ワインの豆知識 2018年3月25日 赤坂のソムリエに『春にお勧めのワイン』を訊いてみた! 桜舞い散る春。寒い冬が終わり、植物からは新しい生命の息吹を感じます。卒業式、入学式、入社式などのイベントもあり、日本では出会いや別れの季節です。気温も過ごしやすく、春が一番好きだと言う人も多いのではないでしょうか? そんな『春』にお勧めのワインとは?赤坂のソムリエに訊いてきました。 いきなり結論ですが、結局のところ、 ・ ・ ・ ・ 「人の好みによる」 とのことでした。 [目次] 春のワインの定義 お勧めするとしたら ワイン通のフリをするために 春のワインの定義 そもそも春のワインの定義が難しいとのことでした。「春らしさ」というキーワードから連想することも人それぞれ違います。例えば、白を連想する人がいたり、ピンクを連想する人がいたり、もしかしたら緑という人もいるかもしれません。明確な定義がないため、人の主観によるところが多くなります。ワインは結局のところ、嗜好品であり、個人の好みで楽しむものです。その時に飲みたいものが一番適したワインとなります。赤ワインしか飲まないと決めている人には「春のワイン」もきっと赤ワインです。 余談ですが、季節の商品は売り手側の販売戦略が大きく影響していることもあります。例えば有名なボジョレーヌーヴォ―は地方のワインを売るために「今年の新酒」というコンセプトをうまくブランディングに結びつけ、季節商品として楽しまれています。(近年は日本ブームも沈静化したので、今後どのように戦略するのか楽しみなところです) お勧めするとしたら とはいえ、お勧めするときには、自然界の色調、香り(桜や梅など)、季節の食べ物、に合わせて提案することが多いそうです。 春の季節の食べ物というと、ホタルイカ、山菜、たけのこ、ホワイトアスパラガス、桜マス、桜鯛、カツオ、梅、貝、春キャベツ、新玉ねぎなどなど。 「ホタルいかと黄金柑、オリーブオイルアマロとの出会い」赤坂 あじる亭 レピス https://celebourg.com/agiletei-lepice/ より 『春にお勧めのワイン』として、今回は具体的に次のワインをお勧めしてくれました。 ・ドイツのスパークリングワイン (ピノ・ブラン) 左 酸味がしっかりして、ほんのり苦味を感じることができます。さらっと飲みやすく、山菜や梅肉和えに合うワインです。 ・ロゼワイン (ピノノワール、メルロー等のブレンド)中央 桜色のワインで春らしさを連想させてくれます。味のインパクトは弱いですが、辛口でいろんな料理に合わせやすいのが特徴です。 ・白ワイン(ソーヴィニヨン・ブラン) 右 さっぱりした酸味が特徴でフレッシュさを感じることができます。 総じて、春の時期はさっぱり感のあるワインをお勧めするとのこと。 アパレル業界でも春になると、白や淡いピンク系の服が増えてくることが多いと思いますが、それらの色調がイメージされるワインが一般的に春らしさを感じるのではないでしょうか。 ワイン通のフリをするために そんな春の季節、お客様から次の質問をされると「この人はワイン通だな」と感じるとのことでした。 「シュパーゲル(アスパラガスのこと)にはミュスカやリースリング(白ワイン用のブドウ品種)が合うよね?お店にありますか?」 ※海外生活が長く、ワインを楽しんでいる人だと感じるそうです。(あくまで主観とのことです) 「この季節にあうアルザス系品種をください」 「アルザス系ワインありますか?」 ※アルザス地方のワインは品質の割に安いそうです。万人受けするものではなく、ブランド力も他と比較するとそこまで高くはないのですが、ホワイトアスパラガスに良く合うワインとのこと。アルザスを好むということは、ワインを良く知っている人だなという印象をもつそうです。(あくまで主観とのことです) ワイン初心者で知ったかぶりをしたい人は、ぜひこの質問をソムリエにぶつけてみてください。その後の会話がどのようになるかも楽しんでみるといいですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
コラム 2018年3月19日 コンサルタントコラム 人事改革最前線 非正規社員の人事マネジメント -「多様な働き方」時代のKSF(Key Success Factor)- 毎年3月は進学や就職・転勤など、人の異動が多い時期であるが、今年は引越し業界に異変が起きている。引越し会社の依頼引き受け件数が減少し、新年度の準備が間に合わない人が続出しているそうだ。働き方改革による労働時間短縮、さらには人手不足により十分な人員が確保できないことが要因である。 引越し業界に限らず、近年人手不足に悩む会社が多く、百貨店やショッピングセンターが営業時間を短縮したり、外食チェーン店が店舗閉鎖に追い込まれたというニュースもあった。これらの業界はパート・アルバイトなどの非正規社員が多く、人材を採用するために時給アップや社員登用制度など、各社努力しているが、それでも苦戦しているようだ。その影響もあり弊社に、非正規社員向けの人事制度を整備し人材確保に繋げたい、という相談が増えている。 一般的には、正社員よりも職責や権限、報酬などが限定的で定着率が低いため、非正規社員の人事制度は簡素なものが多い。しかし実は、非正規社員は正社員よりも多様性への対応が必要で、制度設計は慎重に行う必要がある。なぜなら「非正規社員」と一括りに言っても、そのバックボーンや働き方、給与、キャリアなど「働くことに対する価値観」が多様であり、人によって効果的な打ち手も変わってくるからである。 たとえば、育児や介護・家事など家庭の事情と両立して働きたい人は、給料の高さよりも働く日や時間を柔軟に調整できることの優先度が高い。自分のペースで働きたい人は、キャリアアップよりも与えられた仕事をコツコツとこなすことを望む。学生や資格取得を目指し勉強中の人は、勉強の合間に働ける仕事を選びたい。あるいは、一家の家計を主に支える働き手であればできるだけ多く稼ぎたいし、正社員になりたい人もいる。 このように、非正規社員は人事制度に対するニーズが多様である。 一方で、外部環境の影響も非正規社員の人事制度設計をさらに難しくしている。 