ワインの豆知識 2018年9月09日 贈り物にワインを!センスがあると思われるためのソムリエからのアドバイス お祝いのときに贈るものとして、相手がお酒好きならワインはとても喜ばれます。 でも、初心者にはどんなワインを選んでいいのかなかなか難しいもの。 ちょっと「センスがある!」と思われるにはどうしたらいいか?ソムリエが教えてくれました。 [目次] お祝い時のワイン 贈答品としてのワイングッズ 更にワンランクあげるには お祝い時のワイン お祝い時のワインとしてテッパンなのが、シャンパーニュです。値段はピンきりなので、どれを選ぶかは難しいかもしれませんが、分相応、もしくは少し奮発してもいいかもしれないですね。 その他、年代に合わせたワインも喜ばれます。ボトルに年代が記載されていたり、年代自体を楽しむことができるのもワインの特徴。還暦や誕生日のお祝いには生まれた年のワインを送ったり、会社の周年パーティには創業年のワインを送ったりすると思い出深いものになります。 熟成に耐えられるという意味もあり、一般的には赤ワインが多くなります。さらに年代が古い場合は、ブランデーなどもお勧めです。ワインと比較すると劣化が遅く、古くても味わいが楽しめます。 デパートなどで購入すれば木箱に入れてくれたりもします。シーンに合わせて装飾することで、相手に特別感を与えることができますね。 贈答品としてのワイングッズ 贈る相手がワインを好きな人でしたらばワイングッズも喜ばれます。贈答品として以下のものが選ばれることが多いです。 ・ソムリエナイフ/ワインオープナー ・グラス ・デキャンタ どこのものを買っていいのか分からない場合、本物志向の方にはラギオールのソムリエナイフなどどうでしょうか?少々値段も張りますが、プロも使用するハズレのないブランドです。 その他、リーデルのワイングラスも安定感があります。260年以上もの歴史を誇るワイングラスの老舗です。 更にワンランクあげるには ワインにはそれぞれ色々な意味や歴史を持っていることも贈答品として、重宝される理由のひとつです。例えばこちらの「rindo リンドウ」。 この「rindo」はビジネスで成功を収めた方が、新たにカルフォルニアでワイン作りに挑戦し製造しているワインです。この製造過程のヒストリーと共に、新たな領域に挑戦する方へ成功を祈願して贈れば、きっと応援する気持ちが伝わります。 その他にも、リンドウの花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」という意味もあります。なにか励ましたいときなどにこのワインを花言葉とともに贈ると、きっと印象に残ることでしょう。 こういったワインひとつひとつにある意味を理解した上で贈ることで、ちょっとした感動を与えられます。どんな方に、どんな理由で贈りたいのか、背景を含めて専門家であるソムリエに相談してワインを選ぶと、ワンランク上の贈り物がきっとできると思いますよ。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年8月27日 AIの導入で人事の仕事はどう変わる? – AI研究家・大西 可奈子さん × セレブレイン 関 将宏【前編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第9回ゲストは、NTTドコモで対話AIの研究開発に携わり、3月には著書「いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門」も出版された大西可奈子さん。AIが人事業界に及ぼす革新と現状についてお話いただきました。聞き手はセレブレイン 人事戦略コンサルティングユニット マネジャー・関 将宏が務めます。 第9回ゲスト:大西 可奈子さん略歴 お茶の水女子大学修了後、株式会社NTTドコモ入社。国立研究開発法人 情報通信研究機構への出向を経て、現在はNTTドコモ R&Dイノベーション本部 サービスイノベーション部で自然言語処理と対話AIの研究開発に従事。著書に『いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門』(マイナビ出版)など。講演・執筆活動などマルチに活躍している。 まずはワインで乾杯! 暑い夏にぴったりのスパークリング! 関(将):大西さん、ようこそ「あじる亭 Annesso」へ! ワインはお好きですか? 大西:最近、ワインにハマっているんですよ! 実はこちらの姉妹店であるセレブールには何度かお邪魔したことがあります。 関(将):そうだったんですね! あじる亭 Annessoはちょうど先日、リニューアルオープンしたばかりなんです。ぜひおいしい料理とワインを楽しんでいただきたいです。 大西:おいしいものには目がないので、もう今からワクワクしています(笑)。 関(将):ではお話の前にまずはスパークリングで喉を潤しましょう! 野村/店長:本日も暑いですね。こんな日にぴったりのスパークリングワイン、フランスはブルゴーニュのヴァン・ムスーをご用意しました。ブラン・ド・ブランといって、白ぶどう100%で作られています。豊かなコクとさっぱりした酸味があって、後味もすっきりですよ。 大西:おいしい! もうずっと猛暑続きなので、冷えたスパークリングワインは最高ですね! 関(将):ぐいぐい飲んじゃいますね。……大西さん、けっこうお強いのでは? 大西:そうですね、けっこう飲む方だと思います(笑)。 関(将):おお! ぜひたくさん飲んでくださいね。さて、このまま酔っ払ってしまう前に(笑)、人事とAIについてお話を伺わせてください。 大西:はい。人事とAIの組み合わせは個人的にも注目している領域の一つです。私の方こそ本日はいろいろと教えていただきたいですね。 なぜAIの解説本を出版したのか 野村/最初のお料理とワインをお持ちしました。当店では世界各国のワインを扱っていますが、モンテネグロというちょっと珍しい国のワインです。 大西:たしかに初めて見ました! モンテネグロでもワインを作っているんですね。 関(将):モンテネグロってどこでしたっけ? 野村/店長:イタリアの反対側に位置する小さな国ですね。モンテネグロのワインはあまり国外に出ないので、日本でも目にすることは少ないと思います。 大西:本当にワインの世界は広いですね。 野村/店長:そしてお料理はホタテと夏野菜のガスパチョ仕立てです。ガスパチョのソースには野菜の旨味がぎゅっとつまっています。せっかくですので、ソースもぜひパンにつけるなどして召し上がってみてください。 大西:うん、酸味がさわやかですごく夏っぽいです! 見た目もかわいいですね。 関(将):このワインとまた合いますね! 野村/店長:ワインはソーヴィニヨン・ブランというすっきりさわやかな品種なんですよ。 大西:外の猛暑がすっかり吹き飛びました(笑)。 関(将):さて、まず大西さんのお仕事にいろいろとお聞きしたいのですが、そもそもAIに興味を持つきっかけは何だったのですか? 大西:どこまで遡るかによりますが、最初に興味を持ったのは子ども時代です。鉄腕アトムが大好きで、あの可愛らしいフォルムと、ロボットが家族になる世界観に惚れ込みました。それで、コンピュータ系の仕事に就いて、鉄腕アトムをつくることが夢になったのです。 関(将):子ども時代からですか! 当時はまだ今みたいにAIブームというわけではなかったですよね。 大西:そうですね。