HRTech 2018年7月01日 今更聞けない人事の重要ワード、会社と従業員の関係を定義する「エンゲージメント」とは? 近年、人事の業界ではエンゲージメントという言葉をよく耳にします。しかし、その言葉の意味については意外と整理されていないのが実情です。今回は改めて『エンゲージメント』についてご紹介します。 [目次] エンゲージメントとは? なぜ重要視されているのか? 具体的なサービス まとめ エンゲージメントとは? 従業員の仕事や会社に対する考え・状態を表す言葉として、様々な言葉があります。例えば、モチベーション、従業員満足度、コミットメント、など。普段、混同して使われがちですが、実はそれぞれ意味が異なります。 「モチベーション」は従業員のやる気を意味しています。会社に対してというよりも、仕事に対して個人の中に内在する動機付け要因と捉えてもいいかもしれません。目標に向かって進む際の内的なエネルギーとなりますが、会社と従業員の方向性があっていることが大事なことです。 「従業員満足」は会社に対する従業員の満足度を意味しています。顧客満足度を高めるためには、まず従業員満足度を高めることが重要である、との考えのもとで取組みの推進が行われました。ただし、従業員が満足するためには会社がどのような環境を提供すればよいのか?といった、会社から社員に対する一方向の関係に向かいやすい傾向があります。 「コミットメント」は約束や責任のことを意味しています。矢印は社員から会社に向いており、所属している会社に対して全うすべき責務として捉えられます。 そして、「エンゲージメント」は会社と従業員の間におけるつながりの強さを表しており、従業員が自発的に持つ思い入れや貢献意欲のことを意味しています。矢印も従業員と会社における双方向の概念で表現されます。 なぜ重要視されているのか? これまでは、モチベーションや従業員満足度を向上させることが会社の業績向上に結びつくという考えのもと、社員向けにサーベイや人事施策が行われることが多くありました。 しかし、最近ではそれらの内容に関して見直しを始める企業がでてきました。例えば、従業員満足は言い換えると「居心地の良さ」にも繫がる部分もあり、必ずしも業績向上へと結びつくものではないと考えられ始めています。 そんななか、いくつかの研究により「従業員エンゲージメント」の向上と業績向上には強い関係が示され、近年注目されるようになってきました。 この従業員エンゲージメントという概念は、日本ではまだまだ馴染みの薄い概念です。 アメリカの調査会社ギャラップ社が2017年に発表した従業員エンゲージメントに関する調査では、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかいないという結果でした。参考までにアメリカは31%。その他の国と比較しても大きく乖離がでています。 ※調査結果はこちらから確認できます。 この調査結果からは、階層的なリーダーシップが強い半面、マネージャーがコーチングのような従業員の強みや・自主性を引き出すことが難しい状態であることや、日本独特の雇用制度や就業文化に基づいた組織中心の考え方が、逆に従業員の意欲を下げていることが伺えます。まだ日本企業では、従業員エンゲージメントを重視した経営が浸透していないことも要因と考えられますが、企業と従業員の間で強い信頼関係を築き、高い貢献意欲を醸成するためには、もっと個々の従業員のニーズや欲求に応える従業員中心の経営に移行する必要があるのかもしれません。 具体的なサービス そんなエンゲージメントを定点観測をするためのツールをご紹介します。 Glint https://www.glintinc.com/ 2013年創業のアメリカ・カルフォルニアの会社です。 ミッションは、「Our mission is to help people be happier and more successful at work.(人々が職場でより成功、より幸せになる手助けをする)」。 組織の健康状態と表してエンゲージメントの状態を可視化し、どんなアクションをするべきかなどのインサイトを提供します。 数百名から数万名規模の会社まで、大小様々な企業が利用しています。 市場の期待も大きく、2016年には$27Mの追加調達をしています。 まとめ ギャラップ社の調査結果でも分かるように、まだまだ日本では浸透しているとはいえない「エンゲージメント」という概念。しかし、自発的に貢献する意欲の高い社員が増えることで一人ひとりのパフォーマンスが向上し、それが最終的に組織力の強化につながっていくということは想像できます。 労働人口が減っていく現在、優秀な人材の確保は企業の重要課題にますますなっていきます。退職者を減らし、熱意を持って働く人を増やすためにも、まずは社員の現状を把握するためのエンゲージメント・サーベイを定点的に行い、そしてPDCAを回すことからスタートしてみてはいかがでしょうか。
ワインの豆知識 2018年6月28日 ソムリエに訊く!実際ワインのデキャンタってどうなの? 比較的高級なお店に行くと、ソムリエがデキャンタを使いながらワインを提供してくれることがあります。様々な形状が存在するデキャンタ。実際その効果はいかほどのものなのでしょうか?ソムリエに訊いてきました。 [目次] デキャンタとその効果 実際のところどうなの? デキャンタとその効果 デキャンタとはワインを移し替えるための容器です。ソムリエに訊くと、お店にあるデキャンタを紹介してくれました。※トップ画像参照 ところが、このデキャンタ、普段居酒屋などでみていたデキャンタと形状が大きくことなる気がしました。 ソムリエに訊くと、「居酒屋などで提供されているのはカラフェですね。デキャンタとは違います」とのことでした。(デキャンタというところもあるので、かなり曖昧である) カラフェとはいわゆるピッチャー、水差しのこと。特別な効果を期待するというよりも容器として使用している程度です。ボトルに対して2/3程度の分量のことが多く、グラスワインよりも多くボトルよりも少なめに提供したいときなどに使用されているそうです。 一方でデキャンタには様々な形状があり、ワインを美味しく飲むための工夫が施されているのが特徴です。空気と触れることで、酸化が起き、香り成分を揮発させたり、澱(おり)を除去するために利用されます。 ※澱(おり)とは・・・ワインの底にできる沈殿物。渋み成分であるタンニンなどが年月をかけ結晶化したもの。古いワインに発生しやすい。 冒頭画像の右から使用されるワインの種類としては 1若いワイン(香りを広めるために使用する) 2主に白ワイン系 3若いワイン古いワイン両方 4古いワインを使うことが多い とのことでした。 デキャンタを使用することをデキャンタージュといいます。 デキャンタージュした直後は味にバラつきがでるため、30分から1時間程度置いてからが飲み頃になります。 