人事施策 2020年5月20日 採用のミスマッチを防げ! 現場が欲しい人材を的確に採用するために出来ること 現場で活躍できる人材の獲得は、人事採用における代表的な課題です。採用した人材が現場で活躍できなければ、真の意味で「採用活動が成功した」とはいえません。 企業は、採用活動の段階で「人材」を的確に見極めるために、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。今回は、採用のミスマッチを防ぐための3つのポイントを解説します。 [目次] 活躍する人材の共通点 採用のミスマッチを防ぐ3つのポイント 的確な人材の採用にはヘッドハンティングが向いている まとめ 活躍する人材の共通点 採用後に活躍できる人材には、いくつかの共通点があります。次に挙げるポイントは、その主だった例です。 ・業務遂行に必要な能力と経験を有している 配属先で成果を上げられる人材は、そこでの業務を円滑に進められるだけの知識やスキルを有しています。即戦力となる人材は、入社した時点でそれらを獲得しており、かつ業務遂行上の類似した職務経験のある人物、ということになります。この観点は、入社早々に活躍が期待される中途社員の採用時に必須です。 ・自身が働く企業や組織についての理解を深めようと努力している 求められる能力を有していても、固有の企業文化や組織風土に馴染めない人物は、その力を発揮できない可能性があります。活躍する人材は、そうした文化や風土の理解を深めようと取り組む意識を持っています。 ・自身の能力開発に継続的に取り組んでいる 現時点で活躍するために必要な能力も、中長期的に見て変わらずにそうであるとは限りません。継続的な活躍には、現場を取り巻く環境の変化を見越した知識の更新やスキルの向上が不可欠です。現場で活躍できる人材は、そうした能力開発に貪欲な姿勢で取り組んでいます。 採用のミスマッチを防ぐ3つのポイント 採用のミスマッチを防ぐためには、経営陣や現場責任者と共に採用活動に取り組むことが大切です。 ・「必要な能力」を採用担当者と現場責任者との間で確認する 採用担当者は、求める「能力」を定義する際に、人材採用後の配置を予定している現場の責任者と、その認識をすり合わせる必要があります。現場の見解を把握することは、ミスマッチを防止するために望ましい取り組みでしょう。なぜなら現場責任者は、業務の遂行に有効な知識、スキル、経験を最も理解しているはずだからです。 ・「相応しい価値観」を経営陣や部門長に確認する 採用担当者は、企業文化や組織風土を支える固有の価値観について、経営陣や部門長の確認を取りましょう。なぜならそこで語られる内容は、現在の理念やビジョン、経営戦略が色濃く反映されたものになるからです。そうして価値観を言語化することで、採用担当者のなかでもその理解が深まります。 ・「求める人物像」を的確に表現する 自社で働く上で「必要な能力」と「相応しい価値観」、つまりはそれに基づく「求める人物像」を的確に表現することで、マッチングの精度は高まります。 的確な人材の採用にはヘッドハンティングが向いている 現場が欲しい人材は、即戦力になることが重要です。しかし、自社が求める人材を採用するのはとても難しい現実があります。企業における実際の採用では、オープンにできないポジションの採用、スピーディーな採用が求められるケース、新規事業への進出を経営戦略としてとっていく場合などがあり、人事担当者の解決策としてヘッドハンティングが適しています。 ヘッドハンティングとは? ヘッドハンティングとは、経営幹部、高度専門職、次世代リーダー候補など自社の経営課題と直結したポジションへの適材を社外からスカウトして自社に採用することを指します。 ヘッドハンティングが有効な採用とは? オープンにできないポジションの採用やスピーディーな採用が求められるケース、新規事業への進出を経営戦略としてとっていく場合には、ヘッドハンティングが有効です。 まとめ 採用のミスマッチを防ぐためには、現場での目標達成に貢献できる人物像を定めることが第一歩となります。その際、業務の遂行に必要な知識やスキル、つまりは「能力」を整理することは、もちろん大切です。ですが、企業内に深く根付いている文化や風土といった「価値観」にフォーカスした人材要件の棚卸も、非常に重要です。3つのポイントを押さえることで、現場で活躍できる人材を獲得できる採用活動につなげていきましょう。 ヘッドハンティング ミスマッチ防止 中途採用 採用 活躍人材
HRTech 2020年5月12日 テレワーク制度導入で働き方改革を成功させる! 導入時に気を付けるべき4つのポイントとは? 働き方改革を推進するため、政府が積極的に導入を呼びかけている「テレワーク」。近年のIT技術と通信機器の目覚ましい発展は、在宅でのより高度な業務遂行を可能にしました。 そして、新型コロナウイルスの影響を受けて、その導入には更なる期待が寄せられています。企業は、テレワークを導入する環境の整備を強く求められています。今回はテレワークの導入にあたって、企業が気をつけなければいけない4つのポイントを解説します。 [目次] テレワークが可能にする「従業員の働き方」 テレワーク採用による「経営課題の解決」 テレワーク導入で気をつけなければならない4つのポイント 「テレワーク導入」というCSR テレワークが可能にする「従業員の働き方」 企業はテレワークの導入によって、時間や場所にとらわれない働き方を従業員に提供できます。その「働き方」とは、次の3つです。 ●外勤型テレワーカー 勤務先以外での仕事が中心で、ノートパソコンやスマートフォンを駆使して社外で書類作成やメール対応などを行います。セールスパーソンをはじめとした外勤型の従業員が該当します。 ●内勤型テレワーカー あらかじめ決められた就業場所だけでなく、適切な場所と時間を選んで業務を行えます。企画、人事、総務といった内勤型の従業員に適しています。 ●通勤困難型テレワーカー 何らかの事情によって通勤が困難であるため、在宅勤務を中心として仕事を進めます。育児や介護などを必要としている従業員に適しています。 テレワークによってこうした働き方を実現することで、企業は次のような経営課題の解決も見込めます。 テレワーク採用による「経営課題の解決」 テレワークの採用によって以下の経営課題の解決が期待されます。 ●生産性の向上 時間と場所にとらわれないテレワークは社員の生産性を向上させます。テレワークであれば勤務可能な遠隔地の優秀な人材の確保や、社員に合わせた働き方が可能となることで、離職防止にもつながります。 近年日本を襲った地震や台風などの自然災害や、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックなど、予期せぬ出来事が発生した時にも、企業が事業継続性の確保(BCP)をするためにもテレワークの採用は有効な解決策になります。 さらに、企業利益を左右するコスト削減として、ペーパーレスや、社員の移動にともなう交通費削減の効果も期待できます。 ●ワークライフバランスの実現 政府が推進する働き方改革の中でも、社員の働き方に対するニーズに応える対応策として、テレワークの導入が奨励されているように、テレワークは、仕事と育児・介護・病気の治療など、ライフイベントの中で発生するさまざまな出来事に対応した、多様で柔軟な働き方ができるライフワークバランスがとれた職場環境を実現します。 ●生産年齢人口の減少による人手不足の解消 日本企業を取り巻く社会環境の変化の中で、大きな課題となっているのが、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による人手不足です。テレワーク導入によって、多様な人材を確保できるようになり、人手不足の解消につながります。 テレワーク導入で気をつけなければならない4つのポイント テレワークを導入する際には次の4つのポイントに気をつけなければなりません。 (1)導入プロセスを把握し、理解する テレワークの導入プロセスは、次の8つのプロセスで進めていきます。各プロセスをしっかりと把握して進めていきましょう。 ・導入目的の明確化 ・対象範囲の決定 ・現状把握 ・導入計画の策定 ・実施環境の整備 ・研修等説明会の開催 ・テレワークの試行・実施の開始 ・テレワーク推進のための評価と改善 (2)導入に向けた推進体制を整える テレワークの導入にあたっては、推進に必要な体制を整えなければなりません。推進のリーダーシップは、企業経営者がとり、明確な意思表示を発信することが重要です。さらに、実務運営に必要な、経営企画、人事、総務、システム部門、テレワーク導入予定部門などの担当者を決め、プロジェクトチームを組成し推進していく必要があります。 (3)セキュリティ対策を施す テレワークの導入にあたっては、人為的な面と、技術的な面で、情報セキュリティ対策をたてなければなりません。総務省が策定し公開している「テレワークセキュリティーガイドライン」を参考にするとよいでしょう。 (4)ICT環境を整備する テレワーク導入にあたっては、テレワーク用のICT環境を構築する必要になりますので、現状のシステム確認やテレワーク導入に向けてのICT環境整備が必要です。 「テレワーク導入」というCSR テレワークの導入は、多くの人にとって「働き方改革の一環」と認識されていました。それは、「労働力の確保」「生産性の向上」「ワークライフバランスの実現」などの経営課題の解決を目的としていたからです。ですが新型コロナウイルスの出現は、予期せぬ事態への対応策として、テレワークの新たな必要性を浮き彫りにしました。更なる移動の制限とその継続を求められる可能性が高まるなか、企業は「経済活動を継続させる」という社会的責任を果たすべく、テレワークを導入しなければなりません。 テレワーク 働き方改革 成長する組織
HRTech 2020年4月03日 新しい社員の早期戦力化!『オンボーディング』の勧め 日本ではまだまだ馴染みが薄く、あまり導入されていない「オンボーディング」。一方で、欧米では既に当たり前のように様々な企業に導入されています。 今回はそんな「オンボーディング」についてご紹介します。 [目次] オンボーディングとは? 具体的なツール まとめ オンボーディングとは? オンボーディングとは、企業が新しい社員を迎え入れる際に、「Day 1 Readiness デイワンレディネス(=組織の一員として入社1日目から最大のパフォーマンスを発揮できるようにすること)」を意図した「内定から入社後までの一連の受け入れ・定着プロセス」のことを指します。 例えば、新たに採用した社員がすぐに退職してしまったり、入社後なかなか配属先で活躍できないなど、そんな課題をお持ちの人事担当者の方は、オンボーディングの仕組みを構築することで、新しく迎い入れた社員の離職率の改善や早期活躍を促進することができます。 これから入社する人材に対して、伝えなくてはならない情報は意外と数多く存在します。 例えば、契約関連、人事関連、IT関連、などの手続き業務の他にも、企業が大切にしている価値観や方針の伝達、所属チームやメンバーの紹介、業務に必要な知識、オフィス周辺のランチ事情などを事前に共有することで、企業のことをより深く理解できるとともに、入社前から働くイメージを持ってもらうことができます。新しく入社する社員を歓迎し、迎い入れるための準備をしっかりと行うことで、所属する組織へ慣れ親しんでいくことやスムーズに立ち上がっていくことにつながります。 企業により必要となるプログラムは変わるかもしれませんが、小さなつまづきを防ぎ、より前向きな気持で仕事に取り組むために継続的な支援を行うことは、組織の生産性と社員のエンゲージメントを高めることにつながるのではないでしょうか。新しく入社する社員の最初の従業員体験がオンボーディングとなるのですから。 具体的なツール 日本では、入社後に集中してオリエンテーションや研修を行うケースが多いですが、新卒一括採用がなく、毎月のように新たな社員を受け入れている欧米企業では、オンボーディングプロセスを通じて個々の社員の受け入れを行っています。そのため、欧米ではプロセス管理を効率化すべくこの分野におけるツールが数多くリリースされています。 HROnboard https://hronboard.me/ 2002年設立のオーストラリア メルボルンの会社が提供しているツールです。もともとは人事コンサルティングの会社でしたが、サービス提供するうえで使いやすいツールがなかったことから自ら開発し2013年にリリースされました。2016年に100社の企業に導入され、政府やNPO、金融、病院、小売、人材など幅広い業界で利用されています。 