AIという言葉がフィーチャーされたのは本当に最近のことで、私が大学生の頃はまだ今のように流行ってはいませんでした。世間的にはまだ、SFに出てくる言葉のような現実味のない概念だったと思います。 関(将):AIというと今は第3次ブームだと言われていますね。 大西:ええ。第1次と第2次ブームはかなり昔のことで、あくまでも研究者の中でのトレンドという感じでした。今の第3次ブームになって、ようやく一般社会のビジネスなど目に見える形になった印象です。 関(将):そうですね。ようやく地に足がついた感じがあります。今のブームは単なる流行り物で終わらず、このまま定着していきそうですよね。 大西:そう願いたいですね。 関(将):話を戻すと、そこから大西さんは大学に入ってAIの研究に? 大西:AIの一つの領域である自然言語処理を専門に研究していました。今でこそ自然言語処理は花形領域ですが、当時は地味な研究でしたよ(笑)。 関(将):就職されてから急にブームが来た、と。 大西:そうなんです。私としてはやっていることは変わっていないのですが、世の中の方が変わりました。おかげさまで、メディアでの連載や講演活動、著書の出版など、お仕事の幅が一気に広がっています。もともと話すことや伝えることは大好きなので、そういったお仕事をいただけるのは嬉しいですね。 関(将):著書といえば、3月に「いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門」を出版されましたよね。何度も重版がかかるなど好評とのこと。実は私もこの対談が決まる前に、ふつうに購入して読ませて頂きました。 大西:ありがとうございます! 関(将):AIの基本から応用まで、体系立てて勉強できる本が意外と他になくて、とても勉強になりました。この本はどうして書こうと? 大西:その理由は私自身の経験にあります。AIといえば機械学習やディープラーニングがトレンドの技術ですが、実は私はそれらの専門ではなかったんです。あくまでも自然言語処理の専門家だったんですよ。むしろ素人だったといっても過言ではないです。 関(将):えっ、そうだったんですね。 大西:でも、どんどん技術は進化し、時代は動いています。入社後はやはり機械学習の技術が必要になりました。それで必死になって勉強したのです。その後、国立研究開発法人 情報通信研究機構に出向するのですが、今度はディープラーニングの知識が必要になり、またしても勉強するはめになりました(笑)。 関(将):なるほど、まさに時代の転換点を過ごしてこられたのですね。 大西:機械学習やディープラーニングについて勉強しているときに私が感じたのが、「世の中には初心者向けのAI解説本と、めちゃくちゃ難しい技術書はあるのに、その間をつないでくれる本がない」ということでした。つまり、一冊でAIのことを体系立てて学べる本がなかったのです。だったら私が書こう、と。 関(将):ああ、たしかにわかります。今はインターネットにいろいろな情報がありますが、あれも記事単位でバラバラですからね。 大西:ちょうどその頃、知人の紹介で「IT Search+」というメディアにAIの解説を連載することになりました。その内容をまとめて加筆したものが『いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門』なんです。 関(将):よくわかりました。大西さんご自身の経験から来ていたとは……。 大西:私のようにこの本を必要としている人がきっとたくさんいるはずだと思っています(笑)。 関(将):まさにそうだと思います。というのも、今あらゆる会社がAIをビジネスに活用しようと取り組んでいます。そういった会社の方がAIを理解する手始めとして本書はぴったりだと思いました。 大西:そうなんです。AIを理解しようというと数学を勉強しなきゃいけないのかなと身構えてしまうかもしれませんが、はっきり言って数学の知識は必要ないんです。コードはネットにいくらでも落ちていて、少し手を加えるだけで使えたりします。エンジニアなら別ですが、その他の職種レベルで大事なのはAIという概念を理解できているかどうかです。 関(将):機械学習やディープラーニングにしても、データの学習はAIが勝手にやってくれるわけですからね。大事なのはデータをどう読み取るかですよね。 大西:おっしゃる通りです。 人事部へのAI導入に必要な人材・スキルとは? 野村/店長:続いてのお料理は飯ダコとオリーブのマリネです。飯ダコと夏野菜をマリネにして、もち米を食感のアクセントに。ケッパーでさっぱりとした味付けにしています。合わせるワインはギリシャのサントリーニ島を代表するアシルティコという品種を使った白ワインです。 大西:サントリーニ島ですか! 私、旅行が大好きでサントリーニ島にも行ったのですが、アシルティコはそのとき飲めなかったワインです。まさか今日飲めるなんて、嬉しいです! 関(将):先ほどのワインとはまた少し違ったさわやかさで面白いですね。 大西:何だかギリシャの潮の香りを感じるようなワインですね。柑橘系のニュアンスでさっぱりしているけど、コクもあって、旨味の豊富なタコにしっかり合いますね。 関(将):食欲がどんどん湧いてきます(笑)。さて、人事部へのAI導入についてもお聞きしたいのですが、AIを取り入れていくとしたら、具体的にはどういった作業が必要になりますか? 大西:人事部に限った話ではありませんが、何より大事なのは“今ある課題の中でAIが得意な仕事を探す”ということです。AIも1から100までなんでもできるわけではなく、得意なことと苦手なことがあります。今抱えている課題の中で、AIが得意とするものを見つけることが必要なんです。 関(将):仕事の中のどこをAIに置き換えるか、ですか。そうなるとむしろAIの知識よりも今の業務への理解が必要ですね。 大西:まさにそうなんです。人事の仕事にどんなものがあるのかを知らなければ、どれをAIに任せるのがいいのかわかるわけがありません。それから、どこまでならAIができるのかを知っておくことも大事です。 関(将):一人ですべて理解できる人ならいいですが、そんなスーパーマンはなかなかいませんよね。 大西:ふつうはそうです。ですからチームの座組が大事になります。人事の仕事に精通し、「ここはAIでいけるのでは?」と考えられる人。それを実現するためには具体的にどんなデータが必要なのかを考えられる人。そしてそういったAI活用のやり方を現場にうまく伝えられる人。もっというならビジネスにどれくらい貢献できるのかを想定して上司を説得できる人も必要でしょう。 関(将):データを取得するといっても、人事部はあまり予算をかけられないことも多いので、既存のデータをうまく活用できるスキルが重宝されそうですね。 大西:その通りですね。 前編では大西さんのお仕事や、AIとは何かといったお話を伺いました。後編では具体的にAIをどう人事に生かしていくのか、AIで仕事がどう変わっていくのかといったさらにディープなトークを繰り広げます。 今回のお店 あじる亭 Annesso 赤坂見附駅から徒歩5分。赤坂あじる亭の姉妹店で、Annesso(アネッソ)とはイタリア語で「別館」という意味。2018年にリニューアルオープンしました。フレンチをベースに、ワインに合う欧風料理と世界のワインをご提供します。スタッフは全員がソムリエ有資格者。シェフのこだわり料理をバルスタイルでどうぞ!