ちなみに、赤ワインだけでなく、白ワイン、シャンパーニュでもデキャンタを使用することはあり、生産者からのリクエストで指定されるケースもあるそうです。 実際のところどうなの? では、実際使用するデキャンタにより味はどのくらい変わるのでしょうか。 ソムリエに訊くと驚きの回答が。 「実はちゃんとした研究結果というものはないんですよね」 まだまだ研究しているところが正直なところで、使い分けることには意見も分かれるそうです。なんでもかんでもデキャンタしていた時代もあるそうなのですが、実際のお客様からリクエストがない限りあまりしていないとのことでした。 しかし、大きなデキャンタにワインを入れて、グラスに注ぐその光景はそれなりのパフォーマンスであるのも事実。スムーズに注ぐには練習としっかりとしたスキルも要求され、家では体験できない特別で楽しい気持ちになります。 「デキャンタは結構、流行り廃りがありますね。味の科学的な変化はともかく、パフォーマンスとして楽しんで頂くことでも十分な効果なのかなと思います。」 デキャンタで飲むワイン。その場の雰囲気も含めての本人の感覚で楽しむのがいいかもしれないですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインの豆知識 2018年6月14日 ソムリエに訊く! ワイングラスの形状の秘密・持ち方、マナーなど ワインを楽しむにあたり切り離すことのできないワイングラス。 好きな人は、ワインと共にワイングラスにもこだわりますね。 色々な形がありますが、ソムリエに訊くとそこにはワインを美味しく飲むための理由が隠されていました。 [目次] ワイングラスの種類 持ち方やマナー まとめ ワイングラスの種類 有名なオーストリアのグラスメーカー リーデルのカタログにはワインに相性がいいようにデザインされているグラスが100種類ほど登録されています。 【リーデルのカタログ】 当然、飲むワインによりグラスも変わってきます。 参考までに、トップ画像のグラスは以下のワインを楽しむためのグラスです。 1 シャンパン 2 ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング (軽やかな白/カジュアルな赤ワイン) 3 ボルドー、カベルネソーヴィニヨン、メルロー(ボディがしっかりしている) 4 ブルゴーニュグラス、ピノ・ノワール、シャルドネ (香りがとりやすい) デザインが異なるため4のほうが少し大きく見えますが、3と4の口径は同じサイズになります。 そしてデザインが異なることで、ワインを傾けられる角度が変わります。 3の場合 4の場合 傾けられる角度により「舌」の出方が変わるとのこと。それにより味わいも変わるため、ワインにあわせてグラスを変えているそうです。 持ち方やマナー ワインのことを全く知らない本当の初心者だと、その形状からついこのように持ってしまうのではないでしょうか。 しかし、これはブランデーの持ち方です。ワインの場合は温度が変わりやすくなってしまうため、このような持ち方はお勧めしません。 ワインは次のように足をもつのが基本です。 理由を訊くと、美しく見えるからとのこと。(このあたりにワインの歴史を感じます。) そして、小指を少し立てて添えておくのも一つのポイント。置くときに衝撃からワイングラスを守ることができるとのことでした。 その他のワイングラスにおけるマナーも教えてくれました。 ・飲み口(口のあと)をさりげなく拭う(べたべたしないように) ・注ぐときには置いておく(注ぎやすいように) ・乾杯のときに鳴らすのはクラシックにはやめたほうがいい(グラスに傷がつく恐れがある) 小さなことですが、気にする人には目についてしまうのがマナーです。このあたりはぜひ覚えておきましょう。 まとめ 今回、ワイングラスの持ち方についてご紹介しましたが、ソムリエの意見としては、最終的には自分の持ちやすいように持ち、楽しむことが一番いいのでは?とのことでした。 ちなみに、サービスを提供するお店側の人がグラスを渡す際には、お客様がワイングラスの足を持ちやすいように、底のほうをもって手渡しするとのことです。 普段何気なく受けている所作のなかにもサービスを提供する側の配慮が隠されていますね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
コラム 2018年6月12日 ヘッドハンティングの成功と不成功を分けるもの? 先日、「ヘッドハンター」というTVドラマが最終回を迎えました。 企業のビジネス課題と人のキャリアと転職への葛藤がテーマであり、放送が遅い時間帯ということもあって、平均視聴率は必ずしも高くなかったようですが、ビジネスマンの間ではかなり話題になっていました。 海外では、エグゼグティブ層を中心にした人材の獲得手段であるエグゼクティブサーチコンサルティングと呼ばれるヘッドハンティングとはそもそもどういう手法なのでしょうか? 最近、日本でも「ヘッドハンターからスカウトメールが届く」という転職サイトもでてきているように、ヘッドハンティングという言葉が日常的に使われるようになっています。 急速に進む市場環境やテクノロジーの変革に対応するため、多くの企業で事業構造の見直しが進む中、以前は、エグゼクティブ層が中心であった依頼案件が最近ではミドルマネジメント層や特定のスキルセットを有した人材へと対象が拡がってきています。 ヘッドハンティングという言葉の意味を調べてみると、次のように具体的なプロセスで説明がなされています。 「特定の経営課題に対して社内に解決できる人材リソースが不在であった場合、この課題解決をするために必要な経験や能力を有した外部の適当な人物を特定し、より良い給与や役職、機会を提示し、引き抜きを行うこと」 つまりヘッドハンティングとは 経営課題の特定を行い 人物を特定し より良い機会を提示し 引き抜く そして、特定の経営課題を解決したい企業に代わって、この一連の作業を行う人をヘッドハンターと呼びます。ドラマ「ヘッドハンター」では、ストーリーが誇張されている点はありましたが、部分的には実際のヘッドハンティングのシーンをリアルに描いていたと思います。 さて、ではこのヘッドハンティングをいかに成功させるか? ポイントは色々とありますが、失敗しやすいケースが最初のステップである「経営課題の特定と明確化」 です。 これは採用活動、特に即戦力を求める中途採用を行う場合に共通している課題と思います。 採用すべき人材の要件を明確にするには、まず「どのような経営課題をどのように解決したいのか?」が具体的になっていないと採用活動が円滑に進みません。 私たちがまず行うのは、クライアント企業が抱える問題認識や課題を出来る限りブレイクダウンし、具体化するお手伝いをすることです。その過程で新たな課題を発見し、要件の見直しを行うことも多くあります。 実際にお手伝いしたA社の例でいえば、当初の依頼は・・・・ 「西日本エリアの販売力を強化できる幹部クラスの人材を探してほしい・・」でした。 