Click boarding https://www.clickboarding.com/ 2013年設立のアメリカ ミネアポリスの会社が提供しているツールです。HRに関連する様々なツール(人事情報システム、採用管理システム、給与計算システムなど)との連携が可能です。 オンボーディングのツールは、内定時から入社後の一定期間まで継続したコミュニケーションが行われることや配属される組織やポジションなど、対象者に応じて個々にパーソナライズされていること、人事部門だけではなく現場の組織も関わることなどが特長です。毎月のように社員が入社する企業では、ペーパーレス化や自動化による業務効率化の恩恵も受けられます。内定時に必要となる標準的なタスクやフォームをテンプレート化したり、ダッシュボードや各種レポートでタスクの進捗状況を把握することで、タイムリーなフォローも可能となります。 また、これらのツールは内定時のプロセス管理に利用されるだけでなく、M&Aでの会社統合の際のタスク管理や各種ライフイベント(退職/異動/産休・育休など)のタスク管理にも活用されています。 日本でも労務管理を行うクラウドサービスが普及してきていますが、「オンボーディング」まで行うサービスはまだまだ普及していません。グローバルに事業を展開している企業では利用しているケースもでてきていますので、今後のHRテックのトレンドとして日本の企業でも導入が進んでいくのではないかと思われます。 まとめ 「オンボーディング」のツールについて導入メリットを整理すると 人事担当者のメリット:業務効率化、早期戦力化 内定者のメリット:モチベーションの向上 になります。 入社が決まった内定者の立場に立つと、入社するまでは不安と期待が入り交じった状態にいます。入社日まで特にフォローもなく、放置されていたりすると会社への不信感、モチベーションの低下にも結びつきかねません。一方で、新入社員に対して戦略的にフォローを行うことで入社後のモチベーションやパフォーマンスを最大に上げることができます。 属人的に管理し対応するのではなく、システム導入などを通じたプロセスの標準化や、内定者と迎え入れる企業の双方にとってどのようなコミュニケーションをとることがDay 1 Readinessにつながるのかをしっかりと事前に検討することで、戦略的な「オンボーディング」が実現されます。数年前と比較し、転職者が増えてきている昨今、採用にも多大なコストが発生しています。人材が不足しているとのニュースが多い中、新たに入社する人材の活躍は誰もが望むことです。今後の日本でも「オンボーディング」への理解が浸透し、構築していく企業は増えてくるのではないでしょうか。
ワインの豆知識 2020年3月20日 赤坂のソムリエが勧める修行時代に出会った思い入れのあるカリフォルニアワインとは? 思い入れのあるお気に入りのワイン。決して有名ではなくても、個人にとっては特別な意味をもつワイン。ワイン好きの方ならきっとそんな1本があるのではないでしょうか? 今回は赤坂のソムリエにとって、修行時代に出会い、その美味しさに衝撃を覚えた思い入れのあるワインを紹介してくれました。 アメリカ カリフォルニアワイン TRUCHARD トュルシャード その出会いは数年前。まだソムリエがワインについての知識も少なく、実務をしながら勉強中だった頃。当時勤めていた店舗のグループ店の店長がソムリエに紹介してくれたのがきっかけでした。それは、バックヴィンテージという古い部類に属するカリフォルニアワインでした。(※通常、カリフォルニアのワインはヨーロッパと違い、早飲み文化が強いため、バックヴィンテージのカリフォルニアワインはお目にかかることは滅多にありません。そんな物珍しさも記憶に残っているひとつかもしれません。) 一口のみ、その美味しさに感動を覚えたことを今でも覚えているそうです。 しかし、その後インポーターの都合なのか、ワイナリーの都合なのか、日本への輸入が止まり、そのワインを日本で目にすることがなくなりました。 当然、ソムリエのなかでもそのワインは記憶の片隅に追いやられ、業務をこなすなか、ワインの知識が増えると共に、数々の新しいワインとの出会いに明け暮れる日々になりました。 しかし、数年経ち、とある大きな試飲会で偶然あの時のワインに出会うことができました。瓶のラベルも昔と変わらず、味わいも当時のまま。 「当時の記憶が一気に蘇り、感動と共に、取引をすぐ開始しました。とても嬉しかったことを今でも覚えています。」 そのワインが「TRUCHARD トュルシャード」です。 TRUCHARD トュルシャード: カリフォルニア ナパバレーのワイナリーで製造されているワイン。ぶどう農家が製造するワインで、ぶどうの品質に拘りを感じるワインです。そのぶどうの品質は非常に高く、ナパバレーの有名ワイナリーもこちらから仕入れているそうです。 通常カリフォルニアワインは樽(カフェ・モカ)の雰囲気が強いワインが多いのですが、こちらのワインは食事と楽しむことを意図して作られているため、ワインとしてバランスが良い仕上がりになっています。 価格もナパバレーのワインの割にはリーズナブルで、コストパーフォーマンスの高いワインの1つでもあります。 「まだ駆け出しの頃だったからなのか、本当にあの時はその味に感動しました。私にとってはソムリエを続けるうえでとても大切な思い入れのあるワインです。」 その後機会があり、ワイナリーの方が来日時にお会いすることができたとのこと。 (サイン入りのワイン) 「売ってもいいんですけどね。サインももらったお気に入りのワインなのでなかなか売る気になりません。まだ、現地の農園には行ったことがないのですが、どうしても訪れたい農園のひとつです」 ソムリエとの親睦を深め、思い出のワインを頼んでみるのもワインの楽しみ方のひとつかもしれないですね。 聞き手 赤坂あじる亭 店長/ソムリエ 小巻秀人 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ ワイン居酒屋 赤坂 あじる亭 公式HP:https://celebourg.com/agiletei/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei/ 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 <今回ご紹介したワイン> ・TRUCHARD (トルシャード) 10,000円 ※季節によりなくなる場合があります。ご了承ください。 ※グラスで飲みたい場合も対応可能です。ソムリエにご相談ください。 コスパの良いワイン ソムリエに訊く ワインの紹介