コラム 2018年8月21日 服部 篤 AI時代のES(社員満足度調査)とアナリティカルシンキング ES調査に関連したデータとして、2011-2012年にかけて142か国20万人以上を対象にギャラップ社が行った「国別のEmployee Engagement比較」によると、日本においては会社に対して 「Engage(愛着がある、信頼関係があるの意味)している」と答えた比率はわずか 7パーセントであり、先進国中一番低いとのデータがあります。世界において日本の人口一人当たりのGDPが年々ランクダウンしているのは、このあたりも要因の一つかもしれません。 一方、2017年4月の労政時報における「人事関連制度の改定状況アンケート」における回答企業の「4割強がES調査を実施し、そのうち7割は新たにES調査を開始した」との結果で見るようにES調査を実施する企業は確実に増加しているようです。 近年、我々のクライアントからも以下のようなニーズでES調査のご相談を頂くケースが増えています。 過去に実施したES調査の結果に対して、様々な施策を実施してきたが、その効果を検証したい。 これから定点観測として定期的にESを実施し、Engage効果を高めていきたい。 投資ファンドが投資先企業の社員の意識の現状を把握しておくためESを行いたい。 新たにES調査の取り組みが増えている理由は、ESの高い企業ほど業績に好影響を与える傾向があるとの認識が高まったこともありますが、ここで改めてとその背景について取り上げてみたいと思います。 まず考えられるのは、採用環境が売り手市場となり、人材獲得競争が激しくなっていることがあります。つまり、これから採用しようとする人材に対し、社員の満足度が高い企業とのイメージをアピールして応募者を増やす必要があるためであり、もう一つは、既存社員の離職を抑制するために、ESサーベイを活用して実効性のある施策を打つことが重要な課題となっているためです。 既存の社員に関して言えば、新たな人材の確保や育成にかかる費用が膨らむ中、実際にその投資に見合う人材の採用が不確実である状況を考えると、既存社員のモチベーションや能力向上に投資をした方が総合的なメリットが大きいと考える企業が増えていることがあります。 また、企業内には正社員だけではなく、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員など多様な雇用形態が存在し、働き方もフレックス、リモートワーク、短時間勤務、副業など選択肢が増えています。その中で、きめの細かいESサーベイによる検証を行い、全体最適かつフェアな施策の必要性が高まっていることも見逃せません。 かつては、ES調査の結果がネガティブに出る事態を危惧して、実施をためらっていた企業も、ES調査を活用した施策によるエンゲージメント向上が社内の活性化や業績に好影響を与えるという認識が高まり、ESの実施に向けたハードルが下がってきたことも大きな要因でしょう。 ES調査の実施にあたっても、以前は紙やPCが中心でしたが、近年のクラウドサービスの進化に加えスマホやタブレットの普及によって、簡便にアンケートの実施と回収が可能となり、手間のかかる紙による制作や回収作業がなくなったことも増加につながっています。 従来はES調査で収集した結果だけを検証して施策を検討するケースがほとんどでしたが、現在は収集されたデータの活用方法も大きく変ってきています。最近、我々が行ったコンサルティングに、ES結果のデータだけでなく、多様な人事データ(評価項目の結果、研修実績、出退勤時間、残業、有給休暇傾向など)をAIをエンジンとする解析ツールを活用して多次元のデータを分析するプロジェクトがありました。その結果「パフォーマンスの高い組織と低い組織との違い」「退職や休職に至る人材の特性」など、いままで着目されていなかった要因を抽出することができ、一歩先を読んだ効果的な人事施策を打つことが可能になったのです。 通常ES調査において従業員満足度を分析するポイントは大きく「①仕事自体と評価」「②働く条件と環境」「③会社への信頼感」の3つだと言われています。その各ポイントの要素を企業特性に応じて可能な限り具体化し、データ化し、見える化し、収集し、分析することで、始めて実効性と即効性のある施策に直結し、社員の満足度、エンゲージメントを高めることにつながります。 働く環境といえば、近年AIやRPA(Robotic Process Automation)の進化により、これまでシステム化が難しいとされていた人手による事務処理の領域も自動化が容易になりつつあり、ルーティーンワークの多くを機械が代行する事から、人にはより高度で独自性の高い役割が求められる状況になっています。 今後、組織と人の在り方や生産性がますます重要となっていく中では、ES調査だけでなく、組織内にどのようなデータが蓄積されているのか? 重要なデータとは? データから何を解析するのか? 解析した結果をどのように活用するのか? など・・・これまでとは異なる新たな思考とアプローチによる意思決定と施策が必要になっているのです。 ビジネスの現場でAIや機械学習が活用される時代には、ビジネスリーダーの果たすべき役割は、ES調査に限らず、多様なデータを分析し活用した意思決定と施策の実行です。 セレブレインでは、データを分析して意思決定するために欠かせない実践的アプローチ手法を身に着けるプログラムとして、アナリティカルシンキング(ATT)トレーニングを提供しています。ご興味をお持ちの方は、お問い合わせ下さい。
ワインの豆知識 2018年8月09日 ソムリエに訊く!ワインの当たり年ってどういうこと? 「2015年は◯◯ワインの当たり年なので、オススメです。」こんな会話をレストランやショップでされたことはありませんか? 年により評価が異なることもワインの特徴です。 でも俗にいうこの「当たり年」とは一体なんなのでしょうか? ソムリエに訊いてきました。 [目次] 当たり年とは? 当たり年以外のワインはどうなの? まとめ 当たり年とは? 「当たり年」とは一般的には美味しいワインのできた年のことです。 ワイン業界では原材料となるぶどうの収穫された年のことをVintage(ヴィンテージ)と呼んでいます。「当たり年」のことをGreat Year(グレイトイヤー) 、Big Vintage(ビッグビンテージ)なんて呼ぶこともしばしば。 さて、この「当たり年」、ぶどうの生産において適した天候だった年が「当たり年」となります。当然地域により異なり、これらの年代×地域をまとめたものをVintage Chart(ヴィンテージチャート)と呼び、様々な評論家が独自の視点や採点項目により作成しています。 