コラム
解説
ワークエンゲージメントを解説
昨今は少子高齢化、若い世代のポジティブな転職観などを背景に、大手企業でも優秀な人材に長く働き続けてもらうことが難しくなっています。
そのようななかで注目されているキーワードが「ワークエンゲージメント」です。ワークエンゲージメントの向上は企業と従業員の関係を良好にし、人材の定着にもプラスになります。
本記事ではワークエンゲージメントとは何か? ワークエンゲージメント向上のための施策、活用できるITツールを紹介します。
ワークエンゲージメントとは何か
「エンゲージメント」は会社に対する従業員の愛着心や思い入れを指す言葉として使われていますが、では「ワークエンゲージメント」とは何でしょうか。
ワークエンゲージメントとは「仕事」に対するポジティブな心理状態・感情を示す指標です。特定の仕事や特定の人物(上司、部下、顧客)に対する一時的な心理状態・感情ではなく「仕事全般」に対して持続的に起こる心理・感情です。
従業員のワークエンゲージメントが高い状態とは以下3点が満たされている状態です。
- 活力:仕事に対して前向きに取り組めている。困難なことがあっても粘り強く取り組める。やる気に満ちあふれている状態。
- 熱意:自分の仕事やキャリアに思い入れや誇りを持ち、挑戦意欲、やりがいがある状態。
- 没頭:仕事に夢中に取り組んでおり時間がたつのを速く感じる状態。仕事の質もスピードも向上し業務効率が良い状態。
ワークエンゲージメントを向上させるためには?
ワークエンゲージメント向上に有効な取り組みを紹介します。
- 従業員一人ひとりが強みを発揮しやすい人材配置
- 良好な人間関係を築きやすい環境作り(例:コミュニケーションスペース)
- 集中しやすい環境を整える(例:リフレッシュスペース)
- 仕事の社会的な意義ややりがいについて、社内で言語化する機会を設ける
- それぞれの職種に特有の困難に対して負担軽減を図る(理不尽なクレームを受けないなど)
- 仕事の目的、全体の中での個人の仕事の意味を明確にする
- 企業理念・目標を共有する時間を作る
通常の「エンゲージメント」向上と重なる部分も当然多いですが、より広い視野で「仕事」全体へのエンゲージメントを考えていく必要があるでしょう。
もちろん闇雲にすべて行えばよいというものではありません。現時点のワークエンゲージメントを計測・分析し、自社にとって有効な取り組みを見つけて実行する必要があります。そこで役立つのが従業員のコンディションを計測するツールです。
ワークエンゲージメント向上のためのツール
2社のツールと特徴を以下に紹介します。
Culture Amp
「Culture Amp」は、従業員エンゲージメントの測定から、パフォーマンス管理、人材開発までを一元化した従業員分析プラットフォームです。
特徴:
- 科学的根拠に基づきカスタマイズされた調査テンプレート
- エンゲージメントデータとパフォーマンスデータを組み合わせたアルゴリズムで、離職リスクのある人材とその理由を表示
- 管理職が科学的な裏付けに基づいたコーチングを行えるよう、組織心理学者が設計した1on1用のテンプレートやガイダンス等を提供
- マネジメントスキル向上支援のため、毎日、管理職に向けてマイクロラーニングを配信
- 従業員がモチベーションを維持しながら成長できるよう、プラットフォーム上で目標を管理すると同時に、組織内の開発状況も可視化
2009年にオーストラリアのメルボルンで設立されたCulture Amp。サーベイの提供から始まり、離職率の予測やチーム目標のトラッキングなど、管理職向けの分析機能を備えるまでに成長しました。現在では、Oracleやマクドナルド等、世界6,000社以上で導入されています。
Well(株式会社wellday 旧:株式会社Boulder)
日本初のエンプロイーサクセスプラットフォームを謳う「Well」は、サーベイとSlackなどのチャット分析で従業員のコンディションを可視化、ナレッジを提供するツールです。
特徴:
- 主観+行動分析で客観的なコンディション把握
- 数問の簡単なサーベイで、従業員の負担を軽減
- チャット分析で「個人の隠れた貢献」を可視化
- AIによるコンディション予測で、サーベイによらない予測を強化
AI診断でスコアが悪化している従業員にサーベイを送信し、どんな課題を抱えているかを特定するなど、運用にかかわる負担軽減と精度の向上を両立しようという設計思想が伺えます。
これからのエンゲージメント可視化ツールにAIをどう活用していくかという観点でも、非常に興味深いツールと言えるでしょう。
まとめ
企業が長期的に成長していくためには従業員の仕事に対する熱意、活力、集中などのワークエンゲージメントが重要なことは言うまでもありません。昨今は、このような見えづらい個人の意欲、感情の領域もITツールで計測しやすくなりました。
優秀な人材を定着させていくためには、経験則や人事に届く声だけでなく、客観的な従業員の心理データを踏まえて、施策を立案・実行することが重要になっていくでしょう。
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