解説 2021年1月26日 テクノロジーを活用した新たなコーチングとは? 多くの企業が人材開発の一手法として取り入れている「コーチング」。コロナ禍でのリモートワークの浸透、コミュニケーションのデジタル化によって、ますますその有用性が注目されています。コーチングは対面でのコミュニケーションが基本ですが、昨今はAIなどのテクノロジーを活用することで従来のスタイルよりも科学的、効果的に進化しつつあります。今回は、デジタルツールを活用した新しいコーチングのスタイルを紹介します。 [目次] コロナ禍で高まるコーチングのニーズ コーチングとテクノロジー デジタルツールで革新的なコーチングへ まとめ コロナ禍で高まるコーチングのニーズ これまで企業が人材育成にコーチングを取り入れてきた主な理由は以下の2つです。 (1)価値観の多様化による、社員の抱える個別課題に対応 時代や社会環境の変化に伴い、社員の価値観は昔よりかなり多様化しました。また、変化の速いビジネス環境下で社員が直面する課題の個別性、複雑性も高くなってきましたが、コーチングはコーチが対象者の業務に詳しくなくとも傾聴と適切な質問で相手に気づき・行動変容を促せる手法なので、一人ひとりをオリジナルな解決策に導く効果がありました。 また、課題解決にまでは至らずとも心理状態や悩みを聞いてあげることでメンタルの安定につながるなど、ソフトランディング的効果もあったと言えるでしょう。 (2)経験学習の効果 不確実で複雑性が高く、変化のスピードが速いビジネス環境に対応するには、業務のなかで「経験→省察→概念化→実践」といった経験学習のサイクルを効果的に回すことが大切です。コーチングならコーチが第三者の立場から個人の省察や行動実践などを促すことができます。例えば、経営幹部向のエグゼクティブコーチングなら、自己認識力が高くなることによるマネジメント力向上や、より高い視座を持つことによる戦略構築力の強化が期待できました。 一般社員のコーチングなら、まったく自分で考える習慣のないいわゆる指示待ち社員も、コーチングを重ねることで自分の行動に自覚的になり、自主性と行動力を増していく効果があります。 直近ではリモートワークの普及によるコミュニケーション上の課題の解決手段としても期待されています。SNSやチャットでは「テキストでは怒っているように見えたが大丈夫だった」といった余計な誤解、違和感が生まれています。このようなコミュニケーションのギャップを解消するのにも有効だと言えるでしょう。 コーチングとテクノロジー コーチングは手法として有効であることは間違いないですが、現実には上司は忙しいためコーチングの頻度は少なく次のコーチングまでの時間も長くなりがちです。人事がそういった状況で費用対効果を見た際に価値観の多様化により一人ひとりに適切な解決策を提示すること自体が難しい面もあります。そこで、注目されているのが先端テクノロジーを活用したコーチングです。コーチングには以下のメリットがあります。 ◆対象者側 ・面談と面談の合間もコーチの協力が得られる ・アセスメントとAIの分析で自分のレベル・課題に適したコーチを受けることができる ・目標に紐づくエビデンスに基づいたコーチを受けることが可能 ◆コーチ側 ・面談と面談の間でも対象者に「一口サイズ」のアクションができる ・対象者のレベル・課題にあった実践的な提案ができる ・システムで一元管理できるため成長の遅い対象者を把握しやすい デジタルツールで革新的なコーチングへ 米国の「HR Technology Conference & Expo 2019」の『Pitchfest(スタートアップ企業コンテスト)』において、コーチングをサポートするデジタルツール『PILOT』が優勝しました。個々の社員のキャリアをデザインし、社員が自発的に成長できる環境を整えられる点が評価のポイントです。 PILOTを活用すれば、スマホやPCを利用して週に10~15分のコーチングが可能です。AIがコーチング結果を分析し次回以降のコーチングに反映するため、コーチング精度も向上します。コーチ側も業務負荷が減り人に向き合うことに集中できるなど、コーチをする側、受ける側ともメリットがあるシステムです。 まとめ テクノロジーの進化、リモートワークの普及などを背景にコーチングの形も変化しつつあります。AI搭載のデジタルツールを活用したコーチングなら、社員に対し精度の高いコーチングを時間は短く頻度を増やして提供することが可能です。学習効果、成長意欲を高めるだけでなく、リモートワークで発生するコミュニケーションのギャップを解消し、社員のパフォーマンスが高まる効果も期待できるでしょう。また、コスト削減にもつながります。 コーチング コミュニケーション テレワーク