参考までにフランスボルドー地方では、1982年、2000年、2005年、2009年、2015年が当たり年と言われています。(その他多数ありますが、その中でもよく取り上げられる年に限定しております) 当たり年以外のワインはどうなの? 最近では天候が悪い年を「冷涼ヴィンテージ」なんて言葉を使ったりもするそうです。 では、冷涼ヴィンテージのワインは美味しくないのでしょうか? ここで改めて「美味しいワイン」に影響を与える要因について教えてくれました。 ワインには「天地人」という考え方があるそうです。 天・・・天候 地・・・土壌 人・・・人がかける手間ひま 天候がいいだけでは美味しいワインはつくることはできません。 逆に、天候が悪くても「人」の力により美味しいワインを作ることも可能となります。 昔は技術が足りず、天候の影響は非常に大きい部分を占めていました。しかし、近年ではピンポイントで天気が分かるようになり、悪天候に対する対策を練ることも可能となりました。生産者の努力により「当たり年」でなくても、十分美味しいワインが楽しめるようになってきているそうです。(とは言うものの、雹害など、分かっていても防ぐことのできない天災は今でも生産者を苦しめています) まとめ 年により味わいに変化があるのがワインですが、多数収穫され、また長期熟成に向くワインに対して「当たり年」というような単語が生まれています。しかし、その年にはその年の良さがあり、生産者たちの工夫が施されています。Vintage チャートはあくまで参考に、こうした背景を複合的に判断しながらソムリエはワインを選別しているとのことです。 「最終的には、「当たり年」は味が濃い(タンニンが強い)とみるとよいかもしれないですね。評価されていない年は美味しくないのでなく、さっぱり控えめな傾向は多いかも。」 年代を飲み比べてお好みの1本を探すのもワインの楽しみ方ですね。 ・ ・ ・ 余談ですが、「当たり年」について訊くと何やら大きな本をソムリエは持ってきてくれました。タイトルは「ボルドー」。ボルドーワインについて、シャトー毎、年代毎の著者の評価が網羅されている本とのことでした。 フランスのひとつの地方のワインについてだけで、これだけ分厚い本ができあがることに、ワインとは改めて歴史があり味わい深い世界なのだということを認識させられました。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年8月05日 米国在住マーケティングマネージャーが語るHRテクノロジーの最新事情 – セレブレイン中澤 佳奈生 × セレブレイン高橋 敦子 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第8回ゲストは、セレブレイン マーケティング マネージャーで米国在住の中澤 佳奈生さん(写真左)。HRテクノロジーの本場・カリフォルニアの最新事情についてお話いただきました。聞き手はセレブレイン代表取締役副社長・高橋 敦子が務めます。 第8回ゲスト:中澤 佳奈生さん略歴 30年以上に渡り日米間でERPシステムを中心としたソフトウェアの企画、開発、運用に携わっている。2007年より米国に拠点を移し、米国の日系企業を中心とする管理会計のコンサルティングの業務を行いながら、クラウドベースのソフトウェア開発に携わる。この5年ほどは インターネットを活用した食ビジネスに範囲を広げ、 食の生産者・販売業者と消費者を結ぶサービスを立ち上げている。セレブレインでは、これまでの経験を活かして、米国を中心としたグローバルにおけるHRテクノロジーのマーケットリサーチや、アライアンスをリードしている。米国カリフォルニア州オレンジカウンティ在住。 米国はもっともHRテクノロジーの進んだ国 高橋:中澤さん、お久しぶりです! 本日は茜坂にようこそ。いつもは米国と日本で離れて仕事をさせていただいていますが、やっぱりこうして顔を合わせてお話できるのはいいですね。ぜひ和食とワインのペアリングを楽しんでください。 中澤:ありがとうございます。和食とワインのペアリングはとても楽しみです。カリフォルニアにも和食のお店はあるけれど、やっぱり日本で食べる和食はいいですね。特にセレブールのお店、料理もワインも本当においしいから楽しみです。 高橋:それじゃあ再会を祝して乾杯しましょう! 中山/ソムリエ:中澤様、ようこそ茜坂へ。ソムリエの中山です。本日は乾杯用にシャンパーニュをご用意いたしました。200年続くシャンパーニュメゾン、「R&L ルグラ」のブラン・ド・ブランです。 中澤:わっ、これすごくおいしい! 高橋:キリッと冷えていて立ち上る泡も繊細ですね。すばらしくエレガントです。 中澤:ブラン・ド・ブランっていうんですね。 中山/ソムリエ:はい。白ぶどうだけで作ったシャンパーニュのことをそのように呼びます。爽やかで夏にぴったりかと思います。 高橋:本当にそうですね。 中澤:ああ、もうすごく幸せ(笑)。 高橋:そうですね(笑)。このまま飲んでしまいそうだけど、今日はお話も楽しみにしていました。HRテクノロジーの本場といえばやっぱりカリフォルニア。中澤さんは2007年に渡米されて以降、ずっとカリフォルニアでお仕事されていますよね。 中澤:はい、そうなんです。テクノロジーベースで仕事をするにあたって、エンジニアにとっては働く環境や学べる環境が米国と日本で大きく異なるので、なかなか帰国して仕事するに至りませんでした。今、セレブレインと一緒に取組みを推進している「HRテクノロジー」の分野でも米国がもっとも進んでいると思っています。昔、日本で人事システムの開発に携わったことがありましたが、そのときはまさかこんなにテクノロジーが進化した時代がやってくるとは思わなかったです。 高橋:米国以外の状況はどうなのでしょう。 中澤:昨年ラスベガスで開催された大規模なHRテクノロジーカンファレンスにはヨーロッパの企業も多く出展していました。スペイン、イギリスなどの企業に加えて、最近はインドのスタートアップ企業が多く参加しており、世界各国でも盛り上がりをみせています。 高橋:そのように伺うと、日本はまだまだ世界に出ていくようなレベルじゃないのかなって思いますよね。 中澤:そうですね、日本企業をワールドワイドなカンファレンスで見かけることはまだ少ないですね。 中山/ソムリエ:シャンパーニュに合わせて最初のお料理をお持ちしました。前菜の盛り合わせには、長芋を使った素麺、煎り酒のジュレ。香り付けのオリーブオイルは小豆島のものを使用しています。そして三つ葉ととり貝のおひたし、生雲丹と生の湯葉。