これだけではA社が求める適任者を採用することは難しいでしょう。 必要なことは、事業、組織、人などの課題を具体化することで適任者の人材像を明確にし、共有することです。 西日本営業部門を統括、その中で特にポテンシャルの高い代理店チャネルを強化し、売り上げ拡大を図る責任者として活躍を期待。 そのため地域の主要代理店の経営者との連携を強化し、代理店としての営業戦略から販売促進活動まで一体となって推進する。 現営業体制の営業マネジャー3名を含む20名から30名程度に体制を拡大強化し、営業戦略の浸透を図り、売上を3年で2倍に拡大させたい。 売上拡大施策の一環としてマーケティング部門、商品開発部門と連携して当該地域特性に合わせた高収益商品を投入する計画。 ・・・・・などと、出来る限り具体的に落とし込んでいき、人物的な要素についてもコンセンサスを図っていきます。 当然ながら経営課題は上記例にある営業部門の課題だけでなく、経営、財務、事業承継、新規事業、M&AやIPO戦略、海外進出など多様です。まずはそれらの経営や事業推進における課題を具体的な項目に落とし込む作業を行うことで、本当に社内に適任者が不在なのか?社外に人材を求めるとしたらどのような要件を満たした人材が適任か?どこに適任人材がいるのか?を明らかにする事が可能になり、課題の早期解決につながります。 この作業は、私たちが人材サーチ(ヘッドハンティング)の依頼をお請けする際、最も重視しているプロセスの一つです。 トップエグゼクティブクラスのヘッドハンティングの場合は、個別に要素が異なりますので現場を巻き込むことはあまりないと思いますが、中堅以上のマネジメントレベルの採用においては、採用プロセスを経営課題解決のプロジェクトとして捉え、採用候補者が現場と深くかかわる場合には、事前に現場レベルの関係者も交えてコンセンサスを取っておくと、 候補者のターゲットリサーチをする際にも現場から有力な情報を得る事ができるなど、その後のプロセスがスムーズになります。 実際の担当したプロジェクトにおいても、クライアント企業の管掌役員が自ら社内に採用プロジェクトへの理解と賛同を得つつ、ヘッドハンターも参加してヒアリングと情報収集を行った結果、数十名の有力な候補者情報を得る事ができました。私たちが候補者とコンタクトを図る際にも自信をもってプレゼンテーションとアピールすることが可能になり、プロジェクトは大きな成果を上げる形で終えることができました。 もちろんヘッドハンティングの成功には、クライアントと候補者の双方にとってWin-Winの状態であることが不可欠です。クライアントサイドの課題を具体化すると同時に、候補者の将来キャリアについての課題を明らかにするプロセスも一層重要になります。 例えば、仕事の内容、勤務地、ポジション、将来性、職場風土、価値観、処遇、家族、家・・・・など人材固有の課題や不安要素を解消するプロセスも慎重に進める必要があることは言うまでもありません。このあたりが一般の公募や登録型の採用に見られるミスマッチが少ない理由であり、決定的に異なる点といえます。 クライアントサイドも候補者にとっても、最初に課題を具体化し明確化するという最初のボタンを掛け違えてしまうと、後から軌道修正が困難になり、プロジェクトの長期化や不成功に終わる確率が高まります。 クライアントがヘッドハンティングを依頼するケースは、経営における重要度や緊急度が高い状況に置かれている場合と想定されます。前述のプロセスも経営課題解決の重要なプロジェクトとして取り組めばヘッドハント成功の確率が大きくアップすることは間違いありません。
ワインの豆知識 2018年6月08日 ワインを楽しむためのソムリエとのスマートな接し方 ソムリエとのコミュニケーションもワインを楽しむうえでは欠かせないポイント。では、どのように接するといい関係性が構築できるのでしょうか?会話をしているなかで訊かれると困ってしまうことなどをソムリエに聞いてきましたので、ぜひご参考にしていただけると嬉しいです。 [目次] 改めてソムリエとは スマートな接し方(NGワード) まとめ 改めてソムリエとは ここでまずソムリエとはどういう方々なのかを改めてご紹介します。 ソムリエとは認定協会が定めた資格であり、ワインに関する筆記やテイスティングなどの実技の試験に合格した人をいいます。詳しくはこちら:日本ソムリエ協会 合格すると認定バッジが与えられます。 日本ソムリエ協会HPより お店でこのバッジをしている人がいたら、ソムリエ試験に合格している方です。 ソムリエがいるお店かどうかは、こんなところからも判別できます。 スマートな接し方(NGワード) では、ソムリエがいるお店ではどのようにオーダーするとスマートな人だなと思ってもらえるでしょうか? ワインに詳しい人だと思ってもらうためにはある程度、品種や国を知っている必要があります。 過去の記事: 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【赤ワイン編】 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【白ワイン編】 そして、「○○のワインが好きなんだけど」、と具体的な例をだしてもらえると、勧めやすいとのこと。 また、お店のワインリストをみて、中間のところがお店が一番力をいれている価格帯になります。それらを踏まえながら、予算感なども伝えるとそれにあったワインを紹介してくれます。 しかし、会話をしていくなかで回答に困ってしまうオーダーもなかにはあるようです。 「一番美味しくて安いワインをください」 コストパーフォーマンスが優れているワインを飲みたいと思うのですが、美味しさは主観であり回答が難しいとのことです。 また、価格に関してはメニューに記載されています。回答にはソムリエとしてのワインに関する知識も不要なため、会話もしづらくなるとのことでした。 「ドライな赤ワインをください」 某ビール会社の影響か「ドライ=辛口」という認識が世の中に広まっていますが、ドライは「すっきり」しているという意味になるとのこと。赤ワインの時点で「すっきり」していないため、どのようなワインが飲みたいのか、判断が難しくなるそうです。 基本的に赤ワインの場合、大別すると「軽め/酸味のあるタイプ」、もしくは、「重め(しっかり)/飲みごたえがあるタイプ」の2パターンになります。どのようなワインが飲みたいか伝えたい場合は、こちらの表現を使うと伝わりやすくなります。 ※参考までに、白ワインの場合は、「すっきりしたタイプ」、もしくは、「コクのあるタイプ」になるそうです。 まとめ ソムリエがいるお店では、ワイン初心者の方は「料理に合わせてお勧めいただけますか?」と素直にソムリエにお任せするのが一番かもしれません。そこで会話を楽しみながら、ワインの知識を増やしていき、徐々に具体例を出せるようになると、その時飲みたいワインがスマートに表現できるようになっていくかと思います。