ワインの豆知識 2020年3月10日 【世界のワイン】ソムリエが勧めるこれから注目のワシントン・オレゴンのワインをご紹介 アメリカのワインといえばまっさきに思いつくのがカリフォルニア。アメリカのワインの実に90%以上の生産量を誇り、このサイトでも何度もご紹介しています。 しかし、アメリカのワインはカリフォルニアだけではありません。 これからのエリアとしてにわかに注目を浴びだしているのがワシントン・オレゴンです。今回はそんなワシントン・オレゴンのワインをご紹介します。 ワイン生産地としてのワシントン州・オレゴン州とは? ワシントン州・オレゴン州はアメリカの太平洋側、カナダとカリフォルニアの間にある州です。 ワシントン州のワイン生産エリアは内陸側の山のエリアにあります。海からの風が山で遮られるため、北側でもそこまで気温は低くなりません。しかし、年間を通して寒暖の差が大きく、それらがブドウの味にも影響を及ぼしています。味わいはフランスのボルドー地方と似ており、じっくりと熟したブドウからワインが作られることから、タンニンがあり濃いのが特徴です。品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーが中心になります。 一方、オレゴン州はワインに詳しい人ならすぐ思い浮かぶほどピノ・ノワールが有名です。海側にオレゴンのワイン生産エリアの90%があり、海風の影響による冷涼な気候から繊細で冷涼感のあるピノ・ノワールがつくられるのが特徴です。オレゴンはまだまだワイン業界の中では未開拓のエリアですが、そのワインに適した気候からワイン生産者のあいだでは密かに注目を浴びてきています。ウィラメット・ヴァレーと呼ばれるオレゴン州のワイン生産エリアには、ブルゴーニュのワイナリーやカリフォルニアの有名なワイナリーなども進出してきており、今後目の離せないエリアのひとつです。 ワシントン・オレゴンのワイン紹介 ワシントン:【赤ワイン】WHISPERING TREE ワシントンのワインの魅力はなんといっても、価格が安いことです。WHISPERING TREEもその品質と比べると、とてもお得なワインです。カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーがあり、どちらもワシントンのワインらしいタンニンと濃い味わいを楽しめます。 オレゴン:【白ワイン】PINOT GRIS (ピノ・グリ) ブドウ品種ピノ・グリの白ワインです。ドイツ出身のワイナリー Chateau Bianca が生産しています。ドイツは冷涼なエリアが多く、ワインも冷涼感を感じるワインが多いのですが、ドイツ出身のワイナリーがオレゴンを選択して進出してきていることに、オレゴンの冷涼な気候がいかにワイン作りに適しているのかということを物語っている気がします。 こちらのワインはVAN DUZER CORRIDOR (ヴァン ドゥー ザー コリドー 風の通り道)というエリアで作られています。VAN DUZER CORRIDOR はウィラメット・ヴァレーの中にあり、2018年にAVA(AMERIAN VITICULTURAL AREA アメリカ政府公認のブドウ栽培地域)に認定されたばかり。現在最も注目のエリアで作られているワインです。 キャンペーン実施中!! オレゴンワインボード・ワシントンワイン協会が実施している「By the Glass キャンペーン」にあじる亭アネッソは参加しています。それに伴い、スタンプラリーキャンペーンを2020年5月中旬まで実施していますので、この機会にぜひワシントン・オレゴンワインをお楽しみください! 聞き手 赤坂あじる亭Annesso 店長/ソムリエ 野村美紀子 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ 赤坂 あじる亭 Annesso 公式HP:https://celebourg.com/agiletei-annesso/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei.branche/ こだわり料理とソムリエが厳選したワインをバルスタイルでお楽しみ頂けます。 なるべく面白い国のワイン飲んでもらえるようにとソムリエが様々な国のワインを準備。現在、26カ国超えるワインを楽しむことができます。 ・WHISPERING TREE Glass 750円 Bottle 4,500円 ・PINOT GRIS (ピノ・グリ) Glass 1,000円 Bottle 6,500円 ※季節により、在庫や料金に変更がある場合があります。ご了承ください。 ソムリエに訊く ワインの紹介
ワインの豆知識 2020年2月21日 ソムリエもそのコスパに感動したアメリカ・フランスの赤ワインをご紹介【コスパの良いワインシリーズ】 ソムリエ自身も見つけると嬉しくなるコスパの良いワイン。好評頂いている本シリーズにて、今回はソムリエが試飲した時に驚きとともに感動すらしたアメリカとフランスの赤ワインをご紹介します。どちらも有名なオーナーが製造している本当に美味しいワインです。 【赤ワイン Adulation(アデュレーション)】 ブドウ品種ピノ・ノワール100%から作られるカリフォルニアの赤ワインです。なんと、以前コスパの良いワインとして紹介した「CA’ MOMI 」のオーナーが手掛けているワインとのこと。ワイン作りに妥協なく、製造されているため、味も保証されていること間違いなしです。 ピノ・ノワールはブドウがそもそも繊細で栽培が難しく管理工数がかかるため、ワインの価格も高くなる傾向があります。しかし、こちらのワインは価格もリーズナブルで、味わいもしっかりしているため、とてもお勧めとのことです。その味わいはまさにカリフォルニアワインという感じで、リッチでしっかりしておりタンニンが少なくワイン初心者でも楽しめる味わいになっています。 