たとえば、先にも述べた人手不足について、有効求人倍率は2018年1月時点で約1.6倍、パート・アルバイトに限定すれば約1.8倍であり、過去5年以上にわたって上昇傾向が続いている(※1)。また時給単価も高騰しており、最低賃金は過去5年間2~3%ずつ上昇、パート・アルバイトの募集時平均時給は3年で約7%上昇した(※2)。さらに、働き方改革や同一労働同一賃金等、政策・法制度への対応なども、複雑性・多様性が増えている要因となっている。このことが、経営に与える影響には、以下のようなことが考えられる。 ① 品質・顧客満足の低下: 非正規社員は店舗や接客サービスなど、最も大事な現場の第一線を支えていることが多く、人手不足は業務・サービス品質や顧客満足の低下に繋がる可能性が高い。 ② コストの増加: 採用における求人広告費などの直接コストだけでなく、採用担当者の業務工数などの間接コストも増える。また人数が多い場合、一人あたりの時給アップ額が小さくても全体としてはレバレッジが大きく、総人件費の増加に繋がりやすい。 ③ 機会の損失: 営業時間の短縮や店舗の閉店は、既存の売上機会を失うことに直結する。また新規出店時に必要なスタッフが集まらずに事業の成長・拡大のボトルネックになる。さらに、人手不足の状況で無理に現場を回そうとすると、離職率が高くなり、新たに人材採用が発生し、一から教育するための時間的ロスも発生する。つまり、現状のまま何も手を打たなければ、近い将来、経営が成り立たなくなることが十分考えられる。 非正規社員の人事制度は、ここまで述べたような様々なニーズや社会の変化に対応するものでなければ、経営に大きなマイナスインパクトを与えることになる。しかし見方を変えれば、自社が求める人材のニーズに合った人事制度を設計すれば、他社との差別化になり、現場の生産性があがり事業の競争力を強くすることができる。 家具販売大手のイケア・ジャパンはいち早く同一労働・同一賃金を取り入れ、フルタイム・パートタイムに関わらず全従業員を正社員にする人事制度を導入し、求める人材の確保に成果を上げた。小さい会社でも、パプアニューギニア海産という会社が「好きな日に出勤、欠勤(連絡の必要なし)できる」「出勤時間、退勤時間も自由(毎日変動可)」といった“フリースケジュール制”を導入し、従業員の定着率を高め、業務の習熟度が高まることで生産性も向上させた例がある(※3)。 また保育士不足で悩んでいたある保育園では、育児中の子供を入園させ、同時に保育士として勤務してもらう条件で募集したところ、想像以上に多数の保育士経験者の応募があり、新たな保育所の新設が可能になったという例もある。 これらのケースに共通するのは、働く人の多様なニーズと自社が求める人材とがマッチする制度を設計したこと、そして経営課題解決のための重要施策として位置付けたことである。これは、非正規社員のマネジメントは一つの人事課題ではなく、経営課題として取り組んでいくことの重要性を示していると言えるだろう。 一昔前、「非正規社員は雇用の調整弁」という考え方があり、長期勤続と成長を目指した人事制度を整備する会社は少数である。しかし、多様な働き方が当たり前になった今、非正規社員の人事マネジメントは収益力と成長力のKSF(Key Success Factor):重要成功要因の一つであることは間違いがない。 【参照】 ※1:厚生労働省 一般職業紹介状況 ※2:(株)リクルートジョブズ 2017年12月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査 ※3:(株)パプアニューギニア海産 ホームページ
ワインの豆知識 2018年3月11日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【白ワイン編】 先日の赤ワインのブドウの品種に続き、今回は白ワインの品種についてご紹介します。赤ワイン同様、白ワインもブドウの品種により味や香りは大きく異なります。今回ご紹介する違いについてだけでも覚えておけば、初心者と大きく差がつくこと間違いなしです! [目次] 白ワインのブドウの主な品種と産地 料理との合わせ方 まとめとソムリエからのひとこと 白ワインのブドウの主な品種と産地 今回ご紹介する品種は以下の2つです。 ソーヴィニヨンブラン Sauvignon Blanc シャルドネ Chardonnay 他にもリースリング、シュナン・ブラン、ヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネールなどもありますが、まず最初に抑えておきたい品種になります。 ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ共に世界中で栽培されています。ワイン銘醸の地であるフランスではソーヴィニヨンブランはロワール川付近 ボルドー地方、シャルドネはブルゴーニュ地方で栽培されています。 ワイン銘醸の地フランスの地図https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cartes_des_vins_de_france.png より 味や香りもこの2つでは大きく異なります。 ソーヴィニヨンブランはグレープフルーツのようなフレッシュな柑橘系や青りんごのような香りがします。フレッシュさが売りで、味もさっぱりした酸味が特徴。のど越しを楽しみたい人に人気があります。 一方のシャルドネは、ふくよかな味わいが特徴で、コクがありクリーミーなタイプが多く、バニラやナッツのフレーバーなどに例えられることが多くあります。しかし、シャルドネ一番の特徴はそのニュートラルさ。一概にシャルドネと言っても栽培される地域などで味や香りも大きく異なります。ワイン愛好家の間からは、「あのシャルドネは好きだけど、このシャルドネはちょっと合わない。」などの会話がよく聞こえてきます。 色も違いがあり、ソーヴィニヨンブランは薄いレモンの色、シャルドネは濃いレモンの色と表現されることがあります。 左:ソーヴィニヨンブラン 右:シャルドネ しかし、赤ワインほど違いは鮮明ではありません。「言われてみれば違う」と感じるかもしれませんが、初心者には違いを見分けるのは少し難しいかもしれませんね。 