笹の上に載っているのは酢だことトマト、鯛を昆布締めにしたものを笹巻にしました。それから五三竹を胡麻和えに。イサキの真子、白子、鮎の南蛮漬けです。 中澤:すごい! 盛りだくさんですね! 高橋:豪華ですね! 中澤:やっぱり日本で食べる和食はいいですね。 高橋:話はそれてしまいますが、最近のシリコンバレーにおける日本食事情はどのようでしょうか? 中澤:天ぷらなどに関してはだいぶレベルがあがってはきましたよ。どちらかといえばカジュアルなイメージですね。美味しくなってきていて、安心して食べられる店も増えてきました。高級というとお寿司になることが多いかもしれません。ただ、ここまで季節感のある日本料理はなかなか食べることができないですね。米国では、お料理をシェアする文化もあって、ラーメンなんかもシェアして食べたりするのは面白いところですね。 中澤:そういえば、最近、セレブレインでは「AIエンジンを活用した人事データ分析」をテーマにしたセミナーを開催していますが、反響はどうでしょうか? 日本における状況はどうなんだろうと気になっていました。 高橋:シリコンバレーでは、すでに当たり前のようにAIや機械学習を活用してビジネスを推進したり、改善したりといったことが行われていますが、日本ではまだ一部のプロフェッショナル組織以外ではなかなか浸透していないのが現状、ということもあって、かなり反響はいいですね。特に数字から判断して意思決定をすることから最も遠い存在に見える人事の世界で、AIやデータをどう活用していけばよいのか、と大きな興味を持って頂いています。 中澤:そうなんですね。ようやく日本の人事部門でも本格的にテクノロジーやAIの活用が始まろうとしているのですね。カリフォルニアでは、人事部門にもデータサイエンティストがかなり多く存在するようになってきています。しかもかなりの割合で女性が活躍していますよ。もちろん、人事のみならずあらゆる部門でデータサイエンティストが活躍しているので、いまやシリコンバレーでは最も採用が難しい職種のひとつとして、大変な争奪戦が起こっています。 高橋:日本でもデータサイエンティストの採用をご要望頂くことは大変増えていますが、米国ではさらに激しそうですね。データサイエンティストに女性が多いというのは少し新鮮ですね。 中澤:カリフォルニアでは、データサイエンティスト以外にも、人事部門には基本的に女性の数が圧倒的に多いですよ。人事的な問題は慎重を要する必要のあることも多いので、女性の方が角が立たないってことはあるのかもしれません。米国では身だしなみの指摘ひとつにしても、人事が絡むんですよ。たとえばスカートの丈が短いんじゃないかっていう指摘も、上司じゃなくて人事を通して本人に伝えたりします。 高橋:そうなんですね。そのあたりは日本と文化や価値観の差が出るところですね。 中澤:でも実は、シリコンバレーってやっぱり男性社会?と感じることも多々ありますよ。女性で要職についている人の数は多いですが、経営の中心にはやはり男性の方が多いのは事実です。日本でも、最近は女性の登用などが結構進んできていますよね? 高橋:ええ。日本でも女性活躍推進法が施行されまして、女性管理職の比率も高めていく取組みが進んできています。ただ、全体としてはようやく努力目標レベルという感じで、まだまだ道半ばですね。 中澤:米国ではEEO(Equal Employment Opportunities)という、日本における雇用機会均等法に該当するルールがありまして、男女だけじゃなく、人種、年齢、国籍など、雇用上のあらゆる決定において差別を禁止する規定になっていますので、採用には細心の注意が求められます。ただ、もちろん応募時には人種や男女、年齢などがわからないようにはなっているけど、結局名前のラストネームから推測して、人種や男女を見分けて、採らないようにしている会社なんかは、米国でもあったりしますね。 高橋:ダイバーシティの国でも、そんな実態もあるんですね。 中山/ソムリエ:続いてのお料理です。「フォアグラ飯蒸し」はもち米にフォアグラを合わせた当店のスペシャリテでございます。お酒はもち米に合わせて石川県・鶴野酒造さんの「茜坂」をどうぞ。無濾過の生原酒でお米の甘みがしっかり残っていますよ。 中澤:「茜坂」というとお店の名前と同じですね! 高橋:実は当店のために鶴野酒造さんにつくっていただいたお酒なんです。茜坂は和食とワインのマリアージュを楽しめるお店ですが、こうして日本酒もお出ししているんですよ。 中澤:うーん、すごい! たしかにぴったりですね。すごく贅沢な味わいです。 高橋:ワインだとフォアグラにはソーテルヌが定番だけど、甘めの日本酒もすばらしいマリアージュを見せてくれますね。 中澤:今日のお料理、どれも本当においしくて華やかで……すごいです。 高橋:この後も楽しみですね! 人事のお話に戻りますが、HRテックについて、米国ならではと感じることはありますか? 中澤:採用でいうと、ビデオ面接がかなり多くなってきています。以前からスカイプやテレカンでの面接は普通に行われてもきましたが、最近はビデオ面接のテクノロジーがかなり進化して、リアルタイムで面接しているのと全く変わらないパフォーマンスを発揮しているようです。 高橋:日本でもなくはないけれど、まだまだ。差は大きいですね。弊社でもお客様にはかなりお勧めしているのですが、普及が進むにはまだまだ壁があるのを感じています。どうしても、「直接会わないと評価できない」という思い込みが強いようです。最終面接までのプロセスを効率的にできることや、データを残して判断に活用できること、複数人で評価できる、というメリットも大きいと感じてはいるのですが。 中澤:なるほどね。日本では、遠いといっても米国ほど国内移動にも時間がかからないので、直接会いましょうということになるのかもしれないですね。ただ遠方だとやはり交通費もかかるので、ビデオ面接はもっと普及してもいいと思いますね。 高橋:その通りですね。採用ひとつとってもお国柄が出ますが、採用後についてはいかがですか? 中澤:日本と大きく違うのが、米国は小さな会社でも1on1ミーティングをしっかりと実施するところが多いことですね。不満があるとしたらそれは何か、パフォーマンスが上がっていないならその原因は何なのか、2週間に一度は上司と向き合って話をして、その声が反映されるんです。 高橋:最近は日本でも同じような制度を導入する会社も増えてきましたが、まだ一部の先進的なビジネスモデルの会社くらいですね。でも、新しい取組みに対する情報伝達スピードが圧倒的に上がってきているので、学習段階の企業は増えているのではないかと。