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年5月30日 新卒採用でどうすれば“学生に選ばれる企業”になれるのか – 採用コンサルタント・谷出正直さん × セレブレイン関 伸恭 × セレブレイン倉本 健【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第7回ゲストは、採用コンサルタント/採用アナリストの谷出 正直さん。売り手市場が続く新卒採用の現状と今後の展望について、企業と学生それぞれの目線から語っていただきました。聞き手はセレブレイン パートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭と、人材開発コンサルティング シニアコンサルタントの倉本 健が務めます。 第7回ゲスト:谷出 正直さん略歴 採用アナリスト/コンサルタント。エン・ジャパンにて新卒採用支援事業に約11年携わる。2016年に独立し、現在は企業の新卒採用のコンサルティングや、採用アナリストとしてメディアへの情報提供や記事・コラムの連載、企業や大学でのセミナー講師など、幅広く新卒採用に関する情報を発信している。 学歴や偏差値よりも立ち振る舞いに人としての魅力が出る 倉本:学生さん側は就職活動に向けて、何を考えてどんなことをやっているのでしょうか。また、何をやるべきなのでしょう。私も娘がいるのですが、まわりに振り回されず自分の人生を生きてほしいと思っています。だけど、現実には企業やメディアからさまざまな情報が発信されてくるので、その中で知恵をつけて情報を選別しなければいけません。 谷出:情報を選別して自身で考える、ということは働く経験をしたことのない学生にとっては簡単ではないと思っています。その根っこにあるのは、学校教育を通じて、同質化させられてしまうという現状です。 倉本:ああ、それについては私も話したいことが山ほどあります(笑)。 関:私の子どもも、ちょうど小学生になるので気になるトピックです。 谷出:うちにも、今年小学生になる子どもがいるんですよ。 関:一緒ですね! 倉本:新卒の話からは脱線しますが、せっかくなので谷出さんの教育方針も伺いたいですね。 谷出:僕が日頃から子どもに伝えているのは「挨拶をする」「靴は脱いだら揃える」「帰ったらまずやるべきことをやってから、好きなことをする」の3つですね。マナーや躾の部分になりますが、新卒者向けの説明会に参加すると、そういった基本的なことに対する所作も学生によってかなり違うなと感じるんですよ。受付に来ても全然挨拶しない学生もいれば、挨拶したとしてもどこか不自然だったりする。そういった行動からおそらく、普段は挨拶していないんだろうなとわかってしまいます。 関:毎年たくさんの学生を見ている谷出さんならではの視点ですね。 谷出:学生から就活相談をされることも多いのですが、1~2時間話すと、企業が欲しいと思う人材かそうでないかはわかります。学歴や偏差値といったことではなく、立ち居振る舞いや人間としての魅力に違いが出るんです。突き詰めると、それって学校や家庭での教育やそれまでに培われてきた価値観に根ざしているのかなと感じています。 倉本:うんうん。 谷出:あとは子どもにはなるべく新しいことを経験させるようにしていますね。知らないことは選択肢に入ってこないですから。 関:育成理論としては、社会人にも共通する部分ですよね。 倉本:私はヘッドハンティングを仕事にしているのですが、いつも思っていることがありまして、それは20代の若い方であっても50代の人生経験ある方でも、人生のターニングポイントでの道の選び方には、その人の原体験というか、経験やルーツにすごく影響を受けるんですよね。なので、そういう人生の大切な節目でも力まずに自分らしい選択が出来る様な経験や準備を重ねてゆく事が大切だと思っています。私は、人は本当に十人十色で良いと思っていまして、その人にはその人なりの価値発揮の仕方があると思っているんです。ただ、価値発揮の仕方はいろいろあっていいのですが、やはり独りよがりでは上手くいかない。自分を活かすためには周囲に受け入れられるチャームポイントを持つ事がとても大事だと思います。自分なりの強みとチャームポイントの両方があって初めて自分らしい仕事が出来るのではないかな、と。 例えば、ほら、ものすごく優秀というわけではないのに、妙に早く上に上がっていく方とかいるじゃないですか。 谷出:可愛がられ力ですよね。 学生に選ばれる企業になるためにやるべきこと 関:さあ、続いてのお料理とワインです。 建部/店長:メインは牛ハラミのステーキです。あじる亭のスペシャリテですね。あじる亭は南仏のビストロをイメージしたお店ですが、特に現地で好まれる食材の一つがハラミなんです。日本だと焼き肉で食べることが多いと思いますが、それを塊で焼いてステーキにしています。 関:これも私の大好きなメニューです! 谷出:おいしそうですね! 建部/店長:合わせるワインはスペインのメンシアという品種を用いたフェント・ワインズの赤ワインです。深みがあってスパイシーで、肉との相性がとても良いですよ。 谷出:何だか良い香りがします! 関:おいしい。たしかにこのボリュームのあるハラミと合いますね! 倉本:どちらの味わいもより深みを増すような印象です。 関:思わず肉とワインのマリアージュに夢中になってしまいましたが(笑)。企業としては、売り手市場が続くなかでも優秀な人材を採用していきたい。どのように取り組むことで採用活動がうまくいくのでしょう。 谷出:そうですね、毎年40万人くらいの大卒学生が民間企業に就職を希望しています。また、優秀な学生は複数の企業から内定を獲得します。そのような学生に選んでもらうためには学生が自分の企業を“選ぶ理由”を先行投資で作れるかが大事だと思いますね。 関:選ぶ理由、ですか。 谷出:大事なことは、学生に自分の会社のことをちゃんと理解してもらうということです。事業内容はもちろん、大切にしている価値観や企業文化、ビジョン。それと学生が考える自身の将来像が合致するかどうかが選ぶ理由につながってきます。 倉本:それは、まさにマーケティングの視点ですよね。 関:学生にアプローチする方法や採用の形態も多様化していますよね。 谷出:そうですね。たとえば紹介業です。以前は紹介での採用というのは就職活動の後半戦に集中していました。もう1人採用したいけど、この時期から新たに探すのはなかなか難しいので紹介サービスを活用していた。ところが今は就職活動の前半戦からどんどん学生を紹介することを求められることが増えています。 関:それはどうしてですか? 谷出:一つは、新卒採用を支援する企業が、学生の個人情報を比較的簡単に入手できるようになったことですね。 倉本:それはどういったルートで入手するのですか? 谷出:例えばSNSです。以前は就職サイトを通してという形でしか学生と会うことができなかったのですが、今はTwitterやFacebookで学生を集めることもできます。