料理との合わせ方 味についてはまとめると、ソーヴィニヨンブランはさっぱり、シャルドネはこってりと覚えておくと覚えやすいです。 では、どんな料理がこのワインには合うでしょうか? さっぱり系の料理にはソーヴィニヨンブラン、少しこってりした料理にはシャルドネが合います。 例えば、ハーブを使ったカルパッチョや柑橘系のサラダ、スモークサーモン+レモンの組み合わせにはソーヴィニヨンプランのさっぱりした酸味はとても合います。 一方で、クリーム系の料理やサラダ+揚げ物などの軽い肉料理など油脂分が比較的多い料理にはシャルドネのふくよかさが生きてきます。 まとめとソムリエからのひとこと これらを表にまとめると以下になります。 ※簡略的にお伝えする為の一般的な表であり、例外的な事も多数ございますので、予めご了承ください。 品種 地方 味 色 合う料理 ソーヴィニヨンブラン(Sauvignon Blanc) ロレーヌ川付近 ボルドー地方 さっぱり 薄いレモン色 ハーブを使ったカルパッチョや柑橘系のサラダなど シャルドネ(Chardonnay) ブルゴーニュ地方 こってり 濃いレモン色 クリーム系の料理やサラダ+揚げ物などの軽い肉料理など 白ワインは常温よりも冷やして飲むことが多いワインです。それは、白ワインは酸味が強く、冷やすことで切れのある酸味をより一層楽しめるからです。逆に冷えていないと酸味がだれてきてしまうことがあるため、美味しく飲むためには注意が必要です。 本日紹介したソーヴィニヨンブランとシャルドネを比較すると、シャルドネの方が高く取引されるケースが多い品種です。しかし、のど越しを楽しみたい、さっぱりしたいなど、ビール感覚でワインを楽しみたい場合はソーヴィニヨンブランがオススメです。 料理もそうですが、複数のワインを順序立てて飲むときには軽いものから重いものへと変えていくのが一般的です。 どのワインが軽め、どのワインが重め、などを覚えておくとコースの仕立てがしやすくなるかもしれないですね。 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
人事施策 2018年3月04日 社員エンゲージメントを高めるリワードプログラムとは? 社員のエンゲージメントを高め、ひとりひとりが高い業績に貢献できるようにすることが人事の施策。 その施策のひとつでもあるリワードプログラムについて、USでは面白いサービスがでてきています。今回はそんなリワードプログラムについてご紹介します。 目次 リワードとは? エンゲージメントにつながるモチベーションの構成要素 リワードプログラム具体的な外部サービス例 まとめ リワードとは? リワード(Reward)とは日本語に直訳すると「報酬」「褒美」のことです。人事施策の場合は一定の成果に対するインセンティブのことを指します。 では、どんなリワードが効果を発揮するのか? そのためには、まずはじめにトータルリワード(金銭的な報酬だけではなく、非金銭的な報酬を含めた包括的な処遇)を考える必要があります。 トータルリワードとは何か?その構成要素を以下の表にまとめました。 【トータルリワード】 金銭的報酬 直接報酬 基本給 賞与 インセンティブ 退職金 間接報酬 法定福利厚生 法定外福利厚生 能力開発支援 非金銭的報酬 仕事 成長機会、キャリアアップ 仕事の重要性 仕事の面白み 社会的な認知 労働環境 共感できる価値観 リーダーシップ 従業員間のつながり(協働、コミュニケーション) ワークライフバランス これらを企業の人事方針や総額人件費予算などに基づいてバランス良く考えていきます。 分かりやすい例として、例えば企業の人事方針が「業績に応じて給与を払う。従業員には成果をしっかりと求める。その代わりペイフォーパフォーマンスを重視する。」という場合は、金銭的報酬の直接報酬であるインセンティブへの配分を多くする、ということが考えられます。 グローバル化が進みダイバーシティが求められる昨今、個人の価値観は様々です。そして、その個人の集合体である企業にも、それぞれ異なる価値観が存在します。企業の価値観と独自の魅力的なトータルリワードを設計・提供していくことが、求める人材を惹きつけることや働く社員のモチベーションの向上につながります。 エンゲージメントにつながるモチベーションの構成要素 エンゲージメントを高めるためにはモチベーションの向上が大きく関係してきます。モチベーションの構成要素は大きく以下の2つになります。 ・外発的動機づけ ・内発的動機づけ 外発的動機づけとは、外的報酬(賞罰や昇進など)によって触発され、動機が高まることです。 ビジネスにおいての外発的動機づけは金銭である場合が多く、短期的に動機づけるのには有効です。しかし、長期的に維持するためには、外的報酬を繰り返したり、より強い外発的動機づけを必要とするなどのコスト増加の弊害があります。コストを支払い続けることができればいいですが、他社に高い報酬を提示されることで、すぐ転職をしてしまうなど、長期目線でみると、外発的動機づけだけでは自社に対するエンゲージメントやリテンションへの効果を発揮させることは難しいかもしれません。 一方、内発的動機づけとは、外的報酬によらず、個人の意欲・成長欲求・好奇心によって 動機が高まることです。内発的動機づけによる学習は、個人の持つ探究心や情熱がベースとなるため、学習の継続性、学習効果の高さ、さらには創造的な思考が強化されます。ビジネスでは創造的な解決策が必要であり、内発的動機づけによる学習、スキルの獲得、パフォーマンスが重要とされています。 リワードプログラム具体的な外部サービス例 多様な人材が働くUSの企業では、社員エンゲージメントを高めるためにさまざまなリワードプログラムが活用されていますが、その中でも近年ユニークなサービスを提供する企業ががでてきています。 https://www.blueboard.com/ 2014年のサンフランシスコ、週60時間のハードワークの末にリワードとして与えられたAmazonギフトカードに温かみを感じることができなかった二人が、もっと人間味のあるリワードをと想い起ち上げた会社です。