1on1をサポートするシステムも出てきているので、GAPは埋まってくると私は思っています。 中澤:色んな意味で米国の方が日本より厳しいというのも理由の一つかもしれませんね。契約社会だし、何かあると訴訟につながったりしますから。システムと数字で明快に管理しないとダメなんです。だから、そこでまたデータサイエンティストが必要ということになりますね。 中山/ソムリエ:メインディッシュに「和牛と花山椒のしゃぶしゃぶ」をお持ちしました。ワインはアントナン・ロデのサヴィニー・レ・ボーヌ1999です。とろけるような肉の味わいと熟成したブルゴーニュワインとのしっとりとしたマリアージュをお楽しみください。 中澤:もう、お肉の見た目がすごいです(笑)。 高橋:きれいな色合いですよね。しゃぶしゃぶで贅沢にいただきましょう。 中澤:うーん! たまらないです! 旨味がすごくて、口の中でとろけた後もずっと余韻が残っています。 高橋:ブルゴーニュの熟成したピノ・ノワールが絶妙ですね! 中澤:本当に、最高の組み合わせですね。なんでこんなにワインと合うのかしら。 中山/ソムリエ:かつおだしや昆布出汁などの旨味と、熟成したブルゴーニュの出汁感が合うんですよ。花山椒も良いアクセントになっていると思います。 中澤:なるほど、たしかにワインにも出汁の要素がありますね! おもしろいです。 高橋:楽しんでいただけてよかったです! 中澤:こちらの茜坂は、和食とワインのペアリングがコンセプトなんですよね。最近は日本でもそういうお店が増えているんですか? 高橋:どうでしょう。増えてはいると思いますが、まだ発展途上のジャンルだと思います。本格的な和食とのペアリングでは、茜坂はかなり自信を持っています。 中澤:すばらしいと思います! 高橋:和食とワインなら日本も負けていないんだけど! ただ、日本でも徐々にHRテクノロジーやAI/データサイエンスの世界も間違いなく浸透してきているので、あるタイミングで一気に変わる気もしてます! 中澤:そうですね。私は離れているので、日本では何がきっかけになるかはわからないけど、楽しみですね。 高橋:……という話を私たちは90年代からずっとしているんですけどね(笑)。HRテクノロジーの普及に向けて、もっとがんばっていこうと改めて思いました。中澤さん、今日はありがとうございました。 今回のお店 ワインと和食 茜坂 赤坂駅徒歩2分。落ち着いた和空間で素材を極力シンプルに生かした純和食とワインのペアリングが楽しめます。完全個室からカウンター席まで完備。板前・ホール全員がソムリエの資格を持ち、コースに合う最適なワインをご用意しております。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。 中澤さんから米国のHR最新事情を伺うことができ、改めて日本との違いが浮き彫りになりました。今後、日本でもHRテクノロジーが普及していくと思われますが、どのような形で広まっていくのか注目したいところです。 さて、今回のお料理とワインですが、どれも見事なペアリングでした。それぞれ単体でもすばらしい品々なのですが、ワイン、そして日本酒が組み合わさることで極上の味わいとなります。 フォアグラと日本酒、そしてしゃぶしゃぶと熟成ブルゴーニュはぜひ一度、体験していただきたいマリアージュでした。
ワインの豆知識 2018年7月31日 高級ワイン、なぜあのワインはそんなに高いのか?ワインが高額になる7つの理由 ※画像はカリフォルニアの高級ワイン「オーパスワン」 ロマネ・コンティ/モンラッシェ/オーパスワン・・・世の中には沢山の高級ワインが存在しています。中には1本数百万円なんてものもありますが、なぜ、あのワインはそんなに高いのでしょうか? プロであるソムリエの視点からその理由について教えてもらいました。 [目次] ワインが高額になる7つの理由 ソムリエからのコメント ワインが高額になる7つの理由 当たり前のことかもしれませんが、商品の値段は製造にかかるコストと需要と供給のバランスで決まります。 ワインに関しては、以下の項目が要因になっています。 1.収穫方法 機械など使わずに人が手作業で行っている場合、人件費がかかり製造コストが上がります。ぶどうに限りませんが、ちょうどいい果実収穫のタイミングは一瞬しかありません。最高の状態で収穫するためには、ひとつひとつ目視が必要なため、手間も発生します。 2.ぶどうの木の密植度 密植度(単位面積当たりの植樹数)が高いと養分の吸収を競争しあうため、地中深くまで根をはり美味しいぶどうができると言われています。(植樹の話は、密度をあげれば良いというレベルではなく、根の張り方の考え方も栽培家により異なります。)収量をどうコントロールするかがコストに反映していくという認識をここではしてください。 3.一本あたりの実の数 美味しいぶどうを作るためには、木一本あたりの実の数を意図的に減らすことがあります。養分が分散せず集中するため、通常よりも濃いぶどうができます。当然、収穫量も減るため、実ひとつあたりのコストは大きくなります。 4.土地代 ワインに適した土壌では、産地ごとにそれぞれの格付けがされています。それらの土地代もワインの料金に反映されています。 5.輸送費 海外から日本にもってくる際の輸送代も料金に上乗せされています。 6.税金 海外のワインを日本にもってくる場合は関税が発生します。こちらもワインの料金に上乗せされています。 7.プレミア 製造原価とは関係なく、希少性やブランドイメージなどでも販売金額は変わります。そのため、販売者のマーケティング戦略によって金額も大きく変動します。 ソムリエからのコメント 上記1〜4の理由により、一般的に高級なワインの方が果実の濃縮度が上がり、味は「複雑味のあるもの」になっていく傾向があります。 また、高級なワインになると、瓶自体にも劣化を抑えるために分厚く作られていたり、偽造防止の工夫が施されていたりするそうです。(実際、高級ワインの偽物も世の中には広く流通しているとのこと。)当然、これらの瓶のコストも販売金額には上乗せされてきます。 劣化を極力防ぎ、熟成に耐えられるものにするために、「コルク」の品質も無視できません。 余談ですが、高級なワインはお店側としては売るためだけでなく、ステータスとして確保しているケースもあるんだとか。「あのワインを置いているお店なんだ」と思われること自体が格式につながるそうです。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