合わせる料理としては、バターが効いたきのこのクリームソース系やブラウンソース系のポークソテーがお勧めです。牛肉だと少し味が強すぎてワインの味も消してしまうので、豚肉がお勧めとのことでした。 【赤ワイン】COTES DU RHONE VILLAGE ROUGE PLAN DE DIEU(コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ルージュ・プラン・ド・デュー) 南フランスに位置するローヌ地方の赤ワインです。ブドウ品種はローヌ地方では有名なグルナッシュとシラーのブレンドから作られています。 こちらのワインはFERRATON PERE & FILS ワイナリーでつくられています。ローヌで一番有名といっても過言ではないワイナリーM・シャプティエ(点字のワインとしても有名なワイナリー 参考記事:【ワインの紹介】点字がラベルに施されたワイン M・シャプティエ 〜視覚に障害を持つ方々を含めたすべてのワイン愛好家へ〜)のオーナーが、「大きくなり過ぎたワイナリーでは自分の思いを伝えるワインが作りづらい!」と、自分の好きなワインを作るために別ブランドとして立ち上げたのがこちらのワイナリーです。 その味わいはさすがのクオリティ。濃厚でスパイシーな風味が特徴で、赤ワインらしく牛肉の料理にピッタリのワインです。 日々沢山のワインをみているソムリエが勧めるこれらのワイン。ソムリエからは「今回の2本は抜群にコスパがいい」とのコメントをもらっています。 「同金額のワインがなくなり、新しいワインを探していたところ、こちらのワインに出会いました。試飲した結果、味わいに感動して即仕入れを決意したのですが、お店でも飛ぶように売れています。」 みなさまも、ぜひお試しください! 聞き手 赤坂あじる亭 店長/ソムリエ 小巻秀人 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ ワイン居酒屋 赤坂 あじる亭 公式HP:https://celebourg.com/agiletei/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei/ 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 <今回ご紹介したワイン> ・Adulation(アデュレーション) 5,500円 ・COTES DU RHONE VILLAGE ROUGE PLAN DE DIEU(コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ルージュ・プラン・ド・デュー) 5,500円 ※季節によりなくなる場合があります。ご了承ください。 ※グラスで飲みたい場合も対応可能です。ソムリエにご相談ください。 コスパの良いワイン ソムリエに訊く ワインの紹介
ワインの豆知識 2020年2月11日 【世界のワイン】冬に飲みたい!アルプスに囲まれたスイスのワインをご紹介(バレンタインの贈り物にも使えるワイン!) アルプスに囲まれた美しい国スイス。中央ヨーロッパに位置する自然の多いこの国でもワインは親しまれています。 2013年の世界ソムリエコンクールでスイスのソムリエが優勝したこともあり、スイスのワインは徐々に注目され始めてきました。しかし、国内消費が90%という事情もあり、輸入量も多くはないため、日本人にはまだまだ馴染みがないというのが現状です。しかし、寒い気候で作られるスイスのワインは冬にピッタリとのこと。そんなスイスのワインを今回ソムリエが紹介してくれました。 【白ワイン】ファンダン レゼルヴ・デ・ザドミニストラテュー ワインの名称にも含まれているFENDANT(ファンダン)はスイスのヴァレ地方で作られる白ワインの総称のことをいいます。 ブドウ品種はシャスラ。白ワインでも重くてコクがある感じが特徴のワインです。 コクがある白ワインといえば樽が効いているシャルドネを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「シャルドネ以外でコクのある白ワインはないの?」とお客様より要望を頂くと、ソムリエはよくこちらのワインをお勧めしているとのことです。 外観もおしゃれで、キャップやエチケットにハートのマークが記されているのも特徴です。 【白ワイン】 パネケス もうひとつ、スイスのワインではないのですが、スイスの国境付近フランスのジュラ地方のワインをご紹介します。 ブドウ品種サヴァニャンから作られる白ワインです。ヴァン・ジョーヌと呼ばれる黄色いワインで、製造行程において産膜酵母と呼ばれる皮膜が形成される酸化熟成方法で作られます。シェリーのような雰囲気が特徴的なこのワイン。通常のワインと比較するととても癖のあるワインとのことで、好きな人と嫌いな人で大きく分かれるそうです。 寒いエリア独特のワインとしても知られており、熟成されたコンテチーズやラクレットチーズとの相性がとても良いとのこと。食後やバー利用で飲むのに適したワインとのことでした。 今回はスイスとスイス国境近くのフランスのワインを紹介しました。 ハートのマークが可愛らしい「ファンダン レゼルヴ・デ・ザドミニストラテュー」はバレンタインの贈り物としても使えそうなワインです。チョコレートにも少し飽きてきていましたらば、今年のバレンタインにはワインとチーズなんかを贈ってみても面白いかもしれないですよ。 聞き手 赤坂あじる亭Annesso 店長/ソムリエ 野村美紀子 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ 赤坂 あじる亭 Annesso 公式HP:https://celebourg.com/agiletei-annesso/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei.branche/ こだわり料理とソムリエが厳選したワインをバルスタイルでお楽しみ頂けます。 なるべく面白い国のワイン飲んでもらえるようにとソムリエが様々な国のワインを準備。現在、26カ国超えるワインを楽しむことができます。 ・ファンダン レゼルヴ・デ・ザドミニストラテュー Glass 1,200円 Bottle 7,500円 ・パネケス Glass 1,200円(※ハーフグラス 600円もご用意可能です) ※季節により、在庫や料金に変更がある場合があります。ご了承ください。 ソムリエに訊く ワインの紹介