金銭だけでなく、冒険などを通じた「体験」こそがエンゲージメントを高めるという考えのもと「体験」につながるリワードプログラムを実施可能なプラットフォームを提供しています。 http://www.globoforce.com/ レコグニションにフォーカスしたプラットフォームを提供している会社です。社員同士で賞賛・表彰しあう仕組みの構築が可能で、これらにより内発的動機づけを刺激し、モチベーションの向上につながけていくことができます。 まとめ HRテック先進のUSでは、さまざまな手段を講じて、いかに社員のエンゲージメントを高めるかが考えられています。 業績達成のインセンティブに旅行を与える企業などもありますが、団体旅行ということもあり、実際の金銭を与えるよりも割安で効果的な「体験」を与えることができたりします。 「インセンティブには金銭を与える」と単純に考えるのではなく、より工夫して企業の価値観に沿ったリワードプログラムをつくることが、独自の企業文化を醸成し、高い社員エンゲージメントへとつながっていくのではないでしょうか。
ワインの豆知識 2018年2月26日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、ブドウの品種ってなに?【赤ワイン編】 前回ご紹介したワインの種類に続き、今回はブドウの品種についてご紹介します。ピノノワール、ボルドー、メルロー・・・品種や地方の名称には横文字が並び、初心者にはハードルが一気にあがります。このブドウの品種の違いについて理解すると人に話せる知識量は大きく変わります。ぜひぜひ覚えてみてください! [目次] 赤ワインのブドウの主な品種と産地 料理との合わせ方 まとめとソムリエからのひとこと 赤ワインのブドウの主な品種と産地 赤ワインの品種には大きく以下の4つがあります。 ピノノワール(Pinot Noir) カベルネソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon) メルロー(Merlot) シラー(Syrah) 他にも沢山ありますが、初心者の方はまずこの4つを覚えておくことをおすすめします。 世界各地でその土地の気候や風土に適したブドウが栽培されるため、それぞれの品種は、ワイン銘醸の地であるフランスでも、栽培される地方が異なります。 ピノノワールはブルゴーニュ地方、カベルネソーヴィニヨンとメルローはボルドー地方、シラーは南フランス・ローヌ地方になります。 ワイン銘醸の地フランスの地図 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cartes_des_vins_de_france.png より 味や色ももちろん異なります。 ピノノワールは酸味があり若干色が薄く、赤いベリー(いちごやチェリー、ラズベリーなど)の香りがするのが特徴です。カベルネソーヴィニヨンとメルローは色が濃く、タンニングが強くて渋み(カベルネソーヴィニヨンの方がより強い)があり、黒いベリー(ブルーベリーやブラックベリー、カシスなど)の香りがするのが特徴です。この2つを実際に比べるとみると色の違いは、初心者でもはっきりと分かります。 左がピノノワール、右がカベルネソーヴィニヨン そして、シラーはスパイスのニュアンスが強く、黒胡椒っぽい雰囲気があります。 余談ですが、カベルネソーヴィニヨンとメルローはフランスボルドーでは一般的にブレンドされ、セットで用いられることが多いです。含まれる比率により前面にでる品種が変わります。 料理との合わせ方 そんなこの4つの品種ですが、どんな料理が合うでしょうか? 覚え方としてはワインの色と料理の色を合わせるのがポイントです。 例えば、色の薄いピノノワールは肉料理であれば、軽めの肉料理やチキン・豚肉など、色の濃いカベルネソーヴィニヨンやメルローはしっかりした肉料理 黒豚・牛肉など、そして、シラーは、+スパイシーな調味料を使用した料理によく合います。 お店に行ったときのオーダーとしては、まずは自分が食べたいもの、飲みたいものを選ぶとスムーズです。 例えば、メルローのワインをボトルで飲みたい場合はそちらをオーダーし、それにあう料理としてしっかりした肉料理を、まずは食べたい料理がある場合は料理をオーダーしそれに合うワインをグラスでオーダーするなど、各自の好みや気分に合わせるのがいいかと思います。 「今日は軽めのワインが飲みたいからピノノワールをボトルでください。軽めの肉料理があうと思うので、鶏肉を使った料理で何かお勧めとかありますか?」などソムリエとの会話を楽しむのもいいですよね。 まとめとソムリエからのひとこと これらを表にまとめると以下になります。 ※簡略的にお伝えする為の一般的な表であり、例外的な事も多数ございますので、予めご了承ください。 品種 地方 味 色 合う料理 ピノノワール(Pinot Noirr) ブルゴーニュ 酸味がある 薄い 軽めの肉料理(鶏肉、豚肉) カベルネソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon) ボルドー より渋みがある 濃い しっかりした肉料理(牛肉、黒豚) メルロー(Merlot) ボルドー 渋みがある 濃い しっかりした肉料理(牛肉、黒豚) シラー(Syrah) ローヌ スパイシー 濃い(タイプにもよる) スパイシーな料理 ソムリエはこういった品種毎の違いを理解したうえで、さらに、酸味、甘み、タンニン、アルコール感、複雑姓、余韻、将来性を考慮したうえでワインを選定します。 ソムリエに訊けばきっと、「一般的なメルローよりタンニンが強いけど、その分複雑性が増え・・・価格以上にお得ですよ」など教えてくれます。 ソムリエとの会話もワインの楽しみ方のひとつ。色々教えてもらいながら、自分好みのワインを探していくことで、より一層深いワインの世界が見えてくるのではないでしょうか? 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