人事施策 2018年7月26日 客観的視点により社員の成長を促す!360度評価の勧め 人材マネジメント用語としてはすでに当たり前となっている360度評価。しかし実際に導入しているケースは日本ではまだまだ少ないように感じます。そんな360度評価について、今回は改めてご紹介します。 [目次] 360度評価とは 活用方法や効果(ジョハリの窓) まとめ 360度評価とは 360度評価とは、上司だけでなく同僚や部下、更に可能であれば取引先などの外部の関係者にも協力してもらい、対象者の仕事ぶりや職務上の行動について多面的に評価をしてもらうことで、本人の気づきを促し、人材育成に役立てようとするものです。360度フィードバック、360度サーベイなどといった言葉でも使われることがあり、セレブレインでは「3Dフィードバック制度」としてこちらの評価システムの導入を支援しています。 セレブレイン「3Dフィードバック制度」の図 活用方法や効果(ジョハリの窓) 360度評価の効果を説明する際、よく使用される概念に「ジョハリの窓」があります。 ジョハリの窓 心理学でよく使われる自己分析のための概念で、(1)の開放の窓の範囲を広げていくことが自己成長につながると言われています。 360度評価では、他人の視点を確認し、従来では見えなかった気づきが得られることからジョハリの窓の「(1)開放の窓」を広げることに効果を発揮します。 企業の人事部門では、360度評価を主に以下の4つの観点で活用しています。 1.人材育成 2.昇格アセスメント 3.バリューの浸透 4.コンプライアンスの徹底 人材育成や昇格アセスメントのように、個人へのフィードバックとして活用するだけでなく、企業としてのバリューの浸透やコンプライアンスの徹底などへも効果を発揮することが360度評価の大きな利点と言われています。 まとめ 様々なメリットのある360度評価ですが、実施にあたっては、部下に評価されないといけないという管理職の心理的なハードルや、感情での評価(好き嫌いで判断してしまう)、評価者のスキル、フィードバックに対する向き合い方など組織の取組みに関する受容度が大きく影響してきます。 受容度が低い場合には、回答の結果に合わせて動物のキャラクタータイプなどを用意し(例. 自信たっぷり黒豹タイプ、のんびりでも着実に結果をだす亀タイプなど)親しみやすさを打ち出すなど、360度評価を受け入れやすくする工夫が必要になるかもしれません。 主観の集まりを客観として捉えることができる360度評価は、うまく活用することで行動変革を生み出し、組織として企業の成長につなげることができます。 これまで実施したことのない企業は、成長に対する処方箋として、一度検討してみてはいかがでしょうか。
ワインの豆知識 2018年7月12日 ソムリエに訊く!ワインにおけるナチュールという言葉の真実 最近のワインの話題のなかで、ナチュールという言葉をよく耳にします。自然な感じがして、なにやら体にも良さそうな雰囲気を与えてくれるこの言葉。しかし実際のところは、どうなのでしょうか?ソムリエにナチュールについて、その言葉の意味から訊いてきました。真実はとても奥が深い領域に・・・。 [目次] ナチュールを整理する まとめ ナチュールを整理する そもそも、ナチュールとは英語のナチュラルのフランス語のことです。 そして、ソムリエによるとワインにおける「ナチュール」については実際は定義がかなり曖昧とのことでした。 関連するワードをおもむろに書き出して頂き、それらを画像にしたのがこちらになります。 基本的には農法により、リュットレゾネ、オーガニック、ビオディナミ、サスティナブルなどの分類があります。 このなかで、オーガニックに関しては、有機農法のことを指し、認定団体も世界中に存在しているため、明確な定義が存在しています。 しかし、今回の記事のテーマであるナチュールに関しては非常に曖昧とのこと。 全体の自然派ワインのことをナチュールという人がいたり、ビオディナミのことをナチュールという人がいたりと明確な定義は存在していないようです。 ナチュールという響きに、何も手をかけなければ美味しいワインができると思い込まれる人たちが多いのですが、必ずしもそうではありません。 例えば、酸化を防止するために使用されるSO2(二酸化硫黄)は基本的にほぼすべてのワインに含まれています。ナチュールと呼ばれるワインの中にはなるべく手を加えないようにするため、最少のSO2で生産するケースがありますが、味が安定しなくなるため、美味しいワインを作るのは通常よりも難易度が高くなります。 また、「自然=手を加えていない」と考えられることが多く、しっかり丹精込めて生産しているワインを「手を加えていない」と捉えられることに違和感を感じるため、ナチュールと言われることを嫌がる生産者もいるそうです。 まとめ 様々な状況でナチュールという言葉が使われていますが、ワインのプロであるソムリエはビオディナミ(バイオダイナミクス)の製法でSO2が少ない(なるべく手をかけていない)ワインを「ナチュール」と呼んでるそうです。 ちなみに、今回ご紹介したリュット・レゾネ、オーガニック、ビオディナミ、サスティナブルなどの詳細については、それひとつで本1冊分くらいの情報量があるとのこと。例えば、ビオディナミ(バイオダイナミクス)はルドルフ・シュタイナーによって提唱された農法で、重力や月の満ち欠けなど天体の動きも農作物の生育に生かすことを目指しているのが特徴なのだとか。Wikipediaで調べてみても、かなりの文量でした。興味のある人はぜひ、ゆっくり勉強してみても面白いかもしれないですね。 ※冒頭画像のワインはビオディナミの先駆者ニコラ・ジョリー作の「CLOS DELA BERGERIE」です。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