HRTech 2021年1月25日 無料でつくれる採用HPの効果とは インターネットの普及とともに、求職者は企業の判断材料として企業ホームページ(以下、公式HP)を重視するようになりました。自社にとって最適な人材を確保するため、公式HPに加えて詳細な求人情報を発信する「採用ホームページ(以下、採用HP)」を構築する必要性が高まっています。近年は採用HPを無料または安価でつくることができるサービスも生まれています。本記事では採用HPの重要性と、無料でもつくれるHPの効果について解説していきます。 [目次] 採用HPは企業にとってなぜ重要なのか 無料でつくれる採用HPを活用するメリット 無料の採用HPで期待される効果とは 人材確保に、無料採用HPの活用のすすめと注意点/まとめ 採用HPは企業にとってなぜ重要なのか 企業が自社の公式HP以外に採用HPを特設する理由は、公式HPや求人広告では表現しきれない自社の魅力をアピールできる点にあります。 ・自社の魅力をもれなくアピール 企業が運営する公式HPは株主、取引先、消費者他さまざまなステークホルダーに情報を発信する目的で作られているため、バランス上、採用の情報だけを強調することはできません。そのため掲載情報も網羅的になります。 求職者がより深く企業を知ることができる専用の採用HPをつくり、自社の魅力や詳細な情報を発信することで「採用したい人材」に応募してもらえる可能性を高めることができます。 ・入社後のギャップを軽減 これまで公式HPや求人広告に盛り込みきれなかった情報を採用HPに掲載すると、求職者に入社した後のイメージを、リアリティをもって描いてもらうことができます。具体的な業務の流れや職務内容、必ずしも魅力だけでなく厳しい面も触れるなど求職者が本当に求めている情報を発信することで、応募者数を増やせたり、入社後のギャップを少なくする効果もあるでしょう。 無料でつくれる採用HPを活用するメリット 近年は、無料でつくれる採用HPサービスが増えており、多くの企業で活用されています。このサービスを使って採用HPを制作するメリットと期待できるポイントを解説します。 ・制作・運用担当者の負担と費用を削減 一般的なHP制作とは異なり大きな費用をかけなくても社内で簡単に採用サイトを作成することができます。 制作にあたっては、多く用意されているテンプレートを活用するため、クリエイティブなセンスに自信がなくても一定のクオリティに仕上がる点も安心です。一般的にはサイト構築のために必要となる多大な時間を減らせるため、採用担当者の負担も軽減できます。 ・サイトの立ち上げや更新が早い 制作する担当者に専門知識がなくてもスピーディーに採用サイトを立ち上げることができます。応募者の管理や情報の更新(追加や修正)なども即座に多くの時間をかけず、かつ簡単に行えるのもポイントです。 ・求人広告以外で広く人材を募集 無料サービスを活用して制作したページなので、求人情報は「長期掲載」しても費用は必要ありません。掲載期間が自由に設定できるので、自社に興味を持っているスキルの高い応募者からの直接応募の機会が増える事も期待できます。 通年採用にはとても有効でしょう。 無料の採用HPで期待される効果とは 無料でつくれる採用HPには、複数の求人情報が自動的に検索エンジンや大手SNSに掲載されるサービスもあります。Googleが提供するサービスは、ガイドラインの条件を満たせばGoogleの「仕事検索」に掲載されます。 各無料採用HPサービスにはデザイン性、強い求人領域などそれぞれ特性があるため、自社にあうサービスを選択することがポイントです。いずれもコストはかからず、より多くの求職者の目にとまるため応募数増加が期待できます。これまでの課題だった「費用削減」と「応募者の少なさ」を同時に対策できるでしょう。 無料でつくれる採用HPサービスの例 engage https://en-gage.net/ エン・ジャパン運営の無料採用サイト作成サービス。求人検索エンジン対応、SNS連携、スマホ表示に対応しており、採用報酬も無料です。 採用係長 https://saiyo-kakaricho.com/ Indeedをはじめ、6つの求人検索エンジンに採用サイトを一括連携でき、応募者の一括管理も可能です。 MEET SOURCE https://meet-source.com/ シンプルに始められる無料採用サイト作成サービス。Indeed連携可能です。カケハシ スカイソリューションズ運営。 人材確保に、無料採用HPの活用のすすめと注意点/まとめ インターネット、スマートフォンの普及により、情報収集をWebで行うことは今やスタンダードとなりました。企業が望む人材に求人情報に応募してもらうためには、まず求職者とのインターネット上での接点を増やす必要があるため、自社HP以外に無料採用サイトを活用する意義は高いと言えます。 ただ、昨今はコンテンツファーストの時代と言われるように、情報を探す側の目もシビアになってきています。自社でコンテンツを制作し過ぎてしまうと、求職者やユーザーにとって本来の効果とは逆に効果が働いてしまうこともあるので注意しましょう。求職者が本当に知りたい情報、求人広告や公式HPには掲載できない魅力を打ち出し、求職者を惹きつけることが採用HP活用のポイントです。また、一定の客観性をもったコンテンツを外部に制作してもらうことも選択肢として考えておくべきでしょう。 中途採用 採用サイト 新卒採用