人事施策 2018年2月16日 ゲーミフィケーションが人事を変える ゲーム要素を取り入れることで施策に対して人を巻き込んだりモチベーションを高めることができるゲーミフィケーション。最近では人事の施策にも取り入れられていることはご存知でしょうか。今回はそんなゲーミフィケーションについてご紹介します。 [目次] ゲーミフィケーションとは? 企業の人事におけるゲーミフィケーション具体例 まとめ ゲーミフィケーションとは? ゲーミフィケーションとは、様々な活動に対してゲームの要素を取り入れることで、遊び心を刺激し、参加者を楽しませることで効果をより高める施策のことを指します。例えば、活動結果に応じて感謝バッジをあげることで数を競わせたり、技術レベルを有名なゲームをモチーフにして可視化させレベルアップを促すなどが、一般的なゲーミフィケーションとして挙げられます。 整理するとそのタイプは大きく以下の2パターンに分類されます。 1 プロセス、ルールなどの構造にゲームの要素を加える 2 活動そのものをゲームにする 先ほどのバッジをあげる例や、レベルアップの可視化などは1のパターンに入ります。一方、有名キャラクターが登場するテレビゲームを実施するだけで漢字が覚えられるなどは2のパターンに分類されます。 このゲーミフィケーションは人の行動に大きな影響を与えます。 身近な例をご紹介すると、高齢者向けのフィーチャーフォンに搭載されていた万歩計アプリを楽しんでいた方がいました。自分の歩いた距離が東海道五十三次の距離に換算され、「今日は藤沢まで着いた」「明日は小田原に着く」と毎日の散歩を楽しみにしていたそうです。自然と歩くことが楽しくなり、毎日の散歩の距離が増え、こちらのアプリは健康促進に大きく貢献していました。しかし、携帯電話が壊れてしまい、スマートフォンに機種変更したところ、同じアプリが利用できなくなってしまいました。こちらの方は途端に日々楽しみにしていた散歩を止めてしまったそうです。 企業の人事におけるゲーミフィケーション具体例 そんなゲーミフィケーションは、企業の人事施策でも活用されています。例えば、企業のミッション、価値感の浸透に使用されるケースがあります。価値観を定義し、その価値観に沿った行動をした人にはバッジなどのポイントを付与します。従業員にとってほしい行動をバッジとしてエンターテイメント化させて、ポイントを得ることに対してモチベーションが発生するように促すことができれば、結果として、明文化した価値観を強制的に浸透させるのではなく、楽しくそして自然に社内へ浸透させていくことができます。 さらにこの与えられるポイントに対しては、外部のサービスを利用しながら福利厚生へ発展させているケースもあります。 アメリカのBonusly社 https://bonus.ly では従業員同士でボーナスを与え合うことができる仕組みを提供しています。獲得したボーナスはそのままアマゾンやスターバックスなどのポイントとして利用できるようになっており、ポイントはエンターテイメントだけでなく、従業員に対して具体例なメリットとなります。従業員間のコミュニケーションの促進や企業文化の構築に効果があり、2012年の設立以来、オラクルなどの大手企業も含め利用企業が増えてきています。 その他にも活動そのものをゲームにするというパターンでは、チームビルディングための野外活動や宝探しゲーム、協力しあいながら行うアクティビティなどもゲーミフィケーションの活用例です。 まとめ ゲーミフィケーションは目的を達成するための手段です。企業としてはゲーミフィケーションの活用により従業員のエンゲージメントやリテンションを高める狙いがあります。 ルールを作り強制するだけでは運用には乗りません。活動に気持ちよく参加してもらうための仕組みとしてゲーミフィケーションは存在しています。 SNS慣れしているデジタル・ネイティブの台頭など、昔ながらの軍隊式マネジメントは通じなくなってきています。 軍隊式マネジメントが多かった頃は日本の人事の仕組みも減点主義が多かった気がします。しかし、ポイントを積み重ねレベルアップを促すようなゲーミフィケーションの広がりは、日本の人事の仕組みも加点主義へと考え方自体が変わってきていることを表しているのではないでしょうか。
コラム 2018年2月13日 服部 篤 人事・労務デューデリジェンス(DD)における「不都合な結果」と「見えない結果」 人事のコンサルティングをしていると、時々気になる場面に出会うことがあります。 最近は企業の株式公開や買収・統合も珍しくなくなってきましたが、その際、重大な人事労務リスクはないか、存在するリスクにどう対応していくかという点もチェックされるようになってきています。このような流れの中、当社も人事労務に関するデューデリジェンス(DD)の依頼を受けることが多くなっています。 私たちがよく遭遇するのは、規則・規定はしっかりと整備されているのに、実際の現場では、かなりルールとは異なる運用が行われており、大きなリスクとなるケースが多いということです。一般的なDDでは、なぜこの様なケースが見過ごされてしまうのでしょうか。 そのヒントはミーティングでのお客様同士の会話にありました。担当役員と人事担当者の方に法令や規程に照らし合わせて、具体的な運用と処理の取り扱いを伺っていた時のことです。 ー役員「この制度の運用はいつも言っていたところなので大丈夫だよな?」 ー人事担当「・・・はい・・・・大丈夫です・・・」 発言が気になったコンサルタントが改めて人事担当者に話を伺ったところ、実は現場からの要請もあり、特に大きな問題はないだろうと例外的な運用を黙認していたとのことでした。DDというこれまで想定していなかった局面で、役員から問題がないことを前提に念押しをされたため、「実は・・」と言いづらかったそうです。 その後、役員にも現場の状況を説明し、対応策を打ったため大きな問題には発展しませんでしたが、現場の状況や担当者の解釈の違いにより、イレギュラーな運用が発生することは、珍しくはないことです。DDという特別な場で役員からの「信頼」がプレッシャーになり、部下が「不都合な結果」を報告しづらい状況を作り出してしまったということでしょうか。 逆に人事担当者の立場からすると、役員に自らの担当領域におけるミスと思われる報告をする事は気が重いかもしれませんが、人事・労務の領域では後からでは取り返しがつかないことも多く、仮に「不都合な結果」であっても、早い段階でリスクが起きそうな具体的状況、原因、対応策を共有できるよう日頃から関係部門や担当役員とのコミュニケーションをはかり、信頼関係をつくっておくことで適切な対応が可能になると思います。 