ワインの豆知識 2020年1月24日 カリフォルニアワイン好きなら誰でも知っている!歴史ある有名なカリフォルニアワインをご紹介! オーパスワン、ナパ・バレー、ロバート・モンダヴィ・・・カリフォルニアワインを語るうえで忘れてはならないキーワードがいくつかありますが、今回は歴史もあり、カリフォルニアワイン好きなら誰でも知っている有名なワインをソムリエが紹介してくれました。 【白ワイン】 FROG’S LEAP(フロッグス・リープ) ワインの歴史における「パリスの審判」という事件をご存知でしょうか?アメリカ独立200年を祝う1976年に、フランスとアメリカのワインを比較するという企画のイベントがありました。そこで、当時権威のあるフランスのワインに対してアメリカワインがブランドテイスティングで勝利するという大きな事件がありました。この事件をきっかけに「フランス以外でも優れたワインを作ることができる」ということになり、ワイン業界は世界的な競争に突入していきます。 そのとき優勝したアメリカワイン「スタッグス・リープ」を文字ってつくられたのが、こちらの「FROG’S LEAP(フロッグス・リープ)」。農薬を極力使わず、有機農法にこだわる中では大規模で有名なワイナリーです。爽やかな酸が特徴のこちらの白ワインは夏場に特にお勧めのワインです。 【赤ワイン】 TURLEY(ターリー) FROG’S LEAPのワイナリーの創業メンバーのひとりが創設したワイナリーで作られるワインです。ワインの方向性の違いから新たに自分で創設したということもあり、その味わいはFROG’S LEAPとは真逆で濃厚な味わいが特徴になっています。こちらのブドウ品種はジンファンデルから作られていますが、「ジンファンデルならTURELY」と言い切る人もいるくらい、ファンも多いワインです。 畑をカリフォルニア全域に持っているこちらのワイナリーは様々な種類のワインを製造しているのも一つの特徴です。しかし、1種類あたりの生産量は少なく、希少性も高いワインです。 BV(Beaulieu Vvineyard ボーリュー・ヴィンヤード) 創業1900年、100年を超える由緒正しき、歴史あるワイナリー「ボーリュー・ヴィンヤード」。なんと、1920年から1933年13年間の禁酒法時代にもカリフォルニアでワイン製造を許された数少ないワイナリーの1つです。 禁酒法撤廃後、ワインメイキングを行ったのは、現在まで続くBVの礎をつくったアンドレ・チェリチェフ氏。アンドレ・チェリチェフ氏は知る人ぞ知る著名な栽培家・醸造家。カリフォルニアワインの父とも呼ばれるロバート・モンダヴィ氏にとっても師匠のような存在とのことです。 その味わいは、濃い中にもまろやかさを感じる味わいに仕上がっています。ここ数年は日本への輸入量が少なかったそうで、最近のワイン好きの方は知らない人もいるかもしれないですが、往年のワイン好きにはファンの方が多いワインです。 今回ご紹介したワインはカリフォルニアワイン愛好家の間では有名なワインです。ワインリストからこちらを頼んでいる人はきっとカリフォルニアワインが好きな方。そんな方々と会話が弾むこと間違いなしのこれらのワインは知っておいて損はありません。ぜひ機会がありましたらば、お試しくださいませ。 聞き手 赤坂あじる亭 店長/ソムリエ 小巻秀人 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ ワイン居酒屋 赤坂 あじる亭 公式HP:https://celebourg.com/agiletei/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei/ 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 <今回ご紹介したワイン> ・FROG’S LEAP(フロッグス・リープ)8,500円 ・TURLEY(ターリー)9,500円 ・BV(Beaulieu Vvineyard ボーリュー・ヴィンヤード)12,000円 ※季節によりなくなる場合があります。ご了承ください。 ※グラスで飲みたい場合も対応可能です。ソムリエにご相談ください。 ソムリエに訊く ワインの紹介
ワインの豆知識 2020年1月19日 【世界のワイン】和食との相性抜群!オーストリアのワインをご紹介 オーストリアは中央ヨーロッパに位置する人口約900万人のドイツ語圏の国です。冷涼な地域で気候の特性がワインにも現れており、冷涼感を感じ爽やかで透明感のあるワインが多くなっています。そんなオーストリアワイン、実は和食との相性がいいとのこと。今回は赤坂のソムリエが厳選した3つのオーストリアワインを紹介してくれました。 【白ワイン】 TONI ブドウ品種グリューナー・ヴェルトリーナーから作られる白ワインです。しゃきっと切れがあり酸がシャープで辛口、スッキリとした白ワインが飲みたいときにはもってこいのワインです。辛口の日本酒のような感覚で楽しめるワインなので、おせちやお刺身とも相性がいい白ワインです。 グリューナー・ヴェルトリーナーは、日本食とも合うオーストリアの土着品種、覚えておいて損はないブドウ品種です。 【赤ワイン】ブラウフレンキッシュ ブドウ品種ブラウフレンキッシュから作られる赤ワインです。オーストリアのワインらしく、タンニンが豊富に感じやすいにも関わらず、スッキリとした冷涼感が特徴のワインです。 冷涼な地域のブドウは過熟しにくいため、糖度がそこまで高くならないため、さっぱりした味わいになります。冷やし気味で飲むと美味しく楽しめ、こちらのワインはおせちや黒豆などのお正月料理にもピッタリのワインです。また、やさしいスパイスの香りもするため、旨味系のスパイス料理とも相性抜群です。 【赤ワイン】 ハインリッヒ 複数のブドウ品種ブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルト、ザンクトローレントから作られる赤ワインです。全て北のエリアの黒ブドウ品種で、絶妙にブレンドされており、オーストリアワインの冷涼感と共に複雑な味わいが楽しめるワインです。