コラム 2018年7月10日 関 将宏 HRTech時代にExcelは終焉を迎えるのか? 新卒からコンサルタントとして働いている自分にとって、Excelはもっとも情愛を注いだツールと言っていい。クライアントのデータの整理・可視化だけでなく、プロジェクトのスケジュール表や作業工数の見積もりにも活用していた。新しい関数を覚えては「これで作業時間が2分縮まる!」と喜んでいたし、何かメモを取るときにもWordやメモ帳ではなくExcelを開いていた。 そんな中、昨今は人事の世界でもデータ分析の風が吹いている。HRTechと呼ばれる人事業務とテクノロジーの融合により、評価・勤怠・モチベーション・コミュニケーションとあらゆる社員の情報がデータ化されつつある今、それを分析することで、社員と部門のマッチングや休職予測などに役立てようというものだ。 私自身、過去にExcelをかなり複雑な分析に使用したこともある。計算用のシートを作りながら細かく設定を変えてグラフを作り、変数を変えながら何度も統計解析を行うなかでは、それなりの手間を感じていた。 しかし、最近はBI(Business Intelligence)ツールにより、簡単にヒートマップのような高度なグラフを作成し、ダッシュボードとして定点観測できるようになった。また、機械学習エンジンを搭載したツールも登場し、R言語と呼ばれる統計解析向けのプログラミング言語を習得することなく、クリックだけでランダムフォレストなどの分析が可能になった。 私も現在携わっているデータ分析プロジェクトで機械学習のツールを活用しているが、昔の苦労が嘘のように簡単に分析でき、更に分析結果がビジュアライズされるので上司やクライアントへの報告もスムーズで、非常に重宝している。 Excelの時代は終わったのだろうか。データの整理すらBIツールなどでできるようになった今、あの表計算ソフトは時代とともに1つの役目を終えたのだろうか。 私もはじめはそう考えていた。しかし、少なくとも人事コンサルティングの世界では、まだまだ活躍の場が幾らでもあることに気付いたのである。 例えば評価シートである。新たに人事制度を入れるような会社では、いきなり予算を投じて評価システムを入れることは少なく、「まずはExcelで」と言われることが多い。最終点数の算出欄に計算式を埋め込んでおき、等級に合わせて表示される行動目標が変わるように設定する。更に、それを部門ごとに集計するシート、人事委員会で評語(S・A・B・C・Dなど)を調整するためのシートも用意しておき、Excelで通期評価を実現するのが現実の場では最善である。 また、簡単なシミュレーションツールなどもExcelの活躍の場である。等級毎・評語毎のパラメータを入れれば、賞与の金額を自動で決定するツール。昇格候補の社員だけをピックアップして、残予算と比較しながら昇給金額を調整できるツール。このような使い方も、特にExcelに慣れているクライアントの人事担当者にとっては大変喜ばれる。難しいツールやマクロを使った成果物では、メンテナンスができない。実際に現場で使うツールは使いやすいものでないとダメなのだ。 こうしたExcelの新たな活躍領域には、一つの共通点がある。それは「データを集計・分析するのではなく、シートそのものをデザインすることに価値がある」という点である。 何千行もあるデータからグラフを作成したり、平均値を算出したりするような作業がメインではない。評価シートであれば、シート全体をA3に収めながら、時にはセルを結合し、時には入力対象者別にセルの色を変える。シミュレーションツールであれば、パラメータと結果のシートを分けておき、どのセルが何のパラメータの影響を受けているかメモ書きしておく。 複雑な関数を使うことはなくとも、その分、創造の幅は広がる。「相手にとって使いやすいもの、分かりやすいもの」というポイントをもとに、各シートの設計からセルの幅・高さまで、自由に組めるからである。 データを整理し、集計し、分析するためのExcelは、日進月歩の強力なツールにより、いずれ取って代わられる日が来るかもしれない。しかし、簡易で使いやすい人事業務のツールとしてのExcelは、間違いなくこれからも活躍し続けるだろう。私にとって、Excelの一つ一つのセルはこれまで共に戦ってきた無数の相棒である。私は、これからも“彼ら”に情愛を注ぎ続けていく。現場の最前線を変えていくのは“彼ら”であるのだから。
人事施策 2018年7月05日 独自のコンピテンシー設計でより高度な人事戦略の構築を! 今や企業経営において当たり前のように使用される「コンピテンシー」。しかし、企業ステージによっては未構築であったり、見直しのタイミングなどもでてくることと思います。 今回はコンピテンシーについて、作成ステップなどを含めてご紹介します。 [目次] 改めてコンピテンシーとは コンピテンシー活用方法 作成ステップ まとめ 改めてコンピテンシーとは コンピテンシーとは、1970年代にハーバード大学の心理学者デイビッド・C・マクレランド氏により提唱された理論で、特定の役割・職務遂行において高い業績を継続的に上げる人材のもつ思考特性のことです。日本では発揮能力、役割遂行能力とも言われ、成果主義の考え方とともに1990年代の後半あたりから広がり始めました。コンピテンシーを定めることで、職務と役割への期待値が明確化され、従業員がどのようなことを期待されているのか認識できるようになります。 コンピテンシーの活用方法 そんなコンピテンシーは、人材開発・育成、評価、後継者計画、採用それぞれの基準として活用されます。 基準が明確化されると、評価などにおいて正確な判断が可能になります。例えば、採用活動における面接において、確認するポイントが明確になり、曖昧に優秀な人材を採用するのではなく、「自社で活躍する可能性の高い」人材採用が可能になります。 作成ステップ ではどのような手順で作成すればいいでしょうか。作成ステップは以下になります。 1.組織の将来ビジョン、経営計画、求める人材像の確認 2.作成対象職務と成果の定義 3.高業績者の選定 4.高業績者インタビューの実施/職務行動の観察 5.コンピテンシーモデルの作成 まずは将来ビジョンなどを改めて確認するところから始めます。そして、成果の定義、つまりどのようなことが職務上の成果責任として求められているのか、しっかりと定義を定めます。そして、その成果を発揮している高業績者を選定し、インタビューを実施した上で、その行動を分析していきます。分析結果を基に成果につながる特徴的な行動をモデル化し、コンピテンシーを作成していきます。 4.のインタビュー実施時には、一人あたり90分程度を目安に、直近の1〜2年間で仕事上で特に印象に残っている出来事、成功体験(失敗体験)を聞き出します。その出来事が起こったときの状況を思い出してもらい、どのようなことを考えて、実際に行った行動事実をできるだけ詳しく話していただきます。 ポリシーであったり、本人の行動と特定できないような事柄については、コンピテンシー作成の目的から焦点がずれていきます。対象者の自身の行動にフォーカスして話をしていただくように工夫をすることが大切です。 まとめ 優れたコンピテンシーは会社のビジョンとの一貫性が求められます。一貫性が感じられない場合、経営側の発言と人事評価の場面などで乖離が発生するため従業員のエンゲージメントに影響がでてきます。 時代の変化とともに求める人物像も変わってきます。定期的にコンピテンシーについても見直しをしていくことがビジネススピードの早い現代において、求められていることかもしれません。