セレブレイン社が行う人事・労務DDでは、規程や制度の整備と運用、時間外労働や36協定などデータで見える項目の確認だけでなく、目に見えにくい結果(インビジブル・ファクター)についても精査を行う場合が増えています。例えば、「制度や規程の現場における運用状況、経営方針の組織末端への浸透度合い、企業特有の社風や価値観、退職者の多い部門や職種とその理由、会社に対するコミットメントの度合、社内研修の具体的内容と効果、中間マネジメント層の力量など」です。 その理由は、株式公開や買収、統合は、それ自体が目的ではなく、その後の事業の発展と成長を見据えて行うものだからです。ところが、M&A後の組織人事統合がうまく進まず、事業のシナジー効果がなかなか生まれてこない企業が多いことも事実だからです。 組織と人がもつポテンシャルや活性度をうまく生かすことが、その後の企業の先行きを左右するだけに、今後ますます見えない結果を明確にする人事・労務DDのニーズが高まってくるといえます。
ワインの豆知識 2018年2月08日 赤坂のソムリエに訊く!今更聞けないワインの基本、赤・白・ロゼの違い ※上の画像の料理に合うワインはどんなワインだと思いますか? ソムリエからの回答はこの記事の一番最後に。最後までぜひご一読ください。 (画像はあじる亭 人気メニュー:シャルキュトリー盛り合わせです。) ワインには白ワイン、赤ワイン、ロゼワインがあるのは誰もが知っていること。しかし、その違いについて、ちゃんと理解している人は意外と少ないのでは? 今回はワイン初心者の方々向けに、各ワインの違いについてご紹介します。これを知っていれば飲み会などで知ったかぶりできること間違いなし?! [目次] 白ワイン、赤ワインの原材料と製法の違い ロゼワインとは? どんな料理に合うのか? まとめ 白ワイン、赤ワインの原材料と製法の違い 白ワインと赤ワインは原材料が異なります。白ワインは白ブドウから、赤ワインは黒ブドウ(赤ではなく黒です。皮の色で名称がついています)から作られます。 白ブドウの種類にシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなどがあります。(参考までにブラン=Blanc=白という意味です) 黒ブドウの種類にカベルネソーヴィニヨン、ピノノワールなどがあります。(参考までにノワール=Noir=黒という意味です) ここで紹介した4つのブドウの品種が世界各地で栽培されている有名なブドウです。ブドウの種類によっても味は変わりますが、これらのブドウの違いについては改めてご紹介します。 そして、原材料だけでなく製法も白ワインと赤ワインでは異なります。 白ワインはブドウから皮や種を除きジュースを絞りだし、その後発酵させていきます。一方で赤ワインはブドウの皮や種はそのままにしてジュースを絞りだし、発酵させていきます。種に含まれるタンニンが苦味をだし、皮から色素がでて赤い色になります。 このように原材料と製法の違いがワインの色と味の違いになっていきます。 ロゼワインとは? ではロゼワインとはどのようなワインでしょうか? 一言でいうと白ワインと赤ワインの原材料、製法を組み合わせたものになります。 その組み合わせからできるロゼワインは大きく4つのパターンになります。 1.原材料は赤ワインと同じ黒ブドウで、製法を白ワインと同じにする。※ロゼワインの一般的なパターンになります。 2.濃い赤ワインを作るために製造工程にて液体を抽出する。※血抜き、瀉血(しゃっけつ)、などとも言われます。その抽出されたものを発酵させワインにします(セニエ法と呼ばれる手法です)。 3.原材料を「白ブドウ+黒ブドウ」からワインをつくる。※混醸法と呼ばれドイツなどで生産されています。 4.出来上がった白ワインと赤ワイン足していく。※ブレンド法と呼ばれます(禁止地域もあり)。 どんな料理に合うのか? 一般的に魚=白ワイン、肉=赤ワインと覚えている人が多いかもしれません。もちろん、それでもOKです! ですが、ここではワンランク上のペアリングをご紹介します。 それは、単純に肉・魚と分けるのではなく、料理の色合いによってワインを合わせることです。 例えば、魚でも白身の魚と赤身の魚がありますが、白身の魚は白ワインと、赤身の魚は赤ワインと合わせることでワインの選択肢がぐっと増えます。 具体的には、 白ワイン=白身の魚、塩、鶏肉、白豚、クリームシチュー 赤ワイン=赤身の魚、醤油漬け、黒豚、ビーフシチュー などがお勧めです。 ロゼワインには、サーモンや光り物の魚など、ロゼの色調に合わせます。 まとめ これらを表にまとめると以下になります。 ※簡略的にお伝えする為の一般的な製法であり、例外的な事も多数ございますので、予めご了承ください。 ワイン 原材料 製造方法 合う料理 白ワイン 白ブドウ 種、皮を除き発酵 白い料理 赤ワイン 黒ブドウ 種、皮を含めて発酵 赤い料理 ロゼワイン 黒ブドウ 白ブドウ+黒ブドウ 軽く着色後、種、皮を除き発酵 セニエ法 混醸法 ブレンド法 サーモンや光り物など 最後に冒頭のクイズの回答です。 こちらのの料理に合うワインとは? ソムリエからの回答は、 「コクや旨みのある、ある程度色調のはっきりした白ワインがおすすめです。(ロゼもあり)」とのことでした。 ※もちろん嗜好品なので、重要なことは、美味しく楽しく食事していただく事は言うまでもありませんね♪ 聞き手:株式会社セレブール ゼネラルマネージャー 三沢 雄一 ソムリエに訊く