人事施策 2021年1月25日 アルムナイ採用が注目される理由と最大限活かすためのコミュニケーションを解説 近年は、一度企業を退職した優秀な人材を貴重なリソースとしてとらえネットワークを構築し、再雇用につなげる「アルムナイ採用」に取り組む企業が増えつつあります。 アルムナイ採用はミスマッチが少ない、採用コストが低い、外部で多様な経験をつんだ人材に活躍してもらえるなどのメリットがあります。今回はアルムナイ採用が注目される理由とアルムナイを活かすコミュニケーションについて解説します。 [目次] アルムナイとは?注目される背景 アルムナイが注目される4つの理由 アルムナイの導入ポイント まとめ アルムナイとは?注目される背景 アルムナイとは英語で「alumni」と表記され「卒業生・同窓生」を意味します。転じて、ビジネスでは企業の離職者やOB・OGの集まりを指します。海外では離職者のネットワークを築き、コミュニケーションをとることで再雇用につなげる「アルムナイ制度」は一般的になっています。 日本でも、一昔前こそ離職者へのネガティブなイメージがありましたが、転職に対する人々の意識の変化、企業の成果主義へのシフト、人口減少による採用市場の競争激化を背景に、アルムナイを貴重な人材資源ととらえる企業が増えています。 事例としてはアクセンチュアなどの外資系企業はもちろん、住友商事、NTT西日本、みずほ銀行、IT企業のサイボウズ社など大手企業の取組みも目立ちます。近年で特に象徴的だったのはパナソニックの事例だと言えるでしょう。 一度は退職してマイクロソフトなどのCEOをつとめた樋口泰行氏を、2017年に代表取締役兼専務役員として招き入れ「異例の出戻り人事」と話題になりました。変革の時代には外部で経験を積み、社内に新しい風を吹き込める人材が必要という考えからです。 アルムナイが注目される4つの理由 アルムナイが注目されている理由は以下の4つです。 ・終身雇用制度の崩壊による人材の流動化 バブル崩壊、リーマンショック以降、日本企業は終身雇用を維持することが困難になり、人件費削減のために早期退職者を募る一方、競争力を高めるために専門性の高い人材を採用するようになり、人材の流動化が進みます。 ・働き方への意識変化と多様化 人々の価値観も変化しフリーランスやパラレルワークなど多様な働き方が増えています。特に若年層は自身の成長のために「転職」する傾向があり、企業が優秀で若い人材を雇い続けることが以前より難しくなっています。中途採用の転職マーケットも拡大し続けており、優秀な人材の確保は企業における課題となっています。 ・採用のミスマッチが起こりにくい 優秀な人材を採用しても社風や業務慣習になじめず離職するケースは少なくありません。アルムナイは企業風土や業務スタイルを承知してカムバックするためミスマッチを引き起こしにくく活躍が期待できます。既存社員も純粋な中途採用者より出身者を受け入れやすい面があるでしょう。 アルムナイの導入ポイント 導入ポイントは以下の4つです。 ・再雇用のための条件 再雇用するための必要スキル、在職期間などの基準を明確にします。「辞めてもすぐ戻れる」と安易な印象を持たれないように注意しつつ、できるだけ門戸を広く設けることが重要です。 ・退職時のコミュニケーションを最適化 退職時に良いイメージを持ってもらうことが大切です。退職後のステップアップ支援制度、再雇用する制度があることを丁寧に説明し、戻ってきても良いのだというメッセージを伝えます。 また、アルムナイ制度が社内に周知され、退職が決まった社員を気持ちよく送り出す必要が生じることで、退職予定者がいても社内の雰囲気が悪化しにくくなるなど、退職をとりまく社内風土の改善にも役立てることができます。 ・離職者との関係を維持する定期的なコミュニケーション メールマガジン、イベント、SNSなどを活用し退職者とのコミュニケーションがとれる仕組みを作ります。あくまで外部の人材なので社外秘の漏洩には注意します。 アルムナイネットワークの構築が成功している企業では、採用だけでなく、取引先として付き合いが広がったり、外部の視点を取り入れる機会に繋がったりと、副次的な効果が生まれているようです。 ・受け入れ体制を整える アムルナイの採用に一部の社員が良いイメージを持たないこともあります。全社員に制度を周知するとともに、カムバック前に配属先の上司との面談、同僚とコミュニケーションをとる機会を設けるなど受け入れ体制を整えます。 実際にアルムナイ社員がきちんと受け入れられている状況を目にした社員は、その後退職しても、戻ってくる心理的ハードルが下がるため、アルムナイ採用に好循環が生まれます。 まとめ 近年は一度退職した社員を再び雇用するアルムナイ採用に取り組む企業が増えています。変化の激しい時代、優秀な社員が多様な経験をつんで成長してもどってくれることは企業にとってプラスです。 前向き転職が多い時代には離職者の中にも出身企業にエンゲージメントを持ち続ける社員は多いため、SNSやイベントなどを活用しアルムナイとコミュニケーションをとっていきましょう。 アルムナイ アルムナイ制度 中途採用 再雇用