できる可能性があります。 ウェビナー開催前に知っておきたい注意点 ウェビナーはリアルなセミナーとは違いパソコンやスマートフォンで視聴するため、配信方法や配信環境に留意する必要があります。 ・配信方法 ウェビナーの映像配信方法には撮影・編集した映像を使用する「オンデマンド配信」と、リアルタイムの映像を流す「ライブ配信」があります。 ・オンデマンド配信 参加者が自分の予定に合わせて視聴できるメリットがあります。運営者にとっては事前に入念な編集作業ができ、録画映像を何回も活用できるところがメリットです。 ・ライブ配信 主催者と参加者がリアルタイムにコミュニケーションできるため、イベントが盛りあがりやすいメリットがあります。録画機能を活用し、後日オンデマンド配信することも可能です。 ・配信環境 ウェビナーでは映像や音声の乱れがあると、主催者のイメージ悪化につながります。 自社でネットワーク環境を整えたり、魅力ある動画を作成することが難しい場合は、配信環境の整ったスタジオや動画制作会社に委託するなど、高品質な映像を配信できるように留意しましょう。 ・リアルなセミナーとの違い ウェビナー参加者の多くは自宅などリラックスできる環境で視聴しています。リアルなセミナーより集客しやすい反面、離脱しやすい環境でもあるため、時間配分をコンパクトにするなど最後まで視聴してもらう工夫が必要です。 ウェビナーツールを有効活用するポイント ウェビナーツールは参加者が気軽にアクセスでき、発信しやすいツールにすることがポイントです。 ・スマートフォンやタブレットでも利用できる 参加者がモバイル端末でどこからでも簡単に参加できると、場所や時間を選ばないウェビナー開催が可能になり、集客力アップの一助となります。 ・双方向のコミュニケーションに対応している チャット機能があれば、参加者は質問や意見をタイムリーに発信できます。対面ではない気軽さから参加者が発言しやすいところもウェビナーの魅力です。その場で質問に答えてもらえるため参加者の満足度は高まります。 まとめ ウェビナーは2020年になり一挙に検討する企業が増えたため「ウェビナー開催ノウハウ」をテーマにした無料ウェビナーもよく開催されています。 こうしたウェビナーに参加すると「参加者の目線」と「主催者のノウハウ」を同時に知ることができ、自社ウェビナーのイメージがつかみやすくなるでしょう。 Webinar Webセミナー ウェビナー オンラインセミナー テレワーク 新型コロナウイルス
HRTech 2020年6月17日 いま求められているオンライン採用導入のポイントとは? 新型コロナウイルスの影響が多方面に広がるなか、厚生労働省は関係団体に対して「雇用維持等に配慮する」よう要請文を出しています。その中には「多様な通信手段を活用した説明会や面接・試験等による一層の募集機会の提供」といった内容も含まれており、オンライン上の採用活動が奨励されています。 本記事では、採用市場の最新動向、オンライン採用のメリットや注意点、導入時のポイントを解説します。 [目次] 採用市場の最新動向 オンライン採用のメリットと注意点 オンライン採用導入時のポイント まとめ 採用市場の最新動向 毎年春に行われる新卒学生向けの「合同説明会」や「ガイダンス」の多くが、2020年は新型コロナウイルス感染予防のために中止となりました。一方で、株式会社リクルートキャリアの「2020年4月1日時点内定状況」によると、就職内定率は31.3%と過去最高値です。 エン・ジャパン株式会社が3月に実施した「感染症拡大による中途採用への影響」においては、85%の転職コンサルタントが「半数以上の企業が採用を継続している」と回答。ベンチャー企業、外資系企業などが人材獲得に積極的であることを指摘しています。 緊急事態宣言が発令され、多くの業界の需要が激減しているなか、デジタルトランスフォーメーションを推進するIT業界、製薬業界、食品業界などが伸びていることを考えると、今後の採用市場は新卒・中途市場とも二極化していくことが予測できます。 オンライン採用のメリットと注意点 株式会社ビズリーチが2020年4月に同社の採用クラウド「HRMOS」導入企業に行った調査によると、採用活動のオンライン化に対応している企業は過半数を超え、その6割以上が「メリットが大きい」と回答しています。企業が感じるおもなメリットは以下の点です。 ・遠方の求職者との接点が増えた オンライン採用では求職者側に交通費や宿泊費がかかりません。企業も地方に赴く必要がありません。その結果、企業と遠方(地方・海外)の求職者との接点が増え母集団が形成しやすくなります。 ・求職者と気軽に接点が持てる オンライン採用なら求職者の都合に合わせていつでも、どこからでも接点を持つことができます。採用担当者が在宅勤務でも選考を進められることもメリットです。 一方で、オンライン採用の課題も浮き彫りになっています。 ・職場の雰囲気を伝えることが難しい オンライン採用では職場の雰囲気を伝えることが難しくなります。新卒採用では「人」が就職先選びの重要な決め手となることが多いため、入社後にギャップが出てくる可能性があります。 ・求職者の印象を正確に把握しづらい リアルな面接のように入退室の立ち振る舞い、面談中の姿勢などを確認できないため、求職者の印象を正確に判断しづらい課題があります。 オンライン採用導入時のポイント オンライン採用ツールを選ぶポイントを紹介します。 ・複数同時接続が可能 1対1の面接、グループ面接のいずれにも対応できるように複数名同時接続が可能なツールを選ぶ必要があります。 ・情報を共有しやすい オンライン上で伝えたい情報をアピールするためには、資料を共有できる「画面共有機能」があり、かつ伝えたい箇所を強調できることが望ましいと言えます。 ・スマートフォンやタブレットも利用できる モバイル対応型ツールだと求職者とのスケジュール調整がしやすく、選考をスピーディに進めることができます。 ・気軽に参加できる 昨今は求職者とURLを共有するだけでオンライン採用ができるツールもあります。大変手軽なため、オンライン説明会への参加者増加が期待できます。 まとめ コロナウイルス感染症の影響によりオンライン採用が急速に普及し、リアルな面接をすることが企業イメージ悪化につながりかねない状況になっています。ビジネス環境の変化に適応し、安全で効率的な採用活動に切り換えていきましょう。 DX オンライン採用 デジタルトランスフォーメーション テレワーク 採用 新型コロナウイルス