ワインで対談 2018年2月04日 人事評価にレーティングが不要である理由とマネージャーに求められる資質とは – エム・アイ・アソシエイツ松丘啓司さん × セレブレイン高橋敦子 × セレブレイン関伸恭【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第4回ゲストは、エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役社長・松丘 啓司さん。日本における人事の歴史から人事評価をめぐる問題に至るまで幅広くお話を伺いました。聞き手は、セレブレイン代表取締役副社長・高橋 敦子とパートナー HR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。(上記画像 エム・アイ・アソシエイツ松丘啓司さん(右)とセレブレイン関伸恭) 第4回ゲスト:松丘啓司さん略歴 1986年、東京大学法学部卒業後、アクセンチュアに入社。1992年にチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画後、一貫して人事・組織変革のコンサルティングに従事。ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任。2005年、人材・組織変革サービスを提供するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し代表取締役に就任。著書に『人事評価はもういらない 成果主義人事の限界』『ストーリーで学ぶ 営業の極意: 1時間でわかる成功のポイント』など多数。 マネージャーに必要なのは人の可能性を伸ばすピープルマネジメント 高橋:松丘さん、次のお料理をどうぞ。 ソムリエ:甘エビと白イカ、きゅうりと水なすのタルタル仕立てです。ココナッツを効かせたピリ辛のカレー風味に味付けしています。合わせるワインはオーストリアのリースリングです。ちょっと熟成した2010年の旨味がマリアージュすると思いますよ。 松丘:オーストリアもワインの歴史が古いですよね。リースリングというと、ワインエキスパートを取ったときにキューピー人形の香りが特徴だって覚えましたね。 高橋:私はニシンあぶらの香りだと教わりました。 関:へ~! おもしろいですね。 松丘:うん、このリースリングもすばらしいですね。フルーティーで酸味もしっかりしているけど、熟成しているからかまろやかで旨味もすごくあります。 高橋:喜んでいただけてよかった!さすがのコメントですね〜。 松丘:セレブールさんのお店は他にもありますよね。 高橋:はい。全部で5店舗です。コンセプトは違いますが、どの店舗とも、キッチンやサービスの人間も“全員ソムリエ”ですので、マリアージュにこだわっています。全店赤坂にあるので、スタッフ間の横の連携もバッチリです。 松丘:それはいいですね。組織は縦割りになりがちですから。 高橋:そうですね。弊社でもそういう組織課題のご相談はよく受けていますね。どうすれば縦割り組織を変えられるのか、と。 松丘:コミュニケーションですよね。最近、LINE退職やSNS退職といった言葉も聞くようになりました。 関:LINEで退職を告げるということですか? 松丘:ええ。 関:そういう事態に対して人事的にはどのようにアプローチしていけば良いのでしょうか。 松丘:逆に企業でも皆がSNSをどんどん使っていけばいいと思いますよ。SNSで密にコミュニケーションを取り合いながら、お互いに褒め合い、認め合うカルチャーを作っていくのです。 高橋:日々の積み重ねですよね。なかなか褒め合うコミュニケーションを根付かせるのは大変ですが。 関:先ほどレーティングしないというお話を聞かせていただきましたけど、そうなると上司と部下で会話する内容も変わってきそうですね。 松丘:そもそも今まではきちんと時間をとって部下と対話をしていないという企業も多いのではないでしょうか。業務上の会話はあっても、1on1での対話は半期に一度の面談だけ。それも形骸化している……なんてことも多いはずです。 関:マネージャーが部下ときちんと対話できていないわけですね。 松丘:そう。対話って単純に話をすればいいってわけではないですよね。相手を理解すること、仕事に対する考え方や大切にしていること、将来の夢などを理解した上で、部下と向き合い、適切にフィードバックするのが本当の対話なんです。 関:なるほど……。 高橋:松丘さんに相談に来られる企業は、どんな課題を抱えているケースが多いのですか? 松丘:評価制度や現場における上司と部下のコミュニケーションがうまくいっていなくて、でもどうすればいいかよくわからないというようなご相談が多いですね。 関:やはり、マネージャーに対する教育や発想の転換が必要なのでしょうか。 松丘:そうですね。マネージャーに必要なのは、人の可能性を伸ばしていくマネジメント、それをピープルマネジメントと呼びます。ただ、人のマネジメントは難しいですから、一度研修を受けたくらいでは上達しませんね。失敗を繰り返して、そこから学んでいかないと。 関:失敗したら怖くなってしまいますよね。 松丘:研修を受けて実践しての繰り返しですね。よく、うちのマネージャーにはそんなスキルがないから無理だと言われるのですが、そうではないのです。マネージャーの力量を高めるための研修ですから、はじめからスキルは高くなくても大丈夫です。研修を受けて実践しながら高まっていくものなのです。 働き方改革の実現には社員が自律的に働ける仕組みづくりが必要 高橋:いよいよメインディッシュですね。 ソムリエ:香鶏という烏骨鶏に代表される地鶏のもも肉を使い、皮をパリッと焼き上げました。そこにポルチーニ茸、そしてトリュフをたっぷりと削っています。合わせるワインはブルゴーニュのサントネー村の赤ワインを。1999年と熟成したものをご用意しました。 松丘:これはおいしい! 鶏はやはり皮が一番おいしいですね。熟成したブルゴーニュのキノコっぽい香りがまた、トリュフやポルチーニ茸ととても合っています。 高橋:ふふ。素敵な対談ですよね(笑)。 関:松丘さんは普段、どのようなお食事を? 松丘:実はもう20年以上、週に複数回は寿司を食べているんですよ。 関:20年ですか! 高橋:お寿司と決めている理由があるんですか? 松丘:単純に好きだからですね。といっても予約が取れないような有名店ではないですよ。仕事が終わって今から行きたいなと思いつくことが多いので、かなり前から予約しないと入れないような店はNGです。 高橋:お寿司だと合わせるお酒は……。 松丘:だいたい日本酒ですね。ただ、寿司屋でも握りは食べないんですよ。バーに行く感覚というか、飲みに行っているので。それに、注文もしないんです。自動的に出てくるお店がいいですね。