そうすると、企業は解禁日を待たずに学生と接触が図ることも可能になります。採用支援サービス企業に依頼して、「●●大学の学生にだけ会わせて」みたいなことができるようになります。そして、実際に水面下で面談が進んだりします。 関:それは実質的な選考、ですよね。 谷出:そうですね。去年の選考解禁日は6月1日だったのですが、実際には解禁日を迎えたその時点で6割の学生が内定をとっていましたからね。その前年は5割でした。つまり1年間で1割増えていて、その数字だけみても、着実に早期化していることが分かってくるわけです。 倉本:となると今年は……。 谷出:さらに企業の動きが早くなるわけですから、もっと内定が早く出てくるでしょうね。 関:ますます企業が、学生に対して自社の魅力をどのように伝えていくかが重要になりますね。そうなると、人事も、もっと外に出て自社のブランディングや、マーケティングでいうところのリードジェネレーションなどに注力することが求められるのでしょうか。 谷出:ええ。そもそも知らない会社に学生が応募することはないので、まずは知ってもらわないといけない。それは別に就活が始まってからでなくてもいいのです。極端な話、子どもの頃から知ってもらっていればいいのです。ですから、これからは企業広報そのものが、採用活動においても価値を持ってくるでしょうね。採用担当者と広報担当者は今よりもっと近づき、一緒に取り組んでいくべきだと思いますよ。 倉本:結局は、自社の事業を磨き上げることにつながっていきますね。 谷出:例えば、もしAppleが新卒採用するとなったら大勢が応募しますよね。それは企業自体にファンが多いからです。全ての企業がAppleのように全世界に知られる必要はありません。要は自社の事業と、そのために採用したい人がどこにいるかの組み合わせです。東京で採用したいなら東京の学生に知られていればいいわけですし。 関:仰る通りですね。 谷出:あとは企業として、「うちにくると絶対にいいよ」としっかりアピールすることですね。 倉本:アピールできないってことは自信がないということ。実際、採用担当者の方が辞めてしまったりすることもありますしね(笑)。 谷出:そうそう。自分が来年くらいに辞めようって思っているようでは、学生に強くアピールすることはできないじゃないですか(笑)。 関:たしかに(笑)。最近はリファーラルによる採用も活発になりつつありますが、うまく行かないケースもあると聞きます。 谷出:リファーラル採用は決して簡単ではありません。仕組みを用意したけど、思うようにいかないことも多いです。働いている社員からの紹介ということですが、本当に仲の良い友人を自分が自信を持って働いている会社に引っ張ってこられるか。そこですよね。 関:企業と学生はお互い不幸にならないように、しっかりとマッチする相手を見つけてほしいですよね。その点で我々にできることって何でしょう。 谷出:学生さんによく言うのは、やりたいことを見つけられたらいいけど、見つけられなくても、誰かの夢を一緒に追いかけることで、それが自分の夢にもなっていく。そのためにできることを増やすともっと貢献できるから、自己研鑽していこうと伝えています。そして僕らは、学生に「そういう大人、超かっこいいな」って思ってもらえる社会をつくっていくべきですよね。 倉本:本当にその通りですね。 関:とても勉強になりました。谷出さん、ありがとうございました。 今回のお店 ワイン居酒屋 赤坂あじる亭 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。 今回のお話は新卒採用という身近な話題。何年も携わっておられる谷出さんならではの視点で、深い知見を得ることができました。 そんな語らいを一層盛り上げてくれたのが料理とワイン。 見た目にも美しいいちごとトマトのカプレーゼに、オムレツ、ステーキと、あじる亭屈指の人気メニューが勢ぞろい! どれもあじる亭を訪れたら一度は食べていただきたい料理ばかりです。ワインもまたすばらしいマリアージュでした。
HRTech 2018年5月28日 欧米の大手企業が導入する新しい評価制度ノーレイティングとは? 年度初めに目標を立案し、その目標の難易度や達成度に応じて人事評価をする。多くの日本の企業が実施してきた従来の方法が機能しなくなってきています。 そんななか欧米の企業を中心に導入が進んでいる「ノーレイティング」。今回は「ノーレイティング」についてご紹介します。 [目次] ノーレイティングとは 背景 具体的なツール まとめ ノーレイティングとは ノーレイティングとは、これまで行っていたスタックランキング制度(成績をA、Bなど全体からの相対評価でランキングをだす制度)は行わず、継続的かつリアルタイムにフィードバックを行う仕組みのなかで、上司が部下のパフォーマンスをマネジメントする人事評価の仕組みのことをいいます。 背景 近年、従来型の人事評価制度(年度初めに目標をたて、その実績に応じて、年度末にS,A、B、C、Dなどのランク付けを行って評価を行う)には大きく以下3つの課題がでてきました。 1. ビジネススピードが速くなり、目標達成サイクルとの乖離が発生してきた 2. スタックランキング制度は個人間の競争は生み出すが、チームワークや周囲とのコラボレーションは生まれにくい 3. 年度末に膨大な評価のための時間(手続きやドキュメントなどの準備)が必要とされる一方、評価をつけることが目的となり、形骸化してきている 従来、人事評価は賞与の決定や優秀な社員の昇格などを行うために活用されてきましたが、従来型の制度では時代の流れとともに、人材不足が進む中で優れた社員のエンゲージメントを高め、会社全体のパフォーマンスを上げるという本来の目的に対して機能しづらくなってきています。 こうしたなか、「ノーレイティング」という考え方が2012年ごろから欧米を中心に広がりをみせています。 ノーレイティングでは、月に1度などの頻度で定期的に主にマネージャーとメンバーとの間で1on1ミーティングを行います。メンバーのそれぞれの活動に対して、評価ではなく行動改善や成長につながるフィードバックをリアルタイムに行っていくことにより、業績向上に導いていきます。こちらの記事にも記載していますが、適切なタイミングでフィードバックを行うことは、効果を発揮するうえで非常に大切です。そして、必要に応じて目標も変化させていくことで、変化の激しいビジネス環境への対応も可能となります。 従来型の人事評価が、評価の目的を人材の査定に置いているのに対して、ノーレイティングでは人材育成を目的にしている点も特徴としてあげられます。 具体的なツール ノーレイティングを実施するためには、継続的かつリアルタイムにフィードバックを行う必要があるため、それらを管理するツールが欧米では活用されています。 Engagedly https://engagedly.com セントルイスに本社を構えるアメリカの会社です。 