複雑な味わいは、複数食材の料理にぴったりで、お正月にはお煮しめなどの和食にもぴったりのワインです。 最後にちょっとしたオーストリアワインのTipsを。 オーストリアワインは国旗と同じマークがワインの上部キャップシールに記載されています。 厳正な審査管理を通過しないとこちらのマークを記載することはできず、複雑で厳しい品質管理がされている証拠でもあります。ドイツ語なのでドイツワインとも混同されやすい部分がありますが、こちらのマークがあるかないかで見分けることができます。 冒頭でも紹介しましたが、オーストリアのワインはスッキリとした冷涼感が特徴です。「正月疲れした肝臓にも優しく、和食にもよく合うオーストリアワインは日本のレストランでも重要視され、今後より一層人気になっていくのではないか」とのことでした。 オーストリアワイン、今後注目ですね! 聞き手 赤坂あじる亭Annesso 店長/ソムリエ 野村美紀子 \本日紹介したワインはこちらのお店で飲めます/ 赤坂 あじる亭 Annesso 公式HP:https://celebourg.com/agiletei-annesso/ facebook:https://www.facebook.com/ajirutei.branche/ こだわり料理とソムリエが厳選したワインをバルスタイルでお楽しみ頂けます。 なるべく面白い国のワイン飲んでもらえるようにとソムリエが様々な国のワインを準備。現在、26カ国超えるワインを楽しむことができます。 ・TONI Glass 900円 Bottle 5,400円 ・ブラウフレンキッシュ Glass 950円 Bottle 5,700円 ・ハインリッヒ Glass 1,000円 Bottle 6,000円 ※季節により、在庫や料金に変更がある場合があります。ご了承ください。 ソムリエに訊く ワインの紹介
ワインで対談 2020年1月14日 HRテクノロジーを活用するために求められる日本企業の取組みとは – ウイングアーク1st民岡良さん × セレブレイン 関 伸恭【後編】 セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第12回ゲストは、ウイングアーク1st株式会社 営業・カスタマーサクセス本部 人事ソリューション・エヴァンジェリストの民岡良さん。HRテクノロジーの最先端のトレンドや活用をすすめる上で求められる企業の取組みについて伺います。聞き手はセレブレイン パートナーHR Techコンサルティング事業担当・関 伸恭が務めます。 第12回ゲスト:民岡 良さん略歴 ウイングアーク1st株式会社 人事ソリューション・エヴァンジェリスト。日本オラクル、SAPジャパン、日本IBMを経て2018年10月より現職。HRテクノロジー・コンソーシアムの理事、および日本CHRO協会のアドバイザーも務める。著書に『HRテクノロジーで人事が変わる』(2018年 労務行政、共著)がある。 広範囲な仕事を請け負うジェネラリストにこそジョブ定義が必要 関:SAPジャパンを離れた後は、日本IBMに入社されましたよね。 民岡:2016年でしたね。日本IBMに入社したことは自分のキャリアとしても大きな意味がありました。日本IBMはどの世代にも知名度が高く、信頼されています。私もIBMの冠があったおかげで、多くのキャリアを積むことができました。 関:2016年というと、ちょうどWatsonなどが発売され、AIに関する取組みが盛り上がりはじめてきた頃ですね。 民岡:そうですね。ただ、強調しておきたいことがあります。確かに日本IBMではAIを活用した変革をいち早く推進してはいましたが、AIなどのテクノロジーの導入を単に行うだけではなく、その下支えもしっかり行っていたのがIBMの価値だったと思います。 関:下支えというと? 民岡:たとえば私が日本企業に対して啓蒙しているジョブ定義やスキル・コンピテンシー定義をどういう粒度で行うのか、HRテクノロジーの活用のためにはそれらの定義が必要不可欠であり、どのような部分で活用していくべきか。そういう考え方の部分もIBMではしっかりと研究されていました。 関:たしかにIBMは技術力もありますが、アカデミックな取組みも進んでいますよね。 民岡:はい。人事系専門の研究所がありまして、基礎研究もかなりやっていますし、論文も数多く発表しています。業界ごとのジョブ定義集なんかも製品として持っていました。 関:日本もジョブ型人事に変えないといけないと思っている人は増えていると思います。 民岡:ええ。ですが、増え方が遅いです。「うちは専門職ではなくジェネラリストの集まりだからジョブ定義はいらない」といわれることもあります。しかし、そうではないと私は思います。ジェネラリストのほうがむしろ広範囲な仕事を請け負っているわけですから、しっかりと仕事の定義を行っていかないといけないんですよ。 関:むしろ逆ですよね。範囲が広いジェネラリストこそジョブ定義が必要であるはずです。 民岡:そうなんです。定義できないのではなく、定義しようとしていないだけなんです。また、「ベンチャーだから全員の仕事に目が届く。だからジョブ定義はいらない」という声もあります。それも違います。最初だからこそジョブ定義をしっかりしておくことが大事なんです。人や仕事が増えたとき、そのジョブ定義をベースに積み上げていくわけですから。 関:アメリカのスタートアップのアプローチと同じですね。 民岡:何でもアメリカが正しいわけではありませんが、これについては見習うべきだと思いますね。仕事が見えているといっても、見ている人のバイアスがかかっています。企業の大小を問わず、ジョブ定義は必要なものだと思います。 日本企業の人事は4つのパターンに類型化できる 関:おっしゃる通りです。ただ、日本では従来からある職能型の人事に基づく考え方がとても根強く残っていますので、いきなりジョブ型人事と言われても変われない企業も多いのではないかと思います。変化するためにはどうすればいいのでしょう。 民岡:それを考えるとき、私は日本企業の人事担当者の方を4類型に分類して考えることにしています。まず、第1類型は「無知な人」です。カーナビには地図が必要であるのと同じように、HRテクノロジーを活用していくためにはジョブ定義が必要だということを知らない人々です。この第1類型の方々は知らないだけなので、必要性についてしっかり説明すると素直に学び、気づくことができます。 