HRTech 2020年5月12日 テレワーク制度導入で働き方改革を成功させる! 導入時に気を付けるべき4つのポイントとは? 働き方改革を推進するため、政府が積極的に導入を呼びかけている「テレワーク」。近年のIT技術と通信機器の目覚ましい発展は、在宅でのより高度な業務遂行を可能にしました。 そして、新型コロナウイルスの影響を受けて、その導入には更なる期待が寄せられています。企業は、テレワークを導入する環境の整備を強く求められています。今回はテレワークの導入にあたって、企業が気をつけなければいけない4つのポイントを解説します。 [目次] テレワークが可能にする「従業員の働き方」 テレワーク採用による「経営課題の解決」 テレワーク導入で気をつけなければならない4つのポイント 「テレワーク導入」というCSR テレワークが可能にする「従業員の働き方」 企業はテレワークの導入によって、時間や場所にとらわれない働き方を従業員に提供できます。その「働き方」とは、次の3つです。 ●外勤型テレワーカー 勤務先以外での仕事が中心で、ノートパソコンやスマートフォンを駆使して社外で書類作成やメール対応などを行います。セールスパーソンをはじめとした外勤型の従業員が該当します。 ●内勤型テレワーカー あらかじめ決められた就業場所だけでなく、適切な場所と時間を選んで業務を行えます。企画、人事、総務といった内勤型の従業員に適しています。 ●通勤困難型テレワーカー 何らかの事情によって通勤が困難であるため、在宅勤務を中心として仕事を進めます。育児や介護などを必要としている従業員に適しています。 テレワークによってこうした働き方を実現することで、企業は次のような経営課題の解決も見込めます。 テレワーク採用による「経営課題の解決」 テレワークの採用によって以下の経営課題の解決が期待されます。 ●生産性の向上 時間と場所にとらわれないテレワークは社員の生産性を向上させます。テレワークであれば勤務可能な遠隔地の優秀な人材の確保や、社員に合わせた働き方が可能となることで、離職防止にもつながります。 近年日本を襲った地震や台風などの自然災害や、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックなど、予期せぬ出来事が発生した時にも、企業が事業継続性の確保(BCP)をするためにもテレワークの採用は有効な解決策になります。 さらに、企業利益を左右するコスト削減として、ペーパーレスや、社員の移動にともなう交通費削減の効果も期待できます。 ●ワークライフバランスの実現 政府が推進する働き方改革の中でも、社員の働き方に対するニーズに応える対応策として、テレワークの導入が奨励されているように、テレワークは、仕事と育児・介護・病気の治療など、ライフイベントの中で発生するさまざまな出来事に対応した、多様で柔軟な働き方ができるライフワークバランスがとれた職場環境を実現します。 ●生産年齢人口の減少による人手不足の解消 日本企業を取り巻く社会環境の変化の中で、大きな課題となっているのが、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による人手不足です。テレワーク導入によって、多様な人材を確保できるようになり、人手不足の解消につながります。 テレワーク導入で気をつけなければならない4つのポイント テレワークを導入する際には次の4つのポイントに気をつけなければなりません。 (1)導入プロセスを把握し、理解する テレワークの導入プロセスは、次の8つのプロセスで進めていきます。各プロセスをしっかりと把握して進めていきましょう。 ・導入目的の明確化 ・対象範囲の決定 ・現状把握 ・導入計画の策定 ・実施環境の整備 ・研修等説明会の開催 ・テレワークの試行・実施の開始 ・テレワーク推進のための評価と改善 (2)導入に向けた推進体制を整える テレワークの導入にあたっては、推進に必要な体制を整えなければなりません。推進のリーダーシップは、企業経営者がとり、明確な意思表示を発信することが重要です。さらに、実務運営に必要な、経営企画、人事、総務、システム部門、テレワーク導入予定部門などの担当者を決め、プロジェクトチームを組成し推進していく必要があります。 (3)セキュリティ対策を施す テレワークの導入にあたっては、人為的な面と、技術的な面で、情報セキュリティ対策をたてなければなりません。総務省が策定し公開している「テレワークセキュリティーガイドライン」を参考にするとよいでしょう。 (4)ICT環境を整備する テレワーク導入にあたっては、テレワーク用のICT環境を構築する必要になりますので、現状のシステム確認やテレワーク導入に向けてのICT環境整備が必要です。 「テレワーク導入」というCSR テレワークの導入は、多くの人にとって「働き方改革の一環」と認識されていました。それは、「労働力の確保」「生産性の向上」「ワークライフバランスの実現」などの経営課題の解決を目的としていたからです。ですが新型コロナウイルスの出現は、予期せぬ事態への対応策として、テレワークの新たな必要性を浮き彫りにしました。更なる移動の制限とその継続を求められる可能性が高まるなか、企業は「経済活動を継続させる」という社会的責任を果たすべく、テレワークを導入しなければなりません。 テレワーク 働き方改革 成長する組織