彼らの提供するプラットフォーム Engadedlyは、目標設定、マネージャーフィードバックの管理、ナレッジシェアなど、ノーレイティングを実施するための機能が含まれています。 2016年にはアメリカのHRTECHに関するメディア「HRTECH OUTLOOK」にて、Top10 HR Cloud に選ばれ、現在では中小から大手まで様々な規模の企業に利用されている注目の製品です。 まとめ 相対評価を可視化したスタックランキング制度は個人の競争を促すことを中心にマネジメントをしていたころは有効でしたが、チームワークを生みづらく、オープンイノベーションの考え方に代表されるような共創の時代には向いていないかもしれません。 ノーレイティングを実施する際に重要となってくるのがマネージャーのマネジメントスキルです。メンバーとのコミュニケーション機会が増えるため、マネージャーにとっては工数が単純に減るわけではありません。効果的な1on1を実施できるかどうかにより、メンバーの成長度合いや評価に対する納得度も大きく変化するため、より高度なスキルが求められます。 今後の企業戦略において、マネージャーであるミドル層のスキルや資質はより一層重要になってくるのではないでしょうか。
ワインで対談 2018年5月27日 新卒採用でどうすれば“学生に選ばれる企業”になれるのか – 採用コンサルタント・谷出正直さん × セレブレイン関 伸恭 × セレブレイン倉本 健【前編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第7回ゲストは、採用コンサルタント/採用アナリストの谷出 正直さん。売り手市場が続く新卒採用の現状と今後の展望について、企業と学生それぞれの目線から語っていただきました。聞き手はセレブレイン パートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭と、人材開発コンサルティング シニアコンサルタントの倉本 健が務めます。 第7回ゲスト:谷出 正直さん略歴 採用アナリスト/コンサルタント。エン・ジャパンにて新卒採用支援事業に約11年携わる。2016年に独立し、現在は企業の新卒採用のコンサルティングや、採用アナリストとしてメディアへの情報提供や記事・コラムの連載、企業や大学でのセミナー講師など、幅広く新卒採用に関する情報を発信している。 企業の採用活動は年々早くなっている 関:谷出さん、赤坂あじる亭にようこそ! 本日はぜひ新卒採用についていろいろと教えてください。 倉本:私も谷出さんからお話を伺うことを楽しみにしていました。よろしくお願いします。 谷出:こちらこそよろしくお願いします。実はあじる亭で食事をするのは2回目なんですよ。以前に、懇意にしている会社の方に連れてきていただいたことがあります。 関:そうでしたか! では、セレブレインがあじる亭を経営していることもご存知で? 谷出:ええ。人事コンサルティングサービスを提供している会社が、飲食店も経営していると伺って、とてもユニークだなと思いました。 倉本:弊社のお客様からもよく言われることがあります。 関:谷出さんは、ワインはお好きですか? 谷出:大好きなのですが、今日はちょっとお酒が飲めないのです。実は先週、花粉症が悪化してしまい、しばらく寝込んでいまして、薬を服用しているもので……。 関:なんと、そうでしたか。 倉本:それでしたら、ソフトドリンクで乾杯しましょう。 谷出:ありがとうございます。お二人はお気になさらずぜひワインを。 建部/店長:それでは、谷出様のために、本日はスペシャルなソフトドリンクを用意いたしました。ノンアルコールのサングリアをベースにスパイスを利かせてトニックで割ってみました。 谷出:ありがとうございます! 関:建部さんはあじる亭の店長で、以前はフランスの2つ星レストランで10年間、シェフソムリエをされていた方なんですよ。 谷出:それはすごいですね! 建部/店長:関さんと倉本さんにはスパークリングワイン「BKワイン ペティアン・ナチュレル」をご用意しました。 関:ありがとうございます。それでは、乾杯! 谷出:このドリンク、とてもおいしいですね! さすがです。 関:次はぜひワインをご一緒しましょう。 谷出:そうですね、ぜひ。 関:花粉症の季節といえば、ちょうど企業の新卒採用が動き出す頃かと思います。 谷出:ええ。ちょうど今、2019年度の新卒採用が動き始めた時期ですね。 倉本:今はどのあたりのフェーズですか? 谷出:3月に新卒採用活動が解禁されたので、ちょうど1ヶ月くらいたちましたね。学生が春休みを利用して企業説明会に行ったり、OB訪問したりしている時期ですね。 関:ここ最近はずっと新卒は売り手市場と言われてますよね。 谷出:そうですね、売り手市場と言われて5年目ですね。 関:そうなのです。この5年間で何か変化もあったのでしょうか。 谷出:ありますね。売り手市場が続いていることもあり、どの企業も他社よりも早く学生と接点を持つために、動きがどんどん早くなってきています。 関:なぜ企業は動きを早めるのですか? 谷出:新卒の採用活動は前年の動きに強い影響を受けるものなのです。売り手市場だと前年と同じ動きをしていては、ライバル企業に出し抜かれてしまう。だから企業は前年よりも採用活動を早く始めて、学生との接点を作ろうとします。 倉本:やはり早く動いた方が有利ですか。 谷出:ええ。一人の学生が受ける企業数は限られていますし、最初に接触を図ると受けてくれやすいのです。接触が遅くなると、すでに他の企業の選考が進んでしまっていることもあるし、学生も既に第一志望の企業から内定をもらっているかもしれません。そうなると後発の企業は苦しくなります。 関:たしかに、後発の企業は既に選考が進んで着る企業より行きたいと思ってもらわないといけませんからね。 谷出:これが、売り手市場で企業の動きが早くなる理由です。それが4回、繰り返して起きていると考えてください。 倉本:どんどん前倒しで動くようになっているわけですね。 関:ちょうど最初のお料理がきました。 建部/店長:今回は春らしく、モッツァレラチーズを使用したカプレーゼです。季節の果物と野菜、今回は苺とトマトを合わせました。女子力高めの前菜です(笑)。 谷出:これは可愛らしいですね(笑)。 倉本:苺とは意外な組み合わせですね。 谷出:おっ、でもこれ、いけますね! 関:本当だ、苺とトマトの甘酸っぱさがうまく調和していますね。チーズにもぴったりです。 建部/店長:季節によってはリンゴや金柑を使うこともあるんですよ。 倉本:ワインも気になりますね。 建部/店長:前菜に合わせるのは、フランスのコート・デュ・ローヌの生産者、ドメーヌ・グラムノンのヴィオニエという品種を使ったワインです。トロピカルな香りで、春の芽吹きを感じさせてくれます。 関:うん、いい香りです。爽やかで飲みやすい。 倉本:前菜にぴったりです。瑞々しいアロマにしっかりした骨格を持つ白ワインですね。 谷出:いいですね、うらやましい。 関:さて、新卒採用に話を戻しますが、企業の採用人数も年々増えているのですか? 