関:その必要性に気づくことができれば、変化していくことができそうですね。 民岡:次に第2類型です。この第2類型の方々は、昔から日本で人事業務に従事してきた方々で、現在の状況も分かっている頭が良い人たちです。ですが、過去に「コンピテンシー」が流行ったけれど、結局うまく根付かなかった経験を持っているので、「コンピテンシー」の要素の積み上げであるジョブ定義については消極的です。 関:知っているだけに踏み出せないのですね。 民岡:「日本には合わない」と未だに思っているんですよ。過去の体験にとらわれてしまうんです。ちょっと話はそれますが、そういう点でも御社の高橋さんはすごいんですよ。あれだけのキャリアと成功体験をお持ちなのに、今でも新しい考え方をどんどん取り入れて進んでおられますよね。そんな人はほとんどいないんですよ。 関:確かに新しい考えを取り入れることに対する抵抗感をあまり感じさせないですね。 小巻/店長:メインのお料理をお持ちしました。『カナダ産牛ハラミのステーキ』です。ベリーソースでどうぞ。 民岡:おお! 美味しそうな赤身ですね! 柔らかい! スパイスも利いていていくらでも食べられそうです。 関:本当ですね。ジューシーで旨味があります。これぞ肉! という感じです。 小巻/店長:こちらに合わせるのはオリジナルブレンドティーと、イタリア・ピエモンテを代表するバローロです。ネッビオーロという品種で作られており、“ワインの王”とも称されます。 関:なんだかすごそうですね。……お! これはたしかに合いますね! ベリーソースの果実味と絶妙にマリアージュします。 民岡:どれも美味しいお料理ばかりで最高です! これからの人事に必要とされるのは、社員一人ひとりに寄り添うこと 関:楽しんでいただけてよかったです。お話を戻すと……次は第3類型ですね。 民岡:私はこの第3類型が一番やっかいだと考えています。 関:どんな方々でしょうか。 民岡:第2類型と基本的には同じバックグラウンドを持っているのですが、違いはHRテクノロジーの活用ためにはジョブ定義が必要だということまでをも深く理解しています。それでも、あえてジョブ定義が浸透しないように止めている方々がいるのです。 関:なぜそんなことを? 民岡:利害がからんでいたり、「逃げ切りたい」と思っていたりするからです。変革とは火中の栗を拾うこと。もう少しで引退だから、それまでは変化などせず今のままでいきたいわけです。ましてや、これまでの発言や考え方を撤回するわけにもいかない。しかも、第3類型の方々にはインフルエンサーも多いから影響力もあり非常にたちが悪いです。 関:どのように捉えればよいのでしょうか。 民岡:講演で私がよく言って笑いをとっているのが、「もう隠居してもらうしかない」ということです(笑)。すべてを理解しているだけに、今さら「学び直し」という路線はないわけですからね。でも、本当にそれくらいやっかいなんですよ。 関:変化のきっかけがほしいですね。 民岡:そこで期待したいのが、最後の第4類型です。これは、営業やマーケティングのように人事とはまったく異なる部門から人事を改革するために来た人たちのことです。たいてい30代後半~40代前半くらいの優秀な人材が抜擢されることが多いですね。 関:ただ、その人たちが来ても、第2類型や第3類型の方々が人事部門にもいたりするわけですよね。 民岡:そこがネックです。第4類型の方はたいてい課長クラスとして入ることが多く、その上人事部長は第2類型や第3類型であることが珍しくありません。その場合には、上司をうまく転がして組織を変革していく能力が問われます。 関:なかなか難しそうですね。 民岡:これまで日本では、労務中心の旧来型人事の考え方でもうまくいっていました。それがついに機能しなくなってきたのが今だと思っています。なぜかというと、世代が替わってきたからです。 関:世代ですか。 民岡:仮に10段階評価で30くらいつくような突出した優秀な人材でも、これまでの日本の人事ではルールで定められた10段階の枠に収められてきたわけです。それでも我慢していたのが我々くらいまでの世代です。ところが今の若い世代は、それを我慢しなくなってきました。これはとてもまっとうなことだと思います。 関:ジョブ定義以外で人事が変わるべき点はありますか。 民岡:限界はありますが、究極的には社員一人ひとりに寄り添うべきだと思います。たとえば満員電車で出勤したくないのなら、遅い時間の出社を認めてやればいい。ちなみにこれは実際に私が社会人2年目のころから勝手に実践してきたことです(笑)。20年以上の時を経て、今では当たり前の考えになりつつありますよね。それでパフォーマンスが上がるならその方が良いでしょう。それをやらずに、「昔からの決まり事だからこれからもそう」だというのは怠慢です。運動部で下級生には練習時間中終始水を飲ませないのと同じくらい時代錯誤なことだと思います。 関:従業員のことをどれだけ考えられるかということですね。 民岡:いわゆる従業員体験(Employee Experience)の考え方ですね。今の時代、従業員は企業からすればお客様なんです。採用活動では応募者に企業を売り込んで買ってもらう、つまり働きたいと思ってもらうことが今後は大事になります。 関:これからの人事にはマーケティング思考が必要だと言われますからね。 民岡:ええ。そういう考え方が主流になってきたというのは、とても良いことです。もう10年以上前から提唱してきた私としては、ようやく変化する時代の入り口に来たなという印象です。 関:本日はとても興味深いお話をありがとうございました! 民岡:こちらこそ、とても美味しいお料理と楽しい時間をありがとうございました! 今回のお店 あじる亭 赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。 編集後記 ライター・カメラマンの山田井です。 生粋の人事畑ではなく、多彩なキャリアをお持ちの民岡さんならではの視点はとても刺激的。昨今の人事が抱える課題に一石を投じるお話が伺えました。 また、あじる亭の季節の食材を取り入れたお料理とワインペアリングも絶品。どれも実際にためしていただきたい組み合わせですが、個人的には『カナダ産牛ハラミのステーキ』とバローロがベストマッチ! とろけるようなマリアージュはぜひ多くの方に体験していただきたいです。