コラム 2024年1月09日 新規事業を生み出すフレームワーク~人事と経営の視点から 新規事業のプランを考えて、事業化する。新たな成長機会を創出したいと考えない企業はありません。ただ、その意欲がどれだけ高いか? 既存事業が順調に成長していると、危機感が薄れて先送りにしてしまう場合もあるでしょう。ゆえに、本気で新規事業に取り組もうと考える企業は既存事業の閉塞感によるものが多いかもしれません。今回は、そうした新規事業の創出を人事と経営の視点から考えてみたいと思います。 リスクマネジメント 人事戦略 人材開発 生産性向上
コラム 2023年11月09日 キャリア自律が叫ばれる時代の到来をどのように捉えればいいのか? キャリア自律(Career Self-Reliance)とは、主体的に、価値観を理解し、仕事の意味を見出し、キャリア開発の目標と計画を描き、現在や将来の社会のニーズや変化を捉え、主体的に学び続け、キャリア開発することです。 近年、企業が「キャリア自律」という言葉をつかい、重要課題であるキャリア開発に取り組んでいくことを宣言するようになりました。例えば、日清食品ホールディングス社は公募ポストの年齢制限を撤廃して、50歳以上のシニア社員でも、新たに管理職へ挑戦できるようにしました。また、厚生労働省が自律的なキャリア形成支援の模範となる取り組みを行っている企業に対して表彰する『グッドキャリア企業アワード』の事例をみていくと、キャリア自律の支援が加速してきていることが分かります。 こうした動きは大きな転換の表れだと感じます。なぜなら、これまで企業は、「社内でキャリア自律を掲げることはリスクがある」と考えてきたからです。自分のキャリアについてあまり考えて来なかった人に考える機会を促せば、結果として離職する社員が増えてしまうかもしれません。いわばパンドラの箱だと考えていたのです。 実際、とある企業の人事部長も「組織に対する帰属意識が薄れ、離職者が増えるのではないか?」と考えて、キャリア自律を叫ぶことを長らく控えてきたと話してくれました。その企業は長年、新卒採用を中心に人材確保を行い、キャリアという概念を意識させず、会社や組織に忠誠心の高い人材を重宝してきました。「このシステムこそが成功体験なので壊したくない」、「リスクになることは排除したい」このように捉えてのことなのでしょう。しかし、そのような「キャリア自律=リスク」の認識はいまだ払拭されていないにも関わらず、企業主導でキャリア自律を促す動きが出てきました。それはなぜでしょうか?また、そのような時代の変化に対して、社員はどのように向き合えばいいのでしょうか? リスクマネジメント 人事戦略 人材開発 生産性向上
人事施策 2020年7月29日 リスクマネジメント-デジタル化、オンライン化の加速に潜むリスクを防ぐ企業の一手とは? 働き方改革の推進により、大手企業を中心に導入され始めているテレワークやリモートワーク。新型コロナウイルス感染症の流行を機に、本格的に導入する企業がますます増えています。 テレワークはもちろん、社内会議や商談もオンライン会議に、セミナー開催はウェビナーに移行と、今や様々な企業活動がオンライン化されつつあります。デジタル化により業務の効率化が進むのは望ましいことです。しかし、一方で情報漏洩やウイルス感染リスクも高くなるため、企業はリスクマネジメントも併せて進める必要があります。 今回は、デジタル化、オンライン化に伴うリスクマネジメントの進め方を解説します。 [目次] 企業の取り組むリスクマネジメント デジタル化、オンライン化に伴うリスクマネジメントのステップ 「ルール」「人」「技術」のバランスが取れた対策 まとめ 企業の取り組むリスクマネジメント 企業のリスクマネジメントは、デジタル化、オンライン化に限らず自然災害対策やセキュリティ対策など様々なリスクに対して取り組まれてきました。 リスクマネジメントとは、企業の諸活動におよぶ悪影響を低減せるために、要因(リスク)を特定し、資産や企業の稼働力を保護するために必要な対策を最小のコストで運営管理するプロセスであり、経営管理手法の一つです。 リスクマネジメントは、以下のサイクルで展開していきます。 (1)リスクマネジメント方針の確立 (2)リスク発見 (3)リスク算定 (4)リスク評価 (5)リスク対策 デジタル化、オンライン化に伴うリスクマネジメントのステップ 以下のステップで進めます。 (1)リスクマネジメント方針の確立 デジタル化、オンライン化によるリスクに対する経営方針をまとめ、どのレベルのリスクを対象に取り組むか、責任の所在をどうするかなどの方針を決定します。 (2)リスク発見 発生しうるリスクをすべて列挙します。リスクの種類と損失形態を関連づけ「何が、どのように」発生するかを把握することが重要です。 【例】 〇重要情報の消失など情報漏洩、ウイルス感染 原因:ノートPC・モバイルの持ち出しや公共Wi-Fi の使用、サテライトオフィスやカフェで作業中の画面の覗き見、情報漏洩に対する社員の意識の低さなど 〇労働実態が見えにくい労働管理リスク 原因:社員の勤務状況が自己申告または画面越しの把握になるため 〇コミュニケーション不足による生産性の低下 原因:テキスト中心のコミュニケーションによる情報の質と量の低下 (3)リスク算定 発見されたリスクを「損失の影響の大きさ」と「発生確率」の両面から算定します。 (4)リスク評価 算定されたリスクをリスクマネジメント方針に沿って、自社のリスクマネジメントプログラムで扱うか否か判別します。 (5)リスク対策 各リスクについての対策を実施します。 【例】 〇重要情報の消失など情報漏洩、ウイルス感染のリスク 対策:「多要素認証」導入、VPN(バーチャル プライベート ネットワーク)使用、VDI(仮想デスクトップ)化、セキュリティ対策ソフト導入、覗き見防止フィルター活用など 〇労働実態が見えにくい労働管理リスク 対策:テレワーク用勤怠管理ツール、タスク管理ツールの導入、フレックス勤務や時間単位の年次有給休暇制度の導入など 〇コミュニケーション不足による生産性低下のリスク 対策:ビジネスチャットの活用、オンライン通話での1on1実施、部署全体の週次オンラインMTG、月次ワークショップ開催など 「ルール」「人」「技術」のバランスが取れた対策 総務省は、平成30年4月に公表した「テレワークセキュリティガイドライン」において、情報セキュリティ対策は「最も弱いところが全体のセキュリティレベルになる」という特徴があるとし「ルール」「人」「技術」の三位一体のバランスが取れた施策を推奨しています。 まず、自社のルールを明確にし、経営者、システム管理者、社員一人ひとりがリスクマネジメントに対して正しい認識を持つこと、適切なセキュリティツールを導入することが重要です。 まとめ デジタル化、オンライン化により業務の効率化が進む一方で、情報漏洩リスクやコミュニケーション不足による生産性低下が懸念されています。事前にリスクを想定し、適切な対策を実施していきましょう。 ウェビナー オンライン会議 セキュリティ マネジメント リスクマネジメント