谷出:そうです。採用人数を増やすとなると何が起きるかというと、どの企業も積極的に自社のプロモーションをするようになります。まずは学生に自社の名前を知ってもらわないと始まりませんからね。そして、説明会の開催数も増やすようになります。 関:採用説明会に参加すると、学生もその企業が気になったりしますからね。 谷出:ええ。大手企業の情報が入ってくると、学生も入りたいですから受けますよね。採用の枠が増えているから、内定の数も増えています。企業からすると辞退される可能性も考えないといけないので、よりたくさんの内定を出す。そうすると、去年よりも今年の方が比較的に受かりやすいということになってきます。 関:私は氷河期世代だったので、信じられない状況です(笑)。 谷出:先輩が入社したとなれば、その後輩も感化されてその企業を意識するようにもなります。 倉本:わかりやすい図式ですね。 関:学生側はどういうところをみて、企業を判断しているのでしょう。 谷出:学生さんは世の中の動きに非常に左右されやすいですね。たとえば今ですと、2年前くらいから言われている「働き方改革」がトレンドワードです。また、ニュースを積極的に見るようになるので、「副業」・「在宅ワーク」といったキーワードも目にします。自分が受ける会社がそれらをどうとらえているのかは当然気になるところでしょう。 関:少し前ならダイバーシティや女性活躍、ブラック企業なんてワードも話題になりましたね。 谷出:そう、キャッチーな言葉が出てきたときに、それと目の前の会社を結びつけるのです。となると、企業はそれらの質問を想定して、答えられるようにしておかないといけません。 倉本:新卒採用で企業が意識すべき点ですね。 谷出:平均残業時間について質問されて、答えに詰まるようでは学生に不信感を抱かれます。もし残業時間が長くても、それを今後は改善していくといったポジティブな言葉が必要です。そうでないと学生は引いてしまいます。 倉本:もしくは、ネガティブな要素があっても、それを上回るポジティブな要素で魅了するかですね。 谷出:就職活動をはじめたばかりの頃は、学生は企業を選ぶ軸を持っていません。だからトレンドワードとか、単純に会社名を知っているとか、そういったところを重視します。 学歴や偏差値よりも立ち居振る舞いに人としての魅力が出る 関:次のお料理がきました。 建部/店長:当店でとても人気のあるオムレツのトリュフ風味をご用意しました。合わせるワインはカリフォルニアのナパ・バレーの典型的なシャルドネ、カモミ(Ca’Momi)です。樽が利いていて、バター系やクリーム系、卵料理と合わせるとおいしいですよ。 谷出:うーん、良い香りです! とろとろでたまらないオムレツですね。 関:このオムレツは私も大好きでよく頼んでいます。 倉本:ワインもバランスがいいですね。爽やかな甘いアロマがあって、華やか。酸味もちゃんとあり、全体を引き締めてくれています。 谷出:次は必ず飲みます(笑)。 前編では、売り手市場が続くなかでの企業の採用動向や学生が企業を選ぶ際に気にしているポイントをわかりやすく解説頂きました。 後編では、子どもの教育についての考え方から就職活動における学生の立ち振舞い、選ばれる企業になるために求められることについて議論を深めていきます。 今回のお店 ワイン居酒屋 赤坂あじる亭 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。
ワインの豆知識 2018年5月20日 ソムリエに訊く!ワインのラベルと瓶の形状から分かること ワインのラベルには多くの情報が記載されています。しかし、ブドウの品種が書かれているものもあれば、書かれていないものなど、ワインにより多少の違いが。 ソムリエに訊くと、そこには歴史のあるワイン業界におけるある一定の法則が存在していました。その法則とは何なのか?この情報をちょっと知っているだけで、ワイン初心者に一歩差をつけられます。 [目次] ワインの産地 伝統国とニューワールド ラベル 瓶の形 まとめ ワインの産地 伝統国とニューワールド ワインは産地により「伝統国」と「ニューワールド」という2つに大きく大別されています。 「伝統国」とはフランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパの国を指します。一方でアメリカ大陸やオセアニアなどのアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、などは「ニューワールド」と言われます。日本もニューワールドの一員になります。 ラベル ここで実際のラベルをみてみましょう。 こちらが伝統国フランス産のワインです。収穫した年や地名(Chablis=シャブリ村)や生産者の名前が記載されています。 こちらがニューワールド アメリカオレゴン産のワインです。 収穫した年や地名、生産者とともにPINOT NOIR(ピノ・ノワール)とブドウの品種が書かれています。 伝統国とニューワールドの大きな違いは「ブドウの品種の記載」です。伝統国では地域により使われるブドウの品種が規制されています。そのため、地名さえ書けばどのブドウ品種なのか分かるため省略されていることが多いそうです。 瓶の形 そして瓶の形にも違いがあることをご存知でしょうか? ワインの瓶の形は大きく、「なで肩タイプ」と「いかり肩タイプ」の2つがあります。 なんと地域により形状が決められており、「なで肩タイプ」はブルゴーニュ(=赤はピノ・ノワール、白はシャルドネ)、いかり肩タイプはボルドー(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどの5種類)となっています。 まとめ このように、生産された地域によりラベルや瓶の形状が変化していくのもワインの面白いところです。 伝統国のワインにはあえて品種を書かないところに、ワインの歴史を強く感じます。 書かれていないということはうんちくを語る大チャンス。 地域名と品種を勉強すればより一層大きな差をつけることができること、間違いなしです! 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年5月18日 企業が求める人材になるため何をすべきか – 人事・戦略コンサルタント松本利明さん×セレブレイン関伸恭【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第6回ゲストは、人事・戦略コンサルタントの松本利明さん。5万人以上のリストラと6000名以上の次世代リーダーの選定・育成に携わられた「人材の目利き」のプロフェッショナルです。1月に発売された著書「ラクして速いが一番すごい」が大ヒット中の松本さんに、企業が求める人材の条件とパーソナルブランディングについて伺いました。聞き手はセレブレイン パートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。 第6回ゲスト:松本 利明さん略歴 プライスウォーターハウスクーパース、マーサー・ジャパン、アクセンチュアなど大手外資系コンサルティングファームのプリンシパル(部長級)を経て現職。24年間で外資系、日系の世界的大企業から中堅企業まで600社以上の人事改革と生産性向上の実現を支援する。現在は、企業向けコンサルティングに加え、「すべてのムダをなくし、自分らしく、しなやかに活躍できる世界」に変革していくため、「持ち味の見つけ方、活かし方」をビジネスパーソンのみならず学生にも広めている。「ラクして速いが一番すごい」をはじめ、多数のベストセラーを執筆している。 なりたい自分ではなく、求められる自分になる 店長/加藤:メインのお料理に「国産牛ランプ肉の炭火焼きステーキ」をお持ちしました。添えてあるのはオーストラリア・タスマニア島のオーガニックマスタードです。これをすりつぶすと、一般的フレンチマスタードになります。 松本:おお、これはすごい! インスタ映えしそうですね(笑)。 関:本当ですね(笑)。私はこの粒マスタードが大好きです。ここはやはり赤ワインでしょうか。 店長/加藤:はい、ナパ・バレーの「シャペレ マウンテンキュヴェ」を合わせてどうぞ。こちらのワインは標高の高いところで収穫した4種類のぶどうをブレンドしており、ナパ・バレーらしくジューシーで凝縮感があります。お肉に負けないしっかりとした味わいですよ。 松本:このお肉は美味しいですね。柔らかくも噛みごたえがあって、旨味がぎゅっとつまっています。ボリュームたっぷりなのに、どんどん食べ進めてしまいます。 関:ワインと合わせることでさらに旨味が広がりますね。 松本:話を戻しましょう。もう一つの視点として、事業のライフサイクルのどこに自分が合っているのかを見極めることも重要ですね。 関:事業規模の成長に伴うステージ、ですね。 松本:事業のネタを考えることが得意なのか、事業を大きくしていくことが得意なのか、組織化して管理することが得意なのか。自分の資質がどのステージに合うのかを考えないといけません。 関:確かにポジションが同じだとしても、事業ステージによって求められる役割は大きく変わりますからね。 松本:結局、相手にどう喜んでもらうかということなんですよね。同じ「ありがとう」という言葉でも、中身はぜんぜん違います。仕事が速くてありがとうなのか、調整役をやってくれてありがとうなのか。 関:「ありがとう」の中身と自分の資質が合っているか、ですか。 松本:そうです。むりやりキャラ設定したとしても、その人の持つ資質と違っていたら破綻します。きっとうまくいきません。「ありがとう」と資質に一貫性を持たせないといけません。 関:そうでないと、自分の本来の姿とは異なるキャラクターを演じることになってしまいますよね。 松本:その一貫性が、パーソナルブランディングにつながります。パーソナルブランディングは、なりたい自分ではなく、求められる自分であるべきです。資質というものは20歳くらいまでに形成され、それ以降はほとんど変わりません。自分が資質として得たカードを仕事の中でどのようにうまく発揮していくか、ということがポイントなのです。 関:原点回帰ですね。見失いがちですが、大事なことだと思います。 松本:気をつけないといけないのは、自分の資質に合わないことであったとしても、時間をかけて努力するとちょっとだけ伸びるんですよ。そうやって身につけたものって苦労して獲得したこともあって、なかなか捨てられなくなるのです。 関:よくわかります。 松本:優秀な人材を獲得・育成していきたい企業側にとっても、社員の資質の話は重要です。野球で4番タイプばかり集めても勝てないのと同じ。リーダーと一言でいっても、その人なりの持ち味に合わせてポジションを考える必要があります。事業を太くするのが得意なリーダーもいれば、海外展開が得意なリーダーもいます。 関:日本企業の人材開発・育成は、そこがどうしても一つの同じ方向に流れがちですよね。 松本:能力には3つあって、まず根底にあるのが“資質”です。その上に“ポータブルスキル”。これは仕事を前に進めるために必要な汎用的なスキルで、どのような会社・職場でも通用するものです。その上に“専門性”があります。専門性は資質に合っていれば身につきます。となると、重要になってくるのはポータブルスキルになります。 ラクして速いが一番すごい 関:そこで自分自身の特徴をどう出せるかですね。今のようなお話が松本さんの著書「ラクして速いが一番すごい」にも詳しく書かれていますが、この書籍はどんな方に向けて執筆されたのですか? 松本:30代くらいで、社員200名くらいのオーナー会社か大手の子会社に勤めていて、会社に問題意識を持っている方ですね。 関:読者のターゲットがすごく具体的ですね! 拝読しましたが、読みやすいですし、行動レベルにまで落とし込んでくれているので、仕事を効率的に進めていくために明日からでも実践できるエッセンスがぎゅっと詰まっています。 松本:ありがとうございます。タイトルから仕事術の本と思われることも多いのですが、実はコミュニケーションの本であり、キャリアの本でもあるんです。 関:企業で働いていると実際にこういうシーンってあるなと感じるエピソードがたくさん書かれていて、弊社の若手コンサルタントにも読ませたいと思いました。最後に読者に対してメッセージをいただけますか? 今は働き方改革やグローバリゼーションやダイバーシティなど、いろいろと言われている時代ですが……。 松本:今は誰にでもチャンスがある時代ですよね。だけど、こうすればいいというロールモデルがない時代でもあります。そんな時代を生きるためには、繰り返しになりますが、なりたい自分ではなくて、資質に基づいて求められる自分になることが大事だと思います。 関:とても勇気づけられる言葉です。本日はありがとうございました! 今回のお店 あじる亭カリフォルニア 赤坂・赤坂見附からすぐのアメリカワインと炭火焼きのダイニング。カジュアルなワインから希少性の高いカルトワインまで200種類以上の品揃え。ソムリエ資格をもつシェフがカリフォルニアキュイジーヌとワインを絶妙にマリアージュし、腕を振るっています。 (都合により4月末日を持って閉店しています) 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。今回のお料理とワインもすばらしいマリアージュ! 実際にいただいてみると、料理とワインの要素やトーンがぴたりと一致していて感動すら覚えます。 ミニハンバーガーのスライダーは、見た目にもフォトジェニックですし、何と言っても甘辛い味噌煮込みが絶品。男性は特に好きな味じゃないでしょうか。 そしてランプ肉の炭火焼きステーキ! 肉、肉、肉で思わず笑顔になってしまう一皿。出てきた瞬間、対談されていたお二人の顔がほころんだのが印象的でした。「シャペレ マウンテンキュヴェ」とのマリアージュはあまりにも完璧なので、ぜひ一度味わっていただきたいところです。