余計なことを考えたくないんです。 関:そうなんですね。自動的に出てくるとなると松丘さんの好みを把握していないと難しいですね!お仕事が終わった後の寿司屋というお話が出てきたところで、働き方改革についてもぜひ伺いたいです。働き方改革は今トレンドで、残業時間の削減から在宅勤務、テレワークなどありますが、そのあたりの取り組みについてはどうお考えですか? 松丘:在宅勤務やテレワークのメインとなる考え方って、働く時間と場所を縛らないということですよね。だけど、一人ひとりがそれをコントロールするためには、自律的に働けないとそもそも成り立たないわけです。 関:全職種に適用するのは簡単ではないですし、難しい側面はありますよね。 松丘:先ほどの目標管理の話と同じなんです。全社目標が部門目標になり、チーム目標になって個人の目標になる。個人からすると、仕事というのは上から評価基準と一緒に下りてくるものになってしまうんですね。だから受け身になってしまう。自分はこれがやりたいんだとか、こういうことに貢献するんだとか、そういう自発的な部分がないと自律はありえません。 関:たしかに与えられた仕事ではなく、自分で目指す方向を決めて主体的に取り組む方が仕事のパフォーマンスは上がりますね。 松丘:結局、上から下りていくと縦割りになってしまうんです。そうすると、他の人がどのような目標を持って、どこに向かって仕事をしているのかわからなくなってしまう。この人は今、こんな目標の達成に向けてがんばっているんだなということがわかれば、縦割りの問題も解決します。このあたりはHRテクノロジーを活用することで解決できそうな気がしています。 高橋:たしかにテクノロジーでも解決に期待が持てそうですね。 松丘:弊社でリリースを予定しているパフォーマンスマネジメント支援アプリもそういった機能を持っています。一人ひとりの目標を公開して、上司のこともわかるし、コメントもできます。 関:モバイルですか? 松丘:モバイルですね。でないとノリが重くなるんですよ。拝啓ますます……みたいに(笑)。もっと軽いタッチじゃないと。 関:PC版も? 松丘:もちろんです。PCでしかできないこともありますからね。これがあれば、どのチームがコミュニケーション活発だとか、どことどこがコミュニケーションできているかといったことまでわかるんですよ。 高橋:楽しみなアプリですね!リリースを楽しみにしています。本日はありがとうございました。 エム・アイ・アソシエイツ株式会社より2018年2月1日にリリースされた日本初のパフォーマンスマネジメント支援アプリ『1on1navi』についてはこちらのURLをご覧ください。 https://1on1navi.com/ 今回のお店 セレブール 2001年オープン。赤坂の隠れ家的ワインレストラン&バー。シェフを始め、スタッフは全員がソムリエの資格を持っており、フランスを中心とした銘醸ワインが約400種類そろっています。フレンチをベースにした創作料理とのマリアージュをお楽しみください。 <本日のワインと料理> 本日お楽しみいただいたワインと料理、そのマリアージュについてご紹介します。 甘エビと白イカ、夏野菜のタルタル グリーンカレー風味 甘エビ、白いか、きゅうり、水なすといったバラエティに富んだ食材をタルタル仕立てに。ねっとりとした食感と少しピリ辛な味付けのコントラストが楽しめる一皿。添えられたパクチーの香りが良いアクセントになっています。 プラーガー・リースリング・ヴァッフストゥム・ボーデンシュタイン・スマラクト2010 オーストリア、ドナウ川沿いのヴァッハウの白ワイン。リースリングらしい酸味を持ちながらも、7年熟成を経たことでかなりまろやかになっています。桃や杏のようなフルーティーな香りと、からみつくような旨味が特徴です。 蔵王香鶏 もも肉のロースト 茸のヴァンジョーヌソース 蔵王の地鶏のもも肉をローストし、ポルチーニ茸のヴァンジョーヌソースをたっぷりと。ヴァンジョーヌとはフランス・ジュラ地方の黄ワインのこと。ジュラの郷土料理に、さらにサマートリュフを添えたスペシャルな一皿です。 サントネー 1999 18年の熟成を経たブルゴーニュ・サントネー村の赤ワイン。まだまだ果実味も残しつつ、キノコや土といった熟成による香りが立ち上り、すばらしい複雑味を備えています。まさに今が飲み頃のピーク。 取材を終えて ライター・カメラマンの山田井です。今回のゲストはエム・アイ・アソシエイツの松丘社長。著書『人事評価はもういらない 成果主義人事の限界』で語られているレーティングの問題点をわかりやすく解説していただくことができました。 また、ワインエキスパートの資格もお持ちということで、ワインについても会話に花が咲いていたようです。 セレブールのお料理とワインはさすがという他なく、まさに完璧としかいいようのないマリアージュでした。シャンパーニュから始まり、オーストリアの白、熟成したブルゴーニュの赤という流れは、ワインの奥深さ、世界の広さを感じられる流れだったと思います。 やはり特に感動したのはサントネーの1999年。熟成を経た状態の良いワインだけが放つうっとりとするような芳香は、まさにフィネスという言葉がふさわしい高貴さが感じられました。こうしたワインを完璧な状態とサーブで味わえるわけですから、なるほど、セレブールが長年ワインラヴァーから愛される理由もよくわかるというものです。
コラム 2018年1月11日 HR Techサービスが組織・人事そして経営にもたらす変革 HR Techのサービスは多岐にわたり、採用やタレントマネジメントをはじめ、人事評価、給与計算、勤怠管理、ラーニングマネジメント等さまざまな領域のサービスが提供されています。前回のコラムで紹介した”HR Technology Conference & Exposition”のような大規模イベントが世界各地で開催されており、その規模も年々大きくなっています。国内でもテクノロジーを活用した新しいサービスが増えており今後の組織・人事のあり方について避けては通れないテーマとなってきました。 そこで今回は、HR Techサービスが組織・人事にもたらす変革についてご紹介します。 1.人事データの一元化・分析 2